SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」現状や取り組み、私たちにできることを解説

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」現状や取り組み、私たちにできることを解説

2023.05.12(最終更新日:2024.06.26)
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2030年までに達成すべき目標として国連サミットで採択されたSDGs。すべての国の人々が取り組むべき問題として、17の目標と169のターゲットが掲げられています。

気候変動による問題を解決するための目標13は、環境の側面からSDGsに寄与するものであり、今後さらに考えられるリスクに対策するための取り組みでもあります。

そこで今回は、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」における日本と世界の現状や解決策、私たちにできることをご紹介します。

目次

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」の内容

SDGs目標13は、すでに進行している気候変動やその影響に対して迅速に対策していくことを求めており、地球環境や社会を存続していく上でも大切な目標になります。
まずは、SDGs目標13の内容や、気候変動に対する対策が必要な理由をご紹介します。

目標13は、気候変動とその影響やリスクに対して緊急対策を求めている

SDGs目標13は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」というテーマとともに、5つのターゲットで構成されています。
気候変動とその影響や、将来起こりうるリスクに対して、緊急で対策を取っていくことを求めており、日本を含め全世界において命や暮らしに関わることなので、誰もが無視できない問題となっています。
出典:国際連合広報センター-気候変動とは?
出典:国際連合広報センター-持続可能な開発目標

気候変動を引き起こす原因の多くは人間活動

そもそも「気候変動」とは、長期的な気温や気象パターンの変化のことを指します。
気候変動は、火山や海洋の動き、太陽活動の変化などによる自然要因で生じる場合もありますが、産業革命以降は、化石燃料の使用による産業活動や森林伐採などの人間活動によって、気候変動へ影響を与えているといわれています。

化石燃料を燃やすと温室効果ガスが生じ、太陽の熱を閉じ込めるように地球を覆うことで、気温が上がり、結果として海面上昇や食料不足、災害、生物多様性などの様々な影響を与える可能性があります。
この地球温暖化によって気候変動が起きていると考えられています。
出典:全国地球温暖化防止活動推進センター-温暖化とは?地球温暖化の原因と予測

森林伐採は深刻な問題

地球温暖化を引き起こす人間活動の一つに森林伐採がありますが、森林は温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素を吸収する働きをするため、深刻な問題となっています。
森林伐採の理由には、プランテーションの開発、農地への転用、焼き畑農業の増加、燃料用木材の過剰採取、森林火災、違法伐採などが挙げられます。

森林減少等に伴う温室効果ガスの排出量は、世界全体の排出量の約2割を占めており、特に熱帯地域で森林減少が進んでいることが分かっています。
出典:環境省-森林の減少と温暖化

▼温室効果ガスについて、詳しくはこちら
温室効果ガスによる問題と解決へ向けた世界での取り組み

目標13が必要な理由は「気候変動対策が私たちの命や暮らし、地球環境を守るため」

気候変動が今後さらに様々な環境問題や社会問題を引き起こす可能性があり、気候変動の対策をしないと私たちの生活や命、地球環境の未来が脅かされるためです。
近年は、日本においても豪雨や猛暑、大型台風などの異常気象が多発し、これまでの天候とは異なってきている状況を感じている方も多いでしょう。
気候変動は、干ばつや水害などの環境問題だけでなく、飢餓・貧困問題、生物多様性に関与していることから、SDGsが掲げる多くの目標にも関わっています。

SDGs目標13を構成する5つのターゲット

SDGs目標13には、さらに詳しい5つのターゲットが設定されています。
数字で表されているターゲットの「13.1~13.3」は達成目標を意味し、アルファベットで表されている「13.a~13.b」は目標達成に向けた手段となっています。
この他に、「グローバル指標」といわれる達成度を測定する基準が設けられています。
より詳しく知りたい方は、外務省のサイト「13: 気候変動に具体的な対策を」にてご覧ください。

それでは、SDGs目標4のターゲットを一つ一つ見ていきましょう。

13.1 気候関連の自然災害への対応力、立て直す力の強化

SDGs目標13のターゲット1の内容は以下の通りです。
全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する

このターゲットは、気候変動に関連した自然災害が起こった場合に対応できるよう、各国において政策や仕組みなどを整備し、適応力を高めることを目指しています。
強靱性(レジリエンス)」という見慣れない言葉がありますが、柔軟でしなやかな強さを意味する言葉であり、非常事態が起こった時に、組織や社会が機能を迅速に回復させていく強靱(きょうじん)な力を指しています。

目標達成度を測る基準であるグローバル指標は、以下の通り設けられています。

  1. 10万人当たりの災害による死者数、行方不明者数、直接的負傷者数
  2. 仙台防災枠組み2015-2030に沿った国家レベルの防災戦略を採択し実行している国の数
  3. 国家防災戦略に沿った地方レベルの防災戦略を採択し実行している地方政府の割合

13.2 各国の政策や戦略、計画に気候変動対策を組み込む

SDGs目標13のターゲット2の内容は以下の通りです。
気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む

