ダイドードリンコ株式会社のSDGsは人や社会と手を取り合い未来を考えること

ダイドードリンコ株式会社のSDGsは人や社会と手を取り合い未来を考えること

2023.07.26(最終更新日:2023.11.13)
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飲料メーカー大手であるダイドードリンコ株式会社をご存知の方は多いと思いますが、業界をリードする一方、SDGsへの積極的な取り組みを行なっている企業でもあります。
今回はダイドードリンコ株式会社の菊地さんにインタビュー。企業理念や未来への想い、行なっているさまざまなSDGsの取り組みについて聞いていきたいと思います。

ダイドードリンコ株式会社は飲料事業でSDGsに取り組んでいる

具体的な取り組みなどを伺う前に、まずはダイドードリンコ株式会社がどんな企業で、どのような理念のもと経営されているのかを聞いていきます。また、お話を伺う菊地さんご自身の活動についてもお聞きします。

ダイドードリンコ株式会社は楽しく健やかな暮らしをクリエイトする

───本日はよろしくお願いします。まずはダイドードリンコ株式会社の企業説明を簡単にお願いできますか?

菊地さん 当社では、「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」という、2030年のありたい姿に向けた「グループミッション2030」というものを掲げさせていただいております。お客様の健康を作る、社会変革をリードする、次代に向けて新たな価値を生み出す、人と人とのつながりを作るというものになっています。

当社はもともと奈良県で配置薬業から始めた会社で、その後、新事業としてダイドードリンコが発足しました。置き薬も薬箱から形を変え、ドライブインに卓上の自動販売機を設置し、今の自動販売機の原型になる温かい商品と冷たい商品を売る自動販売機もできました。

───置き薬の事業が始まりだったのですね。現在はどのような形なのですか?

菊地さん 現在、当社ではダイドーグループホールディングスという持株会社制を採用しておりまして、従業員はグループ全体で4,000名を超えています。
グループ内企業には、まずダイドードリンコという国内飲料事業があり、営業部やマーケティングなどの部署がある会社です。
ダイナミックベンディングネットワークという自動販売機をフォローする会社もあります。

また、海外飲料事業がトルコや中国などにあり、医薬品事業関連では大同薬品工業があります。
食品のたらみも、長崎に本社がある当社のグループ会社です。
希少疾病の医薬品事業関連でダイドーファーマという会社も立ち上げております。

───国内外で、さまざまな分野の事業を展開しているのですね。今回のお話の中心となる、飲料事業関連の特徴をお聞かせください。

菊地さん 当社は約27万台の自動販売機を保有しており、これは業界第3位の保有台数になります。また、国内飲料事業全体の売り上げの80%が自動販売機から成り立っているという、業界の中でも特徴的な会社です。業界平均が30%ぐらいですので、どれだけ自動販売機に力を入れているかがお分かりになるかと思います。(2023年時点)

───今回はSDGsに関するお話を中心に伺うのですが、菊地さんご自身SDGsに関する資格をお持ちであったり、いろいろな取り組みをされていると伺っています。

菊地さん 私自身、SDGsを社内・社外にどう広めてどう行動に移していくのかということを、全国の企業様、学校や団体の皆さんと一緒に取り組んでおります。私の大切にしている価値観は、「お互い様で繋がる希望ある未来を」ということです。

お互い相手を思いやるということは、今の時代もこの先の時代も決して忘れてはいけないことだと思っていますし、希望を持って皆さんに前を向いてもらいたいという思いもあります。ビジネススクールでSDGs推進コンサルタントを担ったり、ボードゲームなどを使ってSDGsを促進したりするなどの取り組みも行っています。

チャレンジを続け、人や社会との繋がりを大切にしている

───企業として大切にしている理念や考え方など教えていただけますか?

