SDGsの概要や17の目標、私たちにできることを徹底解説!

SDGsの概要や17の目標、私たちにできることを徹底解説!

2023.05.11(最終更新日:2024.06.27)
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最近よく聞くSDGsとは何のこと? 会社や学校で話題になるけれど、わからなくて会話についていけない! そのような方は多いと思います。

SDGsはとても大きな目標で、全てを一から自分で調べるのは大変です。

この記事では、〈SDGsとは何なのか〉〈なぜ必要なのか〉をわかりやすく解説し、企業や自治体、学校、家庭、そして私たち一人ひとりが今日からできる取り組みを詳しくお伝えします。

目次

SDGsは世界で達成すべき目標。言葉の意味や成り立ち、生まれた理由を解説

SDGsのロゴの下を子供のいる2組の家族や男女で歩く様子を描いたイラスト
SDGsとは、簡単に言うと〈世界をよりよくし、これからも地球で生きていくために、世界の国々が一緒に決めた約束ごと〉です。
2030年までに達成すべきもので、17個の目標と169個のターゲットから成り立っています。
言葉の意味や生まれた理由、重要なポイントや学ぶメリットをお伝えします。

SDGsの語源と日本語訳を解説。覚えておきたいポイントは”サステナブル”

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の頭文字「S」「D」「G」と最後の「s」を繋げた言葉です。

読み方は「エスディージーズ」「サステナブル デベロップメント ゴールズ」で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

“Sustainable”は、英単語”sustain”(サステイン)と”able”(エイブル)が一まとめになった言葉です。

“sustain”は「(~の存在を)持続する、維持する」「(大変なことに)耐える」「(あるものを下から)支える」というイメージの言葉です。”able”の意味は「(人が~することが)できる」です。ですから、”Sustainable”の意味は「持続できる」になります。
“Development”は「開発、開拓」「(状況を進展させる)出来事、変化」「発展、進歩」というイメージの言葉です。
“Goals”の意味は、「(達成すべき)目標、目的」です。

「持続可能な開発目標」と書くと難しい印象を受けますが、まずは元になった英単語から言葉の意味をイメージしてみましょう。
一番のキーワードはサステナブル、つまり「ずっと続けていけること」です。

SDGsが生まれたのは2015年。国連で採択された文書の途中に登場

SDGsは、ある文書の中に出てくる言葉です。
2015年の9月25-27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」(第70回国連総会)が開催されました。

そのサミットにて、150を超える加盟国首脳の参加のもと、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。(原文では「Transforming our world 。the 2030 Agenda for Sustainable Development」)
アジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標をかかげました。この目標が、17の目標と169のターゲットからなる「SDGs」です。

実際のアジェンダを見てみましょう。原文PDFの14ページに「Sustainable Development Goals」がありますね。
外務省-我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ
原文(英語)はこちら
日本語訳はこちら

このアジェンダは、国際連合に加盟する全ての国の合意により決まりました。
全35ページのアジェンダの中で、SDGsは14ページにわたって盛り込まれました。世界にとって、それだけ重要な目標なのです。

「アジェンダ」とは、”agenda”という英単語をカタカナにした言葉です。
もとは「計画、課題」という意味で、日本では「実行に移されるべき事柄、会議で話す項目」として使われています。

SDGsはMDGs(ミレニアム開発目標)を引き継ぐ形で生まれた

実は、SDGsが生まれる前に「MDGs」という8つの目標がありました。8つのうちいくつかは達成できましたが、いくつかは達成できませんでした。
そこで、MDGsを引き継ぐ形でSDGsが宣言されたのです。

MDGsとは、「Millennium Development Goals」の頭文字「M」「D」「G」と最後の「s」を繋げた言葉です。読み方は「ミレニアム デベロップメント ゴールズ」で、日本語では「ミレニアム開発目標」と訳されています。

MDGsは2000年に開催された「国連ミレニアムサミット」で採択された「国連ミレニアム宣言」を取りまとめて作られました。

MDGsの8つの目標は、2015年までに達成すべきとされていました。いくつかが達成できなかったこともあり、2015年時点の状況をもとに、よりブラッシュアップして作られたのがSDGsなのです。

MDGsの詳細は国際連合広報センターのホームページで確認できます。特に参考となるのはこちらです。
ミレニアム開発目標(MDGs)の目標とターゲット
「ミレニアム開発目標(MDGs)報告2015」 の概要(日本語プレゼンテーション資料)

SDGsとMDGsの大きな違いは4つ。民間企業や私たち個人の取り組みが必要になった

SDGsとMDGsの違いとして、覚えておきたいのは主に以下の4つです。
特に「企業の創造性や革新力への行動」が求められるようになったのが大きなポイントです。

MDGs SDGs
目的 飢餓の撲滅など開発途上国の課題を解決する 気候変動や格差拡大など地球規模の課題を解決する
方針 先進国が開発途上国を支援する 先進国も開発途上国も一緒になって、環境・経済・社会の3つが調和するように取り組む
主体 課題解決に向けて動く主体は国連や政府 国や自治体、民間企業や個人が一体となって、共通の目標達成に向けて行動する
対象期間 2000年~2015年の間に達成すべき 2015~2030年の間に達成すべき

SDGsを知ると、世界的な視野を持てるようになる

ここまで読んで、SDGsって難しそう、意識するメリットはあるの? と思われた方もいるのではないでしょうか。

確かに国連や世界と聞くと難しそうに思えますが、17の目標やその目的を理解すれば、日ごろから意識することは簡単です。
SDGsは未来をよりよくするための目標です。SDGsや世界各国の状況を知ることで、世界のことを自分ごととして考えられるようになるでしょう。

これからは、世界的な視野を持ち、国際感覚を身に着けた人が活躍できる社会になります。SDGsを知ることで、広い世界の中で、自分の身近では何が起きているか、自分は今何をすべきかを考えることができる人になれるのです。

SDGsは私たちの未来をよりよく変えていくためにある

世界といわれても、大きすぎてよくわからない。自分が取り組む意味はあるの? そう思った方もいるでしょう。
確かに地球の人口が80億人を超えたと聞くと、とても大きく感じられますよね。

ですが、例えば、一つの場所で生まれた新型コロナウイルスは世界中に拡がっていきました。

世界は繋がっています。空も海も、地球の反対側まで続いています。身の回りの空気や水は、地球上の全てに繋がっているのです。

ですから、あなたの身の回りの環境をよくすることは、世界の環境をよくすることに繋がっています。もちろん世界がよくなると、あなたの身の回りの生活もよりよくなっていくでしょう。
世界中の一人ひとりが意識して、少しずつ行動を変えていけば、未来は必ず変わります。

そこで必要になるのがSDGsです。世界中の一人ひとりが一丸となって、皆でよりよくなっていこうとするとき、私たちを導いてくれるのがSDGsなのです。

17の目標を個別に解説。原因や解決方法、私たちにできることを紹介

苔に覆われた倒木や緑豊かな木々が広がる、自然豊かな森の風景
17の目標には、一言で覚えやすいスローガンのような言葉と、アジェンダに記載された正式な長めの言葉があります。
例えば目標1の場合は、一言版は「貧困をなくそう」、長文版は「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」です。どちらも原文は英語のため、日本語の訳し方は人によって異なります。

それでは、17の目標を実際に見ていきましょう。
それぞれの目標について、設定の背景、原因や解決方法、私たちにできることをご紹介します。

目標1.貧困をなくそう

アジェンダに記載の目標は「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」です。

現在、一日に使えるお金が200円以下という極めて貧しい状態で暮らしている人は世界に7億960万人いて、そのうち約半数が子どもです。(2020年時点)

出典:日本ユニセフ協会-SDGsの目標1「貧困を無くそう」

貧困になるきっかけは、津波や台風などの自然災害、紛争、身分制度、教育が受けられず仕事に就けないなどです。
貧困が止められない理由は、上記の理由で一度貧困になってしまうと「親の収入が低い→十分な教育を受けられない→高収入の仕事に就けない→子どもが生まれても、その子どもも貧困になる」という悪循環から抜け出すことが難しいためです。

解決のためのキーワードは「教育」です。前述の通り、貧困と教育には深い関わりがあります。逆に言えば、十分な教育を受けることができれば、貧困の連鎖を断ち切れるかもしれないのです。
「どんな家庭の子どもも必ず教育を受けられること」が目標1の解決につながります。

私たちにできることは、まずは世界の貧困の様子を知ることです。一日200円以下の生活をする人が多いのは、南アジアやサハラ以南のアフリカです。どのような暮らしを送っているのか、少しでも知ることから支援は始まります。
もう使わない筆記用具やノートを開発途上国に送る支援や、お金を寄付する支援などもありますから、調べてみましょう。

貧困には2つの種類があります。上記のような「絶対的貧困(極めて貧しい状態)」と、「相対的貧困(所得が国民の中央値の半分に満たない状態)」の2つです。
日本で問題になっているのは後者の貧困で、現在、日本の子どもの7人に1人が相対的貧困の状態です。この問題を解決する方法として、例えば、子どもたちの食育や居場所作りを支援する「子ども食堂」があります。
自分の住んでいる県や地域の子ども食堂、遠くの県の貧困を支援する取り組みなども、ぜひ調べてみてください。

