SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の解説と達成への取り組み
2030年に目標達成を目指すSDGsでは、世界中で起こっているさまざまな問題に対し、持続可能なよりよい未来を作るために多くの国や企業、人がパートナーシップを結び、力を合わせて解決することを目指しています。
私たちは、地球環境を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれません。「誰一人取り残さない」という理念のもと、地球規模で取り組み、2030年までの達成を目指していきましょう。
目次
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは、より大きな力でSDGsの達成に向かうこと
SDGsでは、世界中で抱える経済、社会、環境などの問題解決に向けた多くの開発目標が設定されました。SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは、特定の問題解決へ向けた目標ではなく、SDGs目標1から16を達成し、社会、経済、環境の3つのバランスがとれた持続可能な社会を実現するために、国と国、自治体と企業、企業と個人など、さまざまな分野でパートナーシップを結び問題解決を目指すことです。
「パートナーシップ」とは人、団体、企業などが複数で協力することを指します。
また、SDGsが掲げている5つのPがあります。5つのPとは、パートナーシップを結ぶことで人間( People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)、平和(Peace)、パートナーシップ(Peartnership)のバランスの取れた発展を目指すことです。5つのPを理解することで、SDGsへの理解を深めることができます。5つのPについて、一つずつ解説します。
人間(People)「活躍、平等、健康」
貧困と飢餓を終わらせ、尊厳をもち、平等で健康な環境のもと、人々が持つ潜在能力が発揮できるようにすることが目標です。不当な労働環境を正し、ジェンダーや人種による差別を失くし、すべての人が教育を受け、水と衛生環境、健康が保障された生活を送れるようにすることです。
関係するSDGs目標
・1「貧困をなくそう」
・2「飢餓をゼロに」
・3「すべての人に健康と福祉を」
・4「質の高い教育をみんなに」
・5「ジェンダー平等を実現しよう」
・6「安全な水とトイレを世界中に」
地球(Planet)「持続可能な消費と気候変動」
現在と将来の生活を守るために、責任ある生産と消費を行い、環境問題と温暖化による気候変動にも対処することです。
また、資源不足や気候変動への対策と、これまでに破壊、喪失した自然環境と生態系の保護を行い、持続可能な地球環境を目指します。
関係するSDGs目標
・12「つくる責任、つかう責任」
・13「気候変動に具体策を」
・14「海の豊かさを守ろう」
・15「陸の豊かさも守ろう」
繁栄(Prosperity)「豊かな生活と循環型社会」
自然環境への配慮と調和を確保したうえで、すべての人が豊かで満たされた生活を送れるよう、経済、社会の発展をさせることです。
関係するSDGs目標
・7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
・8「働きがいも経済成長も」
・9「産業と技術革新の基礎をつくろう」
・10「人や国の不平等をなくそう」
・11「住み続けられるまちづくりを」
平和(Peace)「平和と安全」
平和で、恐怖や暴力のない世界を目指します。SDGsでは、平和なくして持続可能な開発はなく、持続可能な開発なくして平和はないとしています。貧困は資源をめぐる争いにつながるため、平和と安全のために貧困への対策も重要です。
関係するSDGs目標
・16「平和と公正をすべての人に」
パートナーシップ(Peartnership)「達成のための手段」
地球規模での連携で、社会、経済、環境などに問題を抱える開発途上国への支援を行い、SDGs達成のためにすべての国や企業、自治体などすべての人で取り組むことを目指します。
関係するSDGs目標
・17「パートナーシップで目標を達成しよう」
目標を達成するために必要な「パートナーシップ」
持続可能な社会を目指すために、パートナーシップは不可欠です。SDGsが達成を目指す多くの問題に対して、国や企業が単独でできることには限界があります。パートナーシップを結ぶことで、より専門性の高いアイデアや、違った視点からの新たな解決へのアプローチが可能になります。また、パートナーシップを結ぶことで、より広い範囲で影響を与えることができます。
