SDGsに取り組む大野市は星空の保護と活用を両立する結の故郷

福井県の内陸部に位置する大野市は、豊かな自然に恵まれており、市街地では歴史的な風情を感じることができます。またSDGsに積極的に取り組んでおり、令和5年度に内閣府の「SDGs未来都市」に選ばれています。
今回は大野市政策推進課の小野田さんに、大野市の観光スポットや関連した取り組み、SDGsに関する具体的な取り組みや想い、課題や今後の展望についてお聞きしました。
目次
美しい自然を活かしたスポットが人気の結(ゆい)の故郷(くに)
大野市は豊かな自然を有しており、観光地としても美しい景観を楽しむことができるスポットが非常に多い街です。ここでは大野市の概要と、おすすめの観光スポットや関連する取り組みについてお聞きします。
大野市は住み続けたい結のまちを目指す自然豊かな市
───本日はよろしくお願いします。まずは、大野市のご紹介をお願いします。
小野田さん 福井県大野市政策推進課の小野田と申します。「住み続けたい結(ゆい)のまち」を目指している大野市は、人口約3万人で県内の市町で最も広い面積を有し、その内約9割を森林が占めています。高齢化率は約38%で、国や県の平均よりも高くなっています。
ブランド・キャッチコピーは「結の故郷(くに)越前おおの」で、市民は村の生活の中で営まれてきた助け合い・支え合いの心を大切にして生活しています。
星空保護区に認定された日本一美しい星空
───お勧めの観光スポットをいくつか紹介していただけますか?
小野田さん 磨き上げや情報発信に注力している観光資源をいくつかご紹介します。まずは南六呂師エリアの「日本一美しい星空」です。南六呂師エリアは2023年8月に、アメリカのNPO団体「ダークスカイ・インターナショナル」が提唱する、星空の世界遺産と呼ばれる「星空保護区」の認定を受けました。星空保護区としては国内4例目であり、市街地から近いエリアを対象とした「アーバン・ナイトスカイプレイス部門」ではアジア初となります。
日本一美しい星空を目指し、光害(ひかりがい)対策や星空観光などの取り組みを進めてきたことが、世界的に評価されました。星空保護区という付加価値を最大限に生かした取り組みで、観光誘客や消費拡大につなげています。
幻想的な景観が人気の越前大野城
───日本一美しい星空は、ぜひ1度拝見したいですね。他にも美しい景観が楽しめるスポットはありますか?
小野田さん 「天空の城 越前大野城」もお勧めです。市街地の亀山の山頂に佇む越前大野城は、450年ほど前に織田信長の家臣である金森長近公が築いた大野城を、昭和43年に再建したものです。年に数回、城が雲海に囲まれ浮かんで見える光景から「天空の城」と呼ばれ、10年ほど前から写真映えする景色として知られるようになりました。10月から4月末までの明け方から午前9時頃までに現れ、10月、11月が最も見ることができる時期になっています。
星空は夜、天空の城は朝に見られる観光資源ですので、他の観光資源とも連携させつつ、観光客の滞在時間の延長やそれに伴う宿泊を通して観光消費の拡大を図っています。
恐竜に関する展示や化石の発掘体験が楽しめる施設も
───お写真で拝見しましたが、本当にお城が雲に浮かんでいるように見えますよね。お勧めの施設にはどのような所がありますか?
