瀬戸内市のSDGs|子どもたちと共にまちの未来と歴史を守る取り組み

瀬戸内市のSDGs|子どもたちと共にまちの未来と歴史を守る取り組み

2024.06.28
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岡山県の南東部、瀬戸内海に面した瀬戸内市は、豊かな自然と歴史文化が魅力のまちです。多くの特産品や名所、そしてSDGsの取り組みでも知られています。

今回は瀬戸内市役所企画振興課の仁科さんに、瀬戸内市の見どころ、SDGsに関する取り組み、今後の展望や想いについて伺いました。

瀬戸内市の概要と見どころ


瀬戸内市とはどんなまちなのでしょうか?取り組みについて伺う前に、まずは瀬戸内市について詳しくお聞きしたいと思います。

ここでは、瀬戸内市の概要や名産品、見どころとなる観光名所についてお聞きします。

多島美や備前刀が有名


───本日はよろしくお願いいたします。まず、瀬戸内市の概要を教えていただけますか?

仁科さん 岡山県瀬戸内市企画振興課の仁科と申します。瀬戸内市は平成16年11月に旧邑久郡の牛窓町、邑久町、長船町が合併して誕生し、2024年度で20周年を迎えるまちです。人口約36,000人と小さなまちではありますが、瀬戸内海に面した丘陵地や島々からなる多島美など、美しい景色を楽しむことができます。

また、歴史と文化に彩られたまちとしても有名です。備前刀の聖地と呼ばれ、備前長船刀剣博物館がある長船地域や、朝鮮通信使が寄港した港町である牛窓地域、竹久夢二生家記念館がある邑久地域など、歴史文化資源が豊富なまちでもあります。

───人口があまり多くないとのことですが、人口推移は現状どのようになっていますか?

仁科さん 瀬戸内市は他の地方公共団体と同様、2000年をピークに人口減少に転じているのが現状です。老年人口は一定の水準で推移している一方、生産年齢人口や年少人口は年々減少する見込みとなっています。しかし移住者が非常に多く、人口の社会増の傾向が続いているため、この社会増の強みを活かして地方創生を進めているところです。

───人口の社会増が起こっているのは、どのような要因によるものだとお考えですか?

仁科さん 政令指定都市である岡山市に隣接している点や、瀬戸内市が子育て支援に力を入れている点から、それを魅力に感じた若い世代に選ばれています。また、JRの沿線は非常に住宅開発が進んでいる地域となっており、岡山市のベッドタウン的な利便性の高さも魅力です。一方で、牛窓地域の沿岸部や中山間地域につきましては、自然豊かな点が評価されており、定年退職された方や田舎暮らしに憧れている方にお選びいただいています。

牡蠣など多彩な特産品も魅力


───都市としての利便性の高さと、豊かな自然が共存しているのは魅力的ですね。他にも瀬戸内市の魅力を挙げるとしたら、どのような点がありますか?

仁科さん 瀬戸内市は農業が盛んなまちで、白菜やキャベツ、かぼちゃなどの野菜、ピオーネやマスカットなどのブドウ、みかんが特産になっています。米どころとしても有名で、稲作も盛んです。また、漁業も盛んで、特に牡蠣の養殖が盛んになっています。牡蠣といえば広島の牡蠣や備前市日生の牡蠣が有名ですが、瀬戸内市で育つ牡蠣も非常に美味なことで知られています。

───観光の見どころとしては、どういった場所がありますか?

仁科さん 牛窓地域の沿岸部は日本のエーゲ海と呼ばれており、多島美が観光客に人気です。この地域には古民家を改修したカフェや、閉鎖した診療所を改修した複合施設もあり、若い方を中心にご来訪いただいています。

また、備前長船刀剣博物館は、日本刀を専門展示している日本で唯一の公的な博物館です。最近は刀剣女子という言葉が流行るほど刀剣が女性に人気で、若い女性のお客様に多くご来場いただいています。ヨーロッパからも非常にたくさんの方がお見えになっており、インバウンドにも一役買っています。

カードゲームを使ったSDGsの取り組み

自然や歴史などさまざまな魅力がある瀬戸内市ですが、それらを持続可能な形で守るためのSDGsの取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、瀬戸内市が行っている中でも、高校生と行っているカードゲームの取り組みをご紹介します。

総合計画に実効性を持たせる高校生との取り組み


───ここからはSDGsに関する取り組みについて伺います。まずは、瀬戸内市がSDGsに取り組むようになったきっかけをお聞かせ下さい。

仁科さん SDGsは自治体行政との関連も大きく、SDGsは自治体が今後持続可能な運営をしていくための根本になる考え方であると考えたことがきっかけです。SDGsを柱にした取り組みを行うことを目的として、令和3年には企画振興課の中にSDGs推進室が設置されました。私は、SDGsが始まった2015年から環境省に出向しており、地球温暖化対策に携わる中で、SDGsの概念を取り入れたまちづくりを進めたいと考えていたことも理由としてあります。

───SDGsの取り組みとして、高校生と取り組んでいるカードゲームがあると伺っています。こちらの取り組みの経緯について教えていただけますか?