SDGsは、地球上すべての人の生活環境を向上させることを目指すものです。そのためには、開発途上国の発展を支援することが必要です。政府、民間企業、国際機関、非営利団体など、さまざまなコミュニティがパートナーシップを結び、共同で問題解決に取り組むことが重要なのです。
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の現状
SDGsの達成のためには、多くの国や機関でパートナーシップを結ぶことが重要です。同じ目標を目指しパートナーシップを結び、多くの国が支援や協力のための条約を締結するなど、国際的にSDGs達成への取り組みが行われています。
しかし、多くの成果を上げている一方で、開発途上国の生活基盤の向上や、SDGsへの取り組み方にも課題があります。
アフリカ開発会議「TICAD」
TICADとは、アフリカ開発会議のことであり、アフリカの開発を考える国際会議です。1993年から、日本政府が主導となり、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催しているものです。
2022年には第8回が開催され、48ヵ国が参加しました。また、アフリカ諸国だけではなく、開発に携わる国際機関、パートナー諸国、アジア諸国、民間企業、市民社会も参加しています。
TICADの目的は、アフリカ諸国首脳と開発パートナーとの間のハイレベルな政策対話を促進すること、アフリカの自助努力による開発活動の支援を結集することです。TICADの成果として、開発プロジェクトへの資金や技術の支援、インフラ整備、教育や保健などの社会基盤の向上があります。
参考:国際協力機構(JICA)-アフリカ開発会議(TICAD)とは何か?30年におよぶ日本のアフリカ開発貢献の歩みを振り返る
参考:外務省-アフリカ開発会議
南南協力・三角協力
開発途上国に対し、先進国が協力や援助を行うことを「南北協力」といいます。南北といわれるのは、開発途上国が南半球に多く、先進国が北半球に多いためです。
また、南北協力に対して、開発途上国が同じく開発途上国へ技術や経済、知識などの支援をすることを「南南協力」といいます。先進国の援助に頼ることなく、パートナーシップを結び互いに助け合い問題を解決する手段として重要視されています。
南南協力の成果として、農業開発の支援や人材開発、貿易の強化、農業技術の共有などがあります。南南協力を行う際に資金面や技術面など、先進国が援助を行うことを「三角協力」といいます。(注1)
(注1)参考:国際協力機構(JICA)-南南・三角協力
政府開発援助「ODA」
先進国が開発途上国に対し、資金や技術の援助を行うことを「ODA(政府開発援助)」といいます。平和構築、基本的人権の推進、人道支援等を含む開発途上国の発展のため、開発途上国または国際機関に対し、資金の贈与や貸付、技術提供を行っています。
資金は、贈与と貸付があり、贈与は開発途上国に対し、主に基礎生活分野である給水、学校、病院などに資金を提供することです。貸付は主に開発事業に対して行われ港湾、空港などの整備に当てられます。貸付は金利や返済期限が開発途上国に対して無理のないように設定されています。これは、返済の義務があることで開発途上国の自助努力をうながすことにつながります。(注1)
(注1)参考:外務省-政府開発援助Q&A
先進国と途上国の格差
先進国と発展途上国の明確な定義はありませんが、ODAの受け取りリスト(DACリスト)に掲載されている国を開発途上国としている場合がほとんどです。また、一人が一日に1.9ドル以下で生活している場合を「極度の貧困」としており、極度の貧困に当たる人々は、2018年に世界人口の8.6%となっています。また、極度の貧困層の半分以上がアフリカのサハラ以南の地域と南アジアの5ヵ国に集中しています。(注1)
先進国と開発途上国の経済格差は、開発途上国の多くが植民地であった時代背景や、単一の農業や鉱物資源での収入に頼っており、それらは安く先進国へ輸出されます。そして、先進国は高く販売できる製品を輸出することなど、さまざまな原因で起こります。
開発途上国では、15歳から24歳までの女性の90%がインターネットを利用できておらず、男性のインターネット利用率はその2倍というジェンダーの差も明らかになりました。このような情報格差も、将来の収入に影響を与えることが考えられるのです。(注2)また、開発途上国では、貧困により学校へ通えない子供も多く教育を受けられないために、安定した仕事につけず貧困から抜けだすことが難しくなっているのです。
