SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」の達成に必要なこと
2015年に発足したSDGsでは、2030年までに世界中の不平等を解消するための共通目標として、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」を掲げました。
この記事では、現在世界にはどのような不平等が生じ、何が問題となっているのか。また、私たちは解決に向けどんなことをしていくべきなのかを紹介していきます。
目次
目標10「人や国の不平等をなくそう」とは
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは、世界中で生じている不平等を解消するために掲げられた目標です。
国内・国家間で起きている不平等は、先進国と開発途上国・富裕層と貧困層の間にある所得格差や、人種や性別・宗教などから生じています。
目標10はこのような格差や差別を解消し、世界中の全ての人が平等に生きられる社会を目指すための、世界共通の目標として設定されています。
なぜ目標10が掲げられたのか
SDGsは2030年までに「持続可能でよりよい世界を目指す」ために掲げられました。
目標10は世界中に生じている不平等や差別、格差を無くし、全ての人が平等な生活を送ることができることを目標に設定されています。
2030年までに目標を達成するためのスローガンは「誰一人取り残さない」ことであり、そのためには貧困や差別などの不平等の解消が必要不可欠なのです。
目標10を達成するための10個のターゲット
目標10には達成のための10個のターゲットが設定されています。
このターゲットは7つの目標と、実現のための3つの方法で構成されています。
10-1 | 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。 |
10-2 | 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれ、宗教、あるいは経済的地位その他状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 |
10-3 | 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進等を通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。 |
10-4 | 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。 |
10-5 | 世界の金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。 |
10-6 | 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。 |
10-7 | 計画に基づきよく管理された移住政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。 |
10-a | 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。 |
10-b | 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。 |
10-c | 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。 |
これらを簡単にまとめると以下のような内容になっています。
- 低所得者の所得が増えるようにする。
- 開発途上国を支援し、国家間に生じる経済格差を減らす。
- 差別的な法律や政策を撤廃し、誰もが平等に生活するための経済・政治・社会保障を検討する。
- 世界の金融機関・金融市場でルールを統一し、不正がないか継続して監視する。
- 移民の安全な移動を支援し、移住労働者にかかる金銭的負担を軽減する。
経済やお金に関する不平等の現状
各国の不平等解消のため、深刻な問題として大きく取り上げられるのは
- 所得格差による貧富の差
- 農村部と都市部の間に生じている格差
- 移住労働者の母国への送金負担問題
- 開発途上国の子どもの「学ぶ機会の格差」
が挙げられます。
この問題のほとんどは開発途上国に関係しており、国家間が協力して取り組まなければならない大きなテーマの一つです。
どのようなことが問題か詳しく見ていきましょう。
所得格差により生じている貧富の差
最も深刻な問題のひとつが所得格差です。
2019年に発表された国際連合の「持続的な開発に関するグローバル・レポート2019」では、2017年時点で世界人口の1%に位置する最富裕層が持つ資産が、世界全体の資産の33%に相当していることが発表されました。
反対に25%の最貧困層が持つ資産の割合は10%にしか満たず、この差はコロナ禍によって拡大し続けています。
2022年のSDGs報告では、新型コロナウイルスとインフレの高騰・ウクライナ戦争によって貧困は加速し、20年ぶりに低収入労働者の割合が増加してしまいました。