仁科さん 瀬戸内市では、令和3年度に第3次瀬戸内市総合計画を策定しました。その中で掲げているのが、総合計画の基本計画とSDGsのゴールを関連付け、総合計画と地方創生、SDGsを一体的に推進するという大方針です。

そして瀬戸内市には、市内唯一の高校である県立邑久高校があります。地方創生の観点のからも、高校生は地域の担い手としてとても大切な存在であり、高校という場所もまた非常に大切なものです。そのため、この邑久高校が廃止されることがないように、市と高校が協力をしてさまざまな取り組みを10年ほど行ってきました。こうして深く邑久高校と関わる中で、SDGsの推進にも関わっていただきたいと考え、カードゲームの取り組みがスタートしました。

総合計画は市の一番重要な計画であるため、実効性をどう持たせるかという観点からカードゲームの取り組みを行っています。これは、金沢工業大学の「THE SDGs アクションカードゲーム Ⅹ クロス」をベースに、高校生が瀬戸内市総合計画に沿って市の課題や取組を聞き書きし、子ども達にも分かりやすい内容にアレンジした瀬戸内市オリジナルのカードゲームです。市と邑久高校、SDGs協定を締結している公益財団法人岡山県環境保全事業団の3者が連携して進めているもので、カードゲーム自体が総合計画に紐付いたものであるため、市役所や地域の企業、市民団体などが実行することで、総合計画の目的達成に近づいていくという仕組みです。これにより、総合計画の実効性を上げようというのが一つの目的になっています。

瀬戸内市の課題や取り組みがよくわかる


───具体的にはどのような内容の取り組みなのですか?

仁科さん 邑久高校は瀬戸内市にある高校ですが、生徒の多くが市外から通学しています。そのため、入学時には瀬戸内市のことをあまり知らないのが実情です。そこでカードゲームは、瀬戸内市のことを知っていただくことも一つの目的としています。

入学した1年生には、まず瀬戸内市がどんなまちかをお話しし、カードゲームの仕組みやSDGsに関する授業を行います。

その後行うのが、普通科1学年(定員40名)の生徒がグループに分かれ、市職員20名ほどに行う「聞き書き」です。これは瀬戸内市総合計画に基づき、瀬戸内市の課題や瀬戸内市が取り組んでいることをヒアリングし、トレードオフ(一方を尊重するともう一方が成り立たなくなること)などについて考えるためのきっかけにしてもらうことを目的としています。ヒアリングしたことは、高校生がカードゲームにまとめてくれます。

───カードゲーム自体を制作する段階から、かなり本格的に行っているのですね。作ったカードゲームはどのように使われるのですか?

仁科さん 高校生自ら、自分たちで作ったカードゲームを使って、市内の小中学校で出前授業を行います。このカードゲームは、市の課題や取り組みを知り、そこから起こるトレードオフについてアイデアを出して解決策を考えるという内容になっており、小中学生から課題解決のアイデアがどんどん上がってきます。子どもたちのアイデア全てを実現できるわけではありませんが、市と企業が協力し、できる限り実現していきたいと考えています。

───子どもたちからは、具体的にどのようなアイデアが出たのでしょうか?

仁科さん 瀬戸内市では、コロナ禍により民間のバス事業者が路線を廃止するという事例がありました。そのため市では、そのバス路線を引き継ぐために予算を割いて、現在では市営バスとして運営しています。この課題と行動に対して高校生は「バスの運行に非常に多くのお金が使われているため、バスを利用しない人から苦情が出る」というトレードオフを想像してカードに書いていました。

それに対して小学生は、与えられたリソースカードの中からいくつかのアイデアを絞り出しました。例えば、温泉カードからバスで行けるような温泉ツアーを発想したり、お笑いカードからお笑い芸人を呼ぶことによる温泉の集客を発想したりといったものです。さらにボランティアカードから、芸人を温泉に呼ぶイベントのお手伝いをしてくれる人を募って、より多くの人にバスに乗ってもらうことを発想する子どももいました。普段利用しない人に乗ってもらうことで、バスを利用しない人の苦情を減らしていきましょうという素晴らしいアイデアです。