このターゲットでは、各国ごとに気候変動対策を政策等に盛り込むことで、仕組みから気候変動へ取り組むことを求めています。

目標達成度を測る基準であるグローバル指標は、以下の通り設けられています。

  1. 国が決定する貢献、長期戦略、国内適応計画、適応報告書及び国別報告書で報告されている戦略を有する国の数
  2. 年間温室効果ガス総排出量

13.3 気候変動の進行を遅らせ影響軽減、教育や啓発、人、組織の力を改善

SDGs目標13のターゲット3の内容は以下の通りです。
気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する

このターゲットでは、すでに進行してしまっている気候変動に適応していきつつ、緩和し軽減していくための教育や啓発を行い、人材育成や制度改善を掲げています。
日本や全世界で異常気象や災害が多発している中、私たちの暮らしや命、自然環境を守るために適応を進め、気候変動を食い止めるための取り組みは必要不可欠となります。
そのための教育や普及啓発を全ての世代に浸透させることは大切なことであり、制度改善をしながら組織的にも取り組んでいくことが求められています。

目標達成度を測る基準であるグローバル指標は、以下の通り設けられています。

(i)地球市民教育及び(ii)持続可能な開発のための教育が、(a)各国の教育政策、(b) カリキュラム、(c) 教師の教育、及び(d)児童・生徒・学生の達成度評価に関して、主流化されているレベル

ここで記載されている「地球市民教育」「持続可能な開発のための教育」とは、ESD(Education for Sustainable Development)という教育手法を指しており、より主体的に物事を考え実践できる人を育てるための教育ともいえます。
このESDを各国で主流化していくことで、気候変動にも対応できる人材育成することが求められています。

13.a 開発途上国に対し年間1,000億ドルを動員、気候変動の緩和と緑の気候基金の本格始動

SDGs目標13のターゲットaの内容は以下の通りです。
重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる

開発途上国では、国内の発展のために気候変動への対策をする余裕がないことから、主に先進国が年間1,000億ドルを共同で動員し、途上国を支援することが明記されています。
「緑の気候基金」は、開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動の影響への対応を支援するための国際的な基金であり、気候変動に関する「国際連合枠組条約」に基づいて資金運営を委託されています。
基金は、2015年5月に日本が拠出を確定したことから、活動開始に必要な資金が集まったとみなされ、活動を開始しました。

出典:外務省-緑の気候基金

13.b 開発途上国の疎外されやすいコミュニティに重点を置いた計画管理能力の向上

SDGs目標13のターゲットbの内容は以下の通りです。
後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する

開発途上国の中でもより開発が遅れているとされる後発開発途上国や、小さな島で国土が構成され災害や海面上昇などの影響を受けやすい小島嶼開発途上国は、気候変動対策や持続可能な開発が難しいとされています。
さらに疎外されやすい女性や子どもなどの弱い立場にあるコミュニティに焦点を当て、気候変動に適応し進行を食い止めるための取り組みを進めていく必要があります。

日本や各国での気候変動による問題

SDGs目標13の内容をご紹介してきましたが、実際に世界や日本における気候変動の状況や問題を見ていきましょう。
各国における目標13の達成状況も併せてご紹介します。

気候変動による世界の問題

まずは、2022年度の世界の各地域におけるSDGsの達成状況を表したグラフにて、目標13の項目を見てみましょう。

左の縦欄には、「東南アジア」、「東ヨーロッパと中央アジア」、「ラテンアメリカとカリブ海地域」、「中東と北アフリカ」、「オセアニア」、「OECD加盟国」、「小島嶼開発途上国(小さな島で国土が構成される開発途上国)」、「サハラ砂漠以南のアフリカ」の各地域が英語で記載されています。
上にはSDGsの各目標が書かれており、それぞれの地域における各目標の達成度と進捗状況を見ることができます。

2022 SDGs dashborards by region and income groupグラフ

出典:Cambridge Open-SUSTAINABLE DEVELOPMENT SOLUTIONS NETWORK

上記の表では、〇がSDGsの達成度を示しており、「緑:目標達成」、「黄色:課題あり」、「オレンジ:重大な課題あり」、「赤:大きな課題あり」、「灰色:データなし」となっています。
矢印は、目標への進捗状況を示しており、「緑:順調に進んでいる」、「黄色:達成に向け緩やかに進んでいる」、「オレンジ:停滞している」、「赤:下降している」を意味しています。

目標13の項目を見てみると、オセアニア地域のみ緑色の〇と緑矢印となっており、目標達成され順調に進んでいる、ということが示されています。
その他、黄色の〇が4地域、オレンジ色の〇が2地域となっており、OECD加盟国のみ赤色の〇が示されていることから、大きな課題があり停滞していることが分かります。
ほとんどの地域において、いまだ気候変動に関する課題が残っているという状況です。

それでは、世界には実際にどのような問題があるのか解説していきます。

【気温上昇】
産業活動等で大気中に排出された温室効果ガスが蓄積し続けることで、濃度が高くなり、地球全体での気温が上がってしまうことを地球温暖化と呼びます。
気温の上昇について、全国地球温暖化防止活動推進センターでは以下のように述べています。

