SDGs 目標12「つくる責任、つかう責任」の目標達成に向けてできること
SDGs目標の12「つくる責任、つかう責任」とは環境に配慮しつつ、資源を大切に有効活用し、社会のニーズも満たすための開発を目指すことです。
「つくる責任、つかう責任」は、世界中で起こっている食品ロス問題や、有価物をゴミとして投棄するゴミ問題など消費される資源が供給を上回っており、将来のための食料や資源の確保を目的としています。また、有害物質などの放出を抑え、環境にも配慮した開発が求められており、世界中でさまざまな取り組みが行われています。
目次
「つくる責任、つかう責任」が必要である世界の現状
私たちの周りにあるさまざまなものは、多くの資源を使い作られています。しかし、これらの資源は地球が一年間で生産できる量の約1.7倍と言われており、今と同じスピードで資源を使い続けることは資源の枯渇につながるのです。
生産、消費、廃棄の過程で発生する有害物質や大量の廃棄物、食品ロスと飢餓など、世界中で取り組むべきさまざまな問題があります。
「つくる責任、つかう責任」の課題
「つくる責任」として、さまざまな分野で資源効率を上げ、持続可能な循環型社会への移行の取り組みが始まっています。循環型社会への移行を実現するためには、消費者も家庭での暮らしを見直し、循環型社会への取り組みに参加しなくてはなりません。
生産者の「つくる責任」だけではなく、消費者も「つかう責任」として資源効率をあげ、再資源化や食品ロス問題に取り組むことが課題となっています。
大量の食品ロスと飢餓に苦しむ人々
食品ロスは世界中で大きな問題となっています。生産される食料の1/3は食品ロスとして廃棄されており、日本での食品廃棄量は年間600万トン、世界での食品廃棄量は年間13億トンにも上ります。しかし、多くの食品が廃棄される一方で、世界では九人に一人が飢えに苦しんでいるのが現状です。(注1)飢餓と言っても、日本ではなかなか身近に感じられないかもしれません。しかし、日本でも七人に一人の子供が貧困などの理由で、食料が十分に行き届いていないのです。(注2)
食品ロスは、飢餓の問題だけではなく環境問題も生んでいます。廃棄される食品を焼却する際に発生する温室効果ガスは、一年間に排出される温室効果ガスの約10%に当たります。これは、アメリカとイギリスで、自動車から排出される一年間の温室効果ガスとほぼ同じ量にあたり、食品ロスは地球温暖化の一因にもなっているのです。(注3)
生産された食料の約1/3が廃棄される多くの原因は、開発途上国では収穫技術や貯蔵、運搬時の温度管理などの技術の問題による食品ロスが多く、先進国では余剰分など、まだまだ食べられる食品の廃棄による食品ロスが多くなっています。日本での年間600万トンの食品廃棄量は、多くの食品を輸入に頼る一方で、一日に一人あたり茶碗一杯分の食品ロスを出している計算です。家庭でも、余剰な買い物を控え、消費期限を把握し、廃棄される食品を減らすことが求められています。
(注1)参考:農林水産省 食品ロスの現状を知る
(注2)参考:消費者庁 食品ロス削減関係参考資料
(注3)参考:世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること | 日本財団ジャーナル (nippon-foundation.or.jp)
▼食品ロスについて、詳しくはこちら
食品ロスの現状から原因・対策、私たちにできることまで徹底解説
▼温室効果ガスについて、詳しくはこちら
温室効果ガスによる問題と解決へ向けた世界での取り組み
大量生産と大量消費の現状
大量の物があふれる現代社会ですが、この大量生産を支えるための資源確保が問題となっています。例えば、身近なトイレットペーパーなどの紙製品を生産するために、毎週、東京都と同じくらいの面積の森林が破壊され、さらに破壊された森林の一部は砂漠化しているのです。(注1)
森林破壊や砂漠化は、現地で生活している人々の生活にも大きな影響を及ぼします。また、石油や石炭、といった天然資源の枯渇を防ぐためにも、新たな資源を使うのではなく、今ある資源を循環し再利用するという「循環型社会」への移行が求められています。
大量消費によるゴミの問題も、世界中で取り組むべき問題です。(注2)特にプラスチックゴミは自然界では分解されず、海への流出もおこっています。海の生態系を守るためにも、ゴミの問題解決が必要です。また、開発途上国では処分施設が足りておらず、ゴミの処分が追いついていません。適切な処分がされず、ゴミが山積みとなっている場所も多くあり、中には有害な物質を発生させるものも含まれています。その有害な物質が雨により、川や海へ流れ出ているのです。
