安全を守る東報防災工業株式会社のSDGsは労働環境整備で社員の幸せを守ること
防災設備の設置やメンテナンスを主な事業とし、世の中に安全を届けてくれている「東報防災工業株式会社(以下、東報防災工業)」は、電解水生成装置の販売や労働環境の整備でSDGsにも積極的に取り組んでいる企業です。
今回は代表取締役の松村さんに、東報防災工業の概要や事業内容、電解水素水に関する事業内容や労働環境への取り組み、今後の展望や事業への想いについてお聞きしました。
目次
防災設備を扱い電解水事業にも進出する東報防災工業
長年の間、防災設備を扱う事業を行い、私たちの安心と安全を守ってくれている東報防災工業ですが、企業の詳細はどのようなものなのでしょうか。ここでは、東報防災工業の概要と主な事業内容、松村さんが力を入れているコミュニケーションへの取り組み、電解水関連事業についてお聞きします。
防災設備を軸にさまざまな分野で事業を展開
───本日はよろしくお願いします。まずは、東報防災工業の概要について教えてください。
松村さん 弊社は1968年に創業した防災設備専門の代理店です。消防施設工事、電気通信工事、電気工事の3つで建設業許可を得ており、他にも高度管理医療機器の売買貸与や不動産業にも携わっています。他にも、電解水生成装置に関わる販売や工事、保守など、さまざまな分野で事業を展開しています。
───かなり幅広い分野に進出されているのですね。社員の方は何名くらいいらっしゃるのですか?
松村さん 名古屋本社と東京支社、合計30名弱の社員が事務方と担当者に分かれて業務に当たっています。工事や保守などの作業は全て外注制で行っており、20〜30社ほどある協力会社を含めたスタッフの総勢はおよそ100名です。私が代表に就いて5、6年ほどになり、少しずつやりたいことがやれるようになってきたところです。
役職を撤廃しコミュニケーションが取りやすい組織へ
───「やりたいことがやれるようになってきた」とのことですが、具体的に松村さんが社長に就任されてから力を入れてきた取り組みにはどのようなものがありますか?
松村さん 私が代表に就く以前、弊社は一般的な企業と同様の縦割りの組織でした。しかし、社員の年齢層は50代の社員と若い社員に二極化しており、中間層に当たる社員が少ない構成比率のため、コミュニケーションが取りにくいという課題を抱えていました。さらに、縦割りの組織ではやはり年功序列の意識が強く、役職が上の社員の意見に従わざるを得ない形なってしまっていました。そうした課題を解消するために行ったのが社内での役職の撤廃です。役職による格差が無くなることで縦割りではなく横の関係になり、分け隔てなく意見が交換できるようになるなど、コミュニケーションが取りやすい組織作りを行っています。
電解水事業のきっかけは健康優良企業への取り組み
───電解水に関する事業を始められたとのことですが、こちらについて詳しく教えていただけますか?
松村さん まず弊社では、電解水に取り組む以前に、健康優良企業への取り組みを行っていました。その際に「電解水を飲むことで、体の酸化を防いで健康になりましょう」という社内的な取り組みとして扱い始めたのがきっかけです。そして、コロナ禍も終わりを迎えつつあった時期にメーカーから伺った、電解水に関する飲用とは別の効能のお話を聞いて、興味を持つようになりました。
具体的には、真水を電解水生成装置によって、殺菌して臭いを消すことができる酸性電解水と、汚れを落とすことができるアルカリ性電解水に分離させることができ、この電解水が人間の体から出るタンパク質関係の汚れなどに有効であるというお話です。このお話を伺ったことと、コロナ禍で業績が若干右肩下がりだったこともあり、電解水の事業を始めることになりました。
電解水にはSDGsにも寄与するメリットがある
───電解水にはそのような使用法があるのですね。電解水の使用にはどのようなメリットがありますか?
松村さん まず、コロナ禍で良かったのが、手荒れしやすいアルコール消毒の代わりになったことです。酸性水で手を洗うことでアルコール消毒と同等の効果が得られますので、1次産業を始めとした水に関わる全ての方にお使いいただけます。
また、薬品を使わないため容器を使わずに済むこともメリットです。電解水は水を使って作りますので、容器などに掛かる余分なコストを削減することができます。また、高齢者施設などで起こる汚物や体臭などの問題も、電解水を利用することで滅菌して匂いを消すことができます。
そして、菌は殺しますが虫に影響はないため、環境に優しいことも大きなメリットです。営業中のテナントなどで床の汚れなどを落としたいときにも、薬剤や洗剤を使用するとどうしても臭いが発生してしまいますが、電解水は臭いが発生することなく同様の効果が得られます。
───環境に優しいというメリットは、SDGsにも寄与するものですね。逆にデメリットのようなものはありますか?