IPCC第6次評価報告書(2021)によると、世界平均気温は工業化前と比べて、2011~2020で1.09℃上昇しています。
また、陸域では海面付近よりも1.4~1.7倍の速度で気温が上昇し、北極圏では世界平均の約2倍の速度で気温が上昇するとしています。

1850~1900年を基準とした2100年までの正解平均気温の変化予測を表したグラフ
出典:全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)-温暖化とは?地球温暖化の原因と予測

さらに、2022年における世界の平均気温は、1.15度上回っており(1850~1900年比較)、2015~2022年は、1850年に遡った記録の中において、最も温暖な8年間となっています。

気温が1度ほど上がったところで問題はない、と思われるかもしれませんが、1~2度上るだけで、以下のような影響があることが分かっています。

・温度が「1度」上昇した場合
熱波などの高温な気候の発生率は4.8倍
極端な大雨の発生率は1.3倍、雨量は6.7%増加
農業に被害が出る干ばつの発生率は1.7倍

・温度が「1.5度」上昇した場合
熱波などの高温な気候の発生率は8.6倍
極端な大雨の発生率は1.5倍、雨量は10.5%増加
農業に被害が出る干ばつの発生率は2倍

・温度が「2度」上昇した場合
熱波などの高温な気候の発生率は13.9倍
極端な大雨の発生率は1.7倍、雨量は14%増加
農業に被害が出る干ばつの発生率は2.4倍

気温上昇による影響は、各国や地域によって異なり、貧しい国や十分な設備を整えられない地域、海抜の低い国などは、より受ける被害が大きくなります。

出典:日本経済新聞-気温1.5度上昇、10年早まり21~40年に IPCC報告書
出典:国際連合広報センター-世界気象機関(WMO)年次報告書:気候変動は進行し続けている(2023年4月21日付 WMO プレスリリース・日本語訳)

【海の温暖化・海面上昇】
世界的に気温が上昇してきていることをお伝えしましたが、海は地球温暖化による熱を吸収するため、過去20年間にわたり海の温暖化が大幅に増加してることが分かっています。
海水温の上昇によって水が膨張し、海が暖かくなると海水の体積が増加します。
南極等の氷床が溶けることでも海面が上がり、結果的に沿岸地域や島国の生活に影響が出てきます。
また、海には大気中の二酸化炭素を吸収する働きがあり、大気中に比べ何十倍もの濃度が蓄積されていますが、海水中の二酸化炭素が増えると海の酸性化が進み、海洋生態系やサンゴ礁などが危険にさらされることになります。

出典:国際連合広報センター-気候変動の影響

【災害等による被害増加、異常気象】
気温上昇により、熱波などの高温や極端な大雨の発生率が上がるとお伝えしましたが、世界の多くの地域で嵐の激しさが増し、発生頻度が増えています
気象庁が公開している、2021年の世界における気象災害や異常気象を記載した図を見てみましょう。

2021年世界の主な異常気象・気象災害を表した世界地図

出典:気象庁-世界の年ごとの異常気象

世界各地で高温や大雨、竜巻などの異常気象や災害が起こっていることが分かります。
気温の上昇は蒸発する水分を増加させ、強い雨や洪水を引き起こし、激しい嵐を発生させます。
海の温暖化によって、熱帯暴風雨の発生頻度や威力が影響を受けるとされ、ハリケーンや台風などは、暖かい海によってより勢力が強くなるとされています。
そういった嵐や豪雨は家や町を襲い、人や自然環境を壊し、経済的にも大きなダメージを与えます。

【干ばつ、食料不足】
干ばつとは、長期間にわたり降水量が極端に少なく、水不足の状態が続くことを指します。
干ばつによって農作物や日常生活に被害があったり、生態系を脅かし砂漠化の原因になったりと、深刻な被害が各国で起こっています。
気候変動適応情報プラットフォームによると、干ばつがある地域について以下のことが分かっています。

近年、アメリカやロシア、オーストラリアといった穀物主要生産国を含め世界各地で干ばつによる穀物生産への被害が報告されています。
特に地中海周辺やアフリカ、南米、オーストラリアのもともと雨が少ない地域では干ばつによる被害拡大で食料生産への悪影響が懸念されています。
世界的に、気温と同時に二酸化炭素の濃度も上昇しており、温暖化が進むことで、ロシアなどの気温の低い地域は穀物生産性が上がる可能性がありますが、多くの主要生産国では、2度以上上がると穀物生産性が下がることが予測されています。

干ばつが起こる原因として、自然要因も考えられますが、人為的要因も否めません。
過剰な森林伐採や、地球温暖化により気温が上がることで、干ばつを含む熱波や大雨などの異常気象が発生しやすくなります。
干ばつは、世界の広範囲にわたり大量の砂を含んだ強い砂嵐を起こす可能性もあり、農作物を生産できる土地が減り、地域によっては生活に必要な水を十分に確保できない危機に面しています。

出典:気候変動適応情報プラットフォームー世界の食料生産の干ばつ対策は?