(注1)参考:今日、森林破壊を止めるためにできること
(注2)参考:環境省_令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第3章第1節 プラスチックを取り巻く国内外の状況と国際動向 (env.go.jp)
リサイクルの現状
日本でのプラスチックにおけるリサイクル率は85%と言われていますが、プラスチックなどを固形燃料として使い、焼却時の熱を利用するというサーマルリサイクルが約61%と大部分を占めているのが現状です。(注1)サーマルリサイクルでは、プラスチックを資源として再度活用できないだけではなく、石油から作られるプラスチックを燃やすことで温室効果ガスを排出してしまいます。さらに、リサイクル原料として海外輸出も行われていますが、処理施設が整っていない開発途上国への輸出も行われており、環境汚染へとつながっているのです。
日本は、アメリカに次ぐ世界2位のプラスチックゴミの排出国となっています。その日本において、多くのプラスチックが再利用されずにゴミや、燃料となり再資源として利用されていないのが現状です。
(注1)参考:プラスチック循環利用協会
化石燃料の枯渇
石油と天然ガスは、今の消費スピードで使い続けると五十年後には枯渇すると考えられており、早急な対策が必要です(注1)。
私たちが一年間で使っている資源は、地球が一年間で生産できる資源の1.7倍と言われています。このままでは、近い将来に資源が枯渇してしまうのです。これまでは、大量の原料を採取し、大量の製品を生産、使用後は再利用することなく大量廃棄という仕組みでした。しかし、今後は資源の枯渇から未来の生活を守るために、今ある資源を大切にし、廃棄を抑えた社会へと変わる必要があるのです。
日本は天然資源に乏しく、約8割の燃料を輸入に頼っています。最近では、電気代の高騰など、節電や省エネ対策が一般家庭でも身近な問題となってきました。家庭でもエネルギーのムダや、資源のムダに考慮した生活が必要です。
(注1)参考:エネ百科キミと、未来と 第1章 世界および日本のエネルギー情勢
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」のターゲットの解説
「つくる責任、つかう責任」は12のターゲットからなり、ターゲットの12.1から12.8は目標、12.aから12.cは目標達成への方法を表しています。
ターゲット12.1
先進国が主導し、途上国の開発状況、対応力に合わせ10YFPに対して、すべての国で行動する
解説:10YFPとは、2012年に国連加盟国で採択された10年計画枠組(10YFP)です。10YFPへの取り組みとして、各国からの拠出金で設立された基金を通じ、(注1)10年でライフスタイルと教育、公共調達、建物と建設、観光、フードシステムにおいて持続可能な生産と消費のバランスを保つことを先進国が主導し、目標達成を目指すこと。
(注1)参考:【引用元】SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書/蟹江憲史 著 P106
ターゲット12.2
2030年までに、天然資源を管理し持続的に効率よく利用できるようにする
解説:2030年までに、資源効率を上げ、生産の段階から省資源化や再資源化を考えた製品などの製造をすることで、使用する資源を減らし、温室効果ガスの発生も抑え、また、消費者は、持続可能な製品や公正な労働環境に配慮された製品を選ぶことで目標達成を目指すこと。
ターゲット12.3
2030年までに1人当たりの食品ロスを半減させ、収穫後に販売店や飲食店への輸送中に起こる食品の廃棄や損失を減らす
解説:食品ロスの削減をすることで、飢餓問題や温室効果ガスの削減につなげ、食品ロスを削減するために、収穫、流通、消費の各段階での適切な管理を行うことや、廃棄される食品の再利用、消費者への啓発を行い、持続可能な食料の調達を目指すこと。
ターゲット12.4
2020年までに、国際的な取り決めにしたがって、化学物質やゴミを適正に管理し、環境や健康への影響を最小限にするために、大気、土壌、土へ化学物質やごみが排出されることを減らす
解説:製品の製造、使用、廃棄の際にも化学物質が発する可能性があり、国際的な取り決めによる化学物質の制限や、環境への影響が少ない代替物の開発を行い、環境や健康への影響を減らし、製品を作る際の排出ガスや汚染された廃水の削減、浄化技術の向上を目指すこと。
ターゲット12.5
2030年までに廃棄物を減らし、リサイクルやリユースによってゴミの発生する量を大幅に減らす
