カシオ計算機株式会社のSDGs | 電子機器でワクワクする気持ちと未来を創造する

カシオ計算機株式会社のSDGs | 電子機器でワクワクする気持ちと未来を創造する

2023.12.22(最終更新日:2026.01.15)
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世界を股にかけて活躍する「カシオ計算機株式会社(以下、カシオ計算機)」は、社名にもある計算機や腕時計のG-SHOCKが有名で、SDGsへの積極的な取り組みでも知られています。今回はサステナビリティ推進室の五十嵐さんに、カシオ計算機の概要や創業の経緯、具体的な事業内容、SDGsへの取り組み、今後の展望などをお聞きしました。

カシオ計算機はお客様の困りごとを解決するグローバル企業

誰もが聞いたことがある有名企業のカシオ計算機ですが、実際にはどのような企業なのでしょうか。ここでは、カシオ計算機の企業概要や創業経緯、世界で展開する事業内容についてお聞きします。

経営理念は「創造 貢献」


───本日はよろしくお願いします。最初に、カシオ計算機の企業概要と経営理念を教えてください。

五十嵐さん カシオ計算機株式会社コーポレートコミュニケーション本部サステナビリティ推進室の五十嵐と申します。
カシオ計算機株式会社は1957年6月に設立し、従業員数は2023年3月31日時点で1万名弱、2023年4月から増田が社長を務めています。

経営理念は「創造 貢献」で、これは創業当時から脈々と受け継がれているものです。近年さまざまな場面で「企業は地球や社会に貢献しなければならない」と言われているのは周知のことかと思います。私たちもやはり、ものづくりをするメーカーとして、お客様の困りごとを解決する発想・想像を持って、社会や人のために貢献していくことを大切にしています。

創業のきっかけは小型純電気式計算機の発明


───カシオ計算機はどのような経緯で創業されたのですか?

五十嵐さん カシオ計算機は、創業者の樫尾一族の名字が社名の由来です。開発・製造・営業など樫尾4兄弟それぞれが得意分野を持ち、力を合わせてアイデアを出し合うことで弊社は発展してきました。それぞれが自分の領域だけに従事するのではなく、それを融合させて新たなアイデアを出していくことに価値があるという弊社の考え方は、樫尾4兄弟のチームワークが元になっています。

創業のきっかけとなったのは、世界初の小型純電機式計算機です。当時は経済成長期真っ只中にあり、多くの企業は計算に対する負荷が大きくなっていました。そこで、計算の精度が高くコストを抑えられ、導入しやすい小型の計算機を発明したのが始まりです。

これもやはり、現場での困りごとをどう解決するかを具体的に製品化したものとなっています。その発想が受け継がれたさまざまな製品は未来技術遺産に登録され、東京上野の国立科学博物館に展示されています。私たちはものづくりメーカーですので商品を作るのは当然なのですが、商品が作られた背景にある、お客様の困りごとをどう解決していくかの提案や新しい価値・文化の創造が、結果的に社会に貢献できているという考えを社内で共有しています。

例えばデジタルカメラを医療用に展開するなど、築き上げてきたデジタル技術を高密度実装という形で積み重ねることにより、軽量化・小型化・低消費電力化して使いやすく有益なものを作ってきました。

世界中で活躍するグローバルな企業


───具体的な事業内容を教えてください。

五十嵐さん 弊社の製品はユーザー向けのものが多く、中でもG-SHOCKなどは認知度が高いです。国内では時計が主力商品となっている一方、海外の学校では関数電卓が必須のアイテムとなっており、電卓のカシオとしての認知度が高くなっています。現在では医療機器などにも挑戦をし、新たな困りごとに対してカシオならではの解決方法を提供していきたいと考えています。

弊社の事業は時計事業が約6割を占めており、関数電卓をはじめとした教育事業はそれに次いで2割強の売上となっています。また、地域別に見ると日本の割合は実は2割強でしかなく、8割弱が海外での販売です。

カシオという社名は海外の方に受け入れやすい名前らしく、海外での認知度が高い日本企業の1つになっています。数字で見てみますと、世界192の国と地域で商標権を取得しており、製造及び販売に関してもカシオグループとして約40社を世界で展開するグローバルな企業です。

さまざまな事業の中でSDGsや人に貢献

グローバル企業としてお客様の困りごとを解決するさまざまな製品を生み出しているカシオ計算機ですが、SDGsに関する取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、カシオ計算機のSDGsに関する具体的な取り組みについて詳しく伺います。

バイオマスプラスチックの導入で石油資源の使用を削減

───ここからはSDGsに関連した内容に触れていきます。カシオ計算機ではSDGsや環境に関したどのような取り組みを行っていますか?

