SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の現状と世界と日本の取り組みを解説

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の現状と世界と日本の取り組みを解説

2023.05.12(最終更新日:2024.06.26)
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「ジェンダー」という用語が日本でも浸透してきて、男女平等という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、ジェンダーという用語は知っていても、内容を説明できない人はまだまだいるのではないでしょうか。

「ジェンダー平等について知りたい」「平等な社会をつくるために何ができるのか知りたい」という人へ向けてSDGsの目標にもなっている「ジェンダー平等」の概要と、世界と日本の現状、各国の目標に向けた取り組みを紹介します。

目次

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の概要

SDG目標5は「ジェンダーの平等を実現しよう」というもので、この目標は男女が平等な権利と機会を持つことを大切にしています。具体的な取り組みとしては、女性や女の子が活躍できるように支援することや、家庭やパートナーシップでの平等を促進することがあげられます。SDGs目標5のポイントは下記の2点です。

  1. すべての女性や女の子が能力を最大限に発揮できる社会をつくる
  2. すべての人が性別にかかわらず平等に機会が与られる社会をつくる

引用元:公益財団法人日本ユニセフ協会

この目標を達成するためには、政府や国際機関、学校などが協力して取り組むことが重要です。法律や政策の改革、教育の改善、女性の経済的な自立の促進など国や公的機関の協力が不可欠といえるでしょう。

ジェンダー平等の実現は、貧困の減少や女性の教育の向上など他の目標とも関係しています。2030年までにこの目標を達成し、全ての人が平等に尊重される社会を築くことを目指しているのです。

ジェンダーとは無意識の先入観

ジェンダーという単語は聞いたことはあっても意味まで説明できる人はまだ少ないかもしれません。
ジェンダーとは、男性や女性というイメージから無意識に作られる先入観です。たとえば、男の子や女の子、お父さんやお母さんのような性別に関連してイメージされる呼び方やそれに付随した社会的な役割があげられます。

それだけでなくジェンダーには、社会や文化が作り出す「男らしさ」と「女らしさ」のイメージや役割も含まれます。たとえば男性は強くたくましく、女性は優しく可愛らしくというようなイメージを持つことです。

しかし、実際の人はそれぞれ個性や好みがあり、ひとつのイメージに当てはまらないこともあります。

ジェンダーの重要なポイントは、先入観にとらわれず誰もが自分らしく生きる権利があるということです。男女という性別にかかわらず、自分が好きなことや興味があることを追求できることです。
例えば、男の子がバレエをやりたいと思ったり女の子が野球を好きになったりすることは決して不思議なことや悪いことではありません。

ジェンダーの平等を大切にすることは、誰もが平等に扱われ、自分の夢や目標を追い求めることができる社会を作ることを意味します。男の子も女の子も、自分自身の選択に基づいて人生を楽しめるのです。

しかし、世界では女性であるというだけで教育を満足に受けられなかったり自由に生きる権利が許されなかったりすることがあります。子どものうちに結婚させられ、大人になっても自由に働けず、ときには男性から暴力を受ける女性もいるのです。

このような現状を解決するために、男性、女性という違いで差別されることのない社会をつくる必要があります。だからこそ、ジェンダーの意味を理解して誰もが互いに尊重しながら、自由に選択できる環境を作ることが大切なのです。

ジェンダー平等が実現しないと多くの差別や不平等が消えない

SDGs5のジェンダー平等が実現しない場合、さまざまなリスクが考えられます。例えば、以下のようなものがあります。

  • 女性の政治参画や経済的な権利が阻害されることで、社会の発展や持続可能性が損なわれる。
  • 女性や女児に対する暴力や差別が続くことで、人権や尊厳が侵害される。
  • 女性の教育や健康へのアクセスが制限されることで、貧困や不平等が拡大する。

SDGsはすべての貧困や飢餓、人権と福祉、経済とエネルギー問題、環境破壊などの課題を世界中の人たちで解決し、人類と地球が豊かに発展するための目標です。

もしも、ジェンダー平等が解決しないと女性の権利や経済の参加、健康上の安全などが満たされず、SDGs目標1や目標3、目標10など他の目標も達成できません。

すべてのSDGsの目標はつながっています。誰一人取り残されない世界をつくるためには、女性の権利や健康、社会参加などを守らないといけないのです。

引用元:Un Women日本事務所

LGBTQという新しい概念

男性、女性とは違った新しい性の考え方として、身体的な性別だけでは上手く説明できない人たちを含めたLGBTQという概念があります。

LGBTQとは、身体的な男女の違いだけでなく、心と体とで性別が一致していない人や恋愛対象が異性以外の人たちのことを指します。具体的には、同性同士に魅力や愛情を感じる人々(LGB)や、生まれた性別と自分の性への自覚が一致しない人々(トランスジェンダー)を含みます。