▼干ばつについて、詳しくはこちら
干ばつによる世界の危機。頻発する干ばつの現状と対策

【生物多様性の減少】
気候変動により、陸や海の生物多様性が脅かされています。
記録が残っている時期と比べると、1,000倍のペースで世界から生物が失われており、100万種の生物が今後数十年以内に絶滅する危機にあることが分かっています。
気候変動により異常気象や災害が発生すると、森林火災や病気などの脅威から、生き物達は不利な立場にあります。

生物多様性について、国連は以下のように述べています。

多くの動物種はすでに移動パターンの変更を余儀なくされています。植物は気温の変化に適応するのに苦しんでいます。そしてもちろん、地球温暖化の「象徴的動物」であり極めて脆弱な立場にあるホッキョクグマは、温暖化に伴う海氷不足によって北極で飢えています。
7,000種以上の生物種に食べ物と住処を提供しているサンゴ礁が、海水の温暖化と酸性化によって死滅しつつあるのです。
出典:国際連合広報センターーCOP27:生物多様性を守ることは、パリ協定を守ること(UN News 記事・日本語訳)

異常気象や災害等で住めなくなった場合、別の地域に移住して生き延びることができる生物もいれば、それができない生物もいるため、気候変動は生物たちにとっても脅威となっています。

【貧困増加】
世界銀行によると、気候変動により、今後10年間で新たに1.3億人が貧困になる恐れがあると推測されています。
所得の低い国では、農業がGDP(国内総生産) の4分の1を占めており、貧困とされる人々の65%以上が農業で生計を立てているとされています。
異常気象や災害などで収穫が少なくなると、生計が立てられなくなり、飢餓に陥ることもあります。
洪水等が発生し壊滅的な被害があった場合は、その地域や家を離れることになり、移住を強いられる人々が急増していますが、安全な環境がなければ子ども達が学校に通えなくなるなど、貧困が増加する原因にもなります。

出典:world vision-気候変動と貧困について知っておきたい10の事実【前編】

気候変動による日本の問題

世界における気候変動による問題を挙げてきましたが、日本の問題をより具体的に見ていきましょう。
まずは、2022年度の日本におけるSDGs達成度を示した表から、目標13の項目を見てみましょう。
2022年度の日本におけるSDGs達成度を示した表
出典:Cambridge Open-SUSTAINABLE DEVELOPMENT SOLUTIONS NETWORK

目標13における日本の達成度は、赤色に塗られ黄色の矢印が示されていることから、大きな課題があり、目標達成に向け緩やかに増加している、ということが分かります。

それでは、気候変動による日本の問題を解説していきます。
より詳しく調べたい方は環境省-~日本の気候変動とその影響~気象庁-大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化をご確認ください。

【気温上昇】
2018年の環境省のレポートによると、日本では世界より速いペースで平均気温が上がっているとされています。
長期的に見ると100年間で1.19度の割合で上昇しており、異常な高温を記録した年は1990年代以降に集中しています。

【猛暑日の増加】
2018年の環境省のレポートによると、最高気温30度以上の真夏日と最高気温35度以上の猛暑日の年間日数は、1931~2016年の間で増えており、猛暑日は10年あたり0.2日の割合で増加していることになります。
以下の表は、全国の日最高気温35度以上(猛暑日)の年間日数の経年変化(1910~2022年)を示しています。
全国13地点の平均最高気温35度以上の年間日数(猛暑日)グラフ
全国13地点における平均で1地点あたりの値を計測しており、緑の棒グラフは各年の年間日数を示し、青の線は5年移動平均値、赤の直線は長期変化傾向(平均的な変化傾向)を示しています。

1910~2022年の間では100年あたり2.1日の増加が見られ、全国の猛暑日の年間日数は増加しています。
最近の30年間における猛暑の平均年間日数(約2.7日)は、最初の30年間(1910~1939年)の平均年間日数(約0.8日)と比べ、約3.5倍に増加しています。

真夏日や猛暑日の増加の他に、強い雨の増加と降水日の減少、積雪量の減少と内陸での大雪増加といった異常気象も日本で報告されています。

【農林水産業への影響】
気候変動による気温の上昇により、農作物の品質低下や栽培適地の変化などが懸念されています。
2018年の環境省のレポートによると、以下の品目への影響がいわれています。

米の収穫量や品質
気温上昇により、デンプンが十分に詰まらず白く濁る「白未熟粒」や、亀裂が入ってしまう「胴割粒」が発生し、全国ですでに米の品質低下が起こっています。
一部の地域では高温の年に収穫量の減少が確認されており、今後は高品質な米の収穫量が増える地域と減少する地域の格差が大きくなる可能性や、高温で二酸化炭素濃度が高い場所では、米の整粒率(米粒の整っている割合)が低下するとの指摘があります。