───実現できそうなものもありますね。子どもだからこそ浮かぶアイデアもありそうです。

仁科さん 一人3枚という限られたリソースカードからアイデアをひねり出すことは、発想力を養うことにもつながっています。今すでに行っていることだけをやっていても、2030年のSDGs目標達成は困難です。このカードゲームは、目標達成に必要な新しいアイデアを考える練習にもなっています。実現できないものも多いですが、子どもたちはこれがベストだと思うものを一生懸命考えて提案してくれます。

───カードにはそれぞれデザインが施されていますが、これは誰が行っているのですか?

仁科さん デザインも高校生が考えてくれたものを採用しており、昨年度末に作成した新しいバージョンではイラストも全て高校生が描いてくれています。それぞれのカードには、関連するSDGsの目標、瀬戸内市の課題、市が実際に行っている事業や政策、市の取り組みによって新たに起きそうな問題(トレードオフ)が書いてあります。課題と市の取り組みの部分は高校生が市の職員に聞き取りしたものを、新たに起きそうな問題の部分は高校生がイメージしたものです。

また、カードゲームは総合計画に紐付いており、毎年新たな課題の発生や更新が起こります。そのため、毎年新たなカードを作ったり、先輩から引き継いだカードを更新したりして、その年に合わせた内容にリニューアルしています。

取り組みの魅力でさまざまなつながりが生まれた


───企業や団体からもお声がかかっていると伺っています。

仁科さん 企業からは、自社の業務改善にカードゲームのスキームが役に立つのではないかという点や、高校生が小学校で授業を行うという点に魅力を感じていただいています。社員が高校生から学ぶところにも興味を持っていただいているようです。環境団体の方などには、やはりSDGsの事業ということで興味を持ってくださっています。

また大学とは、市内の企業の方のご縁からつながりを持つことができました。とても面白い取り組みだと言ってくださり、SDGsの授業の中で地域と密着した取り組みとしてご紹介いただきました。その際も高校生が大学生にファシリテートする形を取っていただいたことで、プレゼン能力やコミュニケーション能力といった、高校生の将来に必要な能力の向上にもつながっています。

他にも、取り組みの認知をしてもらうために、市の職員と高校生が一緒にSDGsイベントに出展したり、SDGsフォーラムを開催したりしています。また、市が2022年度から発行している統合報告書に掲載するなどの情報発信も行っています。

───本当に市と高校生が密になって取り組んでいるのですね。

仁科さん 邑久高校は県立高校であるため、瀬戸内市とは行政区分が別です。それにも関わらず一緒に取り組みを行うことができているのは、ひとえに高校の校長先生始め、先生方のご協力あってのことだと感謝しています。

市民や企業にも広がるのが目標


───カードゲームの取り組みに関しては、今後どのようなことを目指していますか?

仁科さん 地方創生に10年間取り組んできた結果、人口の社会増など一定の効果が出ていることは実感しています。しかし、子育て支援や、子どもたちのための取組は多くありますが、そのPDCA(計画・実行・評価・改善のプロセス)のサイクルの中に肝心の子どもたちが入っていません。大人が考えて実行することは、もちろん子どもたちのためになっているとは思いますが、そのサイクルに高校生や小中学生という子ども世代を入れたいという想いが、カードゲームの取り組みを始めた理由の一つです。

カードゲームを一つの手法として、子どもたちに郷土愛を持ってもらうこと、小中学生や高校生に地域の課題に気づいてもらうこと、そしてまちづくりに参画する仕組みを作ることを目指しています。子どもたちからしても、自分のアイデアが実現することで、より地域に愛着を持てますし、まちづくりの担い手になってもらえると考えています。そして、カードゲームの取り組みが子どもたちの間だけで閉じてしまうのではなく、市民や企業の方、金融機関の方などにも知っていただき関わっていただきたいです。

今後は、このカードゲームの取り組みを地域全体で進めていけるように、企業や金融機関が一緒に取り組んでくれればと思って働きかけています。そして子どもたちのアイデアを実現し、地域のためにできることをやっていく。こうした形で、総合計画の実効性を高めていくためのスキームを確立していきたいと考えています。

日本刀とハンセン病、2つの歴史の取り組み

カードゲームの取り組みは、瀬戸内市の課題を解決するために、子どもたちを始め多くの人を巻き込んだ素晴らしいものでした。一方瀬戸内市では、歴史を守り後世に伝えていくための取り組みにも力を入れています。

ここでは、日本刀とハンセン病という、瀬戸内市とは切っても切れない関係にある2つの歴史に関する取り組みを伺います。

子どもたちに本物を体験させるための山鳥毛里帰りプロジェクト


───カードゲームの他にも、子どもたちのために行っている取り組みはありますか?

