「style table」「Ethical&SEA」のSDGsはエシカルで人の気持ちから環境を変えること

オーガニックやエシカルな商品を多数取り揃えている「style table」と「Ethical&SEA」。今回は2つのブランドを運営している株式会社フラッグの代表取締役である吹上(ふきあげ)さんにお話を伺いました。
2つのブランドを立ち上げるに至った経緯やブランドの特徴、SDGsへの取り組みや想いまで詳しくお聞きしています。
目次
オーガニックのポジティブな影響に気付きstyle tableを始める
株式会社フラッグはstyle tableとEthical&SEAの2つのブランドを運営する会社ですが、代表取締役である吹上さんが株式会社フラッグを設立したきっかけは、どのようなことだったのでしょうか。ここでは、吹上さんの経歴と、株式会社フラッグを立ち上げてstyle tableを開店するに至った経緯までを聞いていきます。
もともとオーガニックに関心があるわけではなかった
───本日はよろしくお願いします。まずは事業を開始されるまでの経緯についてお聞かせください。
吹上さん 私が株式会社フラッグを設立したのは2020年1月23日で、創立から3年を迎えたばかりのまだ若い会社です。私は以前オーガニックコスメの会社で働いていたのですが、当時の経験が今のキャリアへとつながっています。私はギャルの派手なファッションの流行やバブル期も経験していて、その頃はどちらかというと大量生産・大量消費や、華やかなものが好まれる傾向にある時代でした。
現在ではオーガニックを取り入れた生活を送っている私も、オーガニックについてあまり知らなかったというのが正直なところです。オーガニックコスメに対しても「肌に優しい」「敏感肌の人が使うもの」などのイメージしか持っていませんでしたので、もとからオーガニックコスメを好んで使っていたというわけではありません。
オーガニックやエシカルの本当の価値に気付きstyle tableを始めた
───オーガニックについてあまり知らなかった吹上さんが、オーガニックやエシカルな商品を取り扱うstyle tableを始めることになったきっかけは、どのようなことだったのですか?
吹上さん きっかけは、先ほどお話した前職のオーガニックコスメの会社での経験です。さまざまなオーガニックコスメに触れるうち、私が持っていたオーガニックのイメージが、オーガニックのたった1面でしかなかったと気付いたことがきっかけになりました。
オーガニックコスメを扱っているうちに、その魅力はコスメとしての効果にとどまらないことを知りました。オーガニック商品は社会的価値を持っており、携わる人や環境にポジティブな影響を与えるものだったのです。さらに使用する人に対しても、使う上での満足感だけではなく、自分自身のライフスタイルに対する満足感まで提供できるものだということもわかりました。
───オーガニックには多くのポジティブな影響があるのですね。
吹上さん 私がオーガニックコスメの会社で働いていた頃、プラスチックフリーやヴィーガンといったテーマの商材の卸というのはほぼありませんでした。また、オーガニック系の商材を扱っている事業で、エシカル系のものだけを集めているところも、私が事業を始めたころはごく限られたショップしかありませんでした。そこで、オーガニックというテーマではなく、エシカルというもっと大きなテーマで事業を展開したいと考え、最初に始めたのが「style table」というブランドです。
style tableはジャパンメイド、Ethical&SEAは海外商品の豊富さが特徴
共にオーガニックやエシカルな商品を扱っているstyle tableとEthical&SEAは、それぞれどのような特徴やこだわりを持ったブランドなのでしょうか。ここでは、それぞれのブランドの特徴や運営する上での工夫、スタッフも一丸になったSDGsへの取り組みについて聞いていきます。
style tableはジャパンメイドを軸にしたエシカル商品のみを扱っている
───style tableのコンセプトや具体的な事業内容について教えて下さい。
吹上さん style tableは「エシカル×サスティナブル×ヴィーガン」をテーマにしたブランドで、1番大きな軸になっているのが「ジャパンメイド」です。ジャパンメイドの商品にこだわることで、原材料から製造、消費までを全て地域内で行うことができ、結果的にエネルギー消費が抑えられます。さらには地域の循環を促すことにもなるので、ジャパンメイドの商品にこだわることはエシカルに繋がるのです。
また、style tableでは「ジャパンメイド」「オーガニック成分配合」「気候危機対応」「プラスチックフリー」「ヴィーガン」「フェアトレード」「天然由来成分配合」の7つのエシカルテーマに沿った商品のみをセレクトしています。
エシカル商品というのは、どの商品がどのエシカルテーマに関わっているのかわかりにくいことが多いです。ですので、style tableでは各商品とエシカルテーマとの結びつきがひと目でわかるように工夫しており、店舗の特徴として最も大きなポイントだと思っています。
───確かに、ただエシカルな商品ですとだけ言われても、具体的なテーマが見えてこないと選びにくいかもしれませんね。具体的にはどのような工夫をされているのですか?