五十嵐さん SDGsや環境への取り組みに関しては、やはり企業として世の中に対して責任があり、事業活動を行っていく上で何かしら世の中に対して有益なことに取り組んでいかなければならないと考えています。CO2の排出削減など、企業であれば当然取り組まなくてはならないこともありますが、事業の中でどのようにして社会や地球に貢献をしていくべきなのかを考えながら事業を進めています。

───事業を通じて社会に貢献するというのは素晴らしいですね。具体的な取り組みをいくつかお聞かせください。

五十嵐さん 事業を通じた取り組みの1つ目は、製品素材での取り組みです。ものづくりを行っているメーカーとして、製品が環境に与える負荷の低減に取り組むためにバイオマスプラスチックを導入しています。

バイオマスプラスチックはバージンプラスチックと比べ、個体差が生じやすく、また耐久性の部分で若干劣る点があるため、なかなか取り入れることは難しいものです。しかし、やはり石油資源の使用をどれだけ減らせるかというところは大きな課題であり、弊社の商品の多くにプラスチックが使われているため、ここでの取り組みが施策の1つとなっています。

───バイオマスプラスチックとはどのような素材ですか?

五十嵐さん バイオマスプラスチックというのは、植物の成分を抽出してバイオ素材としてプラスチックに含有させたもののことで、弊社ではトウゴマやトウモロコシから作られたものを使用しています。品質を維持しながら石油資源の使用を減らすことが可能な素材です。

今後はバイオマスの割合を高めていくことや、製品をどのように資源に戻していくかということにも取り組んでいきたいと思います。G-SHOCKの一部でもバイオマスプラスチックを使用した商品展開を進めています。

お客様に提供する価値を重視して素材を選んだ

───トウゴマやトウモロコシが素材として選ばれたことには、どのような理由があるのですか?

五十嵐さん 現在、技術開発によって世の中にはさまざまな種類のバイオマス素材があります。その中で弊社が採用する基準は、これまでの品質基準をどれだけ担保できるかです。カシオの時計は耐久性が高いことを売りとしており、アウトドアでも傷を気にせず扱えることや、精密機器である時計を保護する耐衝撃性が特徴となっています。その特徴を維持しながら、ムラができやすいバイオマス素材をいかに均一な条件で使用できるかが製造面では大切です。

しかし、機能の追求はコストアップに直結し、製品の価格に反映せざるを得なくなります。そこで、お客様に提供するための本当に正しい価値が生み出せる素材は何か検討を重ねました。そして多種多様なバイオマス素材の中から、品質を保ちながら大幅なコストアップにならない、効率的に製造できるという点を重視して選んだのがトウゴマやトウモロコシです。

梱包材の紙への切り替えで環境負荷を減らしている

───トウゴマやトウモロコシが素材としてえらばれたのには、そのような理由があったのですね。他にはどのような取り組みがありますか。

五十嵐さん 以前は、電卓が外から見えるようにプラスチックカバーを使用していましたが、商品開封後にゴミとなって廃棄される際の環境への負荷が大きいため、最近は紙での梱包に切り替えています。

しかし、外から中身が見えない、キータッチを確かめられないなどのご意見をお客様からいただきました。そこでサイズ感や色合いを確認できる形で梱包を作り、キーに触れないことに関してはお客様にご理解いただき、環境負荷低減を一緒に推進することをご提案させていただいています。近頃では他社様におきましても、同様に紙の梱包へ切り替えるところが現れており、梱包という視点からも新たな価値を提案していきたいと考えています。

───確かに紙の梱包だと中が見えないのはデメリットですが、拝見させていただいた梱包は中が見えなくてもサイズ感などがイメージしやすいですね。主力事業である時計の梱包にも何か工夫をされているのですか?

