いちご株式会社のSDGsは不動産の価値を高めて人と地域の笑顔を作ること
不動産を活用した事業が有名な「いちご株式会社(以下、いちご)」は、SDGsへの積極的な取り組みでも高い評価を受けています。今回はブランドコミュニケーション部の木村さんに、いちごの経営理念や事業内容、SDGsに関する取り組みや想い、今後の展望についてお聞きしました。
目次
不動産を軸に街全体が元気になる事業を展開
不動産をはじめとした、さまざまな事業を通じてSDGsに取り組んでいるいちご。具体的にはどのような企業なのでしょうか。ここではいちごの理念や社名の由来、主な事業内容についてお聞きします。
出会いを大切に、事業を通じて社会貢献している
───本日はよろしくお願いします。まず、いちごはどのような企業理念によって経営されている企業ですか?
木村さん ブランドコミュニケーション部に所属しています、木村と申します。本日はよろしくお願いします。
弊社は『日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の「いちご」』という経営理念を掲げています。「企業の存在意義は社会貢献にある」という考え方のもと、事業活動を通じて日本の将来に豊かさをもたらすような取り組みを目指しています。
───社名の「いちご」にはどのような由来があるのですか?
木村さん 社名の「いちご」は果物の苺とよく間違えられるのですが、そうではなく茶人の千利休が残した「一期一会」という言葉を由来としたものです。一期一会のもつ「人との出会いを大切に」という精神を理念とし、会社として共有しています。
不動産の価値を高めるサステナブルインフラに取り組んでいる
───事業内容や、事業に対する想いをお聞かせください。
木村さん 私たちは、サステナブルな社会を実現するためのサステナブルインフラ企業として、不動産やクリーンエネルギー事業などを通じて日本の豊かな未来に貢献することを目指しています。不動産は単なるハードではなく、人びとの生活を支えるインフラであるという考え方のもとに事業活動を行っています。
いわゆる都市開発とは異なるアプローチで建物を作り、そこに関わる人びとが笑顔になって街全体が元気になる取り組みが「サステナブルインフラ」です。
例えばホテルとその地域の観光を融合させることで「地域に合ったホテル」ができます。このような形でさまざまなコンテンツと融合させるなど、不動産の価値を高める取り組みを行っています。

3つの事業を核に環境や人に優しい取り組みを行う
出会いを大切にしながら不動産の価値を高める事業を展開しているいちごですが、具体的な事業内容にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、いちごの具体的な事業内容、SDGsに関する取り組みや想い、サステナブルインフラを目指すことになった経緯をお聞きします。
心築事業で不動産に新しい価値を生み出している
───ここからは、具体的な事業内容について聞いていきます。不動産が事業の1つにあると思いますが、この不動産に関連した事業について詳しく教えてください。
木村さん 弊社では、現存不動産に新しい価値を創造する「心築(しんちく)事業」、太陽光発電や風力発電などの「クリーンエネルギー事業」、J-REITやインフラファンドなど、上場している金融商品の運用を行う「アセットマネジメント事業」、この3つを核として、事業活動を展開しています。
心で築くと書く「心築事業」は弊社の造語で、心を込めて1つひとつの不動産の価値を向上するという意味を込めた言葉です。日本の不動産は建物が古くなると新しいものに建て替えるのが一般的ですが、弊社では元々ある建物を大切にして、そこに新しい価値を加えていきます。立地や利用者様のニーズなどに合わせて、新しい価値を生み出す取り組みです。
───新しい価値の例としては、どのようなものが挙げられますか?
木村さん 心築事業は非常に省資源かつ高効率な事業モデルになっていまして、日本の不動産の寿命を100年にしたいと本気で考えて取り組んでいます。例えば、2023年でちょうど築100年を迎える、富山県南砺市にある井波美術館の歴史的建造物の価値向上などにも取り組んでおり、心築による「100年不動産」の実現に挑戦しています。
参照:一般社団法人投資信託協会 そもそもJ-REITとは?
地域住民にも開かれたライフスタイルホテルを運営している
───心築事業は、他にどのような建築物で取り組みが行われていますか?
木村さん 他の心築事業の代表例としては、東京都新宿区にある「THE KNOT TOKYO Shinjuku」というホテルがあります。元々は「新宿ニューシティホテル」という名前で、1979年に開業した旧耐震物件のものでした。主に学生の修学旅行などの団体客が中心だったそのホテルを、弊社の取り組みで当時は非常に少なかった「ライフスタイルホテル」という形態に転換させていただきました。
築40年ほどの建物の躯体だけを残してそれ以外はフルリニューアル、フルリノベーションをし、約40億円を投じて改修しました。元々あったものをとても大切にしているので、外観やエントランスなどはあまり変えていないのですが、水回りなどの設備面は全て更新し、この先40年、50年使える建物に生まれ変わらせることができました。
───全く違った形態に転換させたのは凄いですね。ホテルの特徴としてはどのようなものがありますか?
木村さん THE KNOT TOKYO Shinjukuは、欧米を中心としたインバウンドのお客様を中心としてとても賑わっています。ホテルの1階には地域の方が気軽に仕事に利用できるような共用スペースや人気のパン屋さんがあります。目の前に新宿中央公園があるという立地から、保護者がお子さんを公園に遊びに連れて行かれる前に、共有スペースで子どもたちを遊ばせながらパン屋さんで買ったパンを食べる。そのような風景がみられる、宿泊客のためだけではない、地域の皆様に開かれたライフスタイルホテルになっています。

