繊維商社を営む原貿易株式会社はSDGsで社員の幸せとサステナブルな未来を守る

繊維商社を営む原貿易株式会社はSDGsで社員の幸せとサステナブルな未来を守る

2023.11.16(最終更新日:2023.11.17)
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神奈川県横浜市にある繊維商社「原貿易株式会社(以下、原貿易)」は、繊維を扱った事業だけでなく、リユーストナーカートリッジをはじめとしたさまざまな分野の事業を行っている企業です。またSDGsへの積極的な取り組みは国内外で高い評価を受けており、さまざまな認証を受けています。

今回は社長の江守さんをはじめとした皆さんに、原貿易の働く環境や社内制度への取り組み、SDGsに関する商品開発、今後の展望についてお聞きしました。

歴史ある繊維商社でSDGsへの取り組みでも高い評価を受ける


繊維商社としての長い歴史を持ち、SDGsにも積極的に取り組んでいる原貿易ですが、具体的にはどのような歴史がある企業なのでしょうか。ここでは、原貿易の概要や歴史、事業内容やSDGsへの取り組みについてお聞きします。

繊維事業を受け継ぎトナーカートリッジのリユースも始めた


───本日はよろしくお願いします。まずは、企業の概要や歴史についてお聞かせください。

江守さん 弊社は横浜市で長く繊維商社を営んでおり、もうすぐ70周年を迎えます。横浜市は昔からシルクを使った織物、例えばスカーフなどを扱っている会社が多く、弊社もスカーフやマフラーの欧米への輸出を手掛けてきました。

横浜には原三溪が造った三渓園という有名な庭園があります。原三溪とはシルクで財を成した実業家で、富岡製糸場のオーナーを務めていたこともある人物です。弊社は、原三溪が行っていた繊維関係の事業をルーツとする一方で、トナーカートリッジのリユース事業も行っています。

───あの有名な三渓園とつながりがあるとは驚きました。江守さんは何代目の社長にあたるのですか?

江守さん 私は5代目の社長で、3人の子どもの子育てに非常に忙しい毎日を送っています。そのため必然的に弊社は子育てを応援する社風になっており、子どもを持つ親が働きやすい会社を目指しています。

2つのドメインでの事業に加えSDGs関連製品にも取り組む


───過去から現在に至るまで、どのような流れで事業が移り変わってきたのでしょうか。

江守さん 昭和の初め頃は生糸を織物にして、そこから作ったスカートやマフラーといった繊維製品の輸出を行っていました。また、スカーフには捺染というスクリーンプリントの技術が使われており、自社でスクリーンプリントの工場も持っていたため、繊維の製品を扱う他にプリンティングにも携わっていました。

現在は繊維・生活関連と機能部材・資材関連の2つの事業ドメインを持っており、昔から変わらず繊維関係と印刷関係の事業を行っています。繊維・生活関連事業については、スカーフやマフラーの輸出事業がアパレル事業やブランドインポートにまで発展し、育児用品や生活雑貨なども扱うようになりました。

また機能部材・資材関連事業については、タイプライターのリボン生地を欧米に輸出していた時期もありましたが、タイプライターが使われなくなった今はレーザープリンターのトナーカートリッジのリユース関連事業を行っています。
弊社はこのような2つの事業ドメインでの事業に加え、社員全員で脱炭素やSDGsの製品を扱うことにも取り組んでいます。

さまざまな認証や啓発動画への出演も


───さまざまな分野での事業だけでなく、社をあげてSDGsにも取り組んでいるのですね。

江守さん 弊社は「横浜市”Y-SDGs”」や「かながわSDGsパートナー」の認証・登録企業です。私と機能部材・製品部部長の斉田、脱炭素・SDGs営業推進担当リーダーの重田の3人で講演をさせてもらう機会もあります。例えば、神奈川県の専修大学の学生の皆さんや中小企業の経営者の方たちなどに向けてSDGsのへの取り組み方についての講演をさせてもらうなどです。

また、神奈川県で制作した「かながわ脱炭素ビジョン2050」という啓発動画にも出演させていただきました。このように私たちは、横浜市や神奈川県において地元密着の形でSDGs活動を行いながら、いろいろなお話をさせていただいています。

社員の働きやすさや脱炭素・普及啓発に尽力


繊維業から始まり、さまざまな分野での成功を収めてきた原貿易ですが、社内環境や社内制度、さらには脱炭素への取り組みでSDGsにも貢献しています。ここでは、原貿易の働きやすさに関する取り組みと、脱炭素、普及啓発への取り組みについてお聞きします。

時間休制度やリモートワークを導入

───ここからは、SDGsに関する具体的なお話を聞いていきたいと思います。企業としての仕組みや制度などに関して教えていただけますか?