小野田さん 九頭竜湖がある和泉エリアには古生代から中生代までの地層が分布し、恐竜の歯・アンモナイト・植物・貝など多様な種類の化石が発見されており、エリア内の「化石発掘体験センターHOROSSA!」では、化石の発掘体験を楽しむことができます。JR九頭竜湖駅や和泉郷土資料館「くずりゅう化石ラボ ガ・オーノ」では、恐竜が壁から飛び出して見えるトリックアートや、恐竜のオブジェなどを設置しています。
今後、令和8年春の中部縦断自動車道の県内全線開通を見据え、恐竜王国・福井県において、中京圏からの観光客に県内で最初に恐竜・化石に触れていただけるよう、エリアの魅力を高めていきたいです。
北陸最大級の道の駅はアウトドアも楽しめる人気スポット
───エリアによってさまざまな見どころがあるのですね。
小野田さん 福井県内唯一の百名山である荒島岳の麓に令和3年4月にオープンした、北陸最大級の道の駅「越前おおの 荒島の郷」も、観光客の方に人気のスポットです。駐車場も含めた敷地面積は約5万平方メートルで、建物内にはアウトドアメーカー「モンベル」のショップや、地元の農林水産物や加工品などを扱う販売スペースなどがあり、屋外ではクライミングやカヌーを体験することもできます。
観光入込は令和3年度が75万人、令和4年度が63万人と、市内で最も多い施設です。農林水産物や加工品などの販売を通して事業者の稼ぐ力につなげるとともに、アウトドアを楽しむ人の拠点としての機能も高めています。
豊かな名水で育まれた食材を使用した特産品も好評
───大野市は名水でも有名だとお聞きしていますが、この名水について詳しく教えていただけますか。
小野田さん 大野市は「名水のまち」と呼ばれており、平成8年には「水の郷百選」にも選ばれるなど、古くから豊かな水に恵まれています。市内の約7割の世帯は、ポンプを設置して地下水をくみ上げ、そのまま生活用水として利用しています。
市街地には名水百選の「御清水」をはじめ多数の湧水地が点在しており、こちらは街歩きでのお勧めの観光スポットです。
水に関する学習研究施設である「越前おおの水のがっこう」は、水文化の継承と水のPRを目的に、市民や観光客などに水に関する学びを提供しています。
また、名水の恵みを受けて育った農林水産物で作られた、特産品や食メニューにも定評があります。高級ブランドである「上庄さといも」や、夏至から数えて11日目の半夏生に食べる風習となっている「半夏生さば」、名水と大野在来種のそばを組み合わせた品質の高いそばである「名水おろしそば」などが有名です。
「でっちようかん」は大野の冬を代表する味覚ですし、剣でも切れないという硬いお菓子の「けんけら」や歯ごたえが特徴の「九頭竜まいたけ」、甘味がつまった「穴馬スイートコーン」なども人気です。さらに、この十数年で「醤油カツ丼」や「とんちゃん」「ショコラdeようかん」「水まんじゅう」などの新たな食も生まれ、市民に定着しています。
大野市の取り組みはSDGsと結びついた自分ごとの施策
お話を伺っているだけでも、思わず足を運びたくなってしまうような大野市の観光スポットですが、その美しい景観を生み出す環境を守るため、さまざまな取り組みが行われています。ここでは、大野市が策定した「第六次大野市総合計画」や、計画とSDGsとの関連性について聞いていきます。
SDGsの各ゴールと結びついている第六次大野市総合計画
───ここからは、SDGsに関連した事業や取り組みについて詳しく聞いていきます。まずは、第六次大野市総合計画についてお聞かせください。
小野田さん 令和3年度にスタートした「第六次大野市総合計画」は、2030年のまちの将来像を「人がつながり地域がつながる 住み続けたい結のまち」と定めています。本計画の特徴としては市民と市職員が手作りで作成したことが挙げられます。コンサルタントに委託せず地区別のワークショップやアンケートを踏まえ、計画づくりから多くの市民と連携して作成しました。
また、SDGsを物差しとして、17のゴールと計画の各施策を体系的に関連付けています。「ニューノーマルとデジタル化」「協働して取り組むこと」を重視しており、市民1人ひとりが身近に実践できる行動を、「みんなができること」としてわかりやすく示した計画です。
大野市の人口減少は、全国的な傾向よりも早いペースで進んでいます。人口減少を直視し、人口を維持・増加させる方策だけではなく、人口減少に適応した地域社会を作る方策も合わせて、両面から総合的に取り組んでいます。
100年に1度のチャンスを活かしさらなる発展を
───第六次大野市総合計画では、具体的にどのようなことに取り組んでいく予定ですか?
小野田さん 大野市は、高速交通網の整備により100年に1度のチャンスを迎えています。令和5年度末に北陸新幹線金沢・敦賀間の開業を、令和8年春には中部縦貫自動車道の県内全線開通を控えており、人の交流や物流が拡大する見通しです。この好機を最大限に生かし、磨き上げた農林水産物や観光、商品、サービスなど、本市ならではの地域資源を売り出すことで、事業者の稼ぐ力につなげる取り組みを進めていきます。
大野市は令和6年に市制施行70周年を迎えます。人口減少や少子高齢化が進んでいる本市において「持続可能な地域」を実現するためには、市民や企業、行政など多様な主体が協働・連携して取り組むことが重要です。このようなまちづくりを進める機会となるよう、70周年記念事業のテーマを「いつまでも、ともに」と定め、市民提案事業を募集しています。
自分ごととして取り組むためにSDGsの啓発活動を行っている
───第六次大野市総合計画は、どのような形でSDGsと関連しているのですか?