▼子ども食堂について、詳しくはこちら
子ども食堂とは?現状や役割を初心者向けに徹底解説

▼目標1について、詳しくはこちら
SDGsの「目標1、貧困の撲滅」について考える ~どのような取り組みが必要か

目標2.飢餓をゼロに

年配の人が手に穀物の種を持ち、それを指で摘んでいる様子
アジェンダに記載の目標は「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」です。

2020年時点で、世界で7億2000万から8億1100万の人が飢餓に苦しんでおり、これは世界人口の9人に1人の割合です。また、世界人口の30%以上の人々が、生活に十分な食料を安定して入手することができませんでした。

出典:国連広報センター-目標2.飢餓をゼロに

飢餓や栄養不良の原因は、主に以下の4つです。
・地震、洪水、干ばつなど、自然災害の発生
農業技術が不足しているため、効率のよい生産ができない
紛争が起こる
貧困により飢餓の対策ができず、農業設備や道路、資金が不足している

解決するためには「全ての国で自然災害に負けない農業ができる」ようになることが重要です。そのため、先進国から途上国への、農業技術やノウハウの共有が求められています。
また、農薬を多く使って作物を育てる方法では、土地がいたんでしまい、やがて作物が育たない場所になってしまいます。化学肥料や農薬を用いない「有機農業(オーガニック農法)」、つまり「サステナブルな農業」を実践していく必要があります。

開発途上国の飢餓の理由の一つに食料の輸出があります。お金を得るために生産した食料を輸出するため、自国に食料が残らないのです。
ですから、私たちにできることは、まずは「地産地消」に取り組むことです。地産地消とは、その地域で生産された農林水産物をその地域で消費することです。食材を買うときや食べ物を選ぶときは、日本産のものを選ぶといいですね。

また、SDGsは世界中の誰もが達成すべき目標ですから、アジェンダに記載されている「栄養改善」はあなたにも当てはまります。健康的な食生活を心がけ、栄養バランスのとれた食事を意識していきましょう。

▼目標2について、詳しくはこちら
SDGs2「飢餓をゼロに」今後の課題や取り組みについて紹介

目標3.すべての人に健康と福祉を

アジェンダに記載の目標は「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」です。
特に、小児保健、妊産婦保健、伝染病の対応が重要な課題とされています。

【小児保健】2020年は、500万人の子どもが5歳になる前に命を落としました。
【妊産婦保健】2017年、推定30万人の女性が妊娠・出産に関する原因で命を落としました。そのうち約86%はサハラ以南のアフリカと南アジアに住んでいる女性です。
【伝染病】エイズ、結核、マラリア、その他の疾病が、毎年何百万人もの人の命を奪っています。

出典:国連広報センター-目標3.すべての人に健康と福祉を
出典:国連人口基金-妊産婦の健康

このような事態が起きてしまう原因は、大きく分けて3つあります。

  1. 住んでいる地域に医療(病院、医者、薬)がなく、具合が悪くても適切な治療を受けられないこと
  2. 衛生的な環境がないこと
  3. 性教育を受けたことがなく、望まない妊娠をしてしまうこと

解決する方法の一つ目は、全ての国に適切な医療サービスを受けられる態勢、および衛生的な環境を整えていくことです。
二つ目は、性教育を含め、全ての子どもが教育を受けられるようにすることです。この方法は「目標1.貧困をなくそう」「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」にもつながる方法です。

私たちにできることとして、例えばワクチン募金があります。お金や物資の寄付のほか、未使用はがきや切手を送るとワクチンに換えて途上国に送ってくれる団体もありますよ。
また、アジェンダに記載されている「健康的な生活」は、あなたにも当てはまります。健康的な生活習慣、適度な運動、こまめな手洗い・うがいなどを実践していきましょう。
目標3.のターゲットには、薬物乱用、アルコールの有害な摂取、交通事故、性と生殖に関する保健サービス、などの言葉が並びます。私たちの生活に密接に関わっている事象ですので、内容や被害をよく知らない言葉があれば調べてみましょう。

▼目標3について、詳しくはこちら
SDGsの目標3とは?人々の健康と福祉を実現するために

目標4.質の高い教育をみんなに

アジェンダに記載の目標は「すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」です。

現在、約6700万人の子どもたちが小学校に通えていません。(2021年時点)
学校に通えていない子どもの半数以上は、サハラ以南のアフリカで生活しています。

出典:日本ユニセフ協会-アフリカに教育支援が必要な理由

サハラ以南のアフリカでは、以下のように様々な要因が子どもたちの教育を妨げています。

  • 貧困により、学校に通うよりも働かなければならない
  • 学校がないこと、教師の不足など、適切な教育環境が整っていない
  • 女性は家庭や家事を担当すると考えられており、教育が後回しになる
  • 紛争や政治的な不安定さにより、学校が標的になってしまう

これらの要因は、「目標1.貧困をなくそう」「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」「目標16.平和と公正をすべての人に」などを達成することで解決が可能です。
17の目標は全てが繋がりあっているため、ある目標を達成するために行動することが、ほかの目標達成にも結び付いていくのです。

私たちにできることは、まずはこの問題に関心を持つことです。身の回りの友だちや家族と、世界の子どもたちの教育、その原因である貧困やジェンダー平等、平和について話してみるのもいいですね。
途上国の教育環境を改善する寄付や支援、現地での教育インフラ整備のボランティア活動に従事することもできます。

また、私たちが暮らす日本にも教育を受けられていない子どもがいます。例えば、いじめや障がいによって不登校の状態にある子どもたちです。全ての子どもが教育を受けられるように、日本ではどうすべきかを考えていきましょう。

▼目標4について、詳しくはこちら
SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」現状や取り組み、私たちにできることを解説

目標5.ジェンダー平等を実現しよう

アジェンダに記載の目標は「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」です。

2018年時点で、全世界で7億5,000万人の女性と女児が18歳未満で結婚しています。また、30カ国で少なくとも2億人の女性と女児が女性器切除を受けています。
18カ国では、妻が働くことを夫が合法的に禁止できます。女性を家庭内暴力から守る法律がない国も49カ国あります。
全世界で女性の政界進出が進んでいるものの、女性国会議員の割合は7%と、男女同数にはまだ程遠い状況にあります。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字【2018年12月現在】

このような男性と女性を分けて考える価値観の起源は、大昔の農耕時代にまで遡ります。当時、男性は家族を養うために狩猟などの仕事に従事しており、女性は家庭で子育てや家事を担当していました。このような生活がそれぞれの地域に根付き、文化や宗教と密接に関わり合い、伝統的な性別役割分業、制度的・法的な障壁など、現代まで連綿と続いているのです。

ジェンダー平等を実現するためには、法律・制度の改革や、男女の教育機会を均等にすることなどが必要です。
女性の政治進出の機会を確保する手段としては、「クオータ制」を導入している国もあります。国会の議席の一定数を最初から女性用に確保しておくのです。
「女性が参加しているのが当たり前」の状態を作ることで、社会全体が変わっていくのですね。

ジェンダー平等は、すべての男性と女性が同等の権利と機会を持つことを目指す考え方です。
私たちにできることとして、まずは自分が「男だから」「女だから」という考えにとらわれていないかを確認してみましょう。企業であれば「管理職の女性の割合」、家庭であれば「夫婦の仕事の時間・家事の時間の割合」などを算出し、もしも偏りがあったら、その原因は何かを考えてみてください。
日本は先進国の中でも政治進出する女性の割合が少ない国です。その原因は何なのか、私たち一人ひとりが考えていくことが大切です。

▼目標5について、詳しくはこちら
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の現状と世界と日本の取り組みを解説

目標6.安全な水とトイレを世界中に

アジェンダに記載の目標は「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」です。

2018年時点で、世界人口の4人に1人は、水を飲みたいと思ったとき、30分以内に安全な水を飲むことができません。
また、40億人もの人が、トイレや公衆便所などの衛生的なサービスを利用できていません。そのうち屋外で排泄する生活を送っている人は約9億人です。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字【2018年12月現在】

そのような状況が起こる原因としては、主に以下の事項があげられます。

  • 急速に人口が増えている地域では、水道の整備が追い付いていない
  • 水を溜める設備がない地域では、設備を作る資金がない
  • 生活排水や産業排水による水質汚染
  • 気候変動による干ばつ
  • 水資源を溜める働きを持つ森林の破壊が進んでいる

この問題を解決する手段としては、大きく三つの方法が挙げられます。
一つ目は、開発途上国への水道やトイレ整備の支援です。先進国が持つ技術や資金の援助が求められています。
二つ目は、水を汚さないことです。例えば、川が汚れる原因の7割は家庭から出る生活排水と言われています。水は一度汚れたら、浄化するためにもっと大量の水が必要なのです。
三つ目は、環境をよくすることです。気候変動をなるべく抑え、これ以上森林破壊をしないことが重要です。

私たちにできることとして特に重要な取り組みは日々の節水です。水の無駄遣いを避け、例えば水道の蛇口をこまめに閉める、シャワーを流しっぱなしにしない、洗濯の回数を減らすなど、生活排水の量を減らしましょう。
とにかく日々の暮らしで水を汚染しない意識が大切です。例えば食器洗いや洗濯などで化学洗剤を使うと、それが川に流れて水質汚染になってしまいます。成分が自然に分解される「生分解性」の洗剤を使うといいでしょう。

▼目標6について、詳しくはこちら
SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」とは?初心者向けに徹底解説

目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

青空の下、丘の上に立つたくさんの水力発電の風車
アジェンダに記載の目標は「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」です。