───THE KNOTブランドのホテルは、新宿の他にもあるのですか?
木村さん THE KNOTは日本全国4カ所にあります。新宿と横浜の2つが既存の不動産を新しい形に転換したものであるのに対し、広島と札幌の2つは新たに建てさせていただいたものです。建設に際してはその土地を大事に受け継いできた皆さまをはじめ関係者様とやり取りをさせていただき、その土地ならではの物語を大切にしたいと考えています。そのため、同じTHE KNOTというブランドでも、建物の外観や運営に至るまでの経緯はその土地その土地に合わせたものになっています。THE KNOTは、地域によって全く違う顔が見られるという意味で、とても面白いホテルです。
クリーンエネルギーの創出や金融商品の運用をしている
───クリーンエネルギー事業では、具体的にどのようなことに取り組んでいるのですか?
木村さん クリーンエネルギー事業は、遊休地を有効活用するという形の事業です。耕作放棄地などの元々使われていない土地に太陽光発電所や風力発電所を建設させていただき、クリーンエネルギーを創出するという取り組みを行っています。
この取り組みで国内エネルギーの自給率へ貢献し、サステナブルな社会形成に寄与することを目指したいと考えています。現在、グループ全体で創出した年間約200メガワットの電力を主に地元の電力会社に売電させていただいており、非常に地球に優しい事業になっています。

───土地の有効活用とクリーンエネルギーの創出を組み合わせた、素晴らしい取り組みですね。アセットマネジメント事業はどのような事業ですか?
木村さん アセットマネジメント事業では、オフィスに特化したJ-REITである「いちごオフィスリート」、ホテルに特化したJ-REITの「いちごホテルリート」、太陽光発電所などに投資をしている「いちごグリーンインフラ」の3つの上場金融商品を運用しています。

アニメ製作事業でビルの価値を高めている
───その他にも何か特徴的な取り組みはありますか?
木村さん 「いちごアニメーション」というアニメの製作会社を立ち上げています。「うる星やつら」や「攻殻機動隊」などで有名な押井守監督の「ぶらどらぶ」というアニメの製作を1社で引き受けています。通常、アニメの製作は委員会形式で行われ複数の会社が参加するために、様々な制限が生まれてしまいます。そこを1社独占で請け負わせていただくことで、例えば弊社が秋葉原で所有している「AKIBAカルチャーズZONE」というビルのテナントで、アニメの限定商品を扱わせていただくことなどが可能になります。ビルに入っているテナントも潤いますし、人が集まることでビル自体の価値も高まっていくという事業になっています。
SDGsへの積極的な取り組みが国際的に高い評価を受けている
───SDGsに関連した取り組みとしては、具体的にどのようなものがありますか?
木村さん 弊社では企業倫理綱領において「地球環境の保全に真剣に取り組み、主体的に環境負荷の低減や環境貢献活動に参加します」と規定しています。人類や社会、そして地球の一員として、サステナブル経営を実現することを重要な経営課題の1つとしています。「いちごサステナビリティ方針」を定め、環境負荷の低減や環境貢献活動に積極的に参加しています。
具体的な例としては「RE100」があります。これは「2025年までに弊社の事業活動で消費する電力を、100%再生可能エネルギーに切り替える」という目標を定めたものです。この目標には私たち自身が使う電力だけではなく、日本全国に保有している約300棟の不動産で使う電力も含まれています。
───素晴らしい取り組みです。達成の状況はいかがですか?
木村さん 決算期を基準にした概算では、2023年5月末時点で約71%まで達成しています。この71%という数字は、ビルの使用電力を再生可能エネルギーに切り替えた分と、弊社の発電所に由来したトラッキング付非化石証書を合わせたものです。今期末(2024年2月末)の目標は85%で、2025年までに100%達成できる見通しになっています。
世界的なイニシアティブである、国連グローバル・コンパクトへの署名も行っています。また、CDPという気候変動に関するNGOの2022年度評価にて、気候変動プログラムと水セキュリティの2点が共にA-の評価をいただいています。
───目標達成も実現できそうですし、国際的な評価も高いのは素晴らしいですね。
木村さん ありがとうございます。私たちの事業自体が環境に非常に優しいものであることが大きいと思っています。クリーンエネルギーでは年間約200メガワットの再生可能エネルギーを創出しておりますし、心築事業では建物の長寿命化を図っています。建物診断で設備の状況などをカルテ化することにより、環境負荷低減の観点から評価や改修工事などを行うこともこうした事業を可能にする一因です。
持続可能な建物を増やして街や人々と結びつけることにより、環境負荷を低減できるサステナブルインフラを提供させていただいています。
参照:資源エネルギー庁 2018年5月から始まる「非化石証書」で、CO2フリーの電気の購入も可能に?
街の人たちのニーズを大切にする取り組みを行っている
───サステナブルインフラという考え方が御社の事業にとって重要な位置を占めていると思います。このような考えに至ったのにはどのような経緯がありましたか?
木村さん 「不動産を安く買って高く売る」というビジネスモデルが主流の時代の中でリーマンショックを迎え、弊社も含め多くの企業が資産売却を余儀なくされるなど、苦境に立たされる中、弊社は「持っている資産を大切にしていこう」と考えました。結果、1つひとつの不動産と丁寧に向き合って価値を上げ、外部に売却したり、長期で保有したりしていくことに重きを置くようになりました。それを進化させた形が「心築事業」であり、「サステナブルインフラ」です。
「不動産」というものは個別性がとても高いので、全ての不動産に対し同じことを行えば良いという訳ではありません。地域性や不動産そのものの状態、それぞれに向き合うことからサステナブルインフラが生まれました。今までのプロダクトアウト(顧客ニーズより企業理論を優先させること)の考え方ではなく、街の人たちから求められているものをマーケティングすることで新しい価値を産んでいます。
例えば、弊社が宮崎県で運営している「宮交シティ」という商業施設での取り組みがその1つです。地域の特別学級に通う生徒さんの作品の展覧会を共有スペースで開催する、障がい者の方の就業センターを設ける、選挙の期日前投票会場を設ける。このように地域の方がより生活しやすく、何かあったらここに足を運ぼうと思っていただけるような、さまざまな取り組み行うことで新しい価値を産んでいます。
社員を大切にしてさまざまな価値のあるまちづくりをしていく
さまざまな事業や取り組みで、SDGsや地域に貢献しているいちごですが、今後についてはどのような考えを持っているのでしょうか。ここでは、SDGsに関した社内の取り組みや今後の展望についてお聞きします。
社内の労働環境や社員の健康を大切にしている
───SDGsに関して、社内で行っている取り組みはありますか?
木村さん SDGsという言葉は最近では耳にしない日はないというほど、さまざまなところで使われています。サステナブルと一概に言ってもその範囲はとても広いものです。例えば、弊社は事業活動そのものが社会貢献であるという考えですが、社会貢献の意識は事業活動のみに留まらず全ての方向に向いています。
サステナブルは、環境や社会に向けてはもちろんですが、社員がサステナブルに働けることなど、社内の労働環境の面も非常に大事なものです。健康経営の側面から考えても、健康で長く働けることは1つの大きな課題ですので、弊社ではオリジナルの「いちごゆるふわ体操」の実施や、社内での部活動など、健康に関するさまざまな取り組みで社員の健康を大事にしています。

