SDGs2「飢餓をゼロに」今後の課題や取り組みについて紹介

SDGs2「飢餓をゼロに」今後の課題や取り組みについて紹介

2023.05.12(最終更新日:2024.06.26)
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世界の飢餓人口は、2022年の時点で8億2800万人に達しており世界人口の9.8%の人が飢餓の影響を受けています。
飢餓によってどのような問題が引き起こされ、飢餓をなくすためにはどのような課題があるのでしょうか。

今回はSDGsの目標2「飢餓をゼロに」で掲げられている達成目標や実現方法をはじめ、現在日本や世界で行われているさまざまな取り組みをご紹介します。
飢餓をなくすために何ができるのかを考えてみましょう。

飢餓や栄養不足の定義

FAOでは、飢餓や栄養不足を次のように定義しています。

・飢餓(Hunger)
・食事からのエネルギー摂取量が不十分であることに起因する不快感や痛みの感覚
・栄養不足(Undernourishment)
・個人の日常的な食料消費が不十分で、正常で活動的かつ健康的な生活を維持するために必要な量の食事エネルギーが不足している状態

出典:国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

慢性的に必要な栄養素をとることができていない状態のことを「飢餓」といいます。

栄養素は、生命を維持して、健康な生活を送るために必要な物質のことです。栄養素のうち、炭水化物、脂質、たんぱく質の3つはエネルギー源となります。
エネルギーは生命を維持するために必要です。
必要なエネルギー量は、性別や年齢、体の大きさ、活動量などによって一人ひとり異なります。妊娠中や授乳中、病気にかかっているかどうかといったことも影響します。
また、たんぱく質は身体をつくるために、ビタミンやミネラルは身体の調子を整えるために必要です。

栄養不足の状態が続くと、身体や脳の働きが鈍くなり、集中力や意欲が低下します。

身体の免疫力も低下するため、はしかや下痢などで命を落としてしまう子どもがいます。そのため飢餓は、日常生活と生存の両方を脅かします。
また多くの量を食べていても、生活現象を営むために必要な栄養素が不足すると、心身に異常をきたします((※))。

(※)生活現象:呼吸、消化吸収、排泄、運動、成長、繁殖などの現象のこと

飢餓の原因

飢餓の原因は、さまざまです。

自然災害
地震や津波、洪水、干ばつなどの自然災害が原因となることがあります。農作物が被害を受け、家や家財、仕事などの生活基盤も失います。

紛争
多くの人が家や農地などを捨てて避難せざるを得なくなります。地元に残ったとしても、農作業がままならず、食料の確保は困難です。

慢性的貧困
農業を行うための資金がないため自給自足できず、飢餓や貧困から抜け出せません。子どもに教育を受けさせられないため、貧困が連鎖します。

その他
不公正な貿易取引、農業基盤の不整備、HIV/エイズ、乱開発による環境破壊などもあります。また、飢餓は2種類(飢餓、慢性的飢餓)あり、種類によって地域や原因、特徴が異なります。

【2種類の飢餓と特徴】

種類 飢餓 慢性的飢餓
地域 特定の国や地域で発生 アフリカやアジアを中心に発生
原因 自然災害や紛争などの突発的な原因 さまざまな要因(政治や教育、環境など)が絡み合っている。地域の課題(農業生産性が低い、雇用賃金が安いなど)のほか、世界規模の課題(不公正な貿易取引など)もある。
特徴 ・食料が急激に不足する。
・多くの人が餓死したり、重度の栄養不足に陥ったりするため、緊急の食糧支援が必要。
・ニュースなどで取り上げられるため、注目されやすい
・栄養不足人口(※)の大半を占める。
・直接の死因が飢餓ではなく(栄養不足による病死)、根本的な解決も難しい
・世界からも比較的注目されにくく、支援が後回しにされやすい