2020年時点で、電力を使えない暮らしをしている人は世界に7億3300万人います。現在のペースでは、2030 年になっても6億7000 万人の人が電力を利用できないままになってしまいます。
また、クリーンで近代的ではないエネルギー(薪、炭、動物の糞など)を料理や暖房に利用している人は40億人で、その人たちは煙や煤によって健康を害しています。

出典:国連広報センター-目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

ですから、世界中のどこの国でも、クリーンで近代的なエネルギーを使える状態にしていくことが必要です。

ところが、ここで大きな問題が二つあります。
一つ目は、エネルギーの燃料となる資源を使い切ってしまいそうなことです。
私たちが今使っているエネルギーは、そのほとんどが「化石エネルギー」(石油、天然ガス、石炭など、化石燃料を燃やして作られるエネルギー)です。
化石燃料は量に限りがあり、石油と天然ガスは約50年、石炭は約150年で使いきってしまうと言われています。
つまり、現在使っているエネルギーは、約150年後に使えなくなってしまうということです。

二つ目の問題は、地球温暖化です。
化石エネルギーを使うと「温室効果ガス」が出ます。そのうち主なものは二酸化炭素で、次いでメタン、フロン類などが発生します。この温室効果ガスが地球温暖化の原因なのです。
地球温暖化を止めるためには、化石エネルギーを使わないことが必要です。

世界のすべての人々が電気を使うためには、発電量の安定と増量が不可欠です。
ですが、上記の二つの問題があるため、今のやり方のまま化石エネルギーをどんどん使っていくことはできません。

そこで注目されているのが、自然の力を利用した「再生可能エネルギー」です。
「再生可能エネルギー」とは自然の力を利用したエネルギーのことで、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電などがあります。これらは地球に優しく、資源が尽きることがないため、化石エネルギーの代わりに利用していくことが求められています。
先進国も開発途上国も、この「サステナブルな電力」を使っていけたらいいですね。

私たちにできることは、限りある資源を少しでも未来に残すために節電を心がけることです。こまめに電源を切る、エアコンの温度設定を工夫する、省エネタイプの家電製品を購入するなど、日々意識してみましょう。

「カーボンニュートラル」という言葉をニュースで聞いたことはありますか。
カーボンニュートラルとは、環境省によると〈二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること〉です。
出典:環境省 脱炭素ポータル カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルを達成するためには、温室効果ガスの排出量を減らす活動と、吸収量を増やす活動をどちらも強化していくことが必要です。

▼カーボンニュートラルについて、詳しくはこちら
カーボンニュートラルとは?環境への取り組みを初心者向けに徹底解説

▼目標7について、詳しくはこちら
SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」現状と私たちにできること
▼温室効果ガスについて、詳しくはこちら
温室効果ガスによる問題と解決へ向けた世界での取り組み

目標8.働きがいも経済成長も

アジェンダに記載の目標は「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」です。

世界の国々が同じように発展していくためには、経済成長が必要です。ですが、途上国では貧困などが原因で、子どもが十分な教育を受けられず働きに出ています。教育を受けられないと、高度な仕事に就職できず、経済は成長していきません。
また、新型コロナウイルスの影響により、多くの国々で失業率が上がりました。経済成長のためには、仕事に就きたい全ての人が、安定した仕事に健全に取り組むことが欠かせません。

そこで求められるのが「ディーセント・ワーク」です。
ディーセント・ワークとは、「働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、 自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした、 全ての人のための生産的な仕事」のことです。

出典:国際労働機関-ディーセント・ワーク

ディーセント・ワークの実現として、例えば以下の事項が挙げられます。

  • 全ての人に仕事があること
  • 働く際、人権や社会保障が確保されていること
  • 仕事に見合った給与がもらえること
  • 休暇が保障されていること

私たちにできることは、例えば商品を購入するときに「フェアトレード商品」を選ぶことです。
「フェアトレード商品」とは、生産者が生活できる十分な収入を確保できるように取引された商品のことです。チョコレートやコーヒー、スパイスなど身近なところにありますから、購入する際にチェックしてみてくださいね。フェアトレードではなく、価格が安い商品は、もしかしたら商品の売値を安く抑えるために、開発途上国の生産者に十分な給与が支払われていないかもしれません。
また、あなたが現在働いている場合は「ワーク・ライフ・バランス」を意識してみるのもいいでしょう。仕事も私生活も充実させて、人間らしく、やりがいを持って働いていけたらいいですね。

▼目標8について、詳しくはこちら
「SDGs目標8働きがいも経済成長も」の基礎知識と企業の事例紹介

▼フェアトレードについて、詳しくはこちら
フェアトレードとは?世界の貧困をなくす取り組みとSDGsの関係を解説

目標9.産業と技術革新の基盤を作ろう

アジェンダに記載の目標は「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」です。

現在、多くの開発途上国では依然として十分なインフラが整備されていません。インフラとは”Infrastructure”(インフラストラクチャー)の略で、生活を支える基盤、生活に欠かせないもの、という意味です。
主なインフラとして、水道、ガス・電気、道路、電話・インターネット、公共施設などが挙げられます。

インフラが整わない原因は、やはり貧困です。
インフラがないと、開発が進まず、経済は発展していきません。インフラがあれば、生活が安定し、産業が発展し、経済基盤が整っていきます。仕事が効率化し、生産性が向上することで、技術革新につながっていくのです。このように、インフラの整備と貧困は相互関係にあります。

ですから、先進国が率先して、途上国のインフラ整備を支援していくことが求められています。世界中のインフラが整うことで、世界全体の産業が発展し、技術革新が進んでいくのです。

日本は災害が多い国です。だからこそ、災害に耐えられる、もしくは災害が発生しても迅速に復旧できるインフラ技術やノウハウを持っています。それらを開発途上国に伝えていくことが、日本人である私たちにできることの一つです。

また、災害が起きたらインフラは崩壊してしまい、復旧には費用も時間もかかります。世界で災害が発生したら、募金などの支援をしていきましょう。

日本はインフラが整備されていますから、途上国の暮らしを想像することがなかなか難しいかもしれません。まずはインフラのない暮らしについて調べてみることが、途上国支援の第一歩です。

▼目標9について、詳しくはこちら
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」をわかりやすく解説

目標10.人や国の不平等をなくそう

アジェンダに記載の目標は「各国内及び各国間の不平等を是正する」です。

現在、世界には様々な不平等があります。世界の国々のうち、先進国と呼ばれるのは約25%です。世界の75%の国は開発途上国で、経済発展の途上にあるのです。経済、安全、インフラ、医療など、国によって大きな格差があります。どの国に生まれるかによって、どのような生活を送れるかが変わるのです。
また、同じ国の中でも格差は発生します。差別的な慣習、不十分な政策、社会保護の未整備などにより、弱い立場の人々が追いやられてしまうのです。特に移民・難民、障がい者、子ども、女性、高齢者は貧困になりやすい立場にあります。

このような不平等は「自分と相手が違うこと」が原因で生まれます。国や民族、宗教、肌の色、障がいの有無、性別、価値観、文化、身体能力など、様々な違いをもとに差別が起こり、立場という壁ができていきます。
しかし、私たちは違うことが当たり前です。自分と全く同じ人間は存在しません。私たちは一人ひとりに個性があり、相手と違うことは当然です。立場が違うから、少数派だから、特定の能力がないから、等の理由で生活が制限されることがあってはならないのです。

不平等を解決する方法は、違いを認めあうことです。相手の立場を思いやり、個性を尊重し、お互いの違いを理解していくことが、差別をなくすための第一歩です。

私たちにできることは、普段の生活の中で、上記の弱い立場にある人々をサポートすることです。電車や道路、店舗など、困っている方がいたら声をかけ、手助けを申し出るといいですね。学校や企業で障がいをもつ方と一緒に過ごしている場合は、声掛けや気配りが当たり前になっているかを考えてみましょう。
また、身の回りで差別やいじめがないかを見直してみましょう。心当たりがある場合は、なぜそれが起こっているかを考えてみるといいでしょう。

▼目標10について、詳しくはこちら
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」の達成に必要なこと
▼難民について、詳しくはこちら
難民とは?厳しい現状と問題、私たちにもできる取り組み

目標11.住み続けられるまちづくりを

アジェンダに記載の目標は「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」です。

2020年時点で、世界で10 億人を超える人々がスラムや非公式居住区で暮らしています。また、2019年には大気汚染により世界で420 ​​万人が命を落としました。

これらの原因は、どちらも都市部の人口増加です。人々が便利さを求めて都会にやってくると、スラムの形成や、人々の活動量に比例した二酸化炭素の排出が発生します。人口が集中すると、自然災害が起こった際のリスクも増加します。

出典:国連広報センター-目標11.住み続けられるまちづくりを

解決方法は二つ考えられます。
一つ目は、人口増加に合わせて都市部を整備することです。例えば以下の対応が必要です。

  • 十分な数の住居、仕事、生活サービスを提供しスラムをなくす
  • 利用しやすい公共交通機関や環境に優しいエネルギーを提供し、二酸化炭素の排出を減らす
  • 防災対策を行い、災害発生時にも被害を最小限に抑えられるまちづくりを行う

二つ目は、地方・田舎の魅力を高めることです。人々は便利さを求めて都市部に移動するため、地方が便利になれば移動する理由がなくなり、都市部への人口集中を止めることができるのです。都市部と田舎の格差をなくし、田舎の暮らしやすさを向上させることが必要です。

