亀岡市のSDGsの取り組み ~環境と子育てに注力し想いをつなぐ~

亀岡市のSDGsの取り組み ~環境と子育てに注力し想いをつなぐ~

2024.09.25
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京都府の中西部に位置し、数々の観光地やさまざまな産業で賑わう亀岡市。自然に恵まれながら、京都市と隣接した立地から住みやすいまちとしても知られています。一方で亀岡市はSDGsにも非常に力を入れており、SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業にも選定されています。

今回は亀岡市役所企画調整課の橋本さんに、亀岡市の特色や見どころ、SDGsに関する事業や取り組み、今後の展望について伺いました。

亀岡市の特色と観光名所

隣接する京都市同様、観光で賑わっている亀岡市ですが、具体的にはどのような特色があるまちなのでしょうか。ここでは、亀岡市の概要や産業の特色、おすすめの観光地についてお聞きします。

京都市に隣接しインバウンドで賑わう

───本日はよろしくお願いいたします。まずは亀岡市のご紹介をお願いします。

橋本さん 亀岡市企画調整課の橋本と申します。私は2021年からSDGsの取り組みについて担当をしています。

亀岡市は京都市の西隣に位置する人口約87,000人の町です。京都駅から電車で約30分、快速電車を使えば約20分で来られる交通の便にも恵まれた立地になっています。近年、京都市内を中心にインバウンド需要の高まりによるオーバーツーリズムが叫ばれていますが、当市にもやはり大勢の外国人の方が観光で来られていますし、宿泊で来られている方も多く見受けられます。

三大観光地から四大観光地へ増えた見どころ

───京都市から近いのは、便利で良いですね。観光地をいくつかご紹介していただけますか?

橋本さん 亀岡市では、魅力ある3つの観光地について三大観光と銘打って発信をしています。その一つが嵯峨野観光鉄道の「嵯峨野トロッコ列車」です。このトロッコ列車は、観光地で有名な京都の嵯峨嵐山と亀岡をつないでおり、亀岡で一番観光客が訪れている観光名所となっています。

もう一つは保津峡という場所で行われている「保津川下り」です。こちらは四季折々の自然を満喫できる非常に人気のある観光地となっています。そして3つ目が温泉です。亀岡には「湯の花温泉」という温泉郷があり、京都市内から一番近い立地にある温泉であることから、年間を通じて外国人の方も含めた多くの方にご来訪いただいています。

また、ここ最近では三大観光ではなく四大観光という呼び方も増えてきています。その四大観光に数えられるのが、JR亀岡駅のすぐ北側にあるサンガスタジアムby KYOCERAです。サッカーJ1リーグ所属の京都サンガFCのホームスタジアムであるため、もちろん試合観戦という形でご来場いただくサポーターの方も多く、一方で複合施設でもあることから試合観戦以外でも年間を通じて多くの方にご来訪いただいています。

製造業と農家の兼業が多い

───保津川下りは全国的にも有名ですし、修学旅行などでも人気ですよね。産業面ではどのような特色がありますか?

橋本さん 製造業が盛んです。多くの京野菜を生産する一大産地であることから農業などの一次産業が多いと思われがちですが、実は製造業の割合が最も多くなっています。また、数字的には三次産業の割合が多いものの、製造業の方の多くが農家を兼業しているため、数字以上に農業従事者が多いことも特徴です。

亀岡市のSDGsの取り組み

全国的に有名な数々の観光名所や特色ある産業など、見どころが多い亀岡市。力を入れているSDGsの取り組みにもまた、独特な特色があります。

ここでは、亀岡市のSDGsに関する取り組みについて詳しく伺います。

レジ袋禁止を唯一条例化している

───ここからは、SDGsに関する取り組みや事業について伺います。亀岡市のSDGsの取り組みには、どのような特徴がありますか?