江守さん コロナウィルスの流行も落ち着いてきましたが、コロナ禍を経験したことで働き方を見直して新しい働き方を作りました。女性社員とシニア世代の社員、物流センターの社員の働き方と、そのSDGsの視点についてお話します。

まず女性社員ですが、もともと弊社には女性社員、中でも子どもを持つ女性社員が多いため、「新しい働き方」には既に取り組んでいたという背景があります。コロナ禍を機に子育てと仕事の両立を支えるための時間休制度に加え、リモートワークも取り入れたことで、さらに女性がいきいきと働ける会社にすることができました。

2023年度に5名の女性がリーダーに昇格しました。子育てを応援してもらえたり、男女問わず力を発揮する機会がもらえたりといった社内の環境や風土がモチベーションに繋がっています。

───ジェンダー平等は大きな社会課題になっていますね。シニア世代の社員の方にはどのような取り組みをされていますか?

弊社は70歳以上のいわゆるシニア世代の社員が大活躍している企業です。若い社員も多い一方で、シニア世代の人材が持っている専門知識を積極的に活用させてもらっています。

具体的には、トナーカートリッジのリユースに関する技術スタッフにシニア世代を積極的に雇用しており、豊富な経験や知識を生かしてご活躍いただいています。こうした技術スタッフたちからさまざまなことを学びながら仕事をしており、いろいろな世代が関わり合いながら活躍できる風土が整っています。

またコロナ禍のさなか、ニュース等で業種によってはどうしてもリモートワークができる人とできない人が生じることが話題になったかと思います。弊社の物流センターで働く社員たちはリモートワークができなかったため、時短勤務などで対応し「思いやり手当」という形で手当を支給していました。物流センターが稼働しないと、出荷ができないため売り上げが立ちません。そういった方たちの働きに感謝をすることが、社員全員がそれぞれの分野で成果を出そうという気持ちにつながっています。

───社員の方の働きやすさを考えていらっしゃるのがとても伝わってきます。他にも働きやすさに関しての取り組みはありますか?

江守さん 私たちが目指しているのはやはり、社員みんなが働きやすい環境を整えていくことです。社員それぞれ、家庭で子育てや介護など個別の事情を抱えているため、女性だけではなく男性社員もそれぞれの事情に合わせてリモートワークや時間休制度を活用しています。

海外スタッフの協力も弊社には欠かせませんし、社内だけでなく仕事で関わるいろいろな方々とのパートナーシップを大事にしていることも、SDGsにつながるのではないかと思っています。

───感謝の気持ちやパートナーシップを大事にすることは、SDGsの根本的なところに関わってきそうですね。

江守さん リモートワークをはじめとした新しい働き方を推進する時には、風土作りが大事です。弊社も取り入れる際は「お互いさま、おかげさま、ありがとう」という感謝と思いやりの風土作りがあって初めて、新しい働き方ができるということを何度も社員に話しました。今では社員全員が理解を示してくれており、お互いに助け合いながら仕事に取り組んでくれています。

目指すのは「強くて優しい、いい会社」

───ただ単にトップが仕組みを変えるだけではなく、それを根付かせるための風土作りまでしっかり行っていらっしゃるのですね。では次に、どのような企業を目指しているのかについてお聞かせください。

江守さん 先ほども申しました通り当社は70周年を目前に控えており、目指す会社のあり方として「強くて優しい、いい会社」というスローガンを掲げています。コロナ禍をはじめ、現在でも戦争や為替問題、物価高などさまざまな問題があります。こうした外的環境自体は一企業としてはなかなかどうすることもできませんが、少しでも外的環境に強い会社を目指しています。

───たしかに、こうした問題への強靭性をもたせることは、企業として大切なことですね。

江守さん また同時に、社員が安心して働ける会社、みんながいきいきワクワクし、やり甲斐を感じて働ける会社、社会に必要とされる会社であるために、子どもたちや社外の人たちに「良い会社だね」と言ってもらえるような会社を目指しています。