(※)栄養不足人口:正常で活動的かつ健康的な生活を維持するために必要な量の食事エネルギーが不足している人口のこと

世界で飢餓に苦しんでいる人の割合

飢餓の影響を受ける人の割合は、2021年に世界人口の9.8%(8億2,800万人)に達しています。
同年、世界人口の29.3%(約23億人)が中度または重度の食料不安に、世界人口の11.7%(約9億2,400万人)が深刻なレベルの食料不安に直面しました。

出典:食料安全保障 最新報告書世界で8億2,800万人が飢餓に直面

食料不安とは、健康的で活動的な生活を送るために必要な、安全で栄養のある食べ物を十分に手に入れることができない状態のことをいいます。

WFPでは、中程度の食料不安や重度の食料不安について、次のように定義しています。

『中程度の食料不安』食べ物を手に入れることができるかどうかわからない状態、食事を抜いたり、食べ物がなくなったりする恐れがある状態、食事の栄養面での質や量を妥協せざるを得ない状態。
『重度の食料不安:』食料が底をつき、飢えを経験、極端な場合には1日以上食べられない状態に陥ること。』

出典:国連報告書: パンデミックの年に世界の飢餓が急増 | World Food Programme

日本で飢餓に苦しんでいる人の割合

日本において、十分な食べ物がない状態で過ごしている人の割合(2017年から2020年にかけて実施された「世界価値観調査」において、「過去1年間に十分な食料がない状態で過ごしたことがあるか」という問いに、「しばしば」「時々」と答えた18歳以上の国民の割合)は9.2%です。

出典:飽食ニッポンで「飢餓」経験者が急増している

また、2018年の17歳以下の子どもの貧困率は13.5%です((※))。

さらに、2019年時点で生活が苦しいと感じている「母子世帯」は86.7%、「児童のいる世帯」は60.4%、「高齢者世帯」は51.7%でした。

出典:2.各種世帯の所得等の状況

(※)子どもの貧困率:17歳以下の子ども全体に占める、貧困線に満たない17歳以下の子どもの割合のこと。貧困線は等価可処分所得(世帯の可処分所得を、世帯人数の平方根で割った所得)の中央値の半分。可処分所得は、いわゆる手取りのこと。

一方で、本来なら食べられるのに廃棄された食品(食品ロス)は、年間522万トン(うち事業者から275万トン、家庭から247万トン)と推計されています。

出典:我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和2年度)の公表について | 報道発表資料

栄養不良で起こる事態とは

栄養不良は、必要な食料や栄養素が不足することで起こります。
特に5歳未満の子どもが陥りやすく、命に危険が及びます。

成長過程にある子どもは、成人よりも体が必要とする栄養素が多く、免疫などの機能も不十分です。

そのため、早期に治療ができない場合、ほかの病気を併発したり(はしかやマラリアなどに感染する、下痢や肺炎になるなど)、生涯にわたって心身に影響を及ぼしたりすることもあります。

【5歳未満児の死亡数】
2021年時点で、5歳になる前に亡くなる子どもの数は年間500万人です。6秒に1人、1日に約1万3,700人の5歳未満児が死亡しています。
また、1990年時点では、年間1,250万人の5歳未満児が死亡していました。
1990年時点では出生1,000人あたり93人の5歳未満児が死亡していましたが、2021年には出生1,000人あたり38人に減少しました。