菊地さん グループ理念は「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」であり、従業員が自ら色々なことにチャレンジしている会社です。

グループビジョンとしては、「DyDoはお客様と共に。」「DyDoは社会と共に。」「DyDoは次代と共に。」「DyDoは人と共に。」の4つを掲げております。まさしく本日のようなインタビューの場も、人と人とのつながりという新たな出会いだと思っています。

SDGsを多角的な観点から、逆算思考で考えている

───SDGsに積極的に取り組まれていますが、取り組む上での考え方などお聞かせください。

菊地さん SDGsについて、昨年の夏に帝国データバンクさんが10,000社にアンケートを取ったデータがあります。半数は意欲的で、大企業に限定すると7割が積極的という結果が出ていて、働きがいやつくる責任、エネルギー、気候変動に重きを置いている企業が多いです。

また、SDGsの国別達成状況の2023年度版が発表されましたが、日本は2022年よりランクを落としました。ジェンダー平等やつくる責任、環境問題など、まだまだ日本には課題が多いと考えています。

データから、気候変動やパートナーシップ、作る責任などは、企業が今後取り組んでいきたい項目であると読み取れますが、ジェンダー平等や海の豊かさ、陸の豊かさには興味を持っていないとも読み取れ、目の前にある課題の解決への意欲しか見えてきません。

SDGsは「2030年にありたい姿がどうなのか」が大事です。目の前のことだけを考えるのではなく、逆算思考で物事を考えていくことが大切だと思っています。

───逆算思考で未来から遡って考えれば、今考えるべき課題が見えてきますね。

菊地さん もう一つ、「企業がSDGsに取り組むことの影響」というアンケート結果があります。こちらでは約80%の方が、取り組むことに影響があると言っているのです。企業に積極的に推進してほしいテーマでは、食品ロス、再生可能エネルギー、気候変動対策が上位に来ています。

ただ、ジェンダー平等や子どもに関する社会課題、地域活性、フェアトレードなども続いていますので、多角的な視点から物事を考えていく必要があると言えます。

───世の中が企業に求める役割は多岐にわたっているのですね。

菊地さん SDGsにより社会のルールが変わったという点では、経団連が企業行動憲章の中でSDGsのゴールを紐付けたり、東証がプライム・スタンダード・グロースに市場を変えたりしました。ここでもSDGsに積極的に取り組むことを求めているのです。
我々もプライム市場に上場しておりますので積極的にやっていこうと考え、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用に取り組んでいます。

また、自社のサステナビリティの取り組みを適切に開示すべきとも言っており、TCFD(企業が気候変動で受けそうな影響への予測や対策)または同等の枠組みについて開示することも行なっております。

当社も2022年にTCFD賛同表明をリリースし、重点目標を掲げさせていただきました。シナリオ分析(気候変動そのものや長期的政策動向による事業環境の変化予測)を行うことで、平均気温が2℃上がった場合、4℃上がった場合にどういう影響が起きるのかということも評価として出しています。
しかし、徐々に変化していくものなので、一度出して終わりではなく、今後も検討は必要だと考えています。

さまざまな取り組みで「脱炭素社会・循環型社会」の実現を目指している

人や社会との繋がりを大切にし、多角的な視野でSDGsに取り組んでいるダイドードリンコ株式会社。ここからはSDGsへの具体的な取り組みについて聞いていきます。

全国のイベントで、SDGsの周知に貢献している

───菊地さんは全国各地でイベントを行っているとのことですが、このイベントについてお聞かせください。

菊地さん 「3時間で共感出来る仲間づくり」という取り組みを行っていまして、昨年は全国にまたがり社内の10営業部の従業員と一緒に、SDGsを再認識し、行動に移そうという活動を行ないました。行政職員研修、教員研修、探求授業などを、さまざまな場所でやらせていただいています。

全国各地のショッピングモールでもイベントを開催しています。内容としては、「SDGs思考で選ばれる企業・選ばれる人財になるためのワークショップ」という取り組みです。

その他に「飲料×SDGs」というイベントもあり、福島県浪江町などの市町村や、ショッピングモールで開催させていただきました。

───色々な場所で様々なイベントを行っているのですね。反響はいかがでしたか?

菊地さん 京都府久御山町でイベントを行った際は、地方紙の方に記事にしていただき、非常にありがたく思いました。職員の方も非常に熱心に参加していただいたので、皆さん自らがアウトプットするような機会にもなり、取り組みとしてとても良かったと感じます。

「LOVE the EARTH」で「脱炭素社会・循環型社会の実現」へ

───次に、企業として取り組んでいるプロジェクトについてお聞かせいただけますか?