解説:製品の製造段階からリサイクル可能なデザインにすることや、リサイクル技術の向上などにより、ゴミとして廃棄されるものを減らし、資源として再利用することでゴミの削減を目指すこと。
ターゲット12.6
大企業や多国籍企業に持続可能な取り組みを導入し、会社の定期的なレポートに持続化可能な情報を含めるよう勧める
解説:大企業や多国籍企業は、ビジネスの中でSDGsへの取り組みが求められており、持続可能な取り組みを定期報告に盛り込むことで、進捗状況の評価や改善するための指針とすることを目指すこと。
ターゲット12.7
国の政策や優先事項にしたがい、国や自治体がものやサービスなどを持続可能なもので調達することを勧める
解説:国や自治体が税金を使いものやサービスを購入する際に、環境へ配慮されたものや公平な労働環境であるかを考慮して購入することを目指すこと。
ターゲット12.8
2030年までに、あらゆる場所で人々が持続可能な開発、自然と調和したライフスタイルに関する意識と情報を持つようにする
解説:各国の教育カリキュラムに、持続可能な開発のための教育を盛り込むことや、メディアが協力し情報を発信することによって、人々が環境に配慮した生活を意識することを目指すこと。
ターゲット12.a
開発途上国が、より持続可能な消費、生産の形態が作れるよう科学的、技術的な能力の強化を支援する
解説:開発途上国へ、クリーンエネルギー技術や農業開発技術などの能力の強化を行い、より持続可能な消費、生産の形態がつくれるように支援をすること。
ターゲット12.b
雇用を創出し、地方の文化や特産品の販促につながる持続可能な観光業に対して、持続可能な開発がもたらす影響をはかるための方法を開発し、実行する
解説:持続可能な観光業とは、安定した雇用を生み出し、環境、文化、歴史的な遺産などへの保全が配慮され、また、観光客の満足度も高い観光業のこと。このような観光業に対する持続可能な開発がもたらす影響を計算するツールを開発すること。
ターゲット12.c
開発途上国のニーズや状況を考慮し、貧しい人やコミュニティへの影響を最小限にしつつ、資源のムダ使いにつながるような有害な補助金などがあれば、環境への影響を考え、段階的に廃止したり、各国の状況に応じて税金の制度を改正したりする
解説:開発途上国では、経済的に厳しい状況などから、税金が資源のムダにつながるものでも必要な場合があるため、環境や労働者、現地の生活への影響を考慮しつつ、段階的に廃止や、税金の制度を改正すること。
「つくる責任」への取り組み
世界中で食料や資源をムダにしないための、さまざまな取り組みが行われており、日本でも、国や地域、企業が目標達成に向け、法整備や再資源化、省資源化などの取り組みを行っています。
また、国産のエネルギー源であり、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの供給を増やすため、多くの課題に取り組んでいます。
食品ロス解決に向けた法整備
食品ロスに対する取り組みとして設けられた「食品リサイクル法」は、売れ残りや食べ残しなどの廃棄分を削減し、さらに飼料などに再利用することを促進する法律です。また、食品ロス削減の推進や基本的な施策などが盛り込まれ、国や地方自治体などに、食品ロス削減の責任を明らかにした「食品ロス削減推進法」により、2030年までに食品ロスを半減させるという目標が設定されています。
食品ロスへの取り組みの実例
食品ロスへの取り組みは、日本だけではなく世界中にさまざまなものがあります。日本でも、スーパーなどでは規格外となり、今までは販売されていなかった野菜や果物を、規格外品として安く販売したり、ネット上で賞味期限間近な食品を購入希望者へ販売したりという活動が行われています。
また、最近増えてきているフードバンクは、安全に食べられる状態でも包装の問題、販売期限切れ、余剰在庫などの理由で廃棄されていた食品を企業が寄贈し、必要としている団体、困窮世帯に無償で提供する活動です。フードバンクの活動は食品ロスだけではなく、生活困窮者の支援にもなっているのです。
フードバンクと似ている活動で、フードドライブという活動も行われています。フードドライブは、フードバンクと違い一般家庭から余剰分の食料を集め、フードバンクに寄付する活動です。自治体によっては、余りやすい食品を使ったレシピを紹介しているところもあります。また、災害用の備蓄食品も賞味期限が近くなった場合に、自治体の団体へ無償で寄付する活動もあります。(注1)
(注1)参考:消費者庁食品ロスの削減の推進に関する法律/食品労削減の推進に関する基本的な方針 P7
資源を循環させるサーキュラーエコノミー