小野田さん SDGsの17のゴールと、第六次大野市総合計画で掲げる24の施策を体系的に関連付けています。SDGsを施策に関連付けることで漠然としたSDGsの概念が具体化され、施策に関わる職員が自分ごととして捉えることができます。
───SDGsの取り組みは、いかに自分ごととしての意識を持つかが大切ですよね。具体的にはどのような取り組みを行っているのですか?
小野田さん 職員だけでなく、市民や企業にもSDGsに関心を持ってもらうため、啓発活動を行っています。出前講座や啓発イベント、パネル展を行い、総合計画の施策と一体的にSDGsの理念を市民に紹介しています。企業や団体、行政のSDGsの取り組みをまとめたパンフレットも作成しました。
啓発グッズであるSDGsホイール型のバッジは、林道整備で伐採されたブナの木を使用したものです。袋詰めは障がい者就労支援施設の利用者にお手伝いいただき、地域の伝統和紙で作った台紙も封入しています。複数のSDGsのゴールを意識して作ったもので、出前講座の参加者に配布しています。
SDGs未来都市にも選ばれたさまざまな取り組みで環境に寄与
SDGsの各ゴールと結びつけた施策に取り組んでいる大野市ですが、その素晴らしい取り組みは国からも高い評価を受けています。ここでは大野市が「SDGs未来都市」や「自治体SDGsモデル事業」に選定された経緯や「SDGs未来都市計画」「ほし・ひと・エコ推進事業」について詳しくお聞きします。
優れた取り組みが評価されSDGs未来都市に選定
───大野市はSDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業に選定されています。こちらの経緯をお聞かせください。
小野田さん 国は、SDGsの理念を地方創生に生かす「地方創生SDGs」を進めています。そしてその一環として平成30年度から、SDGsの達成に向け優れた取り組みを提案する自治体を「SDGs未来都市」として毎年30箇所程度を選定しています。大野市は、このSDGs未来都市に令和5年5月22日に選定されました。
また、SDGs未来都市の中でも先導的な取り組みを行っていることが認められ、毎年10都市程度が選定される「自治体SDGsモデル事業」にも選定されました。SDGsを物差しとし、市民と市が協働して策定した第六次大野市総合計画に掲げる施策を、着実に進めてきたことが評価されたものと受け止めています。
───SDGs未来都市と関連して策定されている「SDGs未来都市計画」とは、どのような計画ですか?
経済・社会・環境が密接に関わり合いながら、パートナーシップでSDGsが達成できるということを示した図であるウェディングケーキモデルが表している通り、SDGsを進めるには、経済・社会・環境の好循環が不可欠です。
「SDGs未来都市計画」に掲げる施策は、第六次大野市総合計画に掲げる施策の中から経済・社会・環境の三側面における相乗効果が大きく、独自性がある取り組みを抽出してつないだものとなっています。
経済・社会・環境の三側面からなるSDGs未来都市計画
───SDGs未来都市計画について、具体的な取り組みを教えてください。
小野田さん SDGs未来都市計画は、星空保護区認定に加え、北陸新幹線の金沢・敦賀間開業、市制施行70周年、中部縦貫自動車道の県内全線開通など、2030年までに迎えるさまざまな好機を最大限に生かし、経済・社会・環境の三側面の好循環を生み出すことで達成されるものです。
経済面では、高速交通網整備を見据えた観光の推進や、積極的な企業誘致と事業活動支援、儲かる農業経営の支援に取り組みます。社会面では、公民館を核とした助け合い・支え合いの地域づくりや、学校や研究者との協働・連携、子育て環境の充実と健康づくりの促進に取り組みます。そして環境面の取り組みは、脱炭素化の推進や星空景観を守る活動の推進です。
ほし・ひと・エコ推進事業を進めるために共創組織を設立
───自治体SDGsモデル事業に関して詳しく教えてください。
小野田さん 自治体SDGsモデル事業は「ほし・ひと・エコ推進事業」と題して、経済面では星空を活用した観光に、社会面では産学官連携と人づくりに、環境面では光害対策と脱炭素に取り組みます。これら三側面の取り組みを強力に進めるため、市民や団体、企業、行政など、多様な主体が共にまちづくりに取り組む「共創組織」を設立しました。