出典:ユニセフの主な活動分野|保健

【5歳未満児の主な死因】
5歳未満児のほとんどが、予防や治療が可能な原因によって死亡しています。

  • 出産時の合併症
  • 肺炎
  • 下痢
  • 新生児敗血症
  • マラリア など

また子どもの死亡数のほとんどを5歳未満児が、その約半数を新生児が占めています。

出典:子どもの死亡に関する報告書発表:5歳未満で亡くなる子ども、年間540万人【プレスリリース】

【5歳未満児の栄養不良数】
2020年、5歳未満児の4,540万人が消耗症疾患に陥っています((※))。
これは、5歳未満児の6.7%に相当する数です。

(※)消耗症:栄養不良のひとつで、急性または重度の栄養不足から生じる。緊急の治療ケアを要する。

出典:日本ユニセフ協会-ユニセフの主な活動分野|栄養

世界の食料事情

世界では、全ての人を飢えさせないだけの食料が生産されています。

出典:https://ja.wfp.org/stories/jietoshipinrosuniguansuru5tsunoshishi

【例:世界の穀物生産量】
2022/23年度の世界の穀物生産量は27.3億トン、穀物消費量は27.6億トンの見込みです(2023年4月12日時点)。

穀物生産量と穀物消費量は、どちらも増加傾向で推移しています。
穀物消費量は、途上国の人口増加や所得水準の向上などによって増加しています。
穀物生産量は、主に単収の伸びによって増加しています((※))。

(※)単収:1反あたりの収穫高のこと。機械化や栽培技術の向上、品種改良など、さまざまな要因で増加します。

また、2022/23年度の期末在庫率(※)は、生産量が消費量を下回り、27.4%となる見込みです(2023年4月12日時点)。

(※)期末在庫率:「期末在庫量/消費量×100」で算出。期末在庫量が総消費量の何%をカバーできるかを表した数値のこと。需給のひっ迫や緩慢の指標となる。

出典:農林水産省-世界の穀物需給及び価格の推移

それでも世界の18.5%が中程度の食料不安に、11.9%が深刻な食料不安にあります。

出典:2.飢餓をゼロに | SDGsクラブ

食料不足にはさまざまな要因があり、各要因は相互に作用しています。

例えば、次のような要因があります。

<気候変動>
気候変動による自然災害が多発しています。
洪水や干ばつで農作物が収穫できない、土砂災害で生産した農作物が流される、予想以上の気温上昇によって保存している農作物が傷んでしまうといったことが起こります。

<紛争>
食料不安の最大の要因です。
ロシアによるウクライナ侵攻など、紛争が起こると食料が生産できません。
紛争地以外で食料を生産したとしても、紛争によって食料の輸送が妨げられます。

<経済ショック>
新型コロナウイルス感染症のパンデミックなど、経済危機になると、食料や農業生産に必要な物資を輸入できません。
世界で十分な食料が生産されていても、食料不安に陥ります。

出典:食料危機に関するグローバル報告書:食料不安の記録更新 | World Food Programme

また、世界の貧困層の8割が農村部で暮らしており、世界の貧困層の約6割が農業に従事しています。

農業生産の大部分を小規模農家が担っていますが、小規模農家の多くは、商業的な農業に移行できていません。
例えば、農作物を栽培できる期間が雨季の数か月しかなかったり、雨水などの自然に頼った農業を行っていたりします。
そのため、ビジネスとしての農業を推進し、小規模農家が農業で安定した収入を得られるようにする必要があります。

出典:みんなが豊かになる 農業を実現し 貧困と飢餓をなくす

さらに、経済的に貧しい人たちは、収入の大半を食費に充てています。
そのため、食糧価格の高騰や収入の減少によって食生活が左右されます。

出典:食糧価格高騰 −途上国の人々とWFPの支援活動への影響 | World Food Programme

このようなことから、食料は足りているのに食べられないということが起こっています。

食品ロス問題

世界では、年間25億トンの食品が廃棄されています。
これは、栽培・生産された全食品の約40%に相当します。また、2011年に発表された量(年間13億トン)の約2倍に当たります。