私たちにできることは、まずは自分が住んでいるまちの問題点や、魅力を考えることです。住宅がなくて困っている人がいないか、環境に優しいか、どのような災害が発生するリスクがあるかなど、日ごろからチェックしてみましょう。
暮らしやすいまちをつくるためには、住民の協力が必要不可欠です。自分が住む地域の活動に積極的に参加し、地域の活性化に貢献し、まちの魅力を高めていきましょう。

▼目標11について、詳しくはこちら
SDGs | 目標11「住み続けられるまちづくりを」取り組みを紹介

目標12.つくる責任 つかう責任

アジェンダに記載の目標は「持続可能な生産消費形態を確保する」です。

私たちは、生活の中で「ごみ」を出します。ごみが出ると、その運搬や焼却の過程で、温室効果ガスである二酸化炭素が発生します。温室効果ガスは気候変動の原因となります。ですから、地球の未来を守るために「ごみを減らすこと」が重要です。

ところが、世界では毎日膨大な量のごみが出ています。特に、本来は食べられるのに廃棄されてしまう「食品ロス」は非常に多く、世界の温室効果ガス排出量の8~10%は食品廃棄が原因です。2020年は世界の食料全体の約13.3%が、収穫後、売場に届く前に廃棄されました。

出典:国連広報センター-目標12.つくる責任 つかう責任

私たちは日々、生産(つくる)と消費(つかう)をしています。生産も消費も、持続可能な社会を目指して行われなければなりません。
生産する際も消費する際も、意識すべきはごみの量だけではありません。例えば「再生可能エネルギーを利用しているか」「途上国に不利な貿易をしていないか」「生産者に適切な報酬が支払われているか」「児童労働による生産ではないか」などに気を付ける必要があります。 持続可能な生産と消費が地球の未来につながるのです。

企業は、社会の中で「生産」を担っています。ですから企業には、生産過程で発生する廃棄物量を削減し、環境を汚染することなく、地球に優しいエネルギーを使用することが求められています。また、持続可能な生産に関する取り組みを公表することが奨励されます。これが「つくる責任」です。

私たち一人ひとりは、社会の中で「消費」を担っています。ですから私たちには、例えば以下が求められています。

  • 「食品ロス」をしない
  • 買うものを選ぶ際、商品の生産過程が地球や社会に優しいかを考えて購入する「エシカル消費」をする
  • リデュース・リユース・リサイクルに取り組む
  • ものを大切に長く使う

これが「つかう責任」です。

目標12と合わせて「アースオーバーシュートデー」を調べてみましょう。
アースオーバーシュートデーとは、「ある年の人類が消費した資源の量が、一年間で地球が再生できる資源の量を上回る日」のことです。2022年のアースオーバーシュートデーは7月28日でした。7月29日以降は、未来の資源を前倒しで使った状態です。
出典:Earth Overshoot Day 公式サイト

▼目標12について、詳しくはこちら
SDGs 目標12「つくる責任、つかう責任」の目標達成に向けてできること

目標13.気候変動に具体的な対策を

アジェンダに記載の目標は「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」です。

現在、世界の気温は上昇しています。2021 年の世界平均気温は、産業革命以前(1850~1900年)の水準に比べて、約1.1°C高くなりました。
このように気候が変動すると、生態系の損失、海面上昇、干ばつの発生など、様々な事態を引き起こします。気候変動が影響を及ぼす範囲は広く、SDGs17の目標達成の鍵を握るのが目標13とも考えられるのです。

出典:国連広報センター-目標13.気候変動に具体的な対策を

気候変動の原因は、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加です。工場、自動車、電化製品、食に関することなど、私たちは毎日色々なところで二酸化炭素を排出しています。産業革命以前の生活に比べて暮らしが便利になった分、温室効果ガスの量も増えているのです。先進国の便利な暮らしが温室効果ガスを発生させ、地球温暖化を進めています。

解決方法は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑えることです。温室効果ガスの排出量が実質ゼロの社会である「脱炭素社会」の実現が必要です。

二酸化炭素を排出しないことが一番ですが、産業が発展した現代では排出が避けられない場面もあります。重要なのは排出量が”実質ゼロ”となることです。目標7でご紹介した「カーボンニュートラル」がここにも関連しています。

私たちにできることとして、まずは日常生活の中で、どのような場面で温室効果ガスが発生しているかを調べてみましょう。例えば、化石燃料を使用すると二酸化炭素が発生します。冷暖房などの電化製品や自動車の利用を控えると、二酸化炭素の排出抑制につながります。また、牛のゲップは温室効果ガスであるメタンガスを含んでいます。牛肉や乳製品の摂取を控えると、メタンガスの排出抑制につながります。
私たちは、日常の様々なシーンで地球温暖化につながる行動をしています。温室効果ガス発生の場面を知ることで、自分の行動を変え、気候変動を抑えていくことができます。

▼目標13について、詳しくはこちら
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」現状や取り組み、私たちにできることを解説

目標14.海の豊かさを守ろう

大きなゴミ袋を両手に持ち、海を向いて立っているビーチの清掃員
アジェンダに記載の目標は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」です。

現在、私たちの海は豊かな姿を失いつつあります。2021年、世界の海に1,700万トンを超えるプラスチックが流れ込みました。プラスチックごみが海に入ると、それを誤って食べた海洋生物が命を落とします。また、2019 年には世界の魚資源の35.4%が乱獲されました。魚の乱獲はその種の絶滅危機や、海の生態系のバランス崩壊を招きます。

出典:国連広報センター-目標14.海の豊かさを守ろう

プラスチックは分解に長い年月がかかります。例えばペットボトルが海に流れると、分解に400年が必要です。

これ以上プラスチックごみで海を汚染しないためには、主に以下の二点が重要です。
プラスチックごみを出さないこと。道端に捨てても、山に捨てても、プラスチックは分解されないまま、いずれ海に流れていきます。使い終わったプラスチックはリサイクルしましょう。
プラスチックを使わないこと。エコバッグやマイボトルを持参するなど、プラスチックを使わない習慣を心がけましょう。プラスチックを使わなければ、ごみが出ることもありません。

海岸のごみ拾いイベントに参加するなど、私たちができることは身近にあります。スーパーで魚類を購入する際は、持続可能な漁業・養殖で生産された水産物を表す「MSC認証ラベル」「ASC認証ラベル」がついた商品を選ぶのも一つの手段です。

また、ごみによる汚染、魚類の乱獲のほかにも海の豊かさを脅かす事態があります。それは「海洋酸性化」です。海水はもともと弱いアルカリ性ですが、大気中の二酸化炭素が増えたため、海がそれを吸収して酸性化が進んでいるのです。海が酸性になると、サンゴの骨格形成や貝類の殻形成ができなくなる、海の生態系が崩れるなどの被害が発生します。
解決策は、大気中の二酸化炭素を減らすことです。目標7・目標13達成に必須の二酸化炭素排出量の削減は、海の豊かさを守ることにもつながっているのです。

▼目標14について、詳しくはこちら
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の現状と実現への取り組み

目標15.陸の豊かさも守ろう

アジェンダに記載の目標は「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」です。

私たちが暮らす地球には様々な生物がいて、それぞれが関わりあいながら共存しています。多様な生物の存在やその個性、支えあいを指す「生物多様性」を今後も大事にしていかなければなりません。
ですが、現在、約4万種の野生動物が絶滅の危機に瀕しています。危機の理由はいくつかありますが、理由の一つは森林破壊です。

多くの生物の住処である森林は、毎年1,000万ヘクタールが破壊されています。破壊の理由は農業拡大のための森林伐採、森林火災などです。
過剰な森林伐採がされた土地は保水力がなくなり、「砂漠化」が起こります。一度砂漠化してしまうと、その土地を緑に戻すのは非常に難しくなります。緑がなければ、そこに住める生き物は限られてしまいます。
人間の勝手な活動で、森林が破壊され、絶滅に陥る種が出てくるのです。豊かな陸地、そして生物多様性を守るため、森林を大切に守っていくことが必要です。

出典:国連広報センター-目標15.陸の豊かさも守ろう

また、地球温暖化や密猟なども生き物の住処を奪う原因になっています。目標15の達成のためには、「森林を守ること」「生物多様性を守ること」の両方が求められています。

私たちにできることは、例えば以下があります。

  • 絶滅危惧種について調べる。なぜ絶滅しそうなのか、原因や解決策も一緒に調べてみましょう。
  • 植林イベントに参加する。企業や自治体が行っているものに参加し、森を守り、育てていきましょう。
  • 持続可能な森林管理のもとで生産されたことを証明する「FSC認証マーク」がついた商品を買う
  • 動物の毛皮や象牙が使われた商品を買わない

これらと合わせて、地球温暖化を防ぐため、二酸化炭素の排出量を減らすことも陸の豊かさを守ることにつながります。

▼目標15について、詳しくはこちら
SDGs目標 15「陸の豊かさも守ろう」の現状と実現のためにできること

目標16.平和と公正をすべての人に

アジェンダに記載の目標は「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」です。

2022年5月時点で、紛争、暴力、人権侵害、迫害から逃れることを余儀なくされた人々の数は、世界で1 億人を超えました。
2020年時点で、世界の10万人あたりの殺人件数は5.6件でした。
私たちはどのような理由があっても、暴力を受けることがあってはいけません。民族、宗教、性別、年齢に関係なく、誰もが平和で安全に暮らせる世界を作っていくことが必要です。