橋本さん 亀岡市では、SDGsの17のゴール全てに対してさまざまな事業で訴求しています。その中でも、取り組みの大きな柱になっているのが環境です。

当市では、SDGs未来都市に選定される以前から、環境先進都市を目指した取り組みを行っています。具体的には、2018年にプラスチックごみをゼロにするという宣言をして、市民の皆さんと一緒に取り組んできました。この宣言は亀岡市単独で発信したわけではなく、市民の皆さんと一緒に宣言をしています。

中でも特徴的なのが「プラスチック製レジ袋の提供禁止の条例化」です。これは現在においても全国で唯一、亀岡市だけの条例となっています。現在では全国的にレジ袋が有料になっていますが、当市では全国で有料化する1年前から有料化を始め、全国で有料化になったタイミングで禁止にしています。

───レジ袋に関する取り組みを、どこよりも早く始めていたのですね。不便にもつながることですが、反発の声も多かったのではないですか?

橋本さん 市民の方からよりも、お店側からの反発が多くありました。亀岡市内の店舗は全て禁止という形の条例になっているため、特に大手のフランチャイズなどからの反発が大きかったです。全国に何百何千と店舗があるようなお店では、亀岡市内の1店舗や2店舗だけを禁止しなければならないため、非常に厳しい声がありました。

しかし一方で、市民アンケートでは7割以上の市民の方から賛成であるというお声をいただいています。
亀岡市内に本店があるスーパーマーケットチェーンがレジ袋を禁止にしたことから、一気に広がったという流れです。

───効果として、具体的にどのような数値が出ていますか?

橋本さん レジ袋禁止を推進したことによって、現在亀岡市民のエコバッグ持参率は98%を超えています。また、レジ袋の禁止条例施行以前と比較すると、年間75万枚ほどだったレジ袋の配布状況が1万2000枚ほどまで減っているため、効果は出ていると感じています。

有機農業推進に向けたオーガニックビレッジ宣言

───エコバッグ持参率98%は、かなり凄い数値ですね。先駆けて取り組んだ成果がはっきり出ていますね。他に、環境面ではどのような取り組みを行っていますか?

橋本さん もう一つが有機農業の推進で、オーガニックビレッジ宣言を日本で2番目に行いました。農薬や化学肥料を使う慣行農業から、環境に対する負荷が低い有機農業による生産者を増やしていこうという取り組みを行っています。

新規就農希望者の約8割が有機農業を行いたいと考えていらっしゃいますが、それだけでは有機農業の広がりという観点からは物足りません。そこで、慣行農業で農業を行っている方にも、有機農業にシフトチェンジしてもらう取り組みを行っています。

具体的な取り組みとして、有機農業を学べる亀岡オーガニック農業スクールを立ち上げました。本気で有機農業を行い専業農家として生計を立てていく方向けのプロ養成コース、有機農業の技術を学びたい方向けのスタディコース、机上講習に特化したオンラインコースの3つのコースがあります。

───ただ推進するだけではなく、スクールまで作られたとは驚きです。他にも有機農業を始められる方向けの取り組みはありますか?

橋本さん 有機農業にシフトチェンジする、または有機農業を始めようとするときには、やはり販路の確保という問題があります。現在有機農業を行っている方の多くは、お店や個人を相手に自分で販路を開拓してこられました。しかし、有機農業を行う方全員が自ら販路を開拓できるわけではありません。そこで、亀岡市内に16校ある小学校の給食のお米を有機米に変える取り組みを進めています。

これは、年間60トンほど必要になる有機米を市で買い取ることで、販路の安定に一役買うという取り組みです。今後は中学校でも給食を始める予定になっているため、中学校の給食にも有機米を導入し、ゆくゆくは野菜も有機栽培のものを導入していく計画になっています。

他にもアートに関する取り組みや、子育てに関する取り組みも行っています。平成28年から移住促進に注力する中で、ずっと子育て世代の移住促進に取り組んできました。子育て世代の方に喜んでもらえる施策を数多く行っており、子どもファースト事業という呼び方で取り組みを進めています。

───オーガニックスクールは、定期的に募集しているのですか?