出典:世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること | 日本財団ジャーナル

このように、本来なら食べられるにもかかわらず廃棄される食品を、食品ロス(フードロス)といいます。

食品ロスが生まれる背景は、先進国と途上国とで異なります。

途上国では食品の生産や加工の段階で多くの食品ロスが発生します。

【途上国の食品ロスの例】
・収穫技術が低い
・厳しい環境下で貯蔵が難しい
・加工するための技術が不十分

一方で、先進国は加工や卸小売、外食、家庭の段階で多くの食品ロスが発生します。

【先進国の食品ロスの例】
・外観品質基準が厳しい
・小売店での大量陳列
・食べ残しや賞味期限切れなど、食品を簡単に捨てる余裕がある

食品ロスが増えることで、次のような問題が引き起こされます。

【二酸化炭素排出による気候変動】
食品ロスを焼却処分する際に、二酸化炭素が大量に排出されます。
世界で1年間に排出される二酸化炭素の10%を食品廃棄物(※)が占めています。
これはアメリカとヨーロッパの自動車が1年間に排出する量の約2倍に相当します。
そのため、食品ロスは気候変動に影響を与えます。
(※)食品廃棄物:廃棄される食品のうち、まだ食べられる食べ物と、もともと食べられない部分の両方を含む。食品ロスは食品廃棄物の一部。

【食の不均衡】
世界では20億人分の食料が廃棄されています。
十分な食料が生産されているにもかかわらず、世界の10人に1人が飢餓に直面しています。
つまり、先進国では多くの食料が廃棄される一方で、途上国では食料が不足しているという、食の不均衡が発生しています。

【人口増加による食料不足】
人口増加による食料不足も懸念されています。
世界の人口は、2022年11月15日に80億人に到達しました。
2030年には約85億人、2050年には97億人に増えると見込まれています。

出典:世界人口は2022年11月15日に80億人に達する見込み(2022年7月11日付 国連経済社会局プレスリリース・日本語訳) | 国連広報センター

そのため、より多くの食料を生産する必要がありますが、食料を生産するためには土地や水などの資源が必要です。

また、近年は異常気象による農作物不足も発生しています。
持続可能な食料生産システムを構築しなければ、先進国でも食料不足に陥る可能性があるといわれています。

出典:世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること | 日本財団ジャーナル

農業労働者の減少・高齢化

世界人口は増加傾向にあります。
世界人口は2080年代に約104億人でピークを迎え、2100年までそのレベルに留まると予測されました。

出典:世界人口は2022年11月15日に80億人に達する見込み(2022年7月11日付 国連経済社会局プレスリリース・日本語訳) | 国連広報センター

このような人口増加や経済発展によって、世界の食料需要量は2010年比で1.7倍になると予測されています。

出典:2050年における世界の食料需給見通し

一方で、農家の高齢化や人手不足が世界的に課題となっています。
日本の場合、2020年の基幹的農業従事者(※)は136万3千人です。2015年と比べて22%、2005年と比べて39%減少しています。
また、2020年の基幹的農業従事者数のうち、65歳以上が全体の70%を占めています。

(※)基幹的農業従事者:ふだん仕事として、主に自営農業に従事している人のこと

出典:(1)基幹的農業従事者

雇用総数に占める農業労働人口は多くの国で減少していますが、世界消費量は人口の増加や所得水準の向上によって、増加傾向にあります。
そのため、農業の効率化と生産性の向上の重要性が世界的に高まっています。

出典:Employment in agriculture (% of total employment) (modeled ILO estimate) | Data

食料安全保障

食料安全保障(Food Security)は、FAOにおいて次のように定義されています。

『全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能であるときに達成される状況。』

出典:日本と世界の食料安全保障

全ての人が安全で栄養のある食料を十分に手に入れられるようにするには、次の4つの要素を満たす必要があります(FAOの食料安全保障4要素)。

  1. AVAILABILITY(供給):十分な量の食料が供給されている
  2. ACCESS(アクセス):食料を入手することができる
  3. UTILIZATION(利用):安全で栄養価の高い食料を食べることができる
  4. STABILITY(安定):いつでも食料を入手することができる

出典:FAOの定義(Food Security)

日本の場合、国民に対して食料安定供給を確保することは国の責務と位置づけられています。

しかし、食料需給の増大や輸入の途絶、気候変動による生産減少など、国内外のさまざまな要因が食料供給に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、「食料・農業・農村基本法」では、次のような規定が設けられています。