ODAなどを通じ先進国から開発途上国への資金の流入を促進するなど、国家間での経済対策は行われていますが、先進国と開発途上国における個人の経済格差を埋めることは難しいのが現状です。先進国と開発途上国の格差は、職業や収入の格差につながります。また、識字率の低さは、職業の選択が限られるだけではなく、注意を促す表記が読めないなどの危険もあります。
先進国と開発途上国の格差の一例(表1)
日本 | 途上国 | 世界 | 備考 | |
乳児死亡率(乳児1000人中の人数) | 3 | 45 | 28 | 出生から1歳に達する日までに死亡する確率。出生数1,000人あ たりで表される。 |
出生登録率(%) | 98 | 44 | 74 | 出生登録の調査時点で出生登録されていた5歳未満の子どもの割合 |
15歳までの女児児童婚率(%) | ー | 10 | 5 | 15歳になる前に最初の結婚をしたか、または事実婚状態となった20歳から24歳の女性の割合 |
識字率(%) | ー | 78 | 92 | 15歳から24歳までの識字率(ユネスコ統計研究所) |
最低限の基礎的飲用水(%) | 99 | 67 | 90 | 飲用水サービスを利用する人の割合。改良された飲用の水源を利用しており、列に並ぶ時間を含め、 汲みに行くための往復時間が30分以内 である人の割合 |
(注1)参考:国際連合-持続可能な開発に関するグローバル・レポート2019
(注2)参考:日本ユニセフ協会-低所得国の15~24歳の女性、9割ネット利用できず
(表1)参考:日本ユニセフ協会-世界子供白書2021
SDGsの本質が伴わない「SDGsウォッシュ」
「SDGsウォッシュ」とは「SDGs」と英語の「whitewash(うわべを取り繕う)」を合わせた造語です。SDGsへの取り組みが多く行われている一方で、SDGsへの取り組みを行っているように見せて、実際には中身が伴っていないものを指します。
例えば、人権の尊重を掲げる企業が、原料の仕入先として中国の新彊ウイグル自治区での強制労働に関わっているとして告発されたり、二酸化炭素の排出を低減させていると掲げる企業が、火力発電への投資をしたりという事例があります。
このように事業の一部でSDGsに配慮していても、労働環境や自然環境には配慮していないことは、SDGsの問題解決へ協力しているとは言えません。SDGsの本質を理解し、SDGsを多角的に見ることが必要です。
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」ターゲットの解説
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、19のターゲットがあります。SDGsのターゲットとは、SDGsを達成するための具体的な内容や目標のことです。SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲットは7つに分類でき、それぞれパートナーシップを結ぶ目的や強化する目的が挙げられています。
以下に、7つに分類したターゲットの解説とポイントを紹介します。
資金(ターゲット17.1~17.5)
- 開発途上国への資金援助を強化するために、各国からのODAの比率を増やすことや、開発途上国自身での資金調達力の強化を支援する。また、より多くの資金を集めるために投資もすすめる。
- 借金の多い開発途上国に対しては借金の取り消しを行うこと、また、金利や返済期限の緩和などにより、開発途上国自身がやりくりができる形にする。
ポイント:開発途上国へ資金援助を行い、開発途上国自身での経済成長を促す
技術(ターゲット17.6~17.8)
- 科学技術の経済的、社会的、公共的価値を活用し、開発途上国にとって環境に優しい技術の普及に努め、さらに各国のパートナーシップも強化する。
- 最も開発が遅れている国のインターネットなどの技術を高め、活用できるようにすることで、経済や社会の発展の促進につなげる。
ポイント:開発途上国での科学技術の発展を支援し、経済や社会の発展につなげる
能力構築(ターゲット17.9)
- SDGsの目標達成のために国際的な支援を強化することで、開発途上国は能力を高め、持続可能な開発目標の実現に向けた取り組みを効果的に進めることができる。
- それぞれの国の国家計画に沿った支援や的を絞った支援を行うことで、開発途上国のニーズに適した支援をおこなうことができる。
ポイント:国際的な支援を行い、開発途上国自身のさまざまな能力を高める
貿易(ターゲット17.10~17.12)
- 世界貿易機構のルールに基づいて貿易体制を強化し、差別的でない、公平な多角貿易体制を促進することを目指し、全ての国々が平等に利益を享受できるようにする。
- 開発途上国の中でも特に貧しい国の輸出の増加と、輸入に対する特恵的な条件を整備することで、公正な国際貿易の促進を目指す。