貧困により教育を受けられない国の子どもたちは児童労働を強いられ、収入の得られる職業へ就くことができず、低所得の負の連鎖が生じているのです。
農村部と都市部の間に生じている格差
国連が発表した「SDGs報告 2019」によると、調査国105か国の移民に対する政策は以下のようになっています。
- 安全で秩序ある正規移住に関する政策がある国 76%
- 移民の権利に関する政策がある 54%
- 移民の社会経済的福祉に関する政策がある 57%
移民に対する権利や社会福祉への政策が整っている国は半数程にとどまっているのが現状です。
これは移民が移住先で差別的な扱いを受けたり、低賃金での労働を強いられたりする可能性があるということを意味しています。
さらに「SDGs報告 2022」では、2021年に命を落とした移民は5,895人にのぼり、2017年以降最も犠牲者の多い年になったこと、世界の難民の数が過去最多を記録したことが報告されました。
移民の受け入れや移住後の社会保障を整えることは、2030年の目標達成に向けた大きな課題と言えるのです。
移住労働者の母国への送金負担問題
開発途上国に多くみられる低所得国では、賃金の低さから自国での労働では生活がままならないことがあります。
そのため、国外でより高い収入を得て母国へ送金することが、低所得国の住人と税収の生命線となっているのです。
しかし、移住労働者が母国へ送金する際にかかる送金コストは平均して送金額の6%と高く、最も高い国では7.8%ものコストがかかると発表されています。
この送金コストを削減し、低所得国に住む人々と財政を支えることは、世界全体の貧富の差を縮めるためにも重要な課題です。
開発途上国の子どもの「学ぶ機会の格差」
開発途上国の問題として深刻なのが「学ぶ機会の格差」です。
開発途上国では貧困により子どもを学校へ行かせる余裕がなく、児童労働を強いなければならない現状があります。
また、農村部と都市部の学校数の差やアクセスの問題から、学ぶチャンスを奪われてしまっている子ども達が大勢いるのです。
十分な教養を与えられなかった子どもは、将来的にも低収入の仕事に就くことしかできず、さらにその次の世代の子どもへも教育をさせられない負のループが生じてしまっています。
人種・性別・移民などに関する不平等の現状
国家間の貧富の差に関わらず、世界中で見られる不平等が差別問題と移民・難民問題です。
どんなに豊かな国でも人種や肌の色、宗教などの違いから差別と紛争が発生し、公平な扱いを受けられない人たちが存在しています。
世界中でどのような人種差別や移民問題が生じているのか見ていきましょう。
LGBTQなど性的マイノリティへの差別
LGBTQとは同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーなどの性的少数者の総称です。
LGBTQの差別は世界的な問題であり、解決に向けた法整備や取り組みはまだまだ不十分とされる分野となっています。
トランスジェンダーに対しての雇用機会の均等化や、同性愛者同士の婚姻を認める法律の制定など、少数の国ではLGBTQに対して寛容な法律が作られています。
しかし、多くの国ではいまだにトランスジェンダーに対しての差別が存在し、同性愛は認められず、中には犯罪として扱われてしまう国もあるのです。
SDGsにおいて、LGBTQについて明確に触れられている目標はありませんが、社会への平等な参加や差別を取り除くという目標達成のためには、LGBTQへの理解ある社会の実現が必要です。
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LGBTQとは?Qの意味や性的マイノリティの状況まで徹底解説
人種や宗教に対するヘイトクライムの存在
ヘイトクライムとは、人種・宗教・民族・性的趣向・性別・障がい者など、特定のカテゴリーに属する人々に対する憎悪または偏見に基づく犯罪のことを指します。
古くから有名なヘイトクライムとして、アメリカでの白人による黒人への差別や暴行・殺害などの事件が挙げられます。
黒人の大統領就任や、ポリティカルコレクトネス(差別や偏見のない中立的な表現をすること)に配慮した映画配役が浸透している現在でも、白人至上主義による事件は発生し続けているのです。
記憶に新しいヘイトクライム問題としては、新型コロナウイルスの蔓延から生じた海外でのアジアン・ヘイトです。
民間団体の「ストップAPPIヘイト」の報告によると、2020年3月〜2022年3月までに発生したアジアン・ヘイト・インシデントは11,467件にのぼっています。
アジアン・ヘイト以外にも、肌の色の違いで差別的発言や暴行を受ける、宗教の違いで嫌がらせを受けるなどの被害は世界中で報告されています。
出典:アメリカ合衆国におけるヘイトクライム法とその問題点-新 恵里
▼ヘイトクライムについて、詳しくはこちら
ヘイトクライムとは?SDGs目標10との関係、差別をなくすための取り組みを解説
移民の安全な移動と移住後の人権問題
移民とは、移住の理由や法的地位に関係なく、定住地を変更した人のことを意味します。