五十嵐さん 梱包はもちろん製品を守るためのものですので、機能面だけを考えた場合は凝ったものは必要ないかもしれません。しかし弊社では、時計を開封するときのワクワク感も価値として大切にしています。例えば再生プラスチックを使用した中箱は、G-SHOCKが演出しているゴツゴツした感覚やちょっと荒ぶった世界観が表現されており、単に箱に入っているだけではなくワクワク感も演出するものです。

また、外箱がペーパークラフトになっていて、紙でできたG-SHOCKが作れるものもあります。外箱をただ捨ててしまうのではなく、ペーパークラフトで楽しんでいただくという価値を提案させていただいており、商品を守るだけではなくワクワク感も大切にした梱包を提案しています。

ヨーロッパからはじめて他地域でも展開

───デメリットもある梱包の紙化を取り入れることには、難しい点もあったのでしょうか?

五十嵐さん 梱包の紙化を始めたのはヨーロッパからなのですが、ヨーロッパは環境に対する価値観が高いため、ここでどのように受け入れられるかが1つの岐点でした。導入当初は、外観が見える、プラスチック越しに触れるというお客様のメリットを削ってしまうことで、売り上げが落ちてしまうのではないかという懸念が販売店から挙がりました。

しかしヨーロッパで着実に展開できたことで、日本や中国などでもどんどん展開していけるようになってきました。環境への取り組みを繰り返し店舗に説明し、外装への製品デザインの反映を追求することで、よりスタンダードになっていくことを信じて取り組んでいます。

コラボレーションモデルを通じて普及啓発を行っている


───環境に関する取り組みの1つとして展開している、G-SHOCKのコラボレーションモデルを拝見しました。こちらについて教えてください。

五十嵐さん カシオならではの環境保全の取り組みとして、環境保護団体とのコラボレーションモデルを展開しています。こちらは、G-SHOCKやPROTREKなどのブランドを広告塔にして、各団体の活動を知っていただくという間接的な貢献活動です。

例えば、イルカやクジラを通じて海を守る団体との活動は、SDGsという概念ができる以前から行っており、30年以上に渡って自然への取り組みを1つの価値として提案してきました。また、これまでは環境保護団体とのコラボレーションは国内だけの展開でしたが、ガラパゴス諸島の動植物を守る団体とのコラボレーションを2023年から展開しており、グローバルで商品展開をして団体の活動を知っていただくという活動も始めています。

───環境保護団体の活動を周知する役割を担っているのですね。間接的とはいえ、普及啓発はSDGsにおいて大切ですからね。

五十嵐さん こうした活動が環境に影響を与えるには時間がかかるため、末長く展開していきたいと思っています。直接ものづくりが自然環境に良い影響を及ぼす取り組みではありませんが、カシオならではの取り組みとして今後も強化していきます。また、その他のさまざまなところでも、カシオならではの取り組みを全社員一丸となって推進していきたいです。

培った技術で医師や患者の負担を減らす


───社会や人に貢献する事業として医療機器分野にも参入しているとのことですが、こちらについて詳しく教えてください。

五十嵐さん 弊社が取り組んできた技術資産の中にデジタルカメラがあり、そこで培ったカメラ技術や画像処理技術をどう生かすかが社内で議論されてきました。この技術を医療分野に応用し製品化したものが、医療従事者が皮膚の観察を簡単に行うことが出来る専用のデジタルカメラです。皮膚の表面に生じた疾患が悪性なのか良性なのかを診察する際に、一度で偏光・非偏光・UV撮影の3種類の撮影を行うことができます。

こうした患部を接写するカメラ自体は以前から存在していましたが、患部の全体像や背中に広がる複数のほくろなど全体の撮影も併せて行う場合はレンズを交換するか、もしくは2台を使い分ける必要があり、忙しい医療従事者にとっては悩みの種でした。しかし弊社のカメラを使うことで、1度のシャッターで3種類の画像を捉えたり、患部への接写だけでなく、患部周辺を含めた全体撮影を一度に捉える引きの撮影が1台のカメラで出来、医療従事者の手間を大きく減らすことが可能になりました。

医療従事者の手間を減らすことは患者の負担の軽減や診察時間の短縮につながり、より多くの患者を診ることで病気の早期発見も可能になります。医師が判断をするための素材となる情報を少ない手間で実現するということが、弊社の医療機器の取り組みの大きな特徴になっています。

2022年より産婦人科向け子宮頸部観察用にも専用カメラも展開しており、2023年9月には欧州発売、2024年新春には米国で販売開始予定です。
さらに、これらの専用カメラのみの開発・販売だけではなく、AIを用いて医師の判断を手助けするという、一歩先の展開を考えているところです。AIで判断の手助けをすることにより医師の負担を減らし、医療の世界にさらに貢献をしていくための取り組みに繋がっています。

ワクワクする気持ちを大切に環境や人に貢献し続ける

事業の中でさまざまなSDGsへの取り組みを行っているカシオ計算機ですが、今後についてはどのような考えをお持ちなのでしょうか。ここでは、取り組みで気をつけていることや今後の事業についてお聞きします。

取り組みには正確な説明と丁寧さが大切

───SDGsや環境への取り組みを行う上で、気をつけていることなどはありますか?