果実の品質低下や栽培適地
夏の時期の高温や強い日射、降水量の減少は、果樹栽培において日焼けを起こしたり、着色が悪くなったりと影響があり、ぶどう、りんご、かき、うんしゅうみかんで被害が確認されています。
さらに、うんしゅうみかんやぶどうなどの栽培適地が変わる可能性があり、将来に2度以上気温が上がったとすると、ワイン用ぶどうの栽培適地が北海道の標高の低い場所で可能になることが予測されています。
上記の事例はあくまで一部であり、その他の品目においても、品質や収穫量、栽培適地の変化が現れています。

【自然生態系への影響】
気候変動による自然生態系への影響は世界各地だけでなく、日本でもすでに確認されており、今後さらに影響が拡大するといわれています。
環境省のレポートによると、以下のような影響が分かっています。

植生
高山帯と亜高山帯において、気温の上昇や融雪の早期化などによる植生の変化が確認されており、高山植物の開花の早期化や開花期間の減少による、ミツバチを始めとする花粉媒介昆虫との活動期間のずれも発生しています。
また、さくら等の植物の開花についても、春先の気温上昇により早まっており、動物の初鳴きも早まるなど、動植物の生物季節も変動していることが分かっています。

沿岸生態系
沖縄地域では、海の温暖化によりサンゴの白化現象が進んでいます。
亜熱帯地域のサンゴは、海水温の上昇等のストレスにより共生藻を失うことで、白化現象が起こり、そのまま続くと栄養が受け取れずに死滅してしまいます。
また、房総半島以南と九州の西岸・北岸における温帯性サンゴの分布が北上していることも確認されています。

出典:環境省-生物多様性分野における気候変動への適応

【災害の発生】
気候変動の影響で集中豪雨や大雨の発生頻度・威力が増加することにより、河川の洪水や土砂災害、台風が強まるなどの災害等が懸念されています。
以下、全国の1時間あたりの降水量100mm以上の年間発生回数の変化を示したグラフとなっています。
全国の1時間あたりの降水量100mm以上の年間発生回数の変化を示したグラフ
1時間に80mm以上の大雨は猛烈な雨と分類され、雨量が非常に多く災害の危険性がある状況を指しますが、100mm以上の記録的な大雨は増加傾向にあることが分かります。
1976~1985年の平均回数(約2.2回)に比べ、2022年までの直近10年間の平均回数(約4.4回)は、約2倍に増えています。
また、1時間に80mm以上の大雨においても、同期間で約1.8倍に増加している現状です。

【健康被害】
人の健康に直接影響を与えるものとして、猛暑による熱中症が増加していますが、気候変動との関連は高いと考えられています。
熱中症による死亡者数は増加しており、記録的な猛暑となった2010年には過去最多の死亡者数となっています。

気候変動が続くと起こりうること

気候変動が続くと起こりうる気温の上昇について、温暖化対策をとらなかった場合と厳しい対策をした場合を予測したグラフが環境省のサイト「地球温暖化の現状」にあります。

温暖化対策を取らなかった場合、20世紀末頃(1986~2005年)の状況と比べ、21世紀末(2081~2100年)の世界の平均気温は、2.6~4.8℃上昇(赤色の線)すると予測されています。
厳しい温暖化対策を行ったとしても、0.3~1.7℃上昇(青色の線)する可能性が高いことが分かっています。
気温が1~2度上った場合の影響を前述しましたが、2度以上上がってしまった場合、想定もできないような状況が起こる可能性があります。

海面については、20世紀(1901~2010年)の間、19cm上昇したとされており、今後の地球温暖化による海水温の上昇によって、2100年までに最大82cm上昇するとの予測がありますが、北極海の氷が消滅してしまう可能性も危惧されています。

気候変動への世界的な取り組み

気候変動を防ぐために、世界では様々な取り組みが行われています。
SDGs目標13も気候変動を食い止めるための世界的取り組みの一つです。
取り組みの歴史は意外にも古く、その始まりは1990年代初め頃にまで遡り、気候変動が長い年月の間、問題視されていたことになります。
世界の気候変動における取り組みを解説していきます。

気候変動枠組条約

すでに国際的な問題となっていた気候変動に取り組むために、1992年に「気候変動枠組条約」が国連にて採択され、1994年3月に発行・取り組みが始まりました。
温室効果ガスの削減と、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化することを究極の目的として制定され、長期的な気候の安定化のため、2050年までに温室効果ガスを半減させることが中期的な道標の一つとされています。
締約国の義務として、以下の内容が掲げられています。

【途上国含む全ての締約国の義務】

  • 温室効果ガスの排出と吸収の目録作成、定期的更新
  • 具体的対策を含めた計画の作成と実施
  • 目録及び実施済または実施予定の措置についての情報を締約国会議へ送付

【先進国の義務】

  • 温暖化を軽減するための政策措置を行う
  • 排出量等についての情報を締約国会議へ報告する
  • 途上国への資金提供、技術移転を行う(東欧諸国等の市場経済移行国は除く)

気候変動枠組条約はあくまで枠組を規定しているため、具体的な削減義務までは決められておらず、その点については条約締約国が集まって開催される締約国会議(COP:Conference of the Parties)に委ねられています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター-気候変動枠組条約

COP(気候変動枠組条約条約締約国会議)