出典:国連広報センター-目標16.平和と公正をすべての人に

世界には、難民などの弱い立場にある人々を守る法律がない国があります。差別や虐待に対しての法律がない国もあります。家庭内での体罰・暴力を法的に禁止している国は依然として少ない状況にあります。
ですから、暴力のない世界を作るために、まずは全ての国で法律を見直すことが求められています。暴力を禁止する法律や制度を整備し、その国で生きる全ての人に司法システムが適用されることが重要です。

また、法律と同じく重要なのが政治です。国の法律を取り決めるのは、その国の政治だからです。政治には、暴力を禁止する法律を整えること、また既にそのような法律がある場合は、維持し続けることや、時代や他国の状況に合わせてアップデートをしていくことが求められます。
政治は国民の安全な生活に深く関わるものであり、公正である必要があります。賄賂や汚職などがないクリーンな政治を行うことが、全ての国で必要です。

私たちにできることとして、紛争に巻き込まれた人々を支援する募金や、紛争地の状況を多くの人に伝え支援を募るボランティアなどがあります。身近な地域でどのような活動があるか調べてみましょう。
また、政治を決めるのは国民ですから、まずは自国の政治に関心を持ちましょう。投票で自分の意見を伝えることは、個人でできる取り組みの第一歩です。

▼目標16について、詳しくはこちら
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」現状と私たちにできること

目標17.パートナーシップで目標を達成しよう

カフェのような場所で、相手と親しげに会話をしているタブレットを持ったスーツの年配男性
アジェンダに記載の目標は「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」です。

パートナーシップとは、英語の「partnership」を片仮名にした言葉です。日本語では「協力する、共同で行う、提携する」と訳されます。グローバルとは、英語の「global」を片仮名にした言葉で「世界的な、地球上の」という意味です。
ですから、グローバル・パートナーシップは「世界規模の協力」という意味になります。

SDGsを達成するためには、先進国も途上国も、全ての国が一丸となって取り組むことが不可欠です。国家間の協力はもちろん、企業と企業、地域と地域、個人と個人など、世界中の様々な立場の人々が手を取りあって進めていく必要があります。

世界規模の協力を行う手段の一つに「ODA(政府開発援助)」があります。ODAとは、開発途上国の発展のために政府が行う資金や技術の協力活動のことです。
2021年、世界のODAの総額は1,776億ドルでした。これは援助国の国民総所得の0.33%であり、目標の0.7%には達していません。
SDGs達成のためには途上国の発展が必要です。援助国(先進国)のODAの増額が求められています。

出典:国連広報センター-目標17.パートナーシップで目標を達成しよう

私たちにできることは、身近な人と協力してSDGsに取り組むことです。一人で取り組むよりも二人、二人よりも三人の方が、より多くの効果が得られるかもしれません。
また、あなたが企業や自治体などの組織に所属している場合は、他の組織と協力してSDGsに取り組めることがないかを考えてみましょう。自分の組織だけではできないことも、誰かと協力することで達成できる可能性があります。

▼目標17について、詳しくはこちら
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の解説と達成への取り組み

169のターゲット

17の目標には、それぞれの目標に対して10程度、合計169のターゲットが設定されています。
「ターゲット」とは、その目標を達成するための、より具体的な目標のことです。

例えば、「目標11.住み続けられるまちづくりを」のターゲットには、「安全な住宅の確保」「公共交通機関の拡大」「文化遺産・自然遺産の保護」「災害による死者を減らす」「公共スペースの提供」「都市部と農村部のつながり」などがあります。

17の目標は壮大で、皆のスローガンのようなものですが、ターゲットはより細かくやるべきことが書かれているのがわかりますね。このように、その目標を達成するためには何が必要か、何をしたら課題が解決できるのかを示したものがターゲットです。

ターゲットそれぞれの原文と和訳、グローバル指標との関係などは、外務省が運営するサイト「JAPAN SDGs Action Platform」で詳しく確認できます。
ターゲットには具体的な数値も書かれているので、ぜひ目を通してみてください。

参考サイト:JAPAN SDGs Action Platform―SDGグローバル指標(SDG Indicators)

SDGsが目指すものは、地球上の『誰一人取り残さない』世界

緑豊かな屋外で植樹活動をしている、手に小さな苗木を持って立っている3人
SDGsの17の目標は、地球を守り、世界をよりよくしていくための行動計画です。SDGsを考える際のポイントや、SDGsが目指す世界の姿、なぜ目標を掲げるのかなどを解説します。
最近よく目にするロゴやバッジについても、概要や利用方法、注意点をご紹介します。

SDGsは「5つのP」の観点から考えられている

2030アジェンダには、冒頭に5つのキーワードが記載されています。5つのキーワードは「People」「Planet」「Prosperity」「Peace」「Partnership」で、「5Ps」と呼ばれています。

日本語に訳すと「人間」「地球」「繁栄(豊かさ)」「平和」「パートナーシップ(協力)」で、「5つのP」と呼ばれています。

出典:国際連合-2030アジェンダ

SDGsの17の目標は、以下のどのキーワードに当てはまるかを考えて分類すると、より簡単に理解できます。

People 人間 全ての貧困と飢餓をなくし、全ての人々が平等に、健康で人間らしく生活できるようにする。
Planet 地球 持続可能な消費と生産、エネルギーの管理、気候変動の対策などを通じて地球を次世代へつないでいく。
Prosperity 繁栄 自然と調和した形で、経済的、社会的、技術的進歩を促し、全ての人々が豊かな生活を送れるようにする。
Peace 平和 持続可能な開発を行うために、恐怖と暴力のない、平和で公正で全ての人が参加できる社会を育む。
Partnership パートナーシップ 世界中の国々で連携し、協力してSDGs達成に取り組む。

「5つのP」の観点から17の目標が策定され、目標達成の具体的な指標として169のターゲットがあるのです。

SDGsが目指すものは『誰一人取り残さない世界』

2030アジェンダのタイトルには、最初に「Transforming our world」と宣言があります。日本語に訳すと、「私たちの世界を変革する」です。
国際連合、そして国連に加盟する全ての国は、世界を変えることを目指してSDGsを採択したのです。

出典:国際連合-2030アジェンダ

では、世界の国々はSDGsによって現在の世界をどのように変えたいのでしょうか。
SDGsが目指すもの、未来の世界のあるべき姿のヒントは、アジェンダの序章部分に記載されています。注目する部分は三か所です。

一か所目は序章2.の「achieving sustainable development in its three dimensions – economic, social and environmental – in a balanced and integrated manner」です。日本語訳は「持続可能な開発を、経済、社会、環境の三つの側面から、バランスがとれ統合された形で達成する」です。

二か所目は序章3.の全文です。序章3.には上記の「5つのP」の説明が記載され、それらを決意する、と書かれています。

三か所目は序章4.の「As we embark on this great collective journey, we pledge that no one will be left behind」です。日本語訳は「この偉大な共同の旅に乗り出すにあたり、私たちは誰も置き去りにしないことを誓う」です。

つまり、世界の国々はSDGsによって、現在の世界を〈誰も置き去りにせず〉〈貧困や格差、気候変動、暴力などの問題を解決して経済発展を促し〉〈持続可能な開発を達成〉できる世界に変革したいのです。

簡単に表すと『誰一人取り残さない世界』を目指しているということです。

17の目標を掲げる理由は、協力してより早く目指す世界を実現するため

17の目標や169のターゲットはなぜ設定されているのでしょうか。その理由は、世界中の人々が協力してより早く現在の世界を変革し、目指す世界を実現するためです。

目標やターゲットがなければ、例えば以下の弊害が発生します。
1.取り組む課題が国によってばらばらになる。
共通の目標がなければ、世界の国々は自国の問題や把握できている課題にしか取り組むことができません。他国と協力することも、共通の目標があるからこそできることです。

2.達成までに時間がかかる。
共通の目標がなければ、優先度を付けてできることから効率的に取り組んでいくことができません。また、具体的なターゲットがあることで、取り組むべき事項が明確になります。

3.達成度が測定できない。
具体的な期日や数値がなければ、取り組みの成果や進捗を共有することができません。共通の目標があれば、達成度の確認、取り組みの改善、今後の課題の検討などを行うことができます。

私たちは一人ひとり違う考えを持っているため、目指す世界のイメージも一人ひとり異なります。世界共通の目標がなければ、私たちは何をしたらいいかわからず、ばらばらに行動してしまいます。

SDGsの17の目標があれば、世界中の人々が同じ方向に向かって取り組んでいくことができるのです。

SDGsを日本で最近よく聞く理由は、認知拡大が急務のため

SDGsは最近急に聞くようになったけどなぜだろう? そう疑問に思われている方もいるでしょう。
SDGsは2015年に全ての国連加盟国で採択された目標のため、国家規模で考えると、日本は以前から取り組みを行っていました。

ですが、日本国内でのSDGsの認知はなかなか広がりませんでした。例えば2019年に行われた「SDGs認知率調査」では、日本は調査対象28か国の中で最下位でした。この調査は28か国の16歳から74歳まで約20,000人を対象に、SDGsについてどの程度知っているかを尋ねたものです。日本では、ほぼ半数の人が「SDGsを聞いたことがない」と回答しました。

出典:世界経済フォーラム-SDGs認知率調査

認知率が低かった理由は、原文が英語であり説明に翻訳が必要なこと、他国と距離が離れているため実感が薄いこと、メディアで取り上げられる機会が少なかったことなどが挙げられます。