【食料の安定供給の確保】

  • 将来にわたって、良質な食料を合理的な価格で安定的に供給すること
  • 世界の食料の需給や貿易には不安定な要素があるため、国内の農業生産の増大を図ることを基本に、輸入や備蓄を適切に組み合わせて行うこと
  • 不測の要因によって国内の需給がひっ迫したときも、供給の確保を図ること

【不測時における食料安全保障】

  • 国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するために、必要な施策を講じること

出典:食料安全保障とは:農林水産省

SDGs目標2「飢餓をゼロに」の具体的な目標とは?

SDGsの目標2「飢餓をゼロに」のポイントは、次の3つです。

  1. 飢餓を終わらせること
  2. 食料安全保障や栄養改善を実現すること
  3. 持続可能な農業を推進すること

ターゲット

SDGsには、17の目標と169のターゲットがあります。
ターゲットのうち、2.1などの数字は各項目の達成目標を、2.aなどのアルファベットは実現のための方法を示しています。

【目標2「飢餓をゼロに」のターゲット】

2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層および幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2 5歳未満の子どもの発育障害や衰弱について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養失調を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦および高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3 2030年までに、土地その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場および高付加価値や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民族、小規模な家族経営の農家、牧畜家および漁師をはじめとする、小規模食糧生産者の農業生産性および所得を倍増させる。
2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水およびその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源およびこれに関連する伝統的な知識へのアクセスおよびその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発および植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金および同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正および防止する。
2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場およびデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

出典:JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

【目標2「飢餓をゼロに」のターゲットの要点】

2.1 2030年までに飢餓をなくす
2.2 2030年までに5歳未満児、妊婦、授乳婦、高齢者などの栄養失調をなくす
2.3 2030年までに小規模食糧生産者の農業生産性と所得を倍にする
2.4 2030年までに持続可能な食料生産の仕組みをつくる
2.5 2020年までに種子、栽培植物、家畜の遺伝的多様性を維持する。このような資源に関する知識や、知識から生まれる利益を公正に使って分配できるようにする
2.a 農村インフラ、農業研究や普及サービス、技術開発、植物や家畜のジーン・バンク(遺伝子の保存)への投資拡大
2.b 農産物の貿易における制限や歪みを正す
2.c 市場を適正に機能させたり、市場情報をいつでも簡単に見られるようにしたりする

飢餓をゼロにするための取り組み事例

飢餓をなくすための取り組み事例を4つ紹介します。

子ども食堂

子ども食堂は、子どもたちに栄養のある食事を提供する場のことです。
貧困家庭や孤食の子どもが対象ですが、近年は親や地域の人たちなどが利用できる食堂も増えています。
育児中やひとり親家庭の母親、高齢者が多く利用している食堂もあります。
子ども食堂の数は、2022年時点で7,300か所を超えています。

出典:2022年度子ども食堂全国箇所数発表(2023年2月 確定値)|新着情報 – むすびえ

【子ども食堂の特徴】

  • 子どもが1人で利用できる
  • 食事代は無料または安価
  • 地域のボランティアや自治体が主体

【子ども食堂の主な役割】

  • 子どもへの食事提供
  • 食育など、さまざまな学びの支援
  • 地域交流

【子ども食堂の主な課題】

  • 来てほしい家庭の子どもや親に参加してもらうことが難しい
  • 運営費の確保が難しい
  • 運営スタッフの負担が大きい

出典:子ども食堂の役割。医師が考える食を通じた「健全な社会づくり」 | 日本財団ジャーナル

▼子ども食堂について、詳しくはこちら
子ども食堂とは?現状や役割を初心者向けに徹底解説

フードバンク

フードバンクとは、食べられるのに流通に出すことができない食品(※)を企業や一般家庭などから寄贈してもらい、施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動のことです。