仁科さん 瀬戸内市の長船地域は古くから日本刀の生産が行われてきた土地です。現在国宝に指定されている日本刀は111口(ふり)存在し、その半分が長船地域などで作られた備前刀となっています。しかし当時の瀬戸内市の備前長船刀剣博物館には、国宝や重要文化財指定の刀の所蔵は一口もありませんでした。国宝や重要文化財に指定されるほど価値のある芸術作品の多くが東京の博物館に集まっているため、地方の子どもが歴史や文化に触れる機会が少ないという課題を感じていました。

市長はこうした体験の差を何とか解決できないかと考えていました。そのような中、瀬戸内市で作られ国宝に指定された日本刀であり上杉謙信の愛刀、国宝「太刀 無銘 一文字(山鳥毛:さんちょうもう)」を入手する機会をいただきました。この機を逃せば、瀬戸内で作られた国宝が東京や海外に流出する危惧があったため、瀬戸内市で所有したい、子どもたちに産地で本物を見るという体験をさせてあげたいとの想いで「山鳥毛里帰りプロジェクト」を始めました。

しかし、この山鳥毛は、当時の評価額が5億円にも上る最高峰の日本刀です。これだけの額のものを買うのに、市民の皆様からの税金を使うわけにはいかないということで、クラウドファンディングを開始しました。最初は途方もない挑戦だと職員一同思っていましたが、最終的には個人版と企業版のふるさと納税を足して8億円以上のご寄附をいただき、無事購入させていただきました。

市と市民、企業の協力で成功したクラウドファンディング

───8億円もの額が集まったのはすごいですね。職員の方たちも相当苦労されたのではないですか?

仁科さん 市の職員だけで寄附を集めたわけではなく、岡山県や企業などから多大なご協力をいただきました。さらに、地域の中でプロジェクトの応援団が設立され、多くの市民や市民団体に関わっていただけたことがとても大きかったです。取り組みを認知して応援してもらうためにはどうすれば良いかを、市民の方と一緒に考えながらPRさせていただきました。

───それだけ多くの方から理解を得られたのは素晴らしいですね。

仁科さん 初めは単に日本刀を買うプロジェクトと誤解されることもありました。しかし、プロジェクトが進んでいくうちに、子どもへの教育的価値や、現在では数が非常に少なくなっている刀匠の育成、文化の伝承など、非常に価値のある取り組みだとご理解いただけました。こうしたさまざまな協力や理解があったことで、最終的にクラウドファンディングの成功につながったと思っています。

ハンセン病の歴史を残すために取り組んでいる


───瀬戸内市にはハンセン病の療養所があり、建物や歴史を残すための取り組みを行っていると伺っています。こちらについてお聞かせいただけますか?

仁科さん 瀬戸内市にある長島という島には、2つのハンセン病療養所があります。2つの施設を持っている自治体は全国で瀬戸内市だけです。また、誤った国策によって生まれた悲しい歴史がありながら、古い歴史を持った建物や、入所者の皆様が作り上げてきた文化が数多く残っている島でもあります。

また、ハンセン病患者のために建てられた邑久高校の分校である新良田教室もあり、長島の豊かな自然も含めて将来に残していけないか考えました。現在はユネスコの世界遺産登録を目指して取り組みを進めています。

───こうした負の歴史は、同じ過ちを繰り返さないためにも残していかなければいけませんよね。長島の現状はどうなっているのでしょうか?

仁科さん 現在はハンセン病患者の方はいらっしゃいませんが、故郷に帰れない方が大勢いらっしゃいます。また、元患者の平均年齢も88歳を超え、歴史を語り継ぐ人が少なくなっているのが現状です。そのため、NPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会が歴史をどう残して未来に伝えていくか、大切な記憶としてどう残していくかという取り組みをしており、市もその活動に協力しています。

───歴史を伝えるために、若い世代へ向けて行っていることはありますか?