  • レズビアン(L):体が女性の同性愛者
  • ゲイ(G):体が男性の同性愛者
  • バイセクシャル(B):男性も女性も恋愛対象
  • トランスジェンダー(T):体の性別と心の性別が違う人
  • クエスチョニング(Q):自分の性別を決めていない人、またはわからない人
  • クィア:上記に該当しない性的少数者の総称

LGBは、男性同士や女性同士が互いに魅力を感じることがあります。たとえば、男性が男性に、女性が女性に惹かれることがあります。

トランスジェンダーは、自分が生まれたときに与えられた性別とは違う性への自覚を持っています。たとえば、生まれは男性だけど自分は女性と感じる場合や、その逆の場合です。

LGBTQの人々は、しばしば差別や偏見に直面することがあります。だからこそ、私たちは互いを尊重し、差別をなくすために協力することが大切です。
LGBTQの人々は、多様性を認める社会で自分らしく生きる権利を持っていて、偏見なく尊重されるべき人たちです。かれらが差別なく平等に生きるためにもSDGs目標5が必要なのです。

SDGs目標5は6つのターゲットと3つの実現手段

SDGs目標5には達成するために必要とされる6つのターゲットと実現するための3つの手段があります。そして各ターゲットには進捗状況を図るために設定されているグローバル指標があり、目標の達成状況や他国との比較ができるようになっています。

グローバル指標と外務省が定義している具体的な評価、測定するための観点を解説します。

5.1あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する

家庭から仕事まで、女性に対するあらゆる差別をなくすための目標です。そして、達成するためのグローバル指標は以下になります。

5.1.1性別に基づく平等と差別撤廃を促進、実施及びモニターするための法律の枠組みが制定されているかどうか

さらに、日本ではこのグローバル目標は4つの観点があります。

  • 包括的な法的枠組みと公的生活
  • 女性に対する暴力
  • 雇用と経済的利益
  • 結婚と家族

上記の項目に対して、女性を保護する法律や企業などに義務付けられているかで目標に近づいているか評価、測定して差別がなくなるように努めているのです。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.2人身売買や性的、その他の種類の搾取など、全ての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する

このターゲットのグローバル指標は2つあります。

  • 5.2.1これまでにパートナーを得た15歳以上の女性や少女のなかで、過去12か月以内に、元または現在のパートナーから身体的、性的、精神的暴力を受けた者の割合。暴力の形態や年齢別にわけたもの
  • 5.2.2過去12か月以内に、他人から性的暴力を受けた15歳以上の女性や少女の割合。年齢と発生場所別に記録したもの

評価するための具体的な観点は、以下の2点です。

  • 過去1年以内に配偶者からの身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要の被害経験のある女性の割合
  • 無理やり性行為をされた被害経験があり、加害者が配偶者・元配偶者以外の女性の割合

暴力には3つの種類があげられていて、殴るといった体を痛めつける身体的暴力と怒鳴ったり無視したりして心を傷つける精神的暴力、そして同意のない性的行為や中絶の強要などの性的暴力があります。

女性の仕事を制限したり生活費を与えなかったりする行為は経済的暴力と呼ばれています。これらの社会全体の暴力を減らすためにSDGs目標5が掲げられています。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.3未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する

グローバル指標としてあげられているのは以下の2点となります

  • 5.3.1 15歳未満または18歳未満で結婚又は婚約者や許婚がいる20~24歳の女性の割合
  • 5.3.2年齢別の女性性器切除を受けた15歳~49歳の少女や女性の割合