橋本さん 2025年2月から2026年1月までの1年間勉強する第2期生の募集を2024年11月から開始します。この先も第3期第4期と続けていき、亀岡で就農して生物多様性の維持やCO²削減に一緒に取り組んでいただけたら嬉しいです。

「かめおか霧の芸術祭」

───かめおか霧の芸術祭の取り組みを拝見しました。こちらはどのようなものになりますか?

橋本さん 「かめおか霧の芸術祭」は、「祭」とついてはいるもののフェスティバルという意味合いの祭ではありません。もともと、亀岡にゆかりのある芸術家の方とまちづくりを行う上で、アートの力を何かに活かせないかというところから始まっているのが、かめおか霧の芸術祭です。

このかめおか霧の芸術祭は、我々の日常の中にアートがあるという考え方になっています。一般的なアート作品、例えば絵を例として挙げると、キャンバスに絵を描いて作品にして、展示会などで展示します。

しかし、かめおか霧の芸術祭ではキャンバスを農地や畑などに置き換え、アーティストも農業を行っている農家の方と置き換えるのです。畑を耕すところから始まり、収穫して出荷するまでの農業の一連の作業、おいしい野菜を作る技術もアートであるという考え方なのです。収穫したものをマルシェという形で出店して多くの方に食していただく、これが展示会になります。

他にも、保津川下りの船頭さんが持っている高度な技術もアートです。

かめおか霧の芸術祭とのコラボから生まれたHOZUBAG(ホズバッグ)

───かめおか霧の芸術祭と掛け合わせることで、イノベーションを生み出す取り組みをされていると伺っています。

橋本さん 亀岡市はSDGsの取り組みが評価され、内閣府からSDGs未来都市に選定されています。また、未来都市の中でも優れた取り組みを行っているとの評価から、自治体SDGsモデル事業にも選定されました。その際、亀岡市の何が評価されたのかというと、かめおか霧の芸術祭×X(かけるエックス)でイノベーションを生み出していることが評価されたのだと有識者の方からお声をいただいています。

その最たる例が「HOZUBAG(ホズバッグ)」です。当市ではSDGsの柱の一つを環境と定めており、プラスチック製レジ袋の禁止条例まで作っています。しかし、ただ禁止するだけではなく、エコバッグの推進も同時に行いました。レジ袋をもらわないために常にエコバッグを携帯し、持続可能な社会にしていきましょうという趣旨の取り組みです。

その流れでHOZUBAG(ホズバッグ)が誕生します。しかし、HOZUBAG(ホズバッグ)そのものを推進しているわけではなく、あくまで推進しているのはエコバッグです。HOZUBAG(ホズバッグ)を前面に出しているのは、広く発信しメディアに取り上げていただくために、バックストーリーを持たせて発信していくことにフォーカスしたからです。そこで、かめおか霧の芸術祭とコラボすることになりました。かめおか霧の芸術祭×エコバッグでHOZUBAG(ホズバッグ)になったというイメージです。

───たしかに、ストーリー性がある方が取り上げられやすいですよね。HOZUBAG(ホズバッグ)は、どのようなきっかけで誕生したのですか?

橋本さん 本市の市長がかめおか霧の芸術祭の総合プロデューサーに「エコバッグが作れないか」と相談したところ、パラグライダーの廃棄生地を使って「持ちたくなるバッグをファッションブランドと一緒に作ろう」と提案をいただいたことが始まりです。

盆地にある亀岡は気流が安定しているという特徴があるため、パラグライダーのメッカとして人気になっています。そこで、パラグライダーの生地がどのように廃棄されるのかに着眼しました。調べると、パラグライダーは人の命を預かるものであるため、飛べる回数や年数の基準が非常に厳しく決められていることがわかったのです。

中には一度も使っていないのに年数が経ったため処分しなければならない場合もあり、廃棄にかなりの金額がかかることも同時にわかりました。そこでそれは勿体ないという話になり、薄くて丈夫な生地だということはわかっていたため、アップサイクルしてエコバッグに生まれ変わらせることになったのです。

そして、保津川や保津峡の「保津」から名前を取ってHOZUBAG(ホズバッグ)と名付けて発信したという流れです。

名前の由来は船頭さんの想いから

───使用目的もエコなら、素材もエコなバッグなのですね。保津川や保津峡から名前を付けたのには、何か理由があるのですか?