弊社は社員の幸せを第一に目指す会社で、社会環境に優しい会社に向けて社員全員で取り組むために先述の「強くて優しい、いい会社」というスローガンを掲げました。そして弊社のパーパス(存在意義)として『世界の人達との架け橋となって人と環境に優しい価値ある情報と商品を「カチッ!」と提供する』と定めています。

───「社員が安心して働ける会社」への取り組みは、SDGsの観点からも素晴らしいと感じます。

重田さん ありがとうございます。SDGsは環境面への取り組みが注目されやすいですが、持続可能な社会のためには働く人びとが能力を発揮できる環境が必要だと考えます。ですので、弊社はSDGsの観点からも働きやすい会社を目指しています。

まちづくりや地域貢献に関しては、弊社の物流センターがある神奈川県綾瀬市の子育て支援センターに、私たちが取り扱っている子育てグッズを寄贈しています。こうした活動は私たちの事業を広く知っていただくことにもつながりますので、社会貢献を今後の事業にもつなげていきたいです。

私たちが大切にしていることは、一緒に働く仲間を思いやりながら活動し、それぞれが協力し合いながら自立して行動することです。そして、それが成果につながることで自分たちの自信にもつながっていく、そういう風土の中で働いています。環境面だけではなく、自分たちの働く風土を大事にすることもSDGsの視点から大切だと思っています。

中小企業はビジネスとSDGsを掛け合わせることが大切


───事業とSDGsを両立させるには、どのようなことが大切だとお考えですか?

江守さん 私は社内で「新しいことをやるには、知恵、工夫、勇気が必要である」こと、そしてだからこそ「出来ることから始めてみる」ことが1番良いと言っています。そして私たちのような中小規模の企業は、ビジネスにSDGsを掛け合わせて進めていくことが大切です。

2021年に横浜市が立ち上げた「Y-SDGs金融タスクフォース」から講演依頼をいただき、金融機関に対して2つの観点からお話をさせていただきました。まず1つ目の観点は、中小企業にSDGsやCSR(企業の社会的責任)といったことに関する特別な部署が無いのは、リソースが不足しているからであるということです。弊社が「Our Business×SDGs」を推進していることから、中小企業こそSDGsに既存ビジネスをつなげるべきだというお話させていただきました。

また、中小企業がSDGsを意識せずに行ってきた事業が、実は環境に優しいものだったということは多々あります。ですので、事業とSDGsを絡めて進めていくことが一番良いのではないか、金融機関としてそこに関するサポートをしてあげて欲しいという話をさせていただきました。

───SDGsは目標が多岐に渡っていますし、気づかないうちにSDGsに貢献する事業を行っていたという話はよく聞きますね。もう1つはどのような観点からお話をされたのですか?

江守さん 2つ目は、中小企業が情報発信するためのリソースが不足しているという話です。中小企業の中には広報活動の専門部署が無いところもありますので、自分たちが一生懸命、胸を張って取り組んでいることを知ってもらうための情報発信が必要です。弊社も地元のメディアや業界紙から取材をいただければ積極的に受けるようにしていますが、もっと発信していきたいと思っていますので、同じように考えている中小企業の情報発信をサポートして欲しいという話をしました。

また、弊社の重田が新聞取材を受けた際、子どもたちがお母さんが新聞に載っていることに喜び、学校の先生にも話したそうです。このような機会などを通して自分の活躍を子どもや家族に知ってもらうことは、仕事に対する誇りにもつながりますので、情報発信のサポートは本当に必要だと感じています。

さまざまな脱炭素の取り組みがSBTに認証された


───SDGsに関して、環境面での取り組みに力を入れていると伺っています。具体的にはどのような取り組みをされていますか?

斉田さん 会社自体をブラッシュアップする必要があると考えた際に、SDGsに関するものだけではなく脱炭素についても取り組むことを決めました。

初めに「SBT」という認証を取得しました。SBTとは、パリ協定に準じた目標に対する脱炭素の取り組みを行っている企業に対してなされる認証です。国内だけではなく、世界的に認知度の高い認証機関であるため、SBTの認証を取得できたことは弊社にとって有益なものでした。

SBT認証とは、Science Based Targetsの略語。パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標のこと。SBTが削減対象とする排出量はサプライチェーン排出量だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量の削減が求められます。
参考:環境省-SBT(Science Based Targets)について

また、社内や物流センターで使っている電気を100%再エネ電力のものに切り替えたり、「ゼロボード」というソフトウェアを使って温室効果ガス排出量の見える化を始めたりもしています。さらに、スコープ3の調達に関わる部分に使用するCO2排出量の算出にも取り組みはじめました。

───脱炭素だけでも、これだけの取り組みをされているのですね。SBTの認証を受けられたのも納得です。脱炭素に関してその他の取り組みはありますか?