ほし・ひと・エコ推進事業の論理構造は、次の理論から成り立っています。
まず、観光消費を増やすために星空を観光に活用し、そのために星空がきれいに見える環境を維持します。さらにそれを実現するために光害対策や脱炭素を進め、ここまでの理論を成り立たせるために進めるのが、多様な主体との協働や人づくりです。このような論理で経済・社会・環境の三側面の取り組みに関連性を持たせています。
経済面の取り組みは商品開発や宿泊施設の整備の支援
───ほし・ひと・エコ推進事業における三側面の取り組みをそれぞれお聞かせください。
小野田さん まず、経済面の星空を活用した観光に関した取り組みでは、星空を活用した商品開発支援として、民間事業者が行っている星空をテーマにした商品開発を支援しています。これまでに、六呂師高原でハンモックに揺られながら星空を眺める観光体験メニューである「星空ハンモック」や、車内の天井に星空が浮かび上がる「星空観光バス」など、民間事業者が取り組むさまざまな商品開発を支援してきました。
宿泊環境の充実に関した取り組みでは、夜の観光資源である星空を生かし宿泊につなげるため、民間の宿泊施設の整備を支援しています。また、令和5年6月には、市営の宿泊施設に恐竜の化石をデザインした客室を整備しました。
自然体験型の観光の推進に関した取り組みとしては、日本一美しい星空を形成する豊かな自然景観や澄んだ空気を体感してもらうために、JR越美北線やサイクリングを活用した自然体験型の観光も進めています。こちらは観光分野だけではなく、脱炭素や健康づくりにもつながっている取り組みです。
社会面では大学や小・中・高校生と連携した取り組みを行う
経済面だけでも、これほど多くの取り組みをされているのですね。社会面ではどのような取り組みがありますか?
小野田さん 社会面の産学官連携と人づくりに関する取り組みでは、大学との連携による地域づくりとして、本市にはない知識や人材を生かした地域課題の解決やにぎわいづくりに取り組んでいます。具体的には、福井工業大学には星空保護の啓発活動や夜空の明るさ調査などに協力を、関西大学には、大野市をフィールドとした大学生の研究活動の過程で、地域住民や小・中・高校生に関わってもらいながら市民の地域愛着につなげてもらうという取り組みをしています。
星空を学ぶ探究学習では、南六呂師エリアを校区に含む阪谷小学校の生徒が取り組んでおり、パンフレットやCMの作成を通して星空の魅力を市内外に発信しています。
また2024年は市制施行70周年の年であり、大野城下町を築いた金森長近公の生誕500年の年でもありますので、これらの節目を生かして市民や企業、団体から提案事業を募り、地域を盛り上げるさまざまな事業を行っていきます。
環境面の取り組みは光害対策と脱炭素
───3つ目の環境面の取り組みを詳しくお聞かせください。
小野田さん 環境面の取り組みは、光害対策と脱炭素に関するものです。まず光害対策としては星空保護区の認定を受けるために、南六呂師エリア内すべての屋外照明を、光が漏れにくく光害の影響が少ないタイプに取り替えました。今後も毎年夜空の明るさの測定や、照明器具が光害対策の基準を満たしているかの調査を行います。
また家庭や事業所、施設などの照明を一斉に消すことで星空が観やすい夜空を作り出し、光害や省エネルギーについて考えるきっかけとする「ライトダウンキャンペーン」にも取り組んでいます。
───星空の景観を守るために、そんなにも細やかな取り組みをされているのですね。脱炭素に関してはどのような取り組みをされていますか?
小野田さん 脱炭素や森づくりの推進に向けた啓発活動に取り組んでいます。子どもや親が楽しみながら学べるよう「Eco紙芝居」や「Eco落語」などに取り組んでいるほか、子どもに身近な森への関心を持ってもらうために、どんぐりを小学校に配布して苗木まで育て、苗畑に植樹する活動にも取り組んでいます。こうした取り組みを行うことで澄んだ空気が維持され、きれいな星空を守ることができます。
3つの共創組織が三側面をつなぐ役割を果たしている
───これら三側面の取り組みをどのようにつないでいるのですか?