上記でご説明した「気候変動枠組条約」の目的を果たすために、より具体的な枠組みを取り決めていくのが「COP(略:Conference of the Parties)」です。
COPは日本語で「締約国会議」となり、条約を結んだ国々による会議を指しており、197の国や機関が締結・参加しています。

第1回締約国会議は、1995年3月にドイツのベルリンで開催され、「ベルリン・マンデート」として2000年以降の取り組みの課題や手順を定め採択し、その後は概ね毎年1回の頻度で行われています。

【京都議定書】
1997年12月に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)では、先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力のあるそれぞれの国ごとの数値約束を定めた「京都議定書」が採択されました。
2020年までの枠組を取り決めたものですが、先進国のみに温室効果ガスの排出削減を求めており、達成できなければペナルティ等が求められ、すべての加盟国の同意は得られない状況でした。
しかし、温暖化対策の必要性が世の中に知れ渡ることになり、様々な商品や技術が開発されるきっかけにもなりました。

【パリ協定】
2015年、フランスのパリで開催された第21回締約国会議(COP21)では、2020年以降の新たな法的枠組みとなる「パリ協定」が採択されました。
京都議定書を承継したもので、55ヵ国以上が批准(最終的な同意)し、その排出量が温室効果ガス排出量の55%に達する必要がありましたが、採択翌年の2016年10月にこの条件が満たされ、同年11月に発効しました。
一部の先進国に対し温室効果ガスの排出削減を求めていた京都議定書に対し、途上国を含む全ての国が取り組むことが求められており、削減目標を5年ごとに提出・更新、実施状況を報告しレビューを受けることとしています。
世界共通の長期目標として、気温上昇を2度以下より低く抑える目標の設定と、1.5度に抑える努力を追求することが掲げられており、日本を含む世界各国で政策等に取り入れられています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁-あらためて振り返る、「COP26」(前編)~「COP」ってそもそもどんな会議?
出典:全国地球温暖化防止活動推進センター-パリ協定
出典:外務省-2020年以降の枠組み:パリ協定

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

気候変動やその対策に対し、科学的な知見を提供する組織を「IPCC(略:Intergovernmental Panel on Climate Change)」といいます。
日本語訳で「気候変動に関する政府間パネル」と呼ばれ、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって1988年に設立された政府間組織です。
2022年時点で参加国と地域は195となっており、世界中の科学者たちが協力し、科学誌などに掲載された論文等の文献に基づき定期的な報告書を作成、公表しています。

IPCCの報告書は、重要な科学的根拠として各国の政策関係者から参考にされており、気候変動枠組条約に関する国際交渉や、国内での政策作りの基礎情報として使われています。
パリ協定にてご紹介した2度目標や1.5度努力目標についても、IPCC報告書の情報に関係がある数値となっています。

出典:経済産業省資源エネルギー庁-気候変動対策を科学的に!「IPCC」ってどんな組織?

各国の気候変動への取り組み

スウェーデンの取り組みをご紹介します。
2016年にスウェーデンは、2030年までにエネルギー効率を50%高め、2040年までに再生可能エネルギーを全ての発電に用いるという目標を設定するとともに、2045年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると決めました。
具体的な取り組み例としては、再生エネルギーを用いた交通機関の推進や、環境に配慮した自動車の税制優遇など、国をあげた気候変動対策に取り組んでいます。

出典:JETRO-環境を中心に、政府、社会、企業が先進な取り組み(スウェーデン)

次に、ドイツの取り組みをご紹介します。
ドイツは、2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で少なくとも55%削減する目標を掲げ、2019年には気候保護法を成立、気候目標に法的拘束力を与えました。
再生可能エネルギーへの転換が進むドイツは、電力消費全体の4割を超えており、温室効果ガスの排出削減に積極的です。
二酸化炭素の排出量が多い飛行機の料金を引き上げ、鉄道の長距離運賃を下げるなど、大規模な温暖化対策を行っており、ドイツ国民の環境意識が高いことも特徴的です。
企業活動においてもその取り組みは先進的で、事業でどれだけ二酸化炭素を排出したかをウェブサイトで公表する取り組みや、排出した二酸化炭素の分を、植林等に出資する取り組みなど、大企業を中心に広まっています。

出典:JETRO-ドイツの気候変動対策と産業・企業の対応(2021年4月)
出典:NHK-ドイツに学ぶ地球温暖化対策

日本における気候変動への取り組み

続いて、日本国内でのSDGs目標13における気候変動への取り組みをご紹介します。
日本では、地球温暖化対策計画が閣議決定されており、この計画をもとに自治体や関係各所などが取り組みを行っています。
2021年10月に新しく改訂された地球温暖化対策計画についても触れながら解説します。

2030年度目標

日本は、気候変動に関わる地球温暖化対策について2つの目標を打ち出していますが、その内の1つは、2030年までに温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す中期的目標です。

日本の温室効果ガスの排出状況は、2014年以降6年連続で削減しており、2019年度の温室効果ガス総排出量は12億1,200万トンで、2013年度の14億800万トンと比べて14.0%減を達成しています。
削減できた要因としては、省エネ等によるエネルギー消費量の減少や、再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電所の再稼働などによる電力の低炭素化が挙げられます。