移民が母国を離れる理由の一つに貧困があり、開発途上国からより良い環境や職業を求めて移住する人は後を絶ちません。
国境を越えて移住するということは、多くの移民にとって危険を伴います。
船で海を渡る際に溺れてしまう人や、砂漠を渡る際に脱水症状で亡くなる人、犯罪者や国境警備隊に暴行を受ける人など、その危険の種類はさまざまであり、どれも過酷です。
2022年のSDGs報告によると、2021年に命を落とした移民の数は5,895人にのぼり、2017年以降で最も犠牲の多い年となりました。
こうした犠牲者が出てしまう背景には、移民の移動に粗悪な移動手段しか使用できないことや、移民の救助に消極的な人が多いことが挙げられます。
無事に移動できたとしても、受け入れ先の国での人権問題も課題となります。
移民は受け入れ先の自国民よりも政府からの給付を受け難い傾向にあるうえ、正規雇用契約を結べる可能性が低いのが現状です。
より国際協力を強化し、移民の安全な移動と権利の保護体制を整えていくことが世界的な課題と言えるでしょう。
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移民問題とは?増える移民の現状と各国の政策
行き場をなくしている難民
移民問題と双璧を成すのが難民問題です。
難民とは迫害のおそれや紛争、暴力の蔓延など国際的な保護の必要性を生じさせる状況を理由に、出身国を逃れた人々を指します。
2022年SDGs報告では、世界の難民の数は過去最多を記録したとされており、近年のウクライナ戦争が難民の数をさらに押し上げています。
難民の多くは衣食住や医療を受けることもままならず、不衛生な環境に晒されています。
そのため、栄養失調や感染症により幼い命が失われている深刻な状況が続いているのです。
難民を守るための組織「国連UNCHR」では募金や寄付を募り、国籍を持たない人の保護や難民生活に苦しむ子ども達への支援を行っています。
命が平等に守られるために、受け入れる国の体制や法律の整備と、物資や食料などの支援が必要です。
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宗教や言語を制限される少数・先住民族
世界にはおよそ10億人の少数民族と、3億7000万人以上の先住民が住んでいます。
彼らは同じ国家に属しているにも関わらず、宗教や言語、人種的な違いから差別的な扱いを受ける対象となっています。
少数民族は独自の社会構造や言語・文化を持っており、こうした違いから差別や追放を受けています。
また、民族間の宗教思想の違いから武力紛争が生じ、住む場所や自由な暮らしを失っている人々がいるのです。
先住民族もまた、独自の文化や言語を標的とした差別や弾圧を受けてきた歴史があります。
多くの先住民族は政治権力や経済力とは無縁であり、社会に属する権利を奪われてきました。先住民族が社会に身を置くためには言語や伝統的な生活様式などの個性や文化を捨てて生活する必要があり、平等とはほど遠い生き方を強いられているのです。
先住民族の権利に関する国際的な宣言が出された現在でも、出生や民族の血を引いているという理由で雇用に不利が生じるなどの差別を受ける現状があります。
民族に対しての正しい認識や理解によって、同じ国家に身を置く人々が平等な生活を送れるようにしなければなりません。
参考:国際連合広報センター 少数者の権利
参考:国際連合広報センター 先住民族
社会保障に関係する不平等の現状
国民が安全かつ安定した生活を送るための社会保障制度ですが、世界には社会保障を一つも受けられない人が多くいます。
社会保障が受けられないことによって起きている不平等を解説していきます。
医療行為を受けられないことによる健康格差
先進国の多くは医療保障が充実し、病気やケガに対して適切な医療行為が受けられます。
しかし、開発途上国の多くでは医療従事者の不足や、都市部と遠隔地での医療施設の数の差から、受けられる医療の格差や不平等が生じているのです。
医療保障の不平等により命を落とす問題は深刻であり、世界中で年間500万人の子どもが5歳未満で亡くなっているという悲しい現実があります。
先進国と途上国の間にある医療保障の差や、国家内の地域格差を解消し、誰もが健康な状態で生活できる社会の実現が求められています。
社会保障が受けられない国の生活の質の低下
出産した女性や失業者、障がい者に対する給付もまた、世界中の誰もが受けられているわけではありません。
出産手当を受けられる新生児の母親の割合は41%、障がい者年金を受けられる重度障がい者の割合は28%であるなど、対象者の多くに保障が届けられていないのです。
また、社会保障給付を受けとることのできる子どもの割合は35%と、3人に2人は政府からの援助を受けられていないことも大きな問題です。
こうした給付が全ての人に行き渡るようになれば、衣食住や教育の充実に繋がり、平等に豊かな生活を送れるようになります。
社会保障の格差を減らすためにも、途上国におけるインフラの整備や先進国からの援助を持続的に行っていく必要があるのです。
目標10における日本国内の課題
世界的には貧富の差や人種差別、移民問題が課題となっていますが、実は日本国内にも差別問題・人権問題などの不平等が存在しています。