橋本さん そもそも、環境先進都市を目指していこうという取り組みや環境を大切にする取り組みは、行政発信で行ったものではありません。もともとは、保津川下りの船頭さんが30年ほど前に、自分たちの職場である保津川をきれいにしようと始めた取り組みがきっかけです。

台風などで増水する度に、保津峡は天然のフィルターになってごみが溜まります。しかし、保津川下りは清らかな水や豊かな自然を売りにしてお客さんに来てもらっているのに、ごみが溜まっている状況を見せてはならないと船頭さんたちが自発的にごみ拾いを始めました。

そこから10年ほど後に、活動に共感した市民の方が集まって「NPO法人プロジェクト保津川」が設立され、毎月1回の清掃活動を現在も続けられています。そこに行政も参画し、ごみを拾うだけではなく、どのようなごみが多いかの調査をしました。結果、プラスチック製のレジ袋の破片が圧倒的に多かったことから、絶対量を減らすためにプラスチック製レジ袋の提供を禁止する取り組みにつながりました。

レジ袋を減らすためにエコバッグを持ちましょうという取り組みのマインドは、船頭さんたちの清掃活動から受け継がれています。HOZUBAG(ホズバッグ)と名付けたのには、こうしたストーリーがあるのです。

現在は亀岡市内で「株式会社HOZUBAG」という会社が立ち上がり、そこでHOZUBAG(ホズバッグ)を製造しています。これは環境だけではなく、経済にも社会にも貢献しているものであるため、亀岡市が三側面から取り組んでいるSDGsの最もわかりやすい例だと思います。

ペットボトル削減に寄与するリバーフレンドリーレストラン


───ただゴミ拾いをするだけではなく、ごみを分析することで元から絶とうとするアイデアは素晴らしいですね。

橋本さん ゴミ拾い活動は現在も定期的に行っており、並行してごみの内容調査も継続しています。レジ袋を禁止した後はプラスチック製レジ袋の破片が激減しており、新たに目立ってきているのがペットボトルです。そのため、現在はレジ袋と同様の考え方から、ペットボトルを極力使わないような生活スタイルを提案し、ペットボトルを極力買わないようにするためにマイボトルを持ち歩く取り組みを推進しています。

ただ、家からお水やお茶などを入れたマイボトルを持って出ても、職場や学校、休日のお出かけ先などで飲み切った場合に備えなければなりません。そこをフォローするために、亀岡市内の全小中学校や高校、公共施設などに給水器を設置しています。

他にも、亀岡市内の飲食店にも協力していただいて、給水できる体制を整えています。それが「リバーフレンドリーレストラン」です。この「リバー」もやはりリスペクトを忘れないために保津川からとりました。これは市からのあくまでお願いベースにはなるのですが、各企業独自の努力において給水器を設置していただいたり、お水を用意しておいてもらったりという取り組みです。レストラン利用客はもちろん、レストランを利用していない方であっても給水ができる場所になっています。

SDGsパートナーに必要なのは宣言と共感のみ

───亀岡市ではSDGsパートナー宣言制度を導入されているそうですが、制度を導入されている他の自治体とはちょっと違った特徴があると伺っています。どのような特徴があるのでしょうか?

橋本さん かめおかSDGsパートナー宣言制度の最大の特徴は、SDGsの達成に向けて取り組んでいる企業はもちろん、これからやろうと思っている方もパートナーになれることです。認証制度ではなく、あくまでもパートナーであるためそこに上下関係はありません。同じレベルの関係で情報共有し、一緒にSDGsの学びを深め、亀岡市の底上げをみんなで行っていくことを目指した取り組みです。ですので、宣言をしていただき、未来都市計画の達成に向けて共感してもらうだけでパートナーになっていただけます。

───取り組みの敷居が低くなりそうですね。パートナーになる頃には、どのようなメリットがあるのですか?