仁科さん ハンセン病の歴史についての授業ももちろんあります。また、邑久高校では1年生のときにカードゲームで広く瀬戸内市を学んだことを活かし、2、3年生になると興味のある分野を探求していくようになります。地域でハンセン病に関する映画祭を開催したり直接元患者の方にお話を聞きに行かれたりなどする生徒もおり、高校生も非常に積極的に長島の取り組みに参画いただいています。

今後の展望とSDGsへの想い


まちの現在と過去を守る瀬戸内市の取り組みは、多くの人や企業に支えられて現在に至っています。では、瀬戸内市の未来を創っていくことに関しては、どのような展望をお持ちなのでしょうか。

ここでは、SDGsやまちに対する想いと、瀬戸内市の今後の展望について伺います。

瀬戸内市に関わる人の幸せがSDGsにつながる

───SDGsに取り組むにあたり、大切にしている考えなどあればお聞かせ下さい。

仁科さん 瀬戸内市はSDGsに取り組んでいますが、SDGsという看板を掲げながら何もできていない側面も多々あります。私は、SDGsのために何か新しいことをやらなければとは考えておらず、職員が行うまちづくりの取り組みそのものがSDGsであると考えています。SDGsという観点はもちろん頭にはありますが、取り組みの根底にあるのは瀬戸内市を持続可能で住みやすく、市民の方が‘しあわせ’を感じるまちにするためにはどうしたら良いかという観点です。

瀬戸内市総合計画では、「人と自然が織りなす しあわせ実感都市 瀬戸内」を目指す将来像と掲げており、当市では‘しあわせ’幸せという言葉を非常に大切にしています。SDGsを市民の方、市に関わる方、市に通勤・通学される方、皆さんがしあわせに感じるまちづくりと捉えて、全ての部署の職員と協力して取り組んでいきます。

目指すのは強みを活かした瀬戸内市らしいまちづくり


───瀬戸内市の今後の展望をお聞かせいただけますか?

仁科さん 将来の構想としては、人口が減って財政が厳しくなる中で、瀬戸内市をどう維持していくかがテーマとしてあります。人口が減っていくこと自体を止めるのは非常に難しいことです。しかし、今のしあわせを維持し、さらにそれ以上のしあわせを得るために、新たな価値の創出に着目して取り組んでいきたいと考えています。

昔の行政と違い、今の行政職員の考え方は非常にクリエイティブで、活動の幅も広がってきています。行政だからできないと諦めるのではなく、民間企業と同様にさまざまなことにチャレンジし、前例踏襲にこだわらずにできることを行っていく。そして職員側も楽しんでまちづくりに取り組むような風土を作っていけば、きっと市民の方に共感される政策がすすめられるはずです。

瀬戸内市は人口約36,000人の小さなまちではありますが、歴史文化資源が多く、自然豊かで、JR沿線は都市機能が集約したコンパクトで住みやすいまちでもあります。こうしたさまざまな側面が、多くの方に興味を持ってもらうことにつながっている強みを生かして、瀬戸内市らしいまちづくりを進めていきます。

市民や企業と共にさらなるまちづくりを

───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

仁科さん 当市では、瀬戸内市統合報告書というものを作りました。これは、国際統合報告評議会(IIRC)のフレームワークを使って作成した、日本の地方公共団体としては初めての統合報告書です。行政の文書は、財務データは財務データのみ、非財務のデータは非財務のデータのみで公表されているため、一般の方には読みづらいものになっています。そのため、市の紹介も兼ねて職員の検討会議を通してこの統合報告書を作りました。

この統合報告書には事業の進捗や瀬戸内市の強み、さらにはリスクや課題も記載してあるため、瀬戸内市の良いところだけではなく、リスクも正しく知っていただけるものになっています。正しく瀬戸内市を知ってもらった上で、企業や市民団体と一緒にまちづくりを行いたいと思っています。行政だけではさまざまなことに限界があるため、多くの方と協力していければ嬉しいです。

───本日は貴重なお話をありがとうございました。

過去と現在を守り、未来を創る瀬戸内市


瀬戸内市のSDGsの取り組みは、過去の歴史や現在の人びとの暮らしを守り、まちの未来を創造する素晴らしいものでした。未来の担い手である子どもたちと手を取り合い、多くの人に支えられている瀬戸内市の今後には、期待せずにはいられません。

瀬戸内市の取り組みや町に興味を持たれた方は、ぜひホームページを覗いてみてはいかがですか?

▼瀬戸内市のホームページはこちら
瀬戸内市公式ホームページ トップページ

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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