ポイント:開発途上国に対し有利な条件を整備するなど、世界中で平等な貿易を目指す
体制面 政策・制度的整合性(ターゲット17.13~17.15)
- 各国が政策を調整し、一貫したアプローチを行うことで世界経済の安定性を向上させ、持続可能な開発を実現することを目指す。
- 各国の決定権やリーダーシップを尊重しながら、貧困対策や持続可能な開発に向けた政策の立案と実施を支援する。
ポイント:経済の安定と貧困への対策を行い持続可能な開発を目指す
体制面 マルチステークホルダー・パートナーシップ(ターゲット17.16~17.17)
- さまざまなパートナーシップの経験を基にし、公的部門、私的部門、市民社会の連携を奨励・推進することで、お互いの利益や目標を共有し、効果的なパートナーシップを結び、より持続可能な開発や社会問題の解決を目指す。
- 専門的な知識や技術を持つ企業や団体、個人を「ステークホルダー」といいます。持続可能な開発目標の達成を支援するために、国や事業者、有識者など3者以上の利害関係者からなるマルチステークホルダー・パートナーシップと、国際規模の協力関係であるグローバル・パートナーシップを活用し、知識やリソースの共有を強化し、異なる国や地域が連携して持続可能な開発を推進し、世界的な課題に取り組むこと。
ポイント:専門的な知識を持つさまざまなステークホルダーがパートナーシップを結び世界的な課題解決を目指す
体制面 データ、モニタリング、説明責任(ターゲット17.18~17.19)
- 2020年までに特に貧しい開発途上国や、小島嶼開発途上国を含む開発途上国の能力を高めるための支援を強化し、質の高い人種、性別、年齢、収入などのデータを入手する可能性を向上させ、持続可能な開発の進捗状況を測るための指標や統計能力を向上させる。
- 2030年までに、より正確な情報の集計を行い、持続可能な開発の進展を評価し、政策立案や意思決定の基礎とする。
ポイント:さまざまな正確なデータを集め、持続可能な開発に役立てる
参考:外務省-JAPAN SDGs Action Platform
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に向けた取り組みの実例
世界でも、日本国内でもSDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に向けた取り組みが行われ、国や企業、自治体などでさまざまなパートナーシップが結ばれています。
ここでは実際に、パートナーシップを結んで行われている取り組みを紹介します。
企業の共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」
日本での取り組みとして「パートナーシップ構築宣言」があります。パートナーシップ構築宣言とは、「サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携」「親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行の遵守」を目的として、新たなパートナーシップを構築することを、企業が発注者の立場となり自社の取引方針を宣言する取り組みです。
サプライチェーンとは、製品が消費者に届くまでの、材料の調達から製造、輸送、販売までの一連の流れのことです。製品が消費者のもとへ届くまでのプロセスに関わる企業などが共存共栄し、価格交渉や利益、コストに関してもパートナーシップを結ぶことで適正に分配することができます。
パートナーシップ構築宣言は、企業と企業などがパートナーシップを結び事業の共存共栄を目指すこと、労働環境の改善や経済成長などの面から、SDGsの取り組みにもなります。
また、パートナーシップ構築宣言を行うことで、企業の取り組みを周知できることや、補助金を受けるための加点措置も受けることができます。加点されることで採択審査時に採択される可能性が上がり、採択されると、中小企業等による生産性向上のための開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行う設備投資のための「ものづくり補助金」が受けられるというメリットがあります。(注1)
都市再生への取り組み「官民連携まちづくり」
パートナーシップの取り組みとして、民間企業・団体と自治体が連携して行う「官民連携まちづくり」があります。平成23年4月の都市再生特別措置法の改正により、民間企業や団体と、自治体などが連携してまちづくりを行うための支援制度ができたことで、民間主体でのまちづくりが行いやすくなりました。