具体的な評価は「人口動態調査が実施された年で妻の年齢が24歳以下の夫婦の数」で評価、測定しています。

日本では珍しい用語ですが、世界では児童婚が問題視されています。児童婚とは18歳未満の未成年の女性と結婚することです。

世界的には減少傾向ではありますが、アフリカや南アジアではまだ根深い問題となっています。

5.3.2にある女性器切除も問題です。女性器切除とは、医療目的ではない理由で性器の一部を切り取ったり縫合したりすることです。世界には様々な文化がありますが、このように誰の目から見ても有害な行為は撤廃していく方向に動く必要があります。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.4公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する

グローバル指標は「5.4.1家事などのお金が発生しない労働時間の割合を性別・年齢・場所でまとめたもの」から評価、測定しています。

国や地域によって違いはありますが、家庭や社会で女性がやっている育児や介護、家事などの仕事は大切です。しかし、こうした仕事はお金にならず、目に見えにくいので評価されにくい環境にあります。

よって、政府は公共サービスやインフラ、社会保障などを整備して、家事などの目に見えない女性の負担を減らそうと考えています。

家族や夫婦の中でも平等に仕事を分け合い、女性が多く担っているお金が発生しない育児や家事などの働きが社会的に評価されることで、女性が経済的にも社会的にも平等な立場で生きられる環境をつくっています。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.5政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する

グローバル指標は「5.5.1国会や地方の議員で女性が占める議席の割合」「5.5.2管理職に占める女性の割合」の2つ、具体的な観点は以下の3点です。

  • 国会で女性が占める議席の割合
  • 地方の議員で女性が占める議席の割合
  • 管理的職業従事者で占める女性職員の割合

管理的職業従事者とは、上司やプロジェクトのリーダーまたはマネージャー、学校の校長などを指し、国や地方の公務員も含まれています。公的な場や社会的な場でも男性も女性もリーダーになれる環境を整えることが目的です。

このターゲットは、政治、経済、公共分野でのあらゆる場面で女性が生き生きと活躍して、政治などの社会で意見を言えるようにすることが狙いです。

これは、女性が政治や経済、公共の分野で能力を発揮できる環境を整えることで、女性が社会的にも平等な立場で生きられるようにするための目標です。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.6国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、並びにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する

グローバル指標は以下の2点です。

  • 5.6.1性的関係や避妊などを含むリプロダクティブヘルスケア(妊娠・出産に関する基本的な人権)について、意思決定ができる15歳~49歳の女性の割合
  • 5.6.2 15歳以上の女性及び男性に対し、性の健康や妊娠などへのサポートや教育する機会や権利が法律で保障されている国の数

このターゲットは、ICPDなどの国際的な会議や発表されたデータに基づいて妊娠や出産といった女性の健康と権利を与えることが狙いです。

たとえば、すべての女性に避妊や性感染症の予防や安全な中絶、安全な出産ができるサービスまたは福祉を提供できるようにします。さらに、女性器切除や性暴力から女性を守る体制や環境づくりも整えて女性の健康と人権を守ります。

これは、女性が性と生殖に関する健康や権利について十分な知識を持ち、自分自身で選択できるようにするためです。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.a女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する

グローバル指標は以下の観点で測定、評価しています。

  • 5.a.1 (a)性別でまとめた農地への所有権又は保障された権利を有する総農業人口の割合
  • 5.a.1 (b)農地所有者又は権利者における女性の割合(本人で所有している場合と家族や共同体から借りている場合など個別で測定する)
  • 5.a.2土地の所有や管理に関して女性が男性と同様に権利を持てると法律で守られている国の割合

このターゲットは、簡潔にまとめると女性があらゆる資産の権利を主張できるようにすることです。

女性は男性と変わらず、財産を所持し自由に使う権利があります。しかし、国や地域によっては土地の売買や相続、銀行をはじめとする金融サービスの利用で女性が男性と同じ扱いが受けられないこともあるのです。

これは女性が経済的に自立し、社会的にも平等な立場で生きられるようにするために必要な目標として掲げられています。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

5.b女性の能力強化促進のため、ICT(情報通信技術)をはじめとする実現技術の活用を強化する

グローバル指標は「5.b.1性別ごとの携帯電話を所有する個人の割合」と定義しています。より具体的には「携帯電話の男女別の保有割合」です。

このターゲットは、女性が携帯電話(またはスマートフォン)やインターネットなどの新しい技術を活用して、より高いパフォーマンスを発揮できる取り組みを目指しています。

例えば、テレワークやリモートワークを導入した柔軟な働き方で、女性の結婚、出産、介護などによる退職を減らすことで、女性の雇用を継続することが可能です。

このように、5GやWi-Fiなどの最新の技術を活用して女性がより活躍できる社会にすることで、性別で差が生まれない世の中を作ります。この目標は、女性が平等な社会で生きられるようにするために重要です。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)
参照元:職場における女性の能力強化促進とその発信