サーキュラーエコノミーとは資源の循環と、経済成長の両方を目指す国際的な考え方です。
(注1)
- 資源の消費を最小限に抑え、廃棄物と汚染の発生をなくす
- 製品や素材を廃棄することなく使い続ける
- 資源を循環する中で付加価値を加え、経済成長と環境負荷の低減を図る
リデュース、リユース、リサイクルと違い、サーキュラーエコノミーは廃棄されることのない資源の循環と、経済の発展と成長を目的としています。
いくつかの企業もサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れており、包装容器を従来のプラスチックから、バイオマスプラスチックを多く使用したものへ移行する取り組みをしています。
(注1)参考:環境省 循環社会への移行
資源を廃棄しないクローズド・ループ・システム
クローズド・ループ・システムとは、資源を採掘し、製品を作り廃棄するという流れではなく、これまで廃棄していた製品を再度資源として活用する流れをループに見立て、サーキュラーエコノミーと同様に、廃棄する資源をゼロにするという考えです。
クローズド・ループ・システムでは、廃棄される資源をゼロにし、循環させ再資源化することで、新たな資源の採掘を可能な限り避けられます。実際に、ペットボトルからペットボトルへ再生する取り組みでは、石油の使用量を90%削減し、二酸化炭素の排出量を60%削減することに成功しています。(注1)また、製品と、製品の包装に100%リサイクル可能な材料を使う取り組みも行われています。
(注1)参考:環境|全清飲 (j-sda.or.jp)
二酸化炭素をゼロにするカーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは、製造時や焼却時に排出される二酸化炭素の量と、森林管理などにより吸収される二酸化炭素の量により、二酸化炭素が実質ゼロになることです。
例えば、木材は焼却の際に二酸化炭素を発生しますが、木材の材料となる木は成長過程において、二酸化炭素を吸収しているため、結果として二酸化炭素が増えていないという考え方です。
家庭でも、カーボンニュートラルへの取り組みはできます。まずは、二酸化炭素の排出量を抑えるために、節電を行ったり、古い家電は、より節電を意識した新しい家電に交換したり、照明器具を白熱灯からLEDライトへ交換することも節電になります。また、自家用車ではなく、自転車や公共交通機関を使うことでも発生する二酸化炭素を抑えられます。
日本では、2050年までにカーボンニュートラルを達成を目指し、排出した二酸化炭素を吸収し、実質ゼロにするとしています。そのため、2025年までに政策を総動員し、国が人材、資金、情報を積極的に支援することとしています。(注1)
(注1)参考:環境省 脱炭素ポータル
ものやスキルをシェアするシェアリング・エコノミー
シェアリング・エコノミーとは、個人が所有するものや、場所、スキルなどの活用可能資産を、インターネット上で必要とする人へ、提供や売買するシステムのことです。
家事や育児の代行、空き部屋や駐車スペースのシェアなどがあります。個人や企業が保有している不要なものなどを、シェアし活用する取り組みなどもあり、最近増えているカーシェアやシェアサイクルなどもシェアリング・エコノミーです。
ひとつのものを共有することで、多くのものを生産せずに済むため資源の節約、また、生産時に発生する温室効果ガスの削減につながります。
シェアリング・エコノミーについて、詳しくはこちら▼
シェアリングエコノミーとは?受けられるメリットやサービス例を紹介
再生可能エネルギーの強みと課題
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどから作られ、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できる国産のエネルギーです。日本でのエネルギー自給率は2017年で16%となっており、不足するエネルギーをまかなうために化石燃料の多くを輸入に頼っているのが現状です。(注1)
そのため、国では国産のエネルギー源である再生可能エネルギーの割合を、2030年までに36%から38%に引き上げることを目標としています。(注2)
(注1)参考:資源エネルギー庁再生可能エネルギーとは
(注2)参考:資源エネルギー庁エネルギー基本計画の概要
- 太陽光発電:太陽光を利用して発電を行う方法
- 風力発電:風の力で風車を回し、風車の回転運動を発電機に伝え発電を行う方法
- 水力発電:河川などの高低差を利用して、水の力で水車を回し、その回転動力で発電を行う方法