菊地さん 私たちは「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」「脱炭素社会・循環型社会の実現」に向けた重点目標を掲げております。

脱炭素社会の実現では、2030年までにScope1(事業者による温室効果ガスの直接排出)にあたる自社の車両の燃料、Scope2(他社から供給された電気・熱・蒸気の間接排出)にあたる事務所の電気の部分を、カーボンニュートラルにすることを目指しています。
そして2050年までに、自社、グループ会社の自動販売機での電力消費による排出に対するカーボンニュートラルの達成を掲げています。

循環型社会の実現に向けては、空き容器の回収率100%の達成や、プラスチック容器の60%以上のサステナブル化、自販機の平均寿命15年の達成に取り組んでいます。

スマートオペレーションでCO2排出量・化石燃料使用量を削減している

───脱炭素社会の実現に向けた取り組みを具体的に教えてください。

菊地さん 当社ではスマートオペレーションという取り組みを始めていまして、営業所にいながら自動販売機の商品の何が何本、いつ売れたか全てわかるようになっています。
従来は、自動販売機の前で専用の端末を使って何が何本売れたというのを確認し、トラックに戻って品出しをして、もう1回自動販売機のところに行って補充して次のお客様へ向かうという流れでした。

しかし、スマートオペレーションの導入により、補充に行かなければいけないタイミングがわかるようになりました。事前に商品をピッキングした状態でトラックに積み込めるのです。
巡回する場所は事前に把握できているため、トラックと自動販売機の往復の数も減りますし、これまでよりも多くの件数を回ることが可能です。
まだまだ課題も多いですが、働き方の改革につながる取り組みだと思っています。

───効率化と従業員の働き方の両方に働きかけられる仕組みなのですね。環境貢献の効果を教えてください。

菊地さん 当社では1,200台ほどのトラックを保有していたのですが、スマートオペレーションを導入したことで1,000台程度まで減らすことができ、ゆくゆくは800台程度まで減らしていこうと考えています。

トラックをEV車に変えるなどの取り組みも並行して検討していますが、トラック自体を減らすことや効率よく回ることによって、CO2排出量の削減につながり、化石燃料の使用量を減らすことができると考えています。

非化石証書の購入でお客様の取り組みをサポート

───かなりの効果が期待できそうですね。その他にはどのような取り組みがありますか?

菊地さん 他には自動販売機稼働時の電気への取り組みがあり、非化石証書を購入して、お客様に環境価値の部分をご提供する取り組みです。

また、新たに自動販売機を設置するお取引先様の賛同を頂けましたら、自動販売機1台に対して1本植林を行う取り組みもスタートしています。自動販売機はお客様の電気を使って動かしているため、Scope2に当たります。お客様にとってはScope2のCO2排出削減に取り組んだことになり、「LOVE the EARTHベンダー」は非常に有効的だと思っています。

2022年8月22日より全国展開がスタートし、現在ではすでに1,500台を超える自動販売機で取り組みを導入しています。お客様から「LOVE the EARTHベンダー」に変えていこうというお声もいただき、順調に進んでいるところです。

非化石証書とは、非化石価値取引市場で取引される証書で、電気の持つ環境価値の1つである非化石価値をエネルギーから切り離して取引するためにつくられました。化石燃料を使った発電では多くのCO2が排出されるため、CO2の排出が少ない非化石エネルギー源に換えることが社会で求められています。
非化石証書の取引で、国民の負担を抑えつつ、CO2フリーの電気がより身近になることが期待されています。
参照:資源エネルギー庁「2018年5月から始まる『非化石証書』で、CO2フリーの電気も購入可能に?」

植林活動で未来の地球環境を守っている

───植林へも積極的に取り組んでいるとお聞きしています。植林について詳しく教えてください。

菊地さん まずは植林の仕組みについてご説明します。例えば杉の木の場合ですと、10年から20年ほどでCO2の吸収量がマックスになり、そこから徐々に落ちてくるのです。

1ヘクタールに3,000本ほど植え、約20年で3分の1程度を間伐(森林が茂りすぎるのを防ぐため、木を切ってまばらにすること)し、10年経ったらまた3分の1を間伐、また10年で間伐というサイクルを繰り返します。
そして50年ほどが過ぎた時点で、再び植林を行うというサイクルが理想なのです。