斉田さん SDGsを通じていろいろなお客様と会う機会が増えたことにより、改めてお客様にリユーストナーカートリッジについて、またリユーストナーカートリッジを使うことで得られるCO2削減などの効果を説明させていただく機会がとても多くなりました。

脱炭素にポイントを置いてお話させていただく際には基本的にはペーパーレス化を前提としているのですが、どうしても紙で印刷しなければいけない場合には、印刷しながら脱炭素ができるリユーストナーカートリッジの使用をお勧めしています。また、リユーストナーカートリッジはプリンターの中に入ってしまい外からは見えませんので、プリンターに貼るステッカーを配布し、社内周知や環境に対する意識を高めるためのツールとしてご利用いただいています。

SDGsの普及啓発のためにパンフレットを配布

───このステッカーのように、普及啓発のために行った取り組みは他にもありますか?

斉田さん SDGsが世間にまだあまり浸透していなかった頃に、社長の江守がいろいろな企業の経営者の方々から、SDGsの取り組みに関する相談を受ける機会がありました。そこで、誰に対してもわかりやすいツールが必要だろうと考えてパンフレットを作成し、企業の経営者の方々や地方自治体などに4000部以上配布しています。こういった活動を通じてSDGsの認知度を上げるために取り組んでいます。

江守さん このパンフレットはとてもコンパクトにわかりやすくまとめており、これを読むとSDGsとは何かが簡単にわかるようになっています。さまざまな中小企業の経営者の方からも、幹部の教育に使うために分けてくれと言っていただくなど、かなりの好評をいただきました。

リユーストナーカートリッジで学びの場を提供している


───企業以外にも向けて取り組まれていることはありますか?

斉田さん 学校向けの取り組みも行っています。教育の現場ではデジタル化が進んでいますが、紙を使った学習の良さや先生の業務負担の軽減も含めて、手軽に印刷できる環境を提案することで少しでも力になれたらという考えからの取り組みです。

また、弊社も認定を受けている「横浜市”Y-SDGs”」や「かながわSDGsパートナー」の認証・登録企業間の連携として、保育園や学童保育施設にリユーストナーカートリッジを使用したプリンターを導入させていただき、子どもたちの学びの機会を提供しています。

SDGsの理念にも通ずるサステナブルな商品を扱っている


社員のことを真剣に考え、脱炭素や普及啓発の面からSDGsにも真剣に向き合う原貿易ですが、事業として扱っている商品にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、SDGsにも深く関わる原貿易のさまざまな取り扱い商品について詳しく聞いていきます。

コロナ禍をきっかけにサステナブルな取り組みを始めた

───ここからは、事業としてのさらに直接的な取り組みについて伺います。事業としてSDGsに貢献する商品を扱うことになったのは、どのような経緯からですか?

江守さん コロナ禍にはやはり、この先どうなるんだろうという不安がありました。それを原動力として、社員一丸となって新しい事業に取り組んだことが非常に良かったと思っています。まず1つはクラウドファンディングの活用で、「Makuake」を利用して新たな販売方法にチャレンジしました。

もう1つはInstagramなどのSNSの活用です。ブランドごとにアカウントを作り定期的に情報を発信しています。そして最後がサステナブル製品の拡充で、素材や作り方などにこだわった製品を扱いはじめました。

重田さん この経験から私たちは、新しい商品を開発する際にも、SDGsに役立つようなものが今後求められるだろうと意識しながら企画を進めることができるようになりました。例えば、シリコンの食器やバイオマスを使用した環境配慮型のカトラリーセットなどを企画して製品化したことが挙げられます。

江守さん 他にも、竹を配合したバイオプラスチックを使用した環境配慮型のベビー食器などもあり、百貨店やベビー用品専門店などに置いていただいています。

さまざまな事情を抱える人に向けた商品を扱っている

───他にはどのような商品を扱っていますか?