5.cジェンダー平等の促進、並びに全ての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する

グローバル指標は「5.c.1ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントのための公的資金を監視、配分するシステムを有する国の割合」です。

この指標は、公的財務管理周期を通じて「ジェンダー平等及び女性の能力強化」のための予算配分の変化を把握し、それらを公表している国の割合として定義され、以下の3つの基準に沿って判断されます。

  • ジェンダー平等と女性の能力強化のための配分は公表されているか
  • 公的財務管理制度では、どの程度ジェンダー関連又はジェンダー対応の目標を促進しているか
  • 政府プログラム及びその財源配分に、以下の公的支出のどの側面が反映されているか

上記3つの基準を満たす場合は「完全に要件を満たす」として2、1つか2つ基準を満たす場合は「要件に近づいている」として1、1つも基準を満たさない場合は「要件を満たさない」として0と評価します。

このターゲットは、女性が平等な社会で生きられるようにするためにジェンダー平等を促進し、全ての女性及び女子があらゆるレベルで能力強化ができるような適正な政策や拘束力のある法律や規則が導入・強化されることを目指しています。
引用元:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)

SDGs目標5の世界の現状と課題

SDGs目標5へ向けて、世界の現状と解決すべき課題はおもに6つあります。

  1. 人身取引や女性・女児の性的搾取
  2. 女性器切除(FGM)
  3. 早期結婚(児童婚)の慣習
  4. 女性の発言力や機会が不十分
  5. 妊娠を望まない女性への配慮
  6. 教育格差

これらの問題は女性が平等に生きられる社会を作るうえで、避けては通れないものとなっています。

人身取引や女性・女児の性的搾取

国連薬物犯罪事務所によると、2012年から2014年の間で世界106の国や地域で人身売買の被害が63,251人いたことが報告されています。

女性の人身売買と性的搾取の被害も多く、2014年時点で被害者17,752人の内71%が女性被害者でした。

さらに18歳以上の女性が51%、18歳未満の女児は20%であり、工場の強制労働や強制結婚など様々な目的で被害にあっていますが、一番多く深刻なものが売春などの性的搾取です。

人身売買の被害者となる女性の約4人に3人が性的搾取にあっているといわれています。
引用元:国際開発センター 目標5 ジェンダー平等を実現しよう

女性器切除(FGM)

女性器切除は「非医学的な理由で女性の外性器の部分的または完全な切除、または女性の生殖器へのその他の損傷を伴うすべての処置」のことを指し、女性の人権侵害になります。

正確な被害者数はわかりませんが、現在31か国で2億人の女性たちが女性器切除の被害にあっているとされています。

女性器切除は排尿障害や感染症など健康へのリスクがあるだけでなく、精神的にもダメージを与える行為です。女性器切除は多くの国で禁止されており、過去30年間で減少傾向となっていますが、撲滅にはいたっていません。
引用元:ユニセフfor every child
参照元:Lightworks BLOG  SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」課題と企業の取り組み9例

早期結婚(児童婚)の慣習

成人する前の早期結婚は、教育を受ける機会を損失したり妊娠・出産時の合併症のリスクがあったりして問題視されています。しかし、2019年で世界の約6億5,000万人の女性が18歳未満で結婚しているといわれていて、早期結婚という社会的な慣習は世界ではまだ残っています。

さらに、早期結婚をした女性は家庭内暴力を受ける場合が多く、メンタルにも大きなダメージを与えています。

しかし、徐々にですが早期結婚の数は減少傾向となっており、1990年までは3人に1人だった割合が5人に1人となりました。今でも早期結婚を解決するために世界中で様々な取り組みが行われています。
引用元:ユニセフfor child 児童婚