しかし現実としては、国からの予算や補助金なども含め、予算がないために植林も間伐も思ったようにできていません。
結果として、日本の山は管理放棄地が多くなっています。この現状をどうにかしたいという想いもあり、植林活動を行なっています。

今植林を行うと、CO2の吸収量がマックスになるのは20年、30年先です。私たちというよりは私たちの子どもや孫の世代への影響が大きいのです。
子どもや孫の世代に今よりも悪くなった環境で生活はして欲しくないし、そうさせてはいけない。もしそうなってしまったら誰の責任かと言ったら、今生きている私たちに責任があります。ですので、今すぐにやるべきことだと考えています。

───確かに、子どもや孫の世代の環境を守るには「今」が大切ですね。

菊地さん 森林の現状を見ると、ヨーロッパでは森林火災や砂漠化が言及されていますし、東南アジアではプランテーションなどにより森林伐採が進んでいる問題があります。

日本ではやはり管理放棄地ですね。そもそも、林業の担い手となる方たちが少なくなってきている現状もありますし、森林経済の活性化にもつながるような取り組みができたらと思っています。
また、植林することによって、気候変動対策や自然環境保全、森林経済の発展に貢献できると考えています。

───森林の現状には課題が多いのですね。

菊地さん 私たちが自動販売機を設置することで、森林組合さんや設置していただける企業様とつながることもできます。こうしたつながりはとても大切なことだと思っています。
地球のため、未来のためにできることを、皆さんと一緒にやっていきたいと考えています。

サステナブルな取り組みで循環型社会を築いている

───循環型社会の実現に向けては、どのような取り組みをされているのでしょうか?
菊地さん 循環型社会の実現に向けては、2030年までに、自分たちが販売した商品の「容器の100%回収」を目指しています。現状でも業界の中では割と多い方ですが、それでも93%というのが2021年の実績ですので、さらに増やしていかなければと思っています。

もう一つがリサイクルです。ペットボトルからペットボトルを再生する、「ボトルtoボトル」という考え方が大切です。当社では、2030年までにペットボトルの60%以上をリサイクルすることを目標に掲げており、環境や資源を大切にすることを誓っています。

しかし、捨てる側の状況を見ますと、自動販売機のリサイクルボックスがゴミ箱化して、他のごみと一緒にあふれ出していることもあります。雨が降って匂いや色がつくと、ペットボトルはリサイクルできず、燃やすしかなくなってしまいます。このように、リサイクルがなかなか進まない現状もあります。

───たしかにリサイクルボックスがあふれている状況はよく目にします。私たち一人ひとりの意識も大切になってきますね。

菊地さん また、自動販売機を車のように途中で整備をしながら長く使えるようにする取り組みも行っています。2030年までに平均寿命を現状の11. 8年から15年まで伸ばしたいと考えています。

発売して48年になる「ダイドーブレンドオリジナル」という商品などに使っているスチール缶については、1987年から2021年でスチール缶自体を約50%削減することに成功しています。
手に取っていただくと、アルミ缶と間違えるぐらい薄いことがおわかりいただけると思います。薄くすることによって資源を使う量を減らしていく取り組みです。

募金活動を通して格差社会の解消へ取り組んでいる

───寄付ができる自動販売機があると伺っていますが、どのようなものなのでしょうか。

菊地さん 支援自販機として、緑の募金や国境なき医師団、盲導犬、セーブザチルドレンなどに寄付できるようなものがあり、飲み物を購入したお金の一部を当社が代わりに寄付するという仕組みになっています。

───飲み物を買うだけで寄付できるのは、手軽で良いですね。支援自販機を積極的に利用するだけでSDGsに貢献できますね。

菊地さん 現在、非常に増えているのが「子ども食堂支援自販機」です。子ども食堂が災害時の炊き出し場所や救援物資が集まる場所になっていることもあり、活動に賛同いただく企業様が増えてきています。京都市や門真市など、各地で取り組みをさせていただいています。
愛知県では「子どもが輝く未来基金」など、多くの場所で支援の取り組みがスタートしています。