どのような現状で課題があるのか見ていきましょう。
収入格差により相対的貧困が生じている
先進国に位置する日本国内においても収入格差が生じ、国民は相対的貧困に悩まされています。
相対的貧困とは国や地域の中で大多数よりも貧しい状態のことを指します。
日本では人口の約15%、つまり6人に1人がこの相対的貧困です。
この背景には、65歳以上の年金受給者の世帯が増えたことや、非正規雇用で働くひとり親世帯の貧困率が高いことが挙げられます。
特に母子家庭の貧困率は高く、2世帯に1世帯が相対的貧困に当てはまっているのが現状です。
相対的貧困の世帯における「子どもの貧困」は、習い事や進学に当てるお金の余裕がなくアルバイトを強いられてしまうことや、進学を諦める原因になってしまうのです。
日本社会に根深く存在する男女格差問題
日本で古くから問題となっているのが男女格差問題です。
各国における男女格差計る指数として「ジェンダー・ギャップ指数」があります。
ジェンダー・ギャップ指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野から男女格差をデータ化したものです。
2022年に世界経済フォーラムが発表したレポートでは、日本のジェンダー・ギャップ指数は146か国中116位と低く、先進国のなかでは最低レベルとされています。
特に経済・政治分野の数値が低く、女性の経済的自立や政治への登用が必要だと示されています。
出典:Global Gender Gap Report 2022
障がい者雇用の受け入れ態勢が不十分
日本では民間・公的企業に対し、障がい者の法定雇用率を設定しています。
従業員数が一定以上の事業主に対し、身体・知的・精神障がい者を雇用する割合が法定雇用率に達するように義務付けられているのです。
厚生労働省の発表した「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」によると、法定雇用率を達成している民間企業は少しずつ増加しており、令和4年の集計結果では過去最高の48.3%に達したとされています。
しかしながら、半数以上の民間企業が法定雇用率を達成しておらず、未達成企業のうち半数以上の企業が障がい者を一人も雇用していないという現実があります。
SDGs達成度の高い国の取り組み事例
SDGsへの取り組み加盟国には、例年達成度が上位を獲得している国があります。
特に北欧諸国の達成度は高く、加盟国の間でも注目を集めています。
ここでは上位の常連国であるフィンランドとスウェーデンの取り組みについて見ていきましょう。
フィンランドの取り組み事例
SDGs達成度が毎年上位のフィンランドでは、行政の積極的なSDGsへの取り組み推進により、国全体のSDGsへの意識が高まっています。
フィンランドはジェンダー平等の取り組みに力を入れており、2022年に発表されたジェンダー・ギャップ指数では146か国中2位となっています。
その要因となっているのが、ジェンダーに関する法の整備や提案を行っているTANEの存在です。
TANEは男女の議員で構成されており、NGOや専門家がアドバイザーとして介入する政府の機関です。
議員で構成されているため、ジェンダー問題に関する法律の決定に意見を述べたり、正しく法律が機能しているか調査を行っています。
また、各種イベントやセミナーの開催、出版物の発行などを行い、社会にジェンダー問題への啓発をするよう取り組んでいるのです。
さらに、フィンランドは男女平等な教育に力を注いでおり、性別や年齢、民族的出自や宗教などで異なる扱いを受けてはいけないとしています。
これにより男女格差や人種・個性の差別なく、全ての人が社会進出できる教育が行われているのです。
スウェーデンの取り組み事例
ノルウェーと同じくSDGs達成度上位の常連国であるスウェーデン。
環境や資源、生物の多様性に力を入れているスウェーデンも、男女平等やLGBTQに対しての取り組み体制が敷かれています。
スウェーデンでは全ての国民の権利と機会の平等を守るため、平等オンブズマンという政府組織が設置されています。
この組織は職場や学校においての男女平等が守られるよう監督するほか、トランスジェンダーや障がいを抱えた人、異なる民族などの多様性を守るため、差別禁止法の監視をする役割を担っています。
このほか、ジェンダー大臣の設置や政府大臣の半数に女性が就任するなど、男女平等に対する国を上げての取り組みが積極的に行われています。
出典:Global Gender Gap Report 2022
目標10に対する日本の取り組み
不平等を解決するには身近なことからさまざまな取り組みが必要です。
日本国内では不平等を解消するためにどのような取り組みを行っているのか紹介します。
募金や基金による支援や援助
国内の誰もが簡単に、かつ世界に向けて行える支援が募金です。
最も有名なのはユニセフの募金であり、最も支援の届きにくい子どもたちを最優先として教育や保健、衛生面などの支援活動を行っています。
100円程度のわずかな募金額でも、飢餓で栄養失調に苦しむ子どもに栄養パウダーを届けられたり、1,500円の募金でノートやペンを提供したりできます。