江守さん 車いす用のレインポンチョも扱い始めました。車いすを利用される方は車いすの操作で両手が塞がるため、雨の日に傘を差すことが難しいです。そのため、レインコートなどを利用することが多いのですが、ネットなどで購入できる安価なレインコートには質が悪いものも多いのが実情です。

そのような製品を介護の現場などで使うのは厳しいだろうと考え、弊社で扱っている、アウトドアグッズにも使用する超撥水生地でレインポンチョを作ることになりました。Makuakeを利用したのですが、かなり高い評価をいただくことができ、そこから販売店との取引にもつながっています。また、「キネティックバランス」というヨーロッパの車いすユーザー向けのアパレルブランドの商品を、弊社で販売できるようにもなりました。

───細かなニーズに応える商品を扱うことは、SDGsの誰ひとり取り残さないという理念にも通じますね。ヨーロッパのブランドを扱いはじめたとのことですが、他にも海外とのつながりはありますか?

江守さん 私の知り合いに、きちんとした教育を受けることができず働く場所がない人たちを優先的に迎えて、工場で働く場を提供している企業の社長がバングラデシュにいます。この方の姿勢や、彼らの労働環境を何とかしたいという気持ちに賛同し、弊社もオーガニックコットンのベビー用スタイなどのオーダーをさせていただいています。

ほぼすべての人が利用できる防災パンも扱う


───本当にさまざまな事情を持つ人のために取り組まれているのですね。他にも、同様の取り組みはありますか?

斉田さん ヴィーガン対応の防災パンは、小麦粉・ごまを除く26品目がアレルゲンフリーになっています。動物性の原料を使っていないため、ほとんどすべての方々に召し上がっていただける商品です。また、CO2の排出量を削減する手段としても、さまざまなところにご提案させていただいています。

先ほどご紹介した保育園でもこの商品を採用していただいております。保育園に子どもを預けていらっしゃる外国の方の中には宗教上の理由などで食べ物に制限がある場合もあるため、さまざまな事情の方にお話を聞いていただける機会が増えてきました。

林業や地方を支えるために木の製品も扱い始めた


───木で作られている製品をいくつか拝見したのですが、こちらについて詳しく教えていただけますか?

金野さん 私が所属しているベビー用品の開発などを中心に行っている部署に「angelette」というブランドがあります。こちらのブランドの新シリーズとして、子どもやオフィスで働く人、リモートワークをする方のための、ダイニングテーブルの上で使えるワーキングボードを開発しました。

このワーキングボードは、社内の打ち合わせの際の何気ない会話、「子どもをリビングで勉強させているが、ご飯ができても片付かなくて困っている」といった声がヒントになり生まれた商品です。

このボード作りに国産材ひのきを使うこととなり、福島県の南会津の木工場にいる、弊社とつながりのあるデザイナーに相談しました 。そこで林業の国内における現状などをお聞きして、弊社の販売ノウハウを生かして商品開発ができないかという話になり、クラウドファンディングを利用して新たな分野へのチャレンジをすることになりました。

───国内の林業が厳しいという話はよく聞きますね。

金野さん 日本は国土の約7割が森林で、木が豊富であるにも関わらず木材の自給率がかなり減っています。そうなると当然、そこに関わる製材所や木工所などの方たちの仕事が立ち行かなくなり、後継者もいなくなってしまいます。そうした現状を見て、私たちの販売に関するノウハウを活かして何かお手伝いができないかと考えました。

そこでデザイナーから出た「木で何か良いことができないか」という案から生まれたのが「Wood for Good」というブランドで、木と異素材を組み合わせることで品質がワンランク上の良いものを作っていこうというコンセプトを掲げて商品開発をしています。

Wood for Goodは働く人向けのステーショナリーのため、ベビー用品の開発を専門としていた私たちの部署にとっては大きなチャレンジとなる事業でした。木のみで作られているアイテムは世の中に多く出回っていますが、木と異素材を組み合わせることによって新たな見え方がする商品の開発を進めています。

───ベビー用品とステーショナリーは全くの別分野ですし、開発や製造も大変そうですね。

金野さん 木の部分を作っている南会津の工場は、家具や小物以外に小さな子ども向けの玩具も手掛けている工場です。そのため、子どもが触ったり口に入れてしまったりしても大丈夫なように、繊細な製品作りができます。そうした工場のノウハウや技術を活かして、かなり高いクオリティの商品を開発することができました。

さらに、木の粉とプラスチックを組み合わせた商品の開発も、SDGsにつながる取り組みとして行っています。もともとあったベビー用として開発された商品を組み合わせることによって、オフィスでの需要を生み出し、新たな商品開発や販路開拓につなげる事業として始めました。林業や地方の活性化にもつながるため、地域創生も意識して商品開発を進めています。