橋本さん 一番わかりやすいところでは、亀岡市のSDGs特設ホームページでご紹介させていただきます。さらに、かめおかSDGsパートナーのロゴマークをお使いいただけるようにもなります。またパートナー企業は、年に数回行っている情報交換会や勉強会への参加も可能です。

───この勉強会は、具体的にどのようなものですか?

橋本さん かめおかSDGsパートナー宣言制度では、三井住友海上さんと損保ジャパンさんの2社にサポーター企業としてご協力いただいています。例えば働き方改革について勉強会をしたいという話であれば、サポーター企業から適した講師を無料で派遣していただけます。

SDGsが認知されるようになったとはいえ、何から取り組めば良いのかわからないという企業の方も、まだまだいらっしゃるのが現状です。しかし、すでに取り組んでいることの目線を変えるだけでSDGsの取り組みになることは多いため、私たちの勉強会では目線を変えてもらうことに注力しています。

そこで、例えば同じ亀岡市内の企業が取り組んでいることを勉強会で発表してもらっています。テレビで大手企業が行っている大々的な取り組みを見ても、自分たちには無理だと思ってしまいますが、身近な企業の取り組みを情報共有することで、新たな気づきにつながるのです。

───たしかに、意識せずとも実はSDGsの取り組みだったということは多いですよね。目線を変えることで気づきが生まれる例には、他にどのようなものがあるでしょうか。

橋本さん 例えば市内のスーパーであれば、手前取りや消費・賞味期限が近い食べ物の割引、地産地消コーナーの設営などは、行っているところも多いのではないでしょうか。そこには特にSDGsのことが書いてあるわけではありませんが、手前取りをすることでフードロスにつながりますし、地産地消は輸送コストを減らしてCO2削減に貢献できます。

こうしたことを買い物客の皆さんに発信してもらうことで、市民の皆さんにも「環境に良いことをしている」という気づきが生まれて気づきの循環が起こります。こうした取り組みが、かめおかSDGsパートナー宣言制度の特徴です。

───言われてみれば、どれもSDGsの取り組みといえますね。勉強会の内容については、どのように決めているのですか?

橋本さん 日ごろ行っている、パートナー企業の方との情報共有から決めています。例えば女性社員の方から働きづらさを感じているという話があった場合には、女性職員が働きやすい職場づくりに関する勉強会や情報共有会を行います。

───どのような内容が特に人気ですか?

橋本さん 働き方改革に対する意識を強く持っている方が多いため、働き方改革に関しての勉強会は人気があります。講師を呼んで話を聞くだけではなく、ワークショップを開いて班ごとに分かれて話し合いをしてもらいます。皆さんが何について学びたがっているのかを私たちがそれとなくリサーチし、勉強会の内容を決めているのが特徴です。

今後の展望と想い

環境と子育て支援に特に力を入れている亀岡市。いくつもの素晴らしい取り組みを行っていますが、今後についてはどのように考えてらっしゃるのでしょうか。

ここでは、亀岡市の今後の展望や未来への想いについてお聞きします。

新たな拠点でさらなる環境の取り組みへ

───今後行っていきたい取り組みや、目標などをお聞かせください。

橋本さん 環境分野では、環境先進都市を目指した取り組みと有機農業の推進を引き続き進めていきます。もう一つは、人口増を目指すための取り組みとしての子育て支援です。この2つは現在も主軸ですし、今後も主軸になっていくであろうと考えています。

まず環境分野では、2024年8月にJR亀岡駅の北側に環境の拠点を整備します。これは環境プロモーションセンター「Circular Kameoka Lab」という名称で、多くの方に亀岡市の環境の取り組みを発信していただいたり、環境に寄与したイベントを行ったりできる施設です。

また、有機農業の発信拠点も整備予定です。もともとサンガスタジアムby KYOCERAは、当初の計画ではもう少し西側に建設予定でした。しかし、亀岡市で土地を買い取っていざ建てようとしたとき、ある事実が判明しました。それは、亀岡と岡山にしか生息していない天然記念物「アユモドキ」の生息に良くないということです。そのため、スタジアム建設地を現在の場所に変更しました。一方、もともと建設予定だった場所は公園として整備し有機農業の拠点にしていく計画になっています。

───生態系への影響を考慮して、建設場所を変えられたのですね。新たに予定している有機農業の拠点では、どのような取り組みが予定されていますか?