吹上さん 例えばヴィーガンにこだわっている方は、ヴィーガンのマークが明示してあることにより安心して購入していただけますし、その他のエシカルテーマでもご自身のこだわりのポイントに主眼をおいた商品選びがしやすくなっています。単にオーガニックの商品であるというだけではなく、エシカルにもつながっているということがお客様に伝わりやすくなる工夫をしているんです。
ただ、ジャパンメイドやオーガニックがどのようにエシカルとつながっているのかを説明することは、かなりの情報量になるため難しい側面があります。お客様にわかりやすく説明し、興味を持っていただけるようにしていくという点では、まだまだ改善の余地があると思っています。
───style tableの店舗数はどのくらいあるのですか?
吹上さん style tableは代官山の本店を始め、小さな店舗も含めると計11店舗になります。各店舗500商品ほど取り扱いがあり、セレクトに最もこだわっています。自信を持ってお勧めできる商品だけを揃えさせていただいています。
Ethical&SEAは海外のオーガニック商品の品揃えが豊富
───もう1つのブランド、Ethical&SEAについてもお聞かせいただけますか?
吹上さん Ethical&SEAは現在、阪急うめだ本店を始めとした8店舗を運営しており「SEVEN STORIES」という7つのテーマを展開しています。「オーガニック」「オーシャンフレンドリー」「プラスチックフリー」「グリーンリカバリー」「フェアトレード」「ヴィーガン」「ナチュラル」それぞれのテーマに関連した商品を、各店舗500から700商品取り揃えています。
style tableはジャパンメイドにこだわっていますが、Ethical&SEAのこだわりはアメリカ西海岸のテイストをイメージした店舗作りです。
アメリカ西海岸はオーガニックやエシカル、ロハス(健康的で持続可能な生活様式)が盛んなエリアです。Ethical&SEAはロハスなライフスタイルをイメージし、海外のオーガニック製品を多数取り揃えているのが最大の特徴になります。
───海外はオーガニックが進んでいる印象がありますが、やはり日本と比べると違いは大きいのですか?
吹上さん 国産の商品にも素晴らしいものはたくさんありますが、やはりヨーロッパやオセアニア、アメリカのオーガニック市場、オーガニックアイテムの規模はレベルが違います。ですので、良質なオーガニック商品を数多く揃えるために、海外の商品にも目を向けたショップを作っていこうということでEthical&SEAができました。
Ethical&SEAもstyle tableと同様、SEVEN STORIESの7つのアイコンを各商品に明示し、安心して買い物いただける工夫をしています。
コンセプトに共感したスタッフと共にさまざまな取り組みでSDGsに貢献している
───2つのブランドの展開の他に、SDGsに関して取り組まれていることはありますか?
吹上さん もともとエシカルな商材を集めて卸すことから事業が始まり、商材の卸は今でも当社の事業の軸になっています。エシカルなアイテムを取り扱いたいお客様へ向けて、商品を卸させていただいています。
その他の取り組みとしては、朝日GOOD LIFE フェアの共催や「Seabin」という海