(※)包装の破損や印字ミス、過剰在庫、販売期間切れ、規格外品など

アメリカでは1967年に、フランスでは1984年に、日本では2000年頃に開始されました。
2019年11月時点で、110団体が国内で活動しています。

出典:フードバンク活動の現状と課題

フードバンク活動の背景には、食品ロス問題や貧困問題があります。
【提供する側の効果】

  • 社会貢献によるモチベーションの向上
  • 廃棄コストの削減
  • CSR(※)活動

(※)CSR:企業が行う活動の社会的責任のこと。社会貢献や環境への配慮など
【提供を受ける側の効果】

  • 健康的な食事が確保できる
  • 食費以外の生活費を捻出できる
  • 社会からの孤立を回避できる

団体数が増加している一方で、食品取扱量はあまり増えていません。

食品の量が不足している理由として、次のような課題が挙げられています。

【フードバンクの課題】

  • 食品取扱量の不足
  • インフラ整備の不足
  • 人手不足
  • 運営費の不足
  • ノウハウの不足
  • 食品寄贈に伴う法的リスク(食中毒など、食品事故が起きたときに責任を問われる)

出典:フードバンク実態調査事業 報告書

▼フードバンクについて、詳しくはこちら
全国各地のフードバンクを一挙紹介!利用方法も簡単に解説

Table for two

TABLE FOR TWO(TFT)は、先進国で1食とるごとに途上国に1食が贈られるプログラムです。
2007年に日本で創設され、累計9,500万食以上の学校給食が届けられています。
TFTプログラム対象商品を購入すると、1食あたり20円(支援地域での給食1食分に相当)が寄付され、TFTを通じて途上国の子どもの学校給食になります。
TFTプログラム対象商品はカロリーが抑えられているため、世界中で増加している肥満や過体重の防止にもつながります。

【TFTの役割】

  • 学校給食支援
  • 教育の機会確保(学校給食提供による就学率や学業成績の向上)
  • 農業支援(学校菜園や地域菜園の設置と指導)

公式サイト:TABLE FOR TWO

アメグミ

株式会社アメグミは、独自OSのスマートフォンを開発、販売しています。
2016年に設立され、農家などにスマートフォン「SUNBLAZE Phone」を普及させるための取り組みを行っていました(現在は新型コロナウイルスの影響を受けて撤退)。
スマートフォンを持つことで、農業の知識を調べて実践するなど、農家の生産性向上や収益向上が期待できます。

【SUNBLAZE Phoneの特徴】

  • 娯楽アプリが制限されている
  • 低価格
  • 安定的に動作する(最低3年間の動作保証)

公式サイト:サンブレイズ

飢餓をゼロにするためにできること

飢餓をなくすために、さまざまな取り組みが行われています。
ここでは3つの取り組みを紹介します。

AIを活用した食品ロス削減

AI(人工知能)技術を活用して、さまざまな企業が食品ロス削減に取り組んでいます。

食品ロス削減につながるAI技術には、例えば、NECが開発した「異種混合学習」があります。
これは、多種多様なデータから規則性を自動的に導きだして、その規則性をもとに高精度な予測を行う技術です。
さらに、予測の根拠を知ることもできます。

この技術を食品スーパーで活用した場合、天候や曜日、気温などのデータをもとに予測を立てられます。
高精度な予測によって需給が最適化されるため、在庫過剰による食品ロスや、食品ロスにともなう廃棄コストなどを抑えることが可能です。

出典:食品ロスを解決するNECのAI(需要予測)

食料を再配分

フードバンク活動など、食料の再分配も飢餓をなくすことにつながります。

例えば、アメリカで活動しているNPO法人「Rescuing Leftover Cuisine(RLC)」では、飲食店からは売れ残りを、企業からはケータリングの余りを寄付してもらい、ホームレスシェルターや教会に届けています。
少ない量でも寄付できるため店側の協力を得やすく、2019年は130万食を提供しています。
また、廃棄される食品を減らすために、店側に寄付内容のレポートが毎月渡されています。