松村さん デメリットは、まだあまり皆さんに馴染みのある製品ではないため、営業の際にまずは知っていただき、性能を信用していただくことからのスタートだというこというところです。そこで弊社では、デモ機を設置して、来社していただいた方に体験してもらうところから始めています。パンフレットを持って営業へ行くだけでは、やはり信用していただくことは難しいですし、決して安価な装置ではないため予算を回していただくことにも難しさがあるためです。
飲食店やサービスエリアで利用されている
───確かにこうした装置は高額なイメージがありますし、実際に使ってみなければなかなか信じることも難しいかもしれませんね。実際にはどのような業種の方に使っていただいているのですか?
松村さん 弊社がお付き合いさせてもらっている消防施設業関係の方に営業するだけでは、どうしても狭い入り口になってしまうため、知り合いを含めたさまざまな業種の方に、口コミで広めてもらうという展開も行っています。ただ実際のところ、弊社から直接エンドユーザーに納品して管理している事例がまだ無いというのが実情です。
しかし、メーカー側の事例としては、飲食店や高速道路のサービスエリアなどでの利用事例があります。例えばNEXCO中日本のサービスエリアのトイレの清掃は、全て電解水での清掃に切り替わっています。私も時々利用しますが、やはり昔と比べて臭いは少ないです。
そして営業先としては、ビルの管理会社やゴルフ場、サウナが併設されている施設などがあります。たとえば汗を拭いたタオルのタンパク汚れや皮脂汚れをアルカリ性電解水系で、菌を酸性電解水でクリーニングできますので、現在はこういった施設を中心に営業活動を行っています。
働きやすさや安全を守ることでSDGsに貢献
役職を撤廃することでコミュニケーションを取りやすくし、さまざまな事業を展開している東報防災工業ですが、SDGsへの取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、教育を始めとした働きやすさへの取り組みや、安全面での取り組みについて詳しく聞いていきます。
働きやすい環境を整えるために教育に注力
───ここからは、SDGsに関する取り組みについて伺っていきます。2021年3月に「SDGs宣言」をされていますが、こちらについてお聞かせいただけますか?
松村さん 弊社がSDGs宣言をしたということは、裏を返せばそこが弊社の弱みだったということです。過去には離職が多かった時期も経験しており、今は特に「従業員が働きやすい環境の整備」に力を入れ、教育に取り組むようになりました。具体的には、新たに採用を行った際に1つの部署に預けて教育していたものを、社員みんなで教育を行うようにしました。具体的には、セクションを日毎に変えながらいろいろな先輩社員と接してもらい、業務日報の代わりに交換日記のようなものを書くなど、コミュニケーションを密にした教育に力を入れています。
───毎日セクションが変わるというのは面白い試みですね。何か具体的な成果は見られましたか?
松村さん 担当者しかわからない社員の教育だったものが、いろいろな人がいろいろな方向から見た社員教育に変わったことで、教える側にも変化が生まれました。例えば、「理解してもらえないのは何が悪いんだろう」「教える側に何か問題があるのではないか」などと考えるようになりましたし、見直すためのミーティングを開くことで、社員同士がコミュニケーションを取りながら教育を考えるようにもなりました。
───いろいろな人が関わることでいろいろな意見も出るでしょうし、コミュニケーションにもつながるのはとても有益なことですね。
松村さん 今まで教育や指導に携わってこなかった社員も、指導に携わることで違う視点を持つことができるようになりました。今の若い方と私たちのようなベテラン社員とでは、やはり感覚の違いがありますので、教える側の社員が目線を下げることが重要です。若い社員と目線を合わせて教育やコミュニケーションを図ることで定着率にもつながると思いますし、結果として新人教育を介して元々いる社員の教育にもつながりました。
勤務形態や福利厚生にも力を入れている
───若い社員からすると、自分たちの目線に合わせようとしてくれること自体が働きやすさにつながりそうですね。他にも働きやすさの観点から取り組んでいることはありますか?
松村さん 建設業界は忙しい業界であるため、そこに区分される弊社もやはり昔は残業が山のようにありました。しかし、建設業界でも週休二日制の導入が推進されたことにより時間が短縮される傾向にあり、短い工期の中で質の良い仕事をしていかなければならない状況にあります。そんな中でも弊社では、残業を減らす、6日を超える連続勤務はしないなどと規定しており、休みをしっかり取ってオンオフのメリハリをきっちりするという形で業務を行っています。
───多忙な業界では、サービス残業などの問題が未だ根強く叫ばれていますよね。ここに取り組んでいることは、働きやすさという観点からはとても大きいと思います。
松村さん 実際の業務に関しても、できる限り手分けをすることで労力の分散を図り、1人に労力が集中することがないような体制をしいています。また、有給休暇の消化に関しては、本来であれば100%取得してもらいたいところですが、中にはこちらから強制しないと取得しない社員もいるため、計画休暇という形で1年のうち5日間は会社で指定しています。計画休暇以外にも有給消化率は高くなってきており、足りないと言っている社員が出てくるようになったことは良い傾向です。
福利厚生に関しても保養所と会員契約し、社員が全国各地にあるリゾートホテルを利用できるようにしています。また弊社では、自身や家族の誕生日、結婚記念日などにアニバーサリー休暇を設けることができるのですが、その際の施設利用に関しては全額会社負担です。こうした社員にリフレッシュしてもらうための制度にもかなり力を入れています。
ジェンダーに関する規則を見直すことで平等を維持
───全額会社負担でリゾートホテルを利用できるのは、社員の方はとても嬉しいでしょうね。リフレッシュも活力につながりそうです。ジェンダーの平等に関しても取り組まれていると伺っていますが、こちらはどのような取り組みになっていますか?