───確かに、労働環境や社員の健康はSDGsの観点から考えてもとても大切ですね。他にも何か行っていることはありますか?
木村さん 社員の働き方に柔軟に対応すべく、満70歳定年制度や短時間勤務制度などを導入しています。例えば短時間勤務制度の利用には理由を問いません。結婚や子育て、親の介護など、ライフステージの変化に合わせていろいろな人が広く使えるようにしています。
また、ロシアのウクライナ侵攻により急激なインフレが起こった際、全役職員に対して平均5%のベースアップを実施しました。社会課題に正面から向き合い迅速に対応することで、役職員が長く安心して働ける環境を作っています。
サステナブルインフラで価値あるまちづくりをしていく
───今後の展望についてお聞かせください。
木村さん 今後は「不動産そのものの価値を上げることにより建物を使う人たちが潤い、さらには周辺の地域全体が豊かになっていくいちごのサステナブルインフラ」を、さらに日本全国に広げていきたいです。
また、地域それぞれの個性を活かして、それぞれの街が持つエッセンスなどを伝えていくことも私たちの使命の1つです。地域やそこに暮らす人びとが大切にしている思想や文化を形にしていくことで、地域と社会が一体となって盛り上がる。それが結果的にサステナブルなまちづくりにつながっていくと考えています。地域の個性も含めた今あるものを長く大切にし、未来へ向けて発信をし、不動産やユーザー、地域の人びとにとって価値あるまちづくりを目指していきたいです。
SDGsへ貢献するための活動の参考にしてほしい
───最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
木村さん この記事を読まれている方は、真剣に環境問題やSDGsなどに取り組んでいらっしゃる方が多いと思います。そんな皆さんが持つ、地球の未来のために何かしなければという想いを形にするために、私たちの取り組みが1つの参考としてお役にたてれば幸いです。
いちご株式会社はこれからも不動産で環境や人に貢献していく
不動産の価値を高めることで、地域やそこに暮らす人たちに多大な貢献をしているいちご。クリーンエネルギーを始めとしたSDGsに寄与する取り組みはとても素晴らしいものでした。これからもさまざまな事業や取り組みで人や地域、SDGsにも貢献していくいちごに注目していきたいと思います。
いちごの取り組みや運営しているホテルなどに興味がある方は、ぜひ1度ホームページを覗いてみてはいかがでしょうか。
▼いちご株式会社のホームページはこちら
いちご|サステナブルインフラの「いちご」
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