温室効果ガスの排出削減について各区分ごとの目標を細かく挙げており、産業部門や家庭部門、運輸部門など全ての部門において2019年度実績では減少傾向にあり、2030年までの目標が各部門ごとに設定されています。

例えば、運輸部門においては2030年までに約35%削減の目標が掲げられており、電気自動車や燃料電池自動車などの次世代自動車の普及、燃料改善、公共交通機関の利用推進、低炭素物流などに取り組むことで目標達成を目指しています。

それぞれの部門ごとに目標や実績を取りまとめてはいますが、「国民や国、地方公共団体、事業者等の全ての主体が参加・連携して取り組むことが必要」であり、「連携の強化」を明記していることから、分野横断的な取り組みを進めながら協力して実践していくことを求めています。

出典:環境省-地球温暖化対策

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

日本における地球温暖化対策についての2つの目標のうち、もう一つは「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指した取り組みです。
2020年10月、日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指すと宣言しました。
パリ協定で採択された世界共通目標である「2度目標、1.5努力目標」を汲んだものであり、日本も取り組みを進めています。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡にすることであり、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量から、植林等による吸収量を差し引き、その合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
カーボンニュートラルを達成するためには、温室効果ガスの排出量の削減と同時に吸収作用の保全・強化をしていく必要があります。

▼カーボンニュートラルについて、詳しくはこちら
カーボンニュートラルとは?環境への取り組みを初心者向けに徹底解説

【脱炭素ドミノ】
カーボンニュートラル達成のための取り組みの一つとして、2021年6月、「地域脱炭素ロードマップ ~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~」が決定され、地域のすべての人々が主役となり、脱炭素へ移行していくための行程と具体策がまとめられました。

環境省のサイト「カーボンニュートラルとは」によると、今後5年間で集中的に政策を総動員し、少なくとも100か所の脱炭素先行地域を創出、重点対策を全国各地で実施することで、「脱炭素ドミノ」により全国に脱炭素を伝搬させていくこととなっています。

脱炭素先行の地域づくりと重点対策の全国実施を推進するため、3つの基盤的な施策を掲げています。
地域の実施体制構築と国の積極支援(地域を支援しながら国が連携する仕組みづくり)
グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション(低炭素社会の実現に向けた生活スタイルを指標を用いながら促進する)
社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション(取り組みの実効性を高めるためにさらなる制度改革を行う)

国も積極的に取り組みを行っていますが、国民一人一人の生活に起因する温室効果ガスが、国内の排出量の約6割を占めるという分析もあることから、それぞれが取り組んでいく必要があります。
企業や地方自治体、国民のそれぞれができることを、以下の脱炭素ポータルサイトに掲載していますので、ご興味ある方はご覧ください。

出典:環境省-脱炭素ポータル

RE100への参加

RE100とは、「Renewable Energy 100%」の略称であり、企業が自分たちの事業の消費電力を100%再生エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブです。
世界中の企業が参加していますが、日本企業も多く参加しているため、日本での気候変動への取り組み例としてご紹介します。
RE100は2014年に発足し、24カ国から356社の参加があり、国別参加企業数では、本はアメリカ93社に次いで80社が参加しています。(2023年6月現在)
日本企業の例としては、株式会社リコーや積水ハウス株式会社、ワタミ株式会社など様々な業界の企業が名を連ねています。

「脱炭素社会」への循環を生み出すことがRE100の最大の目的であり、設立の意図としては、電力の需要側が再生可能エネルギーの必要性を政府等に訴えかけることにより、電力会社等の電力供給側が自発的に再エネの開発・生産を進め、政府がそれに沿った関係法令を作るという循環を生み出すことです。

前述したCOPの世界的な動きは、企業にとって無視できるものではなく、ステークホルダーである株主は、環境・社会・企業経営の視点からリスクがあると判断された企業は避けられるようになってきています。
欧州では化石燃料に投資している企業は投資対象から外すといった動きがあり、顧客は環境志向の高い消費者が増えていることから、企業が持続可能な経営をしていく上でも必要なステータスともいえます。

出典:RE100電力株式会社-RE100について

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」取り組み事例

SDGs目標13の気候変動へ実際に取り組んでいる企業やNPOの活動をご紹介します。
また、家庭内や個人でできることも挙げているので、皆さんも自分たちで何ができるのか一緒に考えてみてくださいね。

【企業】気候変動への取り組み「イオン株式会社」

イオン株式会社は、2018年に「イオン 脱炭素ビジョン」を策定し、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つの視点で、「省エネ・創エネ」の両面から店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを行っています。

具体的には、脱炭素型住宅の新築や住宅リフォーム、電気自動車の購入など、脱炭素型ライフスタイルへの転換を後押しする商品やサービスの展開を強化することとしています。
また、地域で作られた再エネを地域内で循環させる「再エネの地産地消」にも積極的に取り組み、家庭で発電された余剰再エネ電力をイオンの店舗で活用させる仕組みも開始しています。