募金により開発途上国の飢餓を救い、教育の不平等を減らすことができるのです。
また、国内における赤い羽根共同募金では、ひとり親世帯への食料品や日用品の配布や、ダウン症支援に係る検収事業の開催などを実施し、国民の生活の平等化へ取り組んでいます。
パラスポーツの支援による障がい者への支援
パラスポーツとは、障がいのある人がスポーツを楽しめるように環境を整え、障がいの有無に関係なく楽しめるスポーツのことを指します。
国内では企業が社内でパラスポーツの体験会を開催したり、パラスポーツアスリートを雇用し大会への参加、競技者以外の社員が応援や技術支援を行ったりするなどして活動を支援しています。
また、日本パラスポーツ協会ではパラスポーツ支援のための寄付を募っており、普段パラスポーツに直接触れる機会の無い方でも支援が行えます。
多くの人がスポーツを通して障がい者への理解を深め、社会で平等に活躍する機会を得られるよう、国内でもさまざまな取り組みが行われています。
参考:日本パラスポーツ協会「2030 年ビジョン~活力ある共生社会の実現に向けて~」
目標10達成のために私たちにできること
目標10を達成し世界から不平等を減らすためには、社会に身を置く企業や私たち一人ひとりの行動が必要です。
日本に住む私たちが世界の不平等を減らすためにできることを紹介していきます。
世界と日本の現状を知ること
目標10達成のためには、今回紹介した問題点以外にも、人種差別や性差別などさまざまな解決すべき課題が存在します。
目標達成に向けて行動するため、まずは国内や世界各国にどのような課題があるか正しい知識を知ることが重要です。
国際連合広報センターや外務省のJAPAN SDGs Action Platformなど、SDGsの最新情報を得られるサイトや、SDGsをわかりやすく解説している日本ユニセフ協会の運営するSDGs CLUBを訪問し、現状を知ることが行動の第一歩となるでしょう。
差別や不平等について発信したり話し合うこと
性別や人種、趣味趣向の違いや宗教の違いなど、世の中にはさまざまな人が共生しています。
自分と違うことや理解していないことについて遠ざけてしまい、結果的に誰かを差別したり傷つけてしまっていることもあるかもしれません。
まずは自分と違う考えやパーソナリティを持つ人について話し合い、実際に交流することで価値観や考え方を共有し、理解して受け入れることが大切です。
また、こうして得た感性をSNSで発信したり、オンライン上で開催されているセミナーなどに参加したりして、多くの人と交流することが不平等を減らすための一歩になるでしょう。
さまざまなボランティアに参加すること
学習支援ボランティアや募金活動への参加など、国内でもさまざまなボランティア活動が行われています。
不平等を無くすというのはとても大きなテーマであり、個人の力で貢献するには限界があります。
NPOやパラスポーツ支援団体のボランティアに参加することで国内外の問題に貢献することができるため、積極的にボランティアへ参加することは非常に効果的な支援だと言えるでしょう。
ダイバーシティ経営を推進し人材を多様化すること
ダイバーシティ経営とは、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」のことです。
性別や年齢、国籍や宗教の違い、障がいの有無などにとらわれず、一人ひとりが個性や特性を発揮して働くことができる環境を整えることが求められています。
ダイバーシティ経営はジェンダー・ギャップや障がい者雇用問題、移民・移住労働者の問題を解決する手段の一つとして注目を集めています。
フェアトレード製品を購入すること
開発途上国の所得問題を解決するため、消費者にも簡単にできることがフェアトレード製品の購入です。
フェアトレードとは「公正・公平な取引」を意味しています。フェアトレード製品を購入すると、開発途上国の生産者に適切な対価が支払われる仕組みです。
開発途上国の生産者と国外の消費者の間に生じる不平等を減らし、収入格差を解消するために、フェアトレード制度は重要な役割を担っています。
コーヒーやチョコレート、バナナなど生産地の多くが開発途上国にある製品は、生産者に正当な対価が支払われないことが現実に起きています。
私たちが日ごろ口にするものや着るものを、フェアトレード製品を購入するように意識することで、生産者の生活水準や健康が保たれる助けになるのです。
▼フェアトレードについて、詳しくはこちら
フェアトレードとは?世界の貧困をなくす取り組みとSDGsの関係を解説
大切なのは一人ひとりの意識と行動
目標10「人や国の目標をなくそう」は、達成に向け各国の政府や企業が努力を続けています。
しかし、2030年までに目標を達成し世界中から不平等を取り除くためには、政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりが解決に向け意識し行動することが必要不可欠です。
世界中に住む人が平等に生活できる社会を目指して、まずは世界中に広がる不平等に目を向け、小さなことから行動していきましょう。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。