民間企業が主体となり都市再生を行い、エリアの価値を高める取り組みに対して、自治体が支援を行います。民間企業によるまちづくり事業に対し自治体が支援を行うことで、地域経済の再生による雇用創出、都市型産業の育成や人口減少などにより弱体化した地域コミュニティの再構築などを目的としています。
自治体側のメリットとしては、民間主体のまちづくりによるにぎわいの創出や、公共施設などの管理負担軽減などがあります。
また、街に人が増え財政状況の改善につながることで、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」への取り組みにもなるのです。(注1)
(注1)参考:官民連携まちづくりポータルサイト
ふるさと納税で音楽、文化活動の促進「楽器寄付ふるさと納税」
楽器の寄付者と自治体のパートナーシップによって行われる「楽器寄付ふるさと納税」があります。
ふるさと納税とは、地方自治体へ納税を行うことで、自治体の地域振興やまちづくりの支援を行い、寄付を受けた自治体は納税の返礼として、自治体の特産品などを提供する制度です。
楽器ふるさと納税とは、楽器の寄付者が使わなくなったり、余っていたりする楽器の寄付を行い、寄付した楽器の査定額が納税され、その納税額によって税金の控除を受けることができる制度です。
また、楽器を寄付することで、地域の音楽教育や文化活動の促進に貢献することができます。返礼として地元のイベントやコンサートに招待されるなどの特典もあります。(注1)
(注1)参考:楽器寄付ふるさと納税
ボトルからボトルへ水平リサイクル「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」
「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」とは、消費者、行政、企業が協力し、ボトル容器からボトル容器への水平リサイクル技術を検証することを目的として、2021年6月から東京都東大和市において、家庭から出されるプラスチックボトルやプラスチックパウチを回収し、分別、洗浄、処理した後、ボトル容器からボトル容器への水平リサイクル技術の検証をする事業です。2021年11月までに165キロものプラスチックボトルやプラスチックパウチを回収することができています。
この事業では、リサイクル事業を行うヴェオリア・ジャパン・グループとパッケージ成形を行うユニリーバ・ジャパン、花王株式会社がパートナーシップを結び取り組んでいました。そして、「令和3年度 革新的 技術・ビジネスモデル推進プロジェクト」としての「実証事業」(東京都とともに行う実証事業)に選定されたことにより、2021年12月からP&Gジャパンとライオン株式会社も参画し、4社でのパートナーシップを結んだ実証事業を行っています。(注1)(注2)
(注1)参考:ユニリーバ・ジャパン、花王が協働回収プログラム「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」を開始
(注2)参考:「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」実証事業に参画します
国連グローバル・コンパクトの取り組み
国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、国連と民間企業や団体が手を結び、健全なグローバル社会を築くための、世界最大の持続可能な成長を目指す世界的な枠組みのことです。UNGCに署名する企業や団体は、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止に関わる10原則に賛同する企業のトップによって責任のある約束のもとに、その実現に向けて分科会などを開き、各企業が他社の学識経験者などから学び、企業の社会的責任の考え方や取り組みについて議論や情報交換をしています。
国連は、様々なパートナーシップを結びSDGsの達成を目指しており、第73回国連総会において、SDGsの実行を目的とした、「グローバルなパートナーシップに向けて:国連とすべての関連パートナーとの間の強化された協力への原則に基づくアプローチ」という決議を2018年12月に行いました。
この決議の中に、「SDGsの実行において重要な民間セクターの活動推進は、国連グローバル・コンパクトの役割である」と記載されています。
また、国連グローバルジャパンでは、この国連の決議文への責任を果たすため、日本での民間セクターがSDGsに取り組むよう推進活動を行っています。国連グローバルジャパンの取り組みとして、東日本大震災復興支援活動や、年度ごとに環境経営などの分科会を開催しています。2023年5月の段階で552もの団体、企業が国連グローバルジャパンに加盟しています。(注1)