ただ、募金イコールSDGsではありません。募金自体はもちろん大切なことですが、2030年、その先の世界で格差社会がなくなるような活動をしなければいけない、そこを目指していくのがSDGsなのです。
どれだけの団体に賛同いただけたか、何人の子どもたちに食事が提供できたかというのが本当の指標になるので、自動販売機を何台設置したというのは私たちのエゴでしかないと考えています。

このコロナ禍で格差社会も非常に進んでしまいましたし、どれだけ多くの方たちと一緒に取り組めるかを考えています。食品廃棄や生物多様性の保全なども含めて、さまざまな分野で取り組みをしていかなければと思います。

全国で募金対応自動販売機を約8,000台展開させていただいております。共感していただける皆さんと一緒に取り組み、より広げていきたいと思います。

多くのユニークな自動販売機で社会に貢献している

───少し変わった自動販売機があるとお聞きしています。どのようなものがあるのですか?

菊地さん 犯罪抑止に繋がるおしゃべり自販機や、マスクをしたままでも顔認証で商品が買えるもの、QR決済を使ってウェルカムドリンクを提供できるような仕組みなど、様々な自販機を拡大しています。
お菓子、赤ちゃんのおむつ、マスクの自動販売機、女性用のストッキングなども取り揃えています。

───バリエーション豊かで面白いですね。需要もありそうですし、身近にあると便利です。

菊地さん 春日大社にある「I LOVE シカ自販機」では、鹿せんべいを販売しています。開発した理由は二点あります。
一点目は、鹿せんべいが売っていないと、観光客がポテトチップスや唐揚げなどを鹿に与えてしまうためです。そうすると鹿が病気になってしまいます。
もう一点は、ゴミ箱の中に入っているたこ焼きなどの入れ物を鹿が食べてしまうためです。ビニール袋やプラスチックなどが、鹿の一番の死因になっているのです。
そこで鹿の健康を考えようと、24時間販売している鹿せんべいの自動販売機を設置しています。この自販機は非常に喜ばれており、SDGsの陸の豊かさにもつながる取り組みです。

SDGsに取り組み未来への責任を果たす企業へ

ここまでのお話で、ダイドードリンコ株式会社が本当に多くの取り組みで、SDGsの達成や豊かな世界の実現を目指しているのが分かりました。ここからは今後の展望や課題、未来への想いなどを聞いていきます。最後に読者の皆さんへのメッセージもいただきました。

社会からも未来の担い手からも選ばれる企業を目指している

───ここからは今後の展望や思い描くビジョンなどを聞いていきたいと思います。まず、これからの企業のあり方についてお聞かせください。

菊地さん 未来のために何をするべきかと考えたとき、社会への責任を果たすためには社会から必要とされる企業でなければいけないし、未来の担い手から選ばれる企業になる必要があると考えています。
今の学生さんたちはSDGsの考え方を学んで社会に出てきますので、先輩社員がSDGsへの理解や知識を持っていない企業であれば”こんな会社にいても仕方がない”と思われてしまいます。

会社を持続的に経営していく、持続可能な社会の担い手になるためには、やはり社内・社外から選ばれる人財、社会から必要とされる人財にならなくてはいけない。また、必要とされる人財を育て上げていくのも、私たち社員の役割ではないでしょうか。

人や社会との繋がりが鍵

───持続的な未来を考えると、これからの人財育成は大切になってきますね。今後の企業活動を考えたときの課題はどこにあるとお考えですか?

菊地さん まずは、企業のリスクが社会課題とリンクしてきている現状があります。昨今発生している台風や豪雨などの異常気象を考えると、売上減少や操業停止に追い込まれることも可能性としてあり得ますよね。健康被害やコスト増なども考えられます。

異常気象に関わる問題などは、業界の中だけで解決しようとしてもなかなかできるものではありません。異業種の方たちとも一緒になって進めていくことがSDGsの達成の近道であり、皆さんと色々な取り組みができればと思っています。

異業種を含め、様々な方とのつながりを示しているのがカラーホイール(SDGsの17の目標をカラー分けし、その繋がりを表現した公式のロゴの1つ)です。カラーホイールは、一つひとつではなく、全てが繋がり合っていることを象徴しているものです。
誰と何をするのかが重要であり、産官学公民、無数の組み合わせで無限の可能性が花開く、これこそSDGs達成の近道だと考えています。