女性の発言力や機会が不十分

政治から家庭内まで、女性が発言する機会や影響力が不十分である問題も、SDGs目標5では大きな課題です。

国際連合広報センターによると、2022年での各国会議会での女性の割合は世界平均で26.2%といわれています。

2015年で22.4%なので、7年で3.8%の上昇ですが、このままのペースではSDGs 目標5を達成するにはあと40年はかかるとされているのです。

世界で女性議員が過半数を占めている国は、ルワンダ(61.3%)、キューバ(53.4%)、アラブ首長国連邦(50%)の3か国のみです。まだまだ女性の発言力は平等とは言い難いのが現状でしょう。
引用元:国際連合広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)報告2022
引用元:公益財団法人 日本ユニセフ協会

妊娠を望まない女性への配慮

世界では、望まない妊娠をしてしまった女性は年間8,000万件の報告があり、さらに危険な妊娠中絶は2,200万件に及ぶとされています。妊娠中絶を厳しく処罰している国では、秘密裏に中絶する女性たちもおり、リスクのある中絶処置が原因で合併症による死亡の報告もあるのです。

さらに発展途上国の女性たちに関しては、そもそも計画的に妊娠し出産するための環境そのものが無いケースもあります。この現状は妊産婦の死亡率のおもな理由の1つとしてもあげられ、年間で約5万人も犠牲者が出ています。

世界では、避妊をしたいと願っている女性2億5,700万人が安全な避妊ができないと推測されており、全女性の約1/4が性行為を拒否できない状況にあります。
引用元:国連人口基金 駐日事務所

教育格差

6歳から11歳の子どもで、一生学校に行けない女の子は男の子の約2倍というデータがあります。これは、南アジアの国々で多く見られ、男尊女卑が色濃く残っています。

児童婚という社会的風習もあり、南アジアの2人に1人の女の子は成人する前に結婚しています。

この事実は南アジアだけでなく世界でも見られ、2016年で初等教育を受けられない女の子は約3,400万人です。

教育機関が1~6年しか受けられなかった女性は、12年以上教育を受けた女性よりも妊娠、出産時の死亡率が2倍高く、男女にかかわらず全ての子どもが教育を受けられる機会が必要とされています。
引用元:公益財団法人 日本ユニセフ協会
引用元:公益財団法人 日本ユニセフ協会 ユニセフの主な活動分野

世界のジェンダー平等実現のために

世界のジェンダー平等を実現するために取り除かなければならない原因は、具体的に定義づけられたり明言されたりしていません。

しかし、世界の現状から背景を推測すると、共通してみられる特徴があります。

世界が抱えている課題から考えられる原因

世界の現状から取り上げた課題に対して、原因と考えられる理由は以下になります。

課題 推測される原因
人身取引や女性・女児の性的搾取 古い慣習など社会的、文化的な偏見、男女の賃金格差
女性器切除(FGM) 通過儀礼などの古い慣習
早期結婚(児童婚)の慣習 古い慣習など社会的・文化的な偏見、経済的な理由、教育の欠如など社会的理由
女性の発言力や機会が不十分 クオーター制(男女の比率で議席を割り当てる制度)の有無、家事や育児の両立が困難
妊娠を望まない女性への配慮 性と健康に関する知識不足、性的暴行による強制、貧困と経済発展が遅れている
教育格差 社会・文化的習慣や規範、不十分な法整備、家庭の経済的問題

共通の原因として考えられるのは、男尊女卑などの文化的な価値観や経済的な問題、法整備が追い付いていないことがあげられます。

参照元:Lightworks BLOG  SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」課題と企業の取り組み9例
参照元:NHK 解説委員室
引用元:ユニセフ 児童婚をなくすために
引用元:国連人口基金
引用元:公益財団法人 日本ユニセフ協会 ユニセフの主な活動分野

解決策

世界が抱えているSDGs目標5の解決方法は国ごとに違いますが、おもに対策として考えられていることは3点あります。

  1. 女性に対する差別や暴力をなくす
  2. 女性に対する教育の場を提供する
  3. 女性の政治参加を促進する

女性を差別して潜在的な上下関係ができることで、暴力や教育の場を与えないといった女性を軽視する土台が生まれることが考えられます。

このような男性中心の社会構造により女性が政治にかかわる機会を奪い、女性たちも声を上げづらくなっているのです。

取り組み事例

女性への差別問題は、男性も女性も同じ人間であり、対等なパートナーでもあることを学習することからはじまります。

SDGsランキングで常に上位にランキングされているスウェーデンは、小学校からSDGsへの学習をはじめています。このように早い段階から学習していることで貧困やジェンダー問題への関心が高まっているのです。