SDGsは2030年までに世界中の一人ひとりが取り組むべき目標です。ですから、これらの結果や状況を受けて、日本国内でのSDGs推進はより急がれるようになりました。メディア露出が多くなり、SDGs教育などの啓蒙活動が活発になりました。

▼EARTH NOTE編集部が独自で認知度アンケートを実施しました。詳しくはこちら
【2023年版】SDGsの認知度はどの程度?興味関心と取り組みに関するアンケート調査

SDGsを達成できない場合、地球は豊かさを失う

これまで解説してきた通り、私たちは協力してSDGsの達成に取り組む必要があります。
目標達成に向けて何も取り組まない場合は、地球上で貧困や飢餓に苦しむ人はいなくならないでしょう。地球温暖化はますます進み、海は汚れ、森の破壊は止まりません。立場による格差や不平等は生まれてから死ぬまで続きます。エネルギーは約50年後に枯渇し、途上国は発展しないままです。比較的豊かな国である日本でも、これまで通りの生活を送ることが難しくなります。

新型コロナウイルスの影響もあり、2023年現在、達成までほど遠い目標もあります。2030年までに全ての目標を完璧に達成することは、現実的には難しいと言われています。ですが、その場合は次の時代に向けて、2030年以降に新たな目標を設定していくことになるでしょう。

重要なことは、一人ひとりが身近なところからSDGsに取り組むことです。小さなことでも毎日行動を変えていけば、何もしない状態と比較して、未来の結果は全く違うものになります。

SDGsのロゴは世界共通。ダウンロードはこちら

SDGsには長方形の水色のロゴと、目標ごとに決められた正方形のアイコンがあります。ロゴやアイコンに書かれている言葉は国によって異なりますが、番号と色は世界共通です。
SDGsには目標ごとにテーマカラーがあり、それらの色を使用したカラーホイール(17色の円)のアイコンもあります。カラーホイールも世界共通です。

このようなロゴやアイコンが作られた理由は、SDGsが世界共通の目標だからです。SDGsのロゴがあれば、言葉が通じなくても、世界中の人々に「私はSDGsに取り組んでいます」という意思表示をすることができます。もちろん日本国内の人に対しても、このロゴがあれば一目で意図をわかってもらえるでしょう。

日本語版のロゴは、以下のホームページでダウンロードできます。
国際連合広報センター-SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン

SDGsに取り組む際や、取り組みを外部に伝える際は、ぜひロゴやアイコンを使用してみてください。
ロゴ使用のためのガイドライン(ルール)がありますので、使用する際は必ず確認しましょう。ダウンロードや使用は無料です。

SDGsのバッジも世界共通。購入はこちら

SDGsには服や鞄など身の回りにつけられるバッジもあります。デザインはロゴに使用されているカラーホイール(17色の円)です。

バッジのデザインは世界共通のため、ロゴやアイコン同様、身につけていれば世界中の人々に「私はSDGsに取り組んでいます」という意思表示をすることができます。近年は企業や自治体での使用が増えており、着用を義務化する組織もあります。着用のメリットは、自社の取り組みをアピールできること、会話が広がること、相手に好印象を与えられることなどです。

バッジを着用する際は「SDGsウォッシュ」にならないように注意しましょう。「SDGsウォッシュ」とは、SDGsに取り組んでいるように見せかけて、実際は何も取り組んでいないことを指す言葉です。見せかけだけにならないよう、SDGsに真摯に取り組んでいる人がバッジをつけるようにしましょう。

▼SDGsウォッシュについて、詳しくはこちら
SDGsウォッシュが企業にもたらす影響とは?事例と対策の手順をわかりやすく紹介

SDGsバッジの正規品は、ニューヨークにある国際連合本部のギフトショップで購入することができます。
以下のホームページでも購入できます。
国際連合WEBショップ-SDGsバッジ(二個セット)

日本でもSDGsバッジを製造・販売している企業がありますが、バッジの製造には国連の承認が必要です。承認なしで販売している企業もあるため、購入する際は正規品かどうかをチェックしましょう。見分けるポイントは「国連の承認済」と記載があること、色やデザインが正規品と同じかなどです。

世界と日本のSDGs達成度、その理由と今後の課題

オフィスの会議室でノートを開き、対面でミーティングをしている2人のビジネスマン
SDGsの達成期限である2030年に向けて、世界各国では様々な取り組みが進められています。
国によって目標の達成度は異なります。自然の状況や保有エネルギー、政治の事情や文化が異なるため、達成のための方法や課題、優先度も異なります。

この章では、SDSN(Sustainable Development Solutions Network)が2022年6月に発表したSDGs達成度ランキングをもとに、世界各国の状況と日本の状況を解説します。
SDSN-SDGs達成度ランキング

世界各国のSDGs達成度を確認する方法

SDSNのランキングサイトでは、国連加盟国193か国のSDGs達成度を確認することが可能です。
SDSN-国ごとのプロファイル

目標ごとに複数のチェック指標があり、指標ごとの達成度が数値と色で表示されます。過去数年間の推移をグラフで確認できますので、気になる国をぜひ検索してください。

パソコンで閲覧する場合は右クリックで「日本語に翻訳」、スマートフォンの場合はブラウザメニューの「翻訳」で日本語に変換することができます。

達成度ランキング最上位の北欧

北欧の国々は世界の中でも達成度が高い地域で、SDGs達成度ランキングでは毎年上位を占めています。
2022年のランキングでは、1位から4位にフィンランド、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーが並びました。

ランキング1位のフィンランドの分析結果を見てみると、目標のほとんどが達成を維持、もしくは改善中になっています。
出典:SDSN-フィンランドのプロファイル(概要)

フィンランドは国土の70%以上が森林という自然豊かな国です。このような自然環境のほか、福祉制度の充実や、脱炭素の取り組みが評価されています。国民一人ひとりが自然を大切にし、環境保全に取り組む意識を持っているのです。

環境に優しいヨーロッパ

北欧に次いで順位が高い地域がヨーロッパです。ランキングの5位以降にはオーストリア、ドイツ、フランス、スイス、アイルランドが並びます。

ランキング6位のドイツの分析結果を見てみると、目標のうち9項目で「課題は残る(達成が近い)」となっています。
「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」の二つが「大きな課題が残っている」状態ですが、状況は「改善中」となっています。達成に向けた取り組みの姿勢が評価されています。
出典:SDSN-ドイツのプロファイル(概要)

気候保護法を整備したドイツを始め、ヨーロッパは環境保全に積極的に取り組んでいる地域です。また、歴史的に人権尊重が根付いている地域でもあります。

肥満率や所得格差に課題が残るアメリカ

北米の国々では、カナダが29位、アメリカは41位です。
国連本部がニューヨークに位置するアメリカの順位は、それほど高くありません。

アメリカの分析結果を見てみると、目標のうち6項目が「重大な課題が残っている」、7項目が「「大きな課題が残っている」となっています。達成できている項目はありません。
出典:SDSN-アメリカのプロファイル(概要)

具体的な指標を見てみると「肥満の有病率」「所得格差を示す『ジニ係数』」「リサイクルされていない一般廃棄物」「化石燃料の燃焼とセメント生産によるCO₂排出量」「殺人」などで「大きな課題が残っている」とされています。
17の目標を全て達成するまでの道のりは長いようです。
出典:SDSN-アメリカのプロファイル(指標)

水力発電で高評価、労働環境と平和が課題のブラジル

中南米の国々では、チリ(28位)、キューバ(40位)、ブラジル(53位)、アルゼンチン(54位)、メキシコ(74位)など、達成度に差があるようです。

53位のブラジルを見てみましょう。分析結果では、目標7.エネルギーの項目で「SDG達成」となっています。また4つの項目で、状態が「SDG達成が軌道に乗っているか、維持している」となっています。「大きな課題が残っている」項目は5つです。
出典:SDSN-ブラジルのプロファイル(概要)

目標7で達成している理由は、消費エネルギー全体に占める再生可能エネルギーの割合が極めて高いためです。
ブラジルにはイグアスの滝やアマゾン川などで知られる豊富な河川があるため、それを利用した水力発電が盛んなのです。水力だけではなく、風力などの再生可能エネルギーを導入している点にも注目です。
出典:国際環境経済研究所-ブラジルと再生可能エネルギー

具体的な指標を見てみると、「WHOが推奨する2種類のワクチンを受けて生存している乳児」「労働の基本的権利が事実上保障されている」「失業率」「所得格差を示す『ジニ係数』」「自分が住んでいる都市や地域で夜に一人で歩いても安全だと感じる人口」「汚職認識指数」などで「大きな課題が残っている」とされています。
所得格差や、それによる労働環境、人権、平和と公正の面で大きな課題を抱えています。
出典:SDSN-ブラジルのプロファイル(指標)

満遍なく取り組んでいるオーストラリア

オセアニアの国々も、ニュージーランド(26位)、オーストラリア(38位)、フィジー(52位)、パプアニューギニア(144位)など、達成度の差が大きくなっています。

38位のオーストラリアを見てみましょう。分析結果では、「SDG達成」となっている項目は一つもありません。しかし、6項目で「課題は残る(達成が近い)」、7項目で「重大な課題が残っている」となっています。満遍なく取り組んでいる状態と言えるでしょう。
出典:SDSN-オーストラリアのプロファイル(概要)