橋本さん 2026年には、毎年行われている「全国都市緑化フェア」が亀岡を含む京都丹波エリアで開催されます。そこで、先ほどの拠点で緑化フェアの開催を行いながら、有機農業の拠点として整備を進めていく予定です。他にも、有機農業者を増やしていったり、農地を拡大していったりといった展望を持っているため、オーガニックスクールを行いながら就農者を増やしていきたいです。

強みを活かして子育て世代の確保へ

───もう一つの軸である子育てに関しては、どのような展望になっていますか?

橋本さん 子育てに関しては、さまざまな取り組みから選ばれる町になってきていると数字で出ています。当市でも、少子高齢化の波にのまれる形で、全体の人口としては残念ながら減少傾向です。しかし、転入者と転出者を差し引きすると、転入者の方が多い社会増の傾向にあります。詳しく調べると、30代の子育て世代の方から多く選ばれていることがわかりました。

これは2022年から取り組んでいる「子どもファースト宣言」による取り組みの成果だと考えています。当市では、18歳までは医療費が無料になりますし、第2子以降は保育料が無料です。面白いところでは、保育所(園)・認定こども園・幼稚園等でのおむつの提供や処理の無償化という取り組みもあります。当市では、おむつの提供や処理を全て保育所(園)・認定こども園・幼稚園等で行うため、おむつのことを気にすることなく預けられます。

また、京都市内から快速であれば20分で来られるため、仕事を変えずに移住することも可能です。こうした取り組みや地理的条件を活かし、子育て世代の確保を着々と進めています。SDGsという切り口で今後の展望を考え、これらの取り組みを進めながらまちづくりをしていきたいと考えています。

環境先進都市として人が集まる町へ

───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

橋本さん 亀岡市の環境先進都市を目指した取り組みは多くの企業から高い評価をいただき、大手企業も含めたさまざまな企業と連携協定を結んでいます。例えば環境分野でも、マイボトルを増やしていくためにボトルや浄水器のメーカーと連携させていただくことが増えてきました。環境先進都市を目指して取り組んでいる亀岡市と一緒に事業を行いたい企業がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お声がけいただきたいです。

また亀岡市では、都会の部分と田舎の部分を併せ持った土地という意味の「トカイナカ」という言葉を使い、移住や定住を推進しています。自然があるのに便利さもある場所で子育てをしたい。こうした思いをお持ちの方は、ぜひ一度亀岡に足を運んでいただいて町の魅力を感じていただきたいです。また、移住先、定住先として候補に挙げてもらえたら嬉しいです。

───本日は貴重なお話をありがとうございました。

先進的な取り組みでさらなる発展を

今回は亀岡市のSDGsの取り組みについて伺いました。全国に先駆けて取り組んだレジ袋禁止条例や、日ごろの仕事をアートに見立てたかめおか霧の芸術祭など、独自の視点からの先進的な取り組みはどれも素晴らしいものでした。他の自治体の参考になる部分も多かったのではないでしょうか。

新たな拠点を作りさらに発展を遂げていく亀岡市の取り組み。きっと今後も私たちに新たな景色を見せてくれることでしょう。大きな期待とともに、今後も注目していきたいと思います。

亀岡市の取り組みや観光地が気になった方は、ぜひホームページをご覧になってみてください。

▼亀岡市のホームページはこちら
亀岡市公式ホームページ

▼亀岡市のSDGsについてはこちら
SDGs未来都市亀岡 – 亀岡市公式ホームページ

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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