女性への差別に関する啓もう活動や取り組みをいくつか紹介します。

国際連合では、女性への差別をなくすための啓もう活動として、毎年11月25日に「女性に対する暴力撤廃の国際デー」を定めました。これがきっかけで、国連女性機関(UN Women)による「オレンジ・デイ」や2006年にタラナ・バーク氏が提唱した「#Me Too」運動など世界中でさまざまな取り組みが行われています。

こうした活動により、女性への暴力を撤廃する啓発活動や女性への暴力被害の深刻さを社会的に認知させ、被害者同士がSNSを介して連携を深めるといった取り組みがされています。

教育に関する事例ではアフリカで、ユニセフが提唱する「子どもにやさしい学校」という女性が教育を受けられるための環境作りがされており、学校の建設や教材の提供をしながら地域の人たちや保護者に教育の大切さを理解してもらうための啓もう活動を実施しています。

女性の政治参加に関する事例として、ルワンダでは国会議員の1/3を女性議員が占めるように定めるクオーター制により、世界の中でも女性議員の比率が高い国になりました。ルワンダは2023年時点で54.7%と世界トップとなっています。

参照元:Spaceship Earth スウェーデンがSDGs世界ランキング上位国である理由
引用元:UN WOMEN日本事務所
引用元:UN WOMEN日本事務所 世界をオレンジ色に:#HearMeToo ~私の声も聞いて~
引用元:NHK ハートネット
引用元:ユニセフ マンスリーサポートプログラム
引用元:GLOBAL NOTE

日本の現状と課題

2022年の「ジェンダーギャップ指数」によると、日本は146カ国中116位とスコアは低く、SDGs目標5の中では、特に女性の政治参加が低い傾向にあります。
SDGs目標5で達成が不十分となっている項目は以下の4つです。

  1. 現代の避妊方法で妊娠女性をサポートしているか
  2. 国会で女性が占める議席
  3. 男女の賃金格差
  4. 無給労働に費やす時間の男女差
  5. 引用元:持続可能な開発レポート2022
    引用元:Edu Townガイド ジェンダー平等を実現しよう

    現代の避妊方法で妊娠女性をサポートしているか

    女性は性的関係や家族計画において、主体的または対等であるべきです。

    日本は、女性が自らの意思決定で性的関係や避妊などのリプロダクティブヘルスケアができている割合が不十分です。

    リプロダクティブヘルスとは「性と生殖に関する健康」という意味で、女性の性や出産などについて心と身体、社会的に尊重される権利のことです。年齢層は15歳~49歳の割合で評価しています。

    日本ではグローバル指標に設定されていますが、2020年で67.3%であり、長期目標の100%にはまだ届いていません。

    国会で女性が占める議席

    日本の国会議員に占める女性の割合は9.7%と諸外国と比較しても低い数値です。トップであるルワンダは54.7%、ジェンダーギャップ指数で1位をキープしているスウェーデンは46.4%に対して、日本はかなり差が開いています。

    2023年の岸田内閣では全閣僚20人の中で女性は3人のみで、主要7か国の中では最も少ない比率となっており、女性の政治への参加は課題が多く残されています。
    引用元:GLOBAL NOTE
    引用元:持続可能な開発レポート2021

    男女の賃金格差

    賃金格差は2020年時点で男性の一般労働者の給与を100とした場合、女性は77.5と格差がみられます。経済協力開発機構(OECD)の平均は88.4%であり世界からみても平均より下回っています。

    男女の賃金格差は役職別でも変わらず、部長級での賃金格差は83%、課長級では86.4%、係長級では85.5%、一般職員では78.7%と企業内で出世しても格差は大きく変わりません。
    引用元:内閣府男女共同参画 男女間賃金格差(我が国の現状)
    引用元:内閣府男女共同参画 男女間賃金格差について

    ▼男女の賃金格差について、詳しくはこちら
    男女の賃金格差の現状と解決策とは?改善のための日本の取り組みを紹介

    無給労働に費やす時間の男女差

    無給労働とは「家事」や「育児」「親の介護」などを指します。無給労働に1日費やされた比率は6歳未満のこどもがいる夫婦で夫は1時間54分、妻は7時間28分とかなり差があります。