具体的な指標を見てみると、「SDG達成」の指標は「利用可能な淡水資源の割合」「スラム街に住む都市人口の割合」「政府の医療と教育への支出」などです。「大きな課題が残っている」とされる指標は「一次エネルギー総供給量に占める再生可能エネルギーの割合」「収入によるインターネットアクセスの格差」「政府開発援助を含む国際的な譲許的公的金融」などです。
出典:SDSN-オーストラリアのプロファイル(指標)

多くの困難な問題を抱えるサハラ以南のアフリカ

世界で最もSDGsの達成度が低い地域が、サハラ以南のアフリカです。
サハラ以南アフリカの国々とは、アンゴラ(154位)、スーダン(159位)、ソマリア(160位)、チャド(161位)、中央アフリカ(162位)、南スーダン(163位)などです。

アフリカに次いで達成度が低い南アジア

サハラ以南のアフリカに次いで達成度が低い地域が南アジアです。
南アジアの国々とは、スリランカ(76位)、ネパール(98位)、バングラデシュ(104位)、インド(121位)、パキスタン(125位)などです。

日本の順位は19位。教育、技術、平和で達成度が高い

私たちが暮らす日本のランキングは19位です。ヨーロッパの国々に混じって比較的高い順位になっています。

分析結果を見てみると、「SDG達成」となっている項目が3つあります。その3つとは、目標4.質の高い教育、9.技術革新、16.平和と公正です。確かに日本は義務教育が行き届いており、産業と技術革新の基盤があり、世界と比較すると平和な国です。
「大きな課題が残っている」とされる項目は6つです。その6つとは、目標5.ジェンダー平等、12.つくる責任つかう責任、13.気候変動対策、14.海の豊かさ、15.陸の豊かさ、17.パートナーシップです。
出典:SDSN-日本のプロファイル(概要)

具体的に「大きな課題が残っている」とされる指標は、「国会で女性が占める議席」「男女間の賃金格差」「電子廃棄物」「プラスチック廃棄物の輸出」「化石燃料の燃焼などによるCO₂排出量」「輸入に伴うCO₂排出量」「海洋健康指数」「乱獲などにより捕獲された魚」「絶滅危惧種の生存指数」「輸入品における生物多様性の脅威」「政府開発援助を含む国際的な譲許的公的金融」「財務秘密スコア」などです。
思い当たる部分もあるのではないでしょうか。
ほかにも様々な指標が評価されていますので、達成できている部分とできていない部分について、ぜひ調べてみてくださいね。
出典:SDSN-日本のプロファイル(指標別)

覚えておきたい関連用語

世界の課題やその達成方法について考える際、知っておきたい関連用語があります。特に主要なものをご紹介します。

自然環境全般の問題を指す「環境問題」

環境問題とは、人間の活動によって生じる自然環境の損失や変化に関連する問題のことです。例えば、大気汚染、水質汚染、土壌汚染、地球温暖化、森林破壊、生物多様性の喪失、廃棄物の適切な処理などが挙げられます。
環境問題は多岐にわたり、それぞれの問題は複雑に関係しあっています。私たちが暮らす地球の未来を守っていくために、一人ひとりが環境問題の解決に向けて取り組んでいくことが大切です。

▼環境問題について、詳しくはこちら
環境問題の現状と原因|6つの種類と発生理由、私たちにできること

廃棄物を削減し様々なものを循環させる「循環型社会」

循環型社会は、リソースの有効利用と廃棄物の削減を目指す社会システムの一つです。リソースを無駄なく使用し、廃棄物を最小限に抑え、可能な限りリサイクルやリユースを行い『持続可能な社会』を目指します。
これまでの社会は使い捨て、つまり一方通行型の生産・消費でしたが、これからは資源など、様々なものが循環する社会へと移行していかなければなりません。
具体的な例としては、プラスチック製品をリサイクルして新たな製品を生み出す取り組みや、食品廃棄物を堆肥化して農業に再利用するといった取り組みがあります。物の購入・所有ではなく共有(シェア)を促進し、物の過剰生産や無駄を減らす「シェアリング・エコノミー」も覚えておきましょう。

▼循環型社会について、詳しくはこちら
循環型社会とは?必要な理由や実現のためにできる取り組みをわかりやすく解説

倫理的な行動や選択を指す「エシカル」

エシカルとは、「倫理的な価値観に基づいた行動や選択」を指す言葉です。SDGsの問題を考える際、ビジネスや消費活動の文脈として、環境保全、人権尊重、公正な労働条件、動物の福祉といった倫理的な観点を重視した行動や選択を表します。
「エシカル消費」は消費者が製品を購入する際に、その製品が環境に配慮した方法で製造されているか、労働者の権利が尊重されているか、公正取引が行われているかなどを考慮に入れて購入することです。
「エシカルなビジネス」は、企業がその業務を遂行する際に、社会的な責任や持続可能性を重視し、倫理的な価値観を尊重するビジネスの運営を指します。例えば従業員への公正な待遇、製品の環境負荷の軽減、サプライチェーン全体での人権尊重などが含まれます。

▼エシカルについて、詳しくはこちら
エシカルとは?SDGsとの関係から今すぐ実践できるヒントまで、分かりやすく徹底解説!

環境・社会・ガバナンスで企業を評価する「ESG」

ESGとは、”Environmental, Social, Governance”の頭文字を取ったもので、企業の持続可能性や社会的責任を評価する際の重要な指標です。
「E」はEnvironmental(環境)を指し、企業が環境保護にどのように貢献しているか、また自身の事業が環境にどのような影響を及ぼしているかを評価します。これには、CO2排出量の削減、リサイクルの推進、自然資源の保護などが含まれます。
「S」はSocial(社会)で、企業が労働者の権利を保護し、多様性を尊重し、地域社会への貢献を果たしているかを評価します。ここには、公正な雇用機会、労働安全衛生、人権尊重、コミュニティへの投資などが評価の対象となります。
「G」はGovernance(ガバナンス)を指し、企業が公正で透明な経営を行っているか、またリスク管理や法令遵守にどのように取り組んでいるかを評価します。これには、取締役会の機能、利害関係者への開示、汚職防止策などが含まれます。
「ESG投資」とは、これらの指標を考慮に入れて行われ、企業が社会的および環境的な課題をどのように取り組んでいるかを重視した投資のことです。ESGの視点から評価することで、企業の長期的な価値を見極め、持続可能な社会の実現を促すことにつながります。

▼ESGについて、詳しくはこちら
ESGとは?SDGsとの違いや関係性を解説

SDGsに関する用語について、EARTH NOTE編集部が独自で認知度アンケート調査を実施しました。「エシカル」「カーボンニュートラル」「海洋プラスチック」など10のキーワードについてどの程度知っているか、全国の男女500人に質問しています。
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【2023最新】SDGs関連用語の認知度アンケート調査レポート

SDGs達成に向けて、私たちにできること

地球環境や持続可能性に関するアイコンが周囲に配置された緑の背景に、地球のホログラムを支えている両手
SDGsの達成に向けて、自分にできることは何だろう? そう思われた方に、私たちにできる取り組みをご紹介します。
国や自治体、企業や学校、家庭など、それぞれの場所や立場でできることは異なります。SDGsは大きな目標のため、誰かが頑張ってくれるのを待つだけでは達成できません。大切なのは、一人ひとりが「自分ごと」として考え、行動を起こすことです。

国家ができること

SDGs達成に向けて国家ができることとして、例えば以下が挙げられます。

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国としての達成目標の設定 自国の状況に合った目標を定め、それを国民に伝えましょう。
法制度の整備 SDGs達成を促す法律や規制を整え、達成を阻害する法律の撤廃などを行います。また、国として取り組むためには予算配分も必要です。
教育と啓発 国民がSDGsに関する知識や意識を持つよう、社会や学校に働きかけましょう。
技術革新の支援 環境に配慮した産業政策を推進し、研究者や企業がSDGsを達成するための技術開発を円滑に行えるよう、研究を支援します。
環境の保全 自然保護区の設定や緑地整備など、環境保全・生物多様性保護に関する取り組みを実施しましょう。
カーボンニュートラルの推進 再生可能エネルギーの普及促進やエネルギー効率化を進め、温室効果ガスの削減に努めましょう。
国際協力や関連機関との協力 SDGsは一国だけでは達成できません。他国と連携し、世界全体で取り組みましょう。また、国際機関、地方自治体、民間企業等と協力し、それぞれ役割を持って実践していくとよいでしょう。

自治体ができること

自治体の取り組みには、国や企業ではできない、その地域ならではのことがあります。

項目 詳細
その地域の達成計画の策定 地域ごとに、環境や住民の状況や解決すべき課題は異なります。まずはその地域のSDGs達成状況を確認し、特性や事情に合わせて実現可能な計画を立てましょう。
地域の環境教育・啓発活動 住民にSDGsの必要性や達成に向けた取り組みについて説明し、知識や意識を向上させるための取り組みを推進しましょう。
公共サービスの見直し 公共交通機関や公共施設等の自治体が運営するサービスについて、二酸化炭素の排出やゴミ処理方法、老朽化や住民の使いやすさなどを確認してみましょう。
住民参加型のまちづくり 地域の民間企業、市民団体、学校等と連携し、SDGsの共同プロジェクトやイベントを実施し、サステナブルなまちづくり・地域活性化に取り組みましょう。
地域文化・環境資源の保護 伝統産業や特産品を保護し、地産できる体制を維持しましょう。また、自然環境や歴史的建造物の価値を広め、次世代につなげていけるように保護しましょう。
農業・酪農畜産・林業・漁業等の一次産業の支援 一次産業の技術革新を促進し、生産効率を高めることで、地域の食料自給率を向上させ、地産地消を推進しましょう。
地域における災害リスクの軽減 地域固有の災害リスクに対処するため、防災計画の策定やインフラ整備、住民への情報提供を行いましょう。