松村さん 産前産後や育休制度、ハラスメントなどに関しても全ての規則を見直しました。全ての規則に対して基準書を作り、管理職以外でも全ての社員が閲覧できるように社内ネットワークの中に掲載しています。弊社は元々男女の差別化をせず、男性も女性も等しく仕事に携わっていますし、ここに関しては昔も今も変わらずに男女平等が守られています。また、フレキシブルな勤務体系を導入しており、これによりフレックス制に近い働き方をしている社員もいますし、お客様に迷惑が掛からない範囲でなら自由な働き方ができるという仕組みです。
事故の経験を基に社員の安全に取り組む
───現場で作業をされる社員の方もいらっしゃると思いますが、安全面ではどのような取り組みをされていますか?
松村さん リスクアセスメント活動の一環として、施工や補修など現場に携わる社員を対象にした施行会議を行っています。この会議は毎月行われ、事故を未然に防ぐためのヒヤリ・ハットを中心にした会議となっています。
実際数十年前に、現場の事故に巻き込まれて残念ながら命を落としてしまった者がいました。そういった悲しい事故を繰り返さないために、事故の経験がある会社だからこそ一層力を入れていかなければいけないと思い、現場の社員を中心に取り組みを続けています。
東報防災工業は社会や地域に貢献する企業へ
働きやすさや安全環境の徹底など、社員のことを1番に考える素晴らしい取り組みを行っている東報防災工業ですが、今後についてはどのように考えているのでしょうか。ここでは、今後の展望や事業への想いについてお聞きします。
職場体験や寄贈型私募債にも取り組む
───今後、力を入れていきたい取り組みはありますか?
松村さん 私たちの業界はメジャーな業界ではないため、学生や労働意欲のある方に幅広く知っていただきたいです。そのために、職場体験を積極的に行っています。2023年度も地元の中学生を受け入れる予定です。
また、社会貢献として、名古屋銀行の寄贈型私募債を利用した教育機関への寄贈活動を行っています。借入金の中から数%パーセントを寄贈するという仕組みで、授業で使う用具などを寄贈させていただいています。こちらは大変感謝される取り組みですので、今後も継続してく取り組んでいきたいです。
そして、人命に関わる安全面が一番大切ですので、ここに関しては無事故を継続していくために今後一層力を入れて取り組んでいきます。
地域と共に歩む企業へ
───今後の事業への想いを聞かせてください。
松村さん 企業はビルに入居されているところも多いですが、私は路面店であることを大事にしたいと思っています。そう思うようになったきっかけは、弊社が2年ほど前に移転する際、移転元である住宅街の近隣住民の方から移転を悲しむ声をいただいたことでした。
恥ずかしながら近隣住民の方に特別なことをした覚えがなかったため、疑問に思ってお話を伺うと、事業所というのは夜間も電気がついていますし、弊社は自動販売機を置いていたこともありさらに明るかったため、防犯的な面でとても助かっていたとのお話でした。
そういった嬉しいお言葉を近隣住民の方からいただいたことで、これからの企業というものは地域の方と共に歩んでいかなければならないと思いましたし、さまざまな方に貢献するためにも会社は絶対に潰せないと強く思っています。
SDGsへの新たな取り組みを取り入れていく
───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
松村さん SDGs宣言で宣言している内容以外にも、SDGsに貢献するために行いたい取り組みはたくさんあります。他社の宣言書を拝見させていただくと、弊社でも取り組んでみたいと思う素晴らしい取り組みがありますので、良いと思った取り組みはどんどん取り入れて、さらに世の中に貢献する取り組みを行っていきたいです。
───本日は貴重なお話をありがとうございました。
東報防災工業はこれからも安全と社員の幸せを守っていく
元々、防災設備を扱う事業によって社会に貢献していた東報防災工業ですが、社員のことを大切にする取り組みやその想いは、本当に素晴らしいものであると感じました。社会や地域にも貢献し、新たな取り組みへの積極的な姿勢も頼もしい東報防災工業の今後に注目していきたいです。東報防災工業の事業や取り組みに興味がある人は、ぜひホームページを覗いてみてはいかがでしょうか。
▼東報防災工業のホームページはこちら
東報防災工業株式会社 – 名古屋市中村区の防災設備専門代理店 防災のことならお任せ下さい。
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