    夫婦共働き世帯では、夫は1時間55分に対して妻は6時間33分で、どちらも女性に家事全般を任せているような状態です。
    引用元:総務省統計局 我が国における家事関連時間の男女の差

    日本のジェンダー平等実現のために

    日本は世界的にみても、ジェンダー平等への取り組みが進んでいない状況です。この問題を解決するためには課題から見える原因を考えて、一歩ずつ改善に向けて取り組んでいくことが大切です。

    日本が抱えている課題から考えられる原因

    男女の格差について明言された原因はありませんが、おもに推測される理由は以下になります。

    課題 推測される原因
    現代の避妊方法で妊娠女性をサポートしているか 性教育が世界に比べて遅れている、性に関する情報に触れにくい環境である
    国会で女性が占める議席 男女の役割の先入観、議員活動と家事の両立が困難、クオーター法を導入していない
    男女の賃金格差 男女の役割の先入観、管理職の割合が少ない、女性の非正規雇用の比率が高い
    無給労働に費やす時間の男女差 男女の役割の先入観、仕事と家事の両立が困難

    原因として多くあがっているのは「男女の役割の先入観」です。他には家事と仕事の両立が困難であることや制度が整っていないなどがあげられます。

    解決策

    日本のSDGs目標5への課題はおもに4つあげました。

    1. 家族計画(避妊)を現代の方法で需要に応えている
    2. 国会で女性が占める議席
    3. 男女の賃金格差
    4. 無給労働に費やす時間の男女差

    これらの課題を解決するためには、国や企業が女性への偏見をなくして男女平等に仕事を評価する制度を確立することが重要です。

    そして、国や企業を動かすには周囲の人たちが価値観に寄り添い、女性の生き方や価値観は男性とは違うことを理解して、日本に色濃く残っている女性のイメージを改善する必要があります。

    また、学校や家庭で性教育などの性に関する情報を適切な時期に子どもたちに触れさせる取り組みをしてジェンダーの知識を持つ機会を与えないと、価値観を変えることは難しいでしょう。

    女性の社会進出に貢献する活動として、企業ではワークライフバランスの取り組みがされています。これからも育児休暇制度や時短勤務制度などの取り組みがより充実し、男女かかわらず家事を優先しやすい社会にしていくことも重要な課題です。

    取り組み事例

    日本の課題である家族計画(避妊)に関する解決策として、厚生労働省や文部科学省がリプロダクティブヘルスの認知度を上げるための教育の場を設けることや避妊や妊娠などの女性の性に関する健康問題について相談できる体制作りに取り組んでいます。

    国会議員の女性比率に関しての取り組みに関しては、2018年に候補者男女均等法が成立しました。これは国と地方の議員選挙で男女の割合が均等になるように女性候補者数を増やすというものです。

    結果は、2017年の衆院選と比べて女性候補者の割合は17.7%、当選者の割合は9.7%となっており、まだ課題は残っているのが現実でした。

    男女の賃金格差に対しては、2022年7月8日に女性活躍推進法の制度改正が行われました。改正によって、常時労働者数が101人以上の企業は、採用した女性労働者の割合などを分析して男女の賃金格差が生じていないか結果を公開することが義務付けられ、今後改善が期待されています。

    無給労働への取り組みは、具体的な施策や取り組みはみられません。傾向として、6歳未満の子どもをもつ夫婦での夫が家事をする時間は13分増加しましたが、圧倒的に女性の無給労働時間の方が長いのが現状です。
    引用元:内閣府男女共同参画局 生涯を通じた女性の健康支援
    引用元:内閣府男女共同参画局 政治分野における男女共同参画
    引用元:厚生労働省 男女間の賃金格差解消に向けて

    ジェンダー平等は先入観をなくすことからはじめよう

    ジェンダー格差の原因について調べると、明言されてはいませんが世界共通で男女の役割による先入観が背景にあることが考えられます。

    国や地域は違っても、女性が社会に出て自由に働くイメージが浸透していない結果、法律や制度が間に合わないことが推測できます。

    SDGs目標5を達成するためには、ジェンダーへの理解を深めて性別からくる先入観をなくすことが重要です。ジェンダーへの知識を学ぶことで性別に左右されない自由な社会を作る土台を作っていきましょう。

    この記事の執筆者
    EARTH NOTE編集部
    SDGs情報メディア
    「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
    身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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