企業ができること

SDGs達成のためには、企業の取り組みが重要です。企業ができることも多岐にわたるため、自分の会社でできることは何かを考えてみましょう。

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企業理念にSDGsを組み込む 企業ビジョンや戦略にSDGs達成目標を取り入れ、経営方針として打ち出しましょう。また、取り組みや達成度を外部に公開しましょう。
環境に優しい製品開発 環境に優しい商品やサービスを開発し、消費者に提供して広めていきましょう。環境に配慮した新技術の開発・研究に投資し、技術革新に貢献することも重要な取り組みです。
サプライチェーンに気を付ける サプライチェーンとは調達から消費者に届くまでの一連の流れのことです。製造・販売などを含めた全体の流れについて、労働条件、環境への配慮など、持続可能な仕組みになっているかチェックしましょう。
エネルギー効率の向上 節電を心掛け、余分な電力を消費していないか確認してみましょう。太陽光発電、水力発電など、再生可能エネルギーの利用を促進することも重要な取り組みです。
寄付や社会貢献の活動 貧困や飢餓に苦しむ地域の人々や支援サービスに寄付を行いましょう。地域でのゴミ拾いなど、身近な場所での貢献活動も持続可能な社会の実現につながります。
従業員の働き方改革 従業員の健康やワーク・ライフ・バランスに気を配り、柔軟な働き方ができる仕組みを取り入れていきましょう。人権、労働基準、ハラスメントなど、労働環境を定期的にチェックすることも重要です。
SDGsの知識を身につける 17の目標について、自社で達成できている部分、できていない部分を考えてみましょう。従業員全員がSDGsの知識を身につけ、会社全体で達成に向けて取り組んでいきましょう。

EARTH NOTEでは、SDGs達成に取り組む企業に施策の詳細や実践のコツ、効果などをインタビューしています。ぜひご覧ください。
EARTH NOTE-インタビュー一覧

学校でできること

SDGs達成のため、学校でできることをご紹介します。

項目 詳細
教育カリキュラムにESDを組み込む SDGs達成のために欠かせないのが「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)です。生徒も先生も知識を身につけ、人権や環境保全、エネルギー問題など、学校全体で考えていきましょう。
SDGsについて議論する時間を設ける クラブ活動や学校行事などを例に、達成できていることや改善点を授業で討論してみましょう。身近な行動について意見交換を行うことで、理解が深まり、新たなアイデアにつながります。
学校給食を通じた食育活動 給食では地元の食材を使い、地産地消に取り組みましょう。栄養と健康、飢餓の問題、食べ残しによるゴミ問題など、食とSDGsの関わりについて話し合いましょう。
自由研究のテーマとして扱う 17の目標には、自分の町での身近な問題も、地球の反対側の遠い場所での問題も数多くあります。興味を持った問題について、ぜひ調べてみてくださいね。

文部科学省-持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)によると、文部科学省はESDを「学習指導要領の基盤となる理念である」としています。
ESDについてより詳しく知りたい方はESDとは?持続可能な社会に向けた教育法とその実践例を分かりやすく解説をご確認ください。

また、大学の場合、もしくはあなたが大学生の場合は、以下のような取り組みも可能です。

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論文のテーマとして扱う 専門分野での教育においてもSDGsの視点を取り入れ、学ぶ機会を設けましょう。研究テーマとして環境、人権、生産性やジェンダー平等などSDGsに関する問題を扱うことも取り組みの一つです。
新技術開発への投資 持続可能な社会の実現には技術革新が不可欠です。新技術の開発・研究への支援を積極的に行いましょう。
国際協力や留学プログラムの推進 留学生の受け入れや海外の大学との連携を行いましょう。国際的な視点を持ち、他国との協力関係を築くことで、SDGsの意識や理解がより前進するでしょう。

家庭でできること

家庭でもSDGs達成に向けて取り組めることがたくさんあります。できそうなところから、まずは気軽にチャレンジしてみましょう。

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食品ロスを減らす 家庭ごみの排出量を減らすため、まずは食品の廃棄をゼロにしましょう。適切な量を購入すること、消費期限を意識して食べることが重要です。
家事・育児の分担 家事や育児が誰か一人の負担になっていないか、家庭内で見直してみましょう。持続可能な家庭の実現のため、役割分担を平等にしましょう。
節電に取り組む 電気をこまめに止める、省エネ家電を選ぶ、LED電球に換えるなど、節電を心がけましょう。太陽光発電などを導入することも取り組みの一つになります。
節水に取り組む 風呂でシャワーをこまめに止める、料理中に水を流しっぱなしにしないなど、節水を心がけましょう。ジュースの飲み残しをしないなど、水の汚染を防ぐことも大切です。
地産地消を心がける 地元産の食品・地元企業の商品の購入や、身近なサービスの利用を接触的に行いましょう。家庭菜園に取り組むことも地産地消になります。
プラスチックごみの削減 リユース(繰り返し使う)・リデュース(ごみを出さない、入手しない)・リサイクル(再び資源として利用する)を行い、プラスチックごみの削減に取り組みましょう。
SDGsについて会話する 家庭でできるSDGsについて家族と話してみましょう。ここで重要なのは、年齢や性別に関わらず平等に対話を行うことです。公正な意思決定、対等な立場での対話を心がけましょう。

私たち一人ひとりにできること

上記でお伝えしてきた通り、SDGs達成に向けてできることは非常に幅広くあります。その根底で欠かせないのが、「一人ひとりがSDGsを意識すること」です。
自分の考え方を大きく変えるのは難しいですが、SDGsは少しの気づきで取り組んでいくことが可能です。以下に日ごろからできることをご紹介します。

項目 詳細
積極的に知識を得る まずは17の目標やその背景、現状の問題について知識を身につけましょう。私たちを取り巻く環境は日々変化していますから、最新の情報・ニュースをキャッチすることも大切です。
責任感を持つ 自分の行動が地球の未来に影響を与えるという意識を持ち、責任を持って取り組んでいきましょう。
実際に行動する 知識を身につけるだけでなく、実際に行動を起こすことが必要です。この記事では、取り組めることをたくさん紹介してきました。何か一つでも、今日から始めてみましょう。
協力する 周りの人や地域と連携し、協力して取り組むと、より大きな成果につながります。この記事を読み、いいなと思った取り組みは、ぜひ隣にいる人に伝えてみてくださいね。
柔軟性と創造性を持つ 現状や取り組むべき課題は日々変化していきます。前提や環境が変化しても、柔軟に対応し、新しいアイデアや方法を考えて取り組んでいきましょう。
継続する SDGsは大きな目標のため、すぐに成果が出るものではありません。日ごろからコツコツ取り組み、サステナブルな習慣を継続することが大切です。飽きて止めてしまうことがないように工夫しましょう。
モチベーションを保つ 成果が目に見えにくいため、自分の行動に自信がなくなることもあるでしょう。その場合は、SDGsはどうして必要なのか、何のために行うのかという基本に戻り、取り組む意義を再確認しましょう。

EARTH NOTEでは、身近なところから手軽に実践できるSDGsの取り組みをご紹介しています。ぜひご覧ください。
EARTH NOTE-今すぐできるSDGs

Q&A SDGs よくある質問

SDGsについての疑問は多いと思います。ここでは、特によくある質問についてお答えします。

Q1.SDGs達成に向けて取り組まないと世界はどうなりますか?

A1.SDGs達成に向けて何も取り組まなかった場合、世界では例えばエネルギーの枯渇、格差の拡大、気候変動の悪化、技術革新の遅れ、環境負荷の増大、生態系の破綻などが起こります。地球は現在の豊かな姿を失い、私たちはよりよい生活ができなくなるでしょう。
2030年までに全ての目標を完璧に達成することは難しいでしょう。ですが、その場合は次の時代に向けて、新たな目標を制定していくことになります。重要なことは、国際社会が協力し、持続可能な開発と環境保護に継続して取り組んでいくことです。

Q2.SDGsに自分一人で取り組む意味はありますか?

A2.はい、意味はあります。SDGsは社会全体で取り組んでいく目標ですが、その社会は一人ひとりの個人が集まってできています。一人ひとりが意識して行動を起こすことで、その積み重ねが大きな力となり、世界の未来につながっていくのです。
また、あなたがSDGsに取り組むと、周囲の人々にも影響を与えるでしょう。その人々がSDGsを意識し、さらにその周りの人々が行動を変えていくことで、より多くの人々に取り組みが伝わり、達成が近づきます。

SDGs達成のために、できることから始めよう

この記事では、SDGsの概要、17の目標の詳細、世界と日本の状況や私たちにできることをご紹介しました。
このように、私たちがどのような場所にいるかで達成度は異なります。どのような場所にいるかで、できることも異なります。
SDGs達成のために必要なことは、一人ひとりがそれぞれの場所で、できることから取り組むことです。

ぜひあなたも身近なところから始めてみましょう。
一人ひとりの小さな一歩が、地球の未来を大きく変えていきます。

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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