(注1)参考:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
ダウ・ケミカルのパートナーシップ事例
アメリカのダウ・ケミカルは、世界最大級の化学メーカーです。ダウ・ケミカルはインドのリサイクル企業のルクロ・プラステサイクルと、消費財大手のマリコ・リミテッドとのパートナーシップを結びました。3社のパートナーシップにより、ルクロ社のPCR材料を活用して作られたダウの集積シュリンクフィルムが、マリコ社の製品群に導入されます。これらの取り組みにより、ダウでは、2030年までに100万トンのプラスチックを回収、再利用、リサイクルし、廃棄物をなくすという目標に向けた取り組みをおこなっています。この取り組みは、ダウのバージン樹脂とルクロ社のPCR材料を組み合わせ、循環性の高い製品を作り、使用済みプラスチックのリサイクルソリューションを実施するというダウの戦略に沿ったものです。ダウでは持続可能性を重視し、環境への負荷低減や社会的課題の解決に取り組むことで、ビジネスの成長と社会への貢献を行っています。(注1)
(注1)参考:ダウとルクロ、マリコ、インドでの循環型包装ソリューションの促進に向けて提携
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のためにできること
SDGs達成に向けた取り組みとして、世界の現状、さまざま国や団体の取り組みを知り、理解することが大切です。しかし、世界規模の問題解決に向け、一人でできることにはやはり限界があります。わからないことがあれば、周囲の人に聞いたり、調べたりすることで、思いがけない解決法や新しい知識を得ることにつながります。一人ではなく、周囲の人、専門的な知識を持つ人や団体と協力することで、難しいと思っていたことも実現できるのです。
世界の現状を知ろう
日本の生活では、食べるものや飲料水が得られないこと、教育を受けられないこと、紛争や飢餓など、なかなか身近では感じられません。しかし、世界では危険な仕事に従事しなければ食べられない、貧しくて学校へ通えない、紛争によって住む場所を追われる人々が大勢いるのです。
また、環境問題も将来の生活に直結しており、早急に取り組まねばならない問題です。リサイクル活動やゴミの削減など、環境問題への関心は日本でも高まっており、簡単に協力できるエコ活動が多くあります。
世界で起こっているさまざまな問題の現状を知り、問題解決のために協力できることを考えることが大切です。
SDGsの目標達成のために協力できる取り組み
SDGs達成のために、身近なことから始めましょう。環境問題では、ゴミを減らすことを意識して、買わない、捨てない、分別して資源とするエコ活動に協力することが大切です。
身近なスーパーやコンビニなどでも、多くの企業が環境問題に取り組んだ製品を販売しています。商品を選ぶ際にも、自然環境や労働環境に配慮されたものを選ぶことは、消費者としてできるSDGs達成へ向けた協力になります。日々の生活においても、節電などのエコを意識することもSDGs達成に向けた取り組みになります。
また、ジェンダーや差別の問題などは、自分とは違う価値観を持つ相手を理解すること、自身の意識を変えることが大切です。
しかし、個人での活動には限界があります。そのような場合は、支援したい団体へ寄付を行い、活動に協力する方法があります。専門性の高い団体へ寄付をすることで、個人で行うより大きな影響を与える活動につなげられます。
SDGsに関係するイベントに参加する
SDGsに関するイベントも増えています。環境問題や人権問題の啓発活動に参加することで、協力方法がわかります。また、自治体などの清掃活動は大勢で協力することで、より大きな成果につながります。
SDGsに関するイベントは企業向けのものから、体験型やカードゲームを使った子供向けのものまでさまざまです。自分に合ったイベントに参加し、SDGsへの理解を深めましょう。
SDGs達成のために協力して行動しよう
SDGsの達成へ向けた活動に、無関係な人はいません。SDGsは「誰一人取り残さない」ための活動なのです。貧困、人権、格差、環境や生態系、資源の問題など、どの問題も原因は人間活動にあります。原因が人間である以上、私たちが協力し、責任をもって解決へと取り組まなければならないのです。
持続可能な社会を目指すSDGsの取り組みにはさまざまなものがあります。一人でも取り組めることはありますが、パートナーシップを結び、広く活動を行うことで、より大きな結果につなげましょう。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。