小野田さん 三側面をつなぐ統合的取り組みとして、行政とともにまちづくりに取り組む3つの共創組織を設置しています。
1つ目は2023年9月1日に、平成大野屋と大野市観光協会、大野商工会議所の観光案内業務を統合する形で設立された、観光を軸に稼ぐ新組織「一般社団法人越前おおの観光ビューロー」です。
2つ目は2023年設立予定の、ふくいSDGsパートナーに登録する市内の団体や、本市とSDGsに関する連携協定を締結する企業などが業種や分野を超えて連携することを目的とした「おおのSDGsパートナー連絡協議会」です。
そして3つ目が、大野市脱炭素ビジョンに掲げる目標の達成に向けて、団体や事業者が情報共有や具体策の協議を行うための「大野市脱炭素推進会議」で、2023年6月に初会合を開催しました。
これらの共創組織と連携しながら、経済・社会・環境の三側面の取り組みを強力に進めています。
個人の行動や連携が全国に誇れる地域づくりを後押しする
経済・社会・環境の三側面からSDGsに貢献する取り組みを進めている大野市ですが、大野市の今後についてはどのように考えているのでしょうか。ここでは、今後の課題や展望、持続可能な地域づくりへの想いをお聞きしました。
機運の高まりを行動につなげることが課題
───SDGsに関するさまざまな取り組みを行う上で、課題として感じていることはありますか?
小野田さん 市民や企業、団体が星空を守りたいと考え、そのための行動に移すというところに関しては、今後さらに進めていかなければならない課題です。
一方で星空保護区の認定を受けさまざまなメディアでの露出が増えたことで、大野市の取り組みの成果をある程度内外に示すことができました。また、星空保護区の認定に向けて、地元の区・大学・天文愛好家との連携や、多くの事業者からの協力を得ながら進めることができたなど、認定を目指すための機運はとても高かったと感じています。
特に阪谷小学校の子どもたちは、学校の探究学習での星空の魅力についてのプレゼンテーションや、作成したCMがコンテストで受賞しましたし、さらには星空保護や脱炭素につながる行動でポイントがもらえるという取り組みを行うなど、積極的に取り組んでくれました。地元の盛り上がりを肌で感じていますので、この熱をさらに多くの市民や企業・団体の行動にまでつなげていきたいです。
1人ひとりのがんばりで持続可能な地域づくりを目指す
───今後の展望についてお聞かせください。
小野田さん 星空保護区の認定や高速交通網の整備により、本市は多くの観光客を呼び込む好機を迎えています。この好機を観光に生かすとともに環境保全活動も継続し、より多くの人々に協力を求めていくことが重要です。また、そのことが環境負荷を抑えている観光地として選ばれることにもつながり、経済活性化を通して星空保護の市民意識をさらに高めるという好循環が期待されます。引き続き、自然と人の共生を意識した取り組みを進め、持続可能な地域を目指していきます。
持続可能な地域づくりに向けて大切なことは、方向性を合わせて各々が一歩踏み出すことです。1人ひとりの一歩のがんばりが市全体の大きな力になることを市民全員が意識し、各々が実践することで住み続けたいまちにつながるものと考えています。
───1人ひとりのアクションは持続可能な地域づくりにおいて大切なことですし、SDGsにも同じことが言えますね。
小野田さん これまでは主に一部のエリアの市民の方や企業が星空保護または星空観光に関わってくださいましたが、今後は星空を保護し活用するという機運を市全体に広げ、星空に関する取り組みをさらに発展させていきたいです。
例えば星空を守るための脱炭素の取り組みとして森づくりを行うなど、さまざまな分野の施策や主体と連携しながら進めていきたいと考えています。
全国に誇れる地域づくりを行う
───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
小野田さん 大野市は人口減少が国や福井県の平均よりも進んでおり、高齢化率も高いです。全国から注目されるような派手さのある取り組みではないかもしれませんが、豊かな自然や人と人の強いつながりを生かして、全国に誇れる地域づくりの取り組みを行っていきます。
また、SDGs未来都市計画の期間である3年間は、大野市にとってもチャンスではありますが、その好機を活かしたさまざまな取り組みを進めていますので、ぜひ大野市に来ていただき、都会では見ることが難しい美しい星空を見て、観光や人との触れ合いも楽しんでいただきたいです。多くの方の来訪をお待ちしております。
───本日は貴重なお話をありがとうございました。
大野市はこれからも星空と人びとの暮らしを守っていく
美しい自然が見る者を魅了してやまない大野市ですが、その風光明媚な景観を守るためのさまざまな取り組みは、SDGs未来都市に選ばれていることが納得できる素晴らしいものでした。SDGsの多くの目標と結びついている大野市の取り組みは、市の発展とともにさらに評価を上げていくのではないでしょうか。
大野市の取り組みや美しい景色に興味がある方は、ぜひホームページを覗いてその一端に触れてみてください。
▼大野市のホームページはこちら
大野市公式ホームページ
▼大野市のSDGsについて、詳しくはこちら
大野市のSDGsの取り組みについて 大野市公式ウェブサイト

身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。