出典:食料を再分配して無駄のない世界へ!アメリカで実現した食品ロスの活動

【アメリカの食品ロスと貧困率】
2018年のアメリカの食品ロス・廃棄量は1億300万トン(※)1ある一方で、2021年のアメリカの貧困率(国勢調査局が定めた年間所得を下回る世帯人口)は11.6%(※)2に達しています。

(※)1 出典:諸外国における食品ロス削減に関する 先進的な取組についての調査業務 報告
(※)2 出典:2021年の米貧困率、11.6%で2年連続の上昇、ジニ係数は1.2%上昇(米国) | ビジネス短信

フェアトレード食品

フェアトレード食品を選ぶことも、飢餓をなくすことにつながります。
フェアトレード食品には、コーヒーやバナナ、コットン製品などがあります。
国際フェアトレード基準(フェアトレード全般に関する基準)を満たした商品には、認証ラベルが付いています。

フェアトレードとは
公正で公平な貿易の仕組みのことをフェアトレードといいます。
途上国で生産された日用品や食料品が安く販売されている背景には、生産者に正当な対価が支払われていない、生産性を上げるために環境が破壊されている、生産者の健康が脅かされるなどの問題が生じています。
このような問題を解決するために、生産者の労働環境や生活水準の保証と、環境に配慮した持続可能な取引を行う必要があります。
フェアトレードでは、途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入し、途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指しています。

▼詳しくはこちら
フェアトレードとは?世界の貧困をなくす取り組みとSDGsの関係を解説

飢餓対策への支援

飢餓をなくすために、さまざまな方法で支援が行われています。
支援方法や支援団体を3つ紹介します。

【国連WFPのアプリ】SHARETHEMEAL

「ShareTheMeal」は、国連WFPが提供するアプリです。
スマホ画面を数回タップするだけで、支援を必要としている人にお金を寄付することができます。
お金を寄付することで、国連WFPから食事を届けてもらうことができます。
2015年に設立され、1億7,500万食以上の食事が届けられています。

公式サイト:ShareTheMeal

全国こども食堂支援センターむすびえ

認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」は、子ども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくることをビジョンに、2018年に設立されました。
各地域の子ども食堂ネットワークの支援や、企業・団体による子ども食堂への支援の橋渡し、子ども食堂の意義や実態を伝えるための調査研究や啓発を行っています。
個人の場合、お金のほかに、ポイントや物品で活動を支援することもできます。

公式サイト:むすびえ

FAO飢餓撲滅草の根募金

「FAO飢餓撲滅草の根募金」は、FAOが各国で実施する飢餓撲滅プロジェクトです。
集まった募金は、途上国にあるFAOの国別事務所や地域事務所に集められ、支援を必要とする国のプロジェクト(途上国や地域の支援)に使われます。
世界中から集まった寄付金は、所得が低く食料不足に直面している国の食料増産と、貧困農家の自立を促すための少額プロジェクトに活用されます。

【寄附金提供までの流れ】

  • 途上国の政府や地域コミュニティなどが地元の要望をFAOの事務所長に提出
  • 所長は内容を吟味して、妥当であればプロジェクト案を策定
  • 内部承認を得る(地域事務所の技術審査など)
  • プロジェクトに対する飢餓撲滅草の根募金の寄付金が提供される

出典:募金のしくみ | 国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

SDGsの目標2を達成するためにできること

飢餓は経済とも密接に関係しており、貧困は連鎖します。
さらに、世界人口の増加や気候変動などによって、先進国でも食料の確保が課題となる可能性も示唆されています。
世界には飢餓をなくすことができるだけの食料が生産されている一方で、必要としている人のもとに届かずに廃棄されている食品が多くあります。
飢餓をなくすためにスマホから寄付を行う、食品ロスを減らす、フェアトレード食品を選ぶなど、今すぐに始められる取り組みもさまざまあるため、無理なく続けられる支援方法を見つけてみましょう。

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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