出典:イオン株式会社-イオン 脱炭素ビジョン

【企業】気候変動への取り組み「スターバックスコーヒー」

2020年、スターバックスは、二酸化炭素、水、廃棄物のフットプリントを半減させる環境目標を正式に決定し、「リソースポジティブ」を実現すると宣言しました。
フットプリントとは、足跡を意味し、二酸化炭素や水、廃棄物の排出量やどれだけ環境負荷をかけたか、を確認することができるものです。
リソースポジティブ」とは、地球から資源を得る以上に還元量を増やすという考えで、コーヒーを含め、すべての事業活動において地球から得るものよりも還元する量を増やしていくという試みです。

そのために、2030年までにカーボンニュートラルなグリーンコーヒー(生豆)を実現し、その加工過程で使用される水の量を50%削減していくという目標を掲げ、具体的には以下3つの基本的戦略を挙げています。

  • 生産者とモバイルアプリを通じて土壌状態を共有・分析、農業ツールを使用してCO2排出量を削減
  • 気候変動に耐性のある品種の推奨と配布により全体的な二酸化炭素の排出削減
  • コーヒー栽培地で危機に瀕している森林と景観の保全及び復元プログラムに投資、貢献を広げる

さらに、国際環境NGOや関連団体から協力・助言を得て、カーボンニュートラルなグリーンコーヒー実現のためのロードマップと測定法を発展させることに取り組んでおり、業界全体に役立てるため、その知見の共有も行っています。

出典:スターバックスコーヒー-スターバックスが掲げる、コーヒーに関する環境目標

【NPO】気候変動への取り組み「気候ネットワーク」

気候ネットワークは、地球温暖化防止のため、市民の立場から「提案×発信×行動」するNGO・NPOです。
社会全体を持続可能に「変える」ために、地球温暖化防止に関する専門的な政策提言、情報発信、地域単位での地球温暖化対策モデルづくり、人材の養成・教育等に取り組んでいます。
COP3の地球温暖化防止京都会議を成功させるために活動した市民団体である「気候フォーラム」は、日本の温暖化対策への機運を高めつつ、京都議定書の合意に貢献した後、気候ネットワークにその役割を引き継ぎました。
気候変動に関する情報発信や普及啓発を行っており、メールマガジンやブログ、イベント等で最新の情報を気軽にチェックすることができます。

出典:気候ネットワーク-気候ネットワークとは

家庭や個人でできること

1.自転車や徒歩、公共交通機関を利用した移動
自動車のほとんどがガソリンや軽油を燃焼しているため、できる限り自転車や徒歩で移動することで、温室効果ガスの排出削減となり、自身の健康増進にも役立ちます。

2.廃棄を減らす
食べ物を残して廃棄すると、食料の生産や加工、運搬などのために使ったエネルギーを無駄にすることになります。
必要な分を購入・消費し、食べ残しは堆肥にすることもできます。

3.リデュース、リユース、リサイクル
新しく商品を作るには、原材料の確保や製造、運送まで多くの温室効果ガスを排出します。
中古品で代用したり、メンテナンスにより使いまわしたり、適切にリサイクルをするなどして、モノを大事することが気候変動への取り組みになります。

4.ライフスタイルに脱炭素を取り入れる
自宅で利用している電力会社を再生可能エネルギーへ切り替えることや、自宅にソーラーパネルを設置し自家発電することで、家のエネルギー源を変えることができます。
自動車の購入予定があるなら、電気自動車等の次世代自動車を選ぶことで、温室効果ガスの排出削減に役立つことができます。
普段の買い物では、地産地消の食品を選ぶことで、食品の運搬にかかる温室効果ガスの排出削減に貢献し、環境配慮をした企業の製品を選ぶことで、その活動の支援をすることができます。

大切なのは分野横断的な取組。個人や組織で取り組むことが必要

SDGs目標13についてご紹介してきましたが、以下のように内容をまとめました。

  1. SDGs目標13は、社会や自然環境を保つ上で重要な目標であり、将来起こりうるリスクに対して喫緊で対策を取っていくことを求めている
  2. 産業革命以降、化石燃料の使用による産業活動や森林伐採などの人間活動が気候変動へ影響を与えている
  3. 気候変動は、災害の増加や干ばつ、食料不足、貧困などの問題にも関連している
  4. 2022年における世界の平均気温は、1.15度上回っており、日本では世界より速いペースで平均気温が上がっている
  5. 日本のSDGs目標13の達成度は、大きな課題がありつつも目標達成に向け緩やかに増加している状況であり、まだまだ努力が必要
  6. 気候変動枠組条約の具体的な枠組みを設定したのがCOP(締約国会議)であり、京都議定書やパリ協定での取り決めが各国での政策等に活かされている
  7. 日本の企業やNPOも積極的に気候変動に取り組んでおり、分野横断的に各主体が行動していくことが求められている

気候変動対策は、前述したように個人でできることも多くあるので、ご興味あることから試してみてくださいね。

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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