また、間伐材などを使用した鉛筆も製品化しています。地方の廃校を買い上げて工場化している会社と一緒に、鉛筆作りを始めました。使わなくなった建物を取り壊してしまうのではなく、大事に長く使えるようにして商品を作る場所にしていく取り組みです。これらの事業を中心に、2023年12月に開催されるエコプロ2023に出展する準備を進めています。

社員を大切に、さらなるつながりを生む企業へ

さまざまな人やものごとに寄り添う商品を扱うことでSDGsにも寄与している原貿易ですが、今後についてはどのような考えをお持ちなのでしょうか。ここでは、取り組みに対する社員の声や今後の展望について聞いていきます。

時間休制度は子どもを持つ親に寄り添った制度

───ここまでいろいろとお話を伺ってきましたが、会社の制度に関して、社員の方からの声にはどのようなものがありますか?

重田さん 私が正に当事者なのですが、私がこの会社に入ったのは下の子がまだ4歳ぐらいの時でした。働く母親にとって、子どもの病気などで急に休まざるを得ない状況になることが、仕事を続けていくことの1番のネックだと思います。また小学校に上がってからは、学校行事などで平日の昼間に休みを取らなければいけないことも多いです。

他にも病院に連れて行くために、丸々1日お休みをいただくのではなく何時間かだけお休みが欲しいということもあります。そのようなときにとても助かっているのが時間休という制度です。弊社では1時間から時間休が取れるため、最低限必要な時間だけ休みを取り、また自分の業務に戻れるというのはとてもありがたいと思っています。

───子どもは本当に急に熱を出しますし、病院にかかる機会も多いですから、時間休は助かる制度ですね。

重田さん 環境面に関しても、同じような境遇の女性社員が非常に多いため、お互いの事情などを理解しやすいです。周りは自分のことを理解してくれますし、自分も周りのことが理解できますので、そういった意味でもお互いに働きやすい環境だと感じています。

金野さん 男性としても子どもに何かあったとき、共働きの妻が休めなくても休みが取れますし、そこの理解をしてもらえる環境は助かっています。お互いにフォローし合うことが当たり前だと感じる社風ですし、お互い様という意識が非常に高い会社だと感じています。

地域企業との取り組みのさらなる発展へ

───今後、どのようなことに取り組んでいこうとお考えですか?

江守さん 2023年12月に、福井県立大学の経済学部で地域マネジメント論を学んでいる学生に特別授業を行います。そこでお話しする予定なのは、私たちが地域の企業とつながり一緒に扱う商品を開発しながら地域創生に取り組んでいるという話です。私たちの活動は日本のさまざまな場所でニーズがあると思いますので、私たちが受け皿になり、地域の企業との取り組みをさらに発展させていきたいです。

周囲の助力に感謝しさらなるつながりを


───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

江守さん 弊社が約70年も事業を続けてこられたのは、扱う商品などを時代に合わせて変えていったことももちろんありますが、やはり先達や社員一同、国内外の取引先に助けられている部分が非常に大きく、そのことは決して忘れません。

私たちは人の役に立つような仕事をしたいという想いで事業に取り組んできました。弊社は幸いにも社員全員がSDGsに理解を示してくれており、SDGsに関連した事業ができています。今はSDGsが大きく取り上げられるようになりましたが、このような私たちの経験や知識が他の中小企業のお役に立てることもあると思いますので、どんな些細なことでも相談していただけると嬉しいです。

また、横浜市や神奈川県で、SDGsに取り組む企業のパートナーシップを構築していることもあり、さまざまな企業とのつながりが始まっています。そうしたつながりを多くの企業と持ちたいと思っていますので、ぜひお声掛けいただければ嬉しいです。

───本日は貴重なお話をありがとうございました。

多くの人とつながり人や環境に優しい未来へ

長い歴史の中で、時代と共にさまざまな事業を展開してきた原貿易ですが、社員のことを第一に考え、どんな事情を持つ人に対しても力になりたいと考える姿勢には感銘を受けました。これからも、人にも環境にも優しいサステナブルな取り組みを続けていく原貿易の活動に注目していきたいです。
原貿易の取り組みや事業、商品に興味を持たれた方は、ぜひホームページを覗いてみてください。

▼原貿易のホームページはこちら
原貿易株式会社 | 創業68年の繊維商社 | 機能部材製品と繊維生活関連製品

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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