五十嵐さん 正直、グリーンウォッシュ(利益を得るための見せかけの環境配慮)という言葉に対して敏感になっているところはあります。例えば「コラボレーションモデルの展開は環境に間接的な影響を与えると言っているが、単なるプロモーションなのではないか」と受け止められることがあるのも事実です。そこは大変悩ましく感じており、言葉遣い1つとっても丁寧にしなければならないと考えています。

特に海外モデルがない中でコラボレーションを行う際には、どのように受け止められるかは気になりますし、コラボレーションが環境にどのような良い影響を与えているのかをきちんと説明できないと、グリーンウォッシュと受け止められかねません。そういったこともあり、社内でもゴーサインを出す管理職はどちらかというと慎重で、社会問題や環境問題に敏感な若い世代は積極的と、考え方の違いが生まれています。

積極的に取り組むことも大切ですが、やはり活動を裏付けるための根拠も必要だと思っておりますので、意見を重ねながらより正確に説明できる形で展開しなければいけません。特に数字として発信する際には、社内での検証が本当に正しいものなのか、とても丁寧に確認しています。しかし、グローバルで展開しているカシオのブランドに傷をつけないように、きちんとした実証のある活動につなげていくことが大切だということは共有できていますし、活動の差はあれども同じ方向に向かっていると感じています。

お客様の気持に寄り添った環境や社会に貢献する事業を展開する

───今後、どのような事業や取り組みを行っていきたいとお考えですか?

五十嵐さん 私たちはものづくりを軸として事業を展開していますが、人びとの生活や考え方が前向きになるようなものづくりを続けていきたいと考えています。また、お客様がどのようなことに困っていて、どうしたらもっと嬉しくなるのか、楽しくなるのかというところを常に探求していきたいです。

その中で、環境や社会に対しての悪い影響をどれだけ少なくしていけるかというのは、世界中の企業が当たり前に取り組まなければならない課題だと認識しています。もともと弊社の製品は、より小型でより低消費電力なものを目指して展開してきたため、大きな家電を扱うメーカーと比べると環境への影響は小さいのですが、努力を継続することでさらに影響を小さくしていく、正に持続可能な事業活動と言える取り組みを継続していきたいです。しかし、ただ単純に環境や社会に良いだけでなく、その中でも楽しさやワクワクする気持ちを提供できる製品を展開していきます。

カシオとしての取り組みで環境や社会、人に貢献していく

───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

五十嵐さん 今回紹介させていただいた取り組みが完璧なものでないことは、私たちも強く認識しています。ただ、100%のものでなければ動けないというのはもったいないことであるとも思っており、まず行動するところから始めることで新たな考えやさらなる行動が生まれるのではないでしょうか。100%ではないかもしれませんし違った意見もあるかもしれませんが、カシオとしての取り組みを少しずつ形にしてご提案させていただければと思っています。

また、SDGsに関する活動というのは正解が見えにくいですが、それぞれの企業、それぞれの団体、それぞれの個人ができること、まずそこから始めるのが重要ではないかと思っています。今後も皆さんと共に、より環境や社会、人に貢献できる活動を推進していきたいです。

───本日は貴重なお話をありがとうございました。

カシオ計算機はこれからもお客様の笑顔と未来を創造していく

世界を股にかけた活躍で日本を代表する企業の1つであるカシオ計算機ですが、SDGsへのさまざまな取り組みや、お客様の気持ちを第一に考える姿勢は素晴らしいものでした。新たな分野へも進出し、さらに多くの人や社会に貢献し続けるカシオ計算機には今後も注目していきたいですし、活躍を期待せずにはいられません。カシオ計算機の製品や取り組みをさらに詳しく知りたい方は、ぜひ1度ホームページを覗いてみてはいかがでしょうか。

▼カシオ計算機のホームページはこちら
CASIO公式ウェブサイト | CASIO

▼カシオ計算機のサステナビリティについて、詳細はこちら
サステナビリティ | CASIO

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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