- 地熱発電:火山活動などの地熱による蒸気を利用し、タービンを回転させ発電を行う方法
- バイオマス発電:バイオマスとは、動植物から生産される生物資源の総称で、バイオマスを直接燃焼や、ガス化させることで発電させる方法
これらのエネルギーは、環境に優しいことなどの強みがある再生可能エネルギーですが、以下のようなさまざまな課題もあります。
再生可能エネルギー | 強み | 課題 |
太陽光発電 | メンテナンスが簡単に行える。 非常用電源として利用可能。 |
発電量が天候に左右される。 一定の地域に集中すると、送配電系統の電圧が上昇し、対策に費用がかかる。 |
風力発電 | 大規模に開発する場合、火力や水力と同じくらいコストを抑えられる。 風があれば、いつでも発電できる。 |
広い土地が必要。 風の状況などの適地が集中しているので、広域での連携が必要。 |
水力発電 | 安定して、長期間の運転が可能。 エネルギー変換効率が高い。 |
発電機を設置する際の水利権などの手続きが煩雑。 メンテナンスなどの費用がかかる。 |
地熱発電 | 出力が安定しており、大規模な開発が可能。 昼夜関係なく、いつでも発電できる。 |
開発期間が長い。 温泉などの施設と開発地が重なるので、開発地との調整が必要。 |
バイオマス発電 | 資源を有効活用できる。 天候に左右されにくい。 |
原料の安定供給、収集や運搬などにコストがかかる。 |
参考:制度の概要|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー (meti.go.jp)
消費者としてできること
大量生産されたものは安価であるものが多く、安価であるために少しの壊れや汚れなどで、新しいものを購入することがあります。しかし、その背景には大量の資源が投入され環境破壊と大量消費が起こり、ゴミの問題へとつながるのです。ものを大切にし、不必要なものは安価でも購入しないこと、手直しできる壊れであれば修理をして長く使用することも省資源化になります。
ゴミの問題や省資源化、再資源化への取り組みは、国や企業だけではなく、すべての消費者が当事者意識を持って取り組むべき問題です。
エシカル消費を意識した買い物をする
エシカル消費とは、地域の活性化や人権、環境に配慮された製品を選択、購入する消費の方法です。環境などに配慮された製品の包装、説明書に書かれたシンボルや図形で購入者へ伝えることを目的とした「環境ラベル」があり、買い物の際に製品を選ぶ基準として取り入れましょう。
「環境ラベル」(注1)の一例
カーボンニュートラル認証ラベル | 温室効果ガスに配慮された商品 |
FSC認証マーク | 適切に管理された森林からの資源であり、違法伐採などの木材が含まれていない製品 |
バイオマスマーク | 動植物から生産された資源のバイオマス素材を使い、品質、安全性などが基準を満たしている製品 |
再生紙使用マーク | 古紙パルプを100%使用している製品 |
レインフォレスト・アライアンスマーク | 森林の保護や労働者の人権、気候危機への緩和と適応など、持続可能な農業を推進している製品 |
エコマーク | 生産から廃棄までのサイクル全体を通し、環境負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた製品 |
環境ラベルが付いているオーガニックな製品や、環境に配慮して生産されたことを表示した製品を選ぶことで、生産者の人権や健康を守り、環境への負荷を減らすことにつながります。
(注1)参考:環境省環境ラベル等データベース
不要なものは増やさず、資源はリサイクル
家庭から出るゴミは、令和元年で4,274万トン、一人当たり一日に一キロのゴミを出している計算です。(注1)家庭でのムダを省き、使えるものは多少の故障であれば修理して使うなど、できることから始めてみましょう。
サーキュラーエコノミーやクローズド・ループ・システムの考えから、廃棄される製品をゼロに近づけるために、家庭でも以下のような取り組みができます。
<リフューズ>
不要なものは断り、ムダな資源を使わないようにすることです。マイバッグを使いビニール袋を断ること、使用しないお手拭きや、過剰包装を断ること、使う予定のない試供品は断ることで、ゴミの削減につながります。
<リデュース>
不要なものをもらわない、買わないようにして、ゴミを減らすことです。安いからと多く購入し、使用可能期限内に使用せずにゴミとなることがあります。必要かをしっかりと考えて購入しましょう。
<リユース>
一度使ったものをそのままの形でもう一度使うことです。空になった製品の詰め替え用の購入や、洋服などのお下がりもリユースです。また、利用する人が増えているインターネット上でのフリーマーケットの利用もリユースになります。