なぜ今取り組むべきなのかを皆さんに知っていただくことが大切ですし、2030年の日本、その先の未来も皆さんと一緒に考えていきたいです。

───SDGsは複雑で難しい課題ですから、多くの人や企業と手を取り合って取り組むのは大切なことですね。

菊地さん 新たな希望になりそうなことも多々ありますよね。
例えば2027年の開業を目指している中央リニア新幹線。名古屋と品川が1時間で結ばれるということで、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。新たな技術を体感できることは、とても楽しみです。

あとは昆虫食ですね。食料を輸入に頼っている日本からすると、あり得ない話ではないかもしれません。ひょっとしたら私たちも昆虫食を売るようになるかもしれません。(個人所感)
希望ある未来を考えることで、資源の大切さを考えるきっかけになればと思います。

グリーン電力証書を使ったCO2削減の活動をスタート

───SDGsに関連して、今後取り組んでいきたい活動を教えてください。

菊地さん 当社ではグリーン電力証書を使って、「LOVE the EARTH」シリーズ6品において製造時のCO2を年間100トン削減する取り組みをスタートしています。
また、こちらのデザインは多様性や多文化共生をイメージして誰もが手に取りやすいものにしました。
高校生や大学生の方にも可愛いと好評をいただいていますし、裏面には英語で商品名を表記しているので、外国の方にも気軽に手に取っていただければと思っています。

年間で260本を販売したら、1本植林をしようという企画もあり、飲めば飲むほど日本の山に木が植えられていく取り組みになっています。

ダイドードリンコ株式会社は、手を取り合って水・空気・心が澄んだ未来へ向かう

───未来へのビジョンについて教えてください。

菊地さん ダイドードリンコ株式会社では「地球と次世代の人々/喜ぶことをやる」を指標としています。
ビジネスの観点では、「取引先と幸働(コウドウ)を共に。そして、共感を生みパートナーになる事」を掲げています。共感を生みパートナーになることで、目標に向かってみんなで取り組むべきと考えています。

考えて動くことは「考動(コウドウ)」ですし、幸せに動くことは「幸動(コウドウ)」です。
SDGsへの取り組みをスタートしている企業様というのは、幸せを導くことのできる「幸導(コウドウ)」ができる企業様であり、一緒になって私たちも頑張っていきたいと考えています。
SDGsの目指す未来をぜひ一緒に創っていきたいです。

───最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

菊地さん 「三方よしから六方よし」という言葉をメッセージとしてお話しさせていただきます。SDGsの理念でもある「誰一人取り残さない」社会を創るということは、近江商人の考え方である、売り手、買い手、世間の「三方よし」だけではなくて、作り手、地球、未来のことまで考えた「六方よし」が大切だと言われています。
商売において売り手、買い手が満足するのは当然のことです。働く社員の満足度が高く、世間に必要とされながら、地球のことや未来のことまで考えられてこそ、良い商売と言えると思います。

また、取り組みの輪をどんどん広げていくことが大切です。
1人が100歩行くよりも、100人が1歩進んだ方が断然効果はあるはずです。
100年後も水、空気、心が澄んだ世界を目指すために、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

───本日は貴重なお話をありがとうございました!

ダイドードリンコ株式会社はSDGsで未来をクリエイトする

飲料業界をリードするダイドードリンコ株式会社は、企業としての責務を果たしながらSDGsの分野においても活躍しています。
人や社会との繋がりを大切にし、さまざまな活動に取り組む姿勢に共感した方も多いのではないでしょうか。

ダイドードリンコ株式会社の取り組みや商品が気になった方は、ぜひホームページを覗いてみてください。これからの活躍にも注目ですね。

▼ダイドードリンコ株式会社のホームページはこちら
ダイドードリンコ株式会社

※ダイドードリンコ株式会社のホームページにて、EARTH NOTEを運営するケイティケイ株式会社のSDGsインタビューが掲載されました!
【企業事例】社内でSDGs啓発ができる募金型の自動販売機!?~ケイティケイ株式会社~

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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