<リペア>
壊れてしまったものでも、修理してもう一度使用することです。簡単に修理できるものであれば、もう一度修理してものを長く使うことで、ゴミの削減になります。
<リサイクル>
製品を別のものに生まれ変わらせることです。スーパーやお店で資源の回収ボックスが設置されていることが多くあります。家庭で使用した食品トレー、ペットボトル、ビン、缶、紙パックなど多くのものをリサイクルできます。
ゴミとせず、買い物へ行く際に資源回収ボックスへ持って行くことで家庭でのゴミを減らし、再資源化できます。
<レンタル>
必要なものを購入する前にレンタル用品を検討しましょう。使用期間が限られている旅行用品や子供用品などレンタル可能なものはたくさんあります。買わずにレンタルすることで、省資源化につながり、また購入するよりも出費を抑えられます。
まずは、ゴミとなるものを減らすこと、しっかり最後まで使用すること、使用後はできるだけ再資源化できる方法で処理することが、資源の確保につながります。資源の確保は国や企業だけではなく、家庭でもしっかりと取り組みましょう。
(注1)参考:環境省一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について
食品ロスを減らす
食品ロスは家庭でも取り組むべき問題です。まずは、買い物の際に食べきれる量と、食べきれる期限のものを確認しながら購入しましょう。安くなっていても、食べる予定がない食品は購入しないことで、食品ロスを減らすことができます。また、スーパーなどで「テマエドリ」と言われる運動があります。買い物の際、奥の方に陳列されている食品は手前のものより賞味期限が長いことが多いですが、賞味期限内に食べるのであれば、手前の賞味期限が近い商品の購入をしましょう。
家庭でも、作りすぎを控え、保存可能期間内に食べきるように考え、食べられる部分は捨てずに調理して食べるようにすることも大切です。余ってしまった料理もリメイクするなどの工夫をすることで、再度おいしく食べられます。
自治体のホームページなどでも、余りやすい食品のレシピを公開していることがありますので、参考にして食品ロスを減らしましょう。外食の際にも、食べきれる量を考えて注文することが大切です。
家庭での節電
世界情勢の悪化による調達コストの値上げや国内の料金制度によって、電気料金が高騰していま
す。電気料金の値上げにより、節電を意識する方も増えているでしょう。家庭でも、さまざまな方法で節電に取り組むことも、燃料の節約につながります。すべての家庭が1%の節電をすると、毎日、コンビニ1万5000店舗で使用する電力を節約できます。(注1)
家庭での、消費電力の5割以上を占めるのは、エアコン、冷蔵庫、照明機器です。(注2)家庭では、エアコンの使い方を工夫し、夏は設定温度を下げ過ぎず、扇風機と併用するなどしましょう。冬は、重ね着をするなど、設定温度を上げ過ぎないことで、約5%の節電になります。また、エアコンのフィルターを定期的に掃除することで約2%の節電ができます。
冷蔵庫も設定温度を低くし過ぎないことで、約1%の節電になります。冷気が逃げないように扉を長い時間開けたままにしないことも大切です。(注1)
照明機器も、不要な照明はこまめに消すことや、明るさを調整できる照明機器は、明るさを落とすことで約3%の節電になります。そのほかにも、家電を使わない時は主電源から切ること、コンセントを抜くことで待機電力を節電できます。
(注1)参考:資源エネルギー庁省エネポータルサイト
(注2)参考:資源エネルギー庁省エネルギー政策について
環境のために意識した暮らしをしましょう
SDGsの理念「誰一人取り残さない」とは「すべての人が行動を起こす」ということでもあります。まだ記憶にも新しい、新型コロナウィルスの流行による「マスク不足」では、いつもあるものが突然手に入らずに困ったという方が大勢いました。天然資源も有限であり、いつまでも使えるものではないのです。
「つくる責任」として国や企業がさまざまな取り組みをしていますが、消費者が「つかう責任」として家庭からもできることを行動に移し、買い物の仕方や、ゴミと資源の分別を意識し、食事は必要な分だけを準備し、ムダなエネルギーは使わないことで、資源の確保や、将来の生活を守ることができるのです。ただし、日々の生活で無理をしては続けられません。一人一人ができることを考え、しっかりと意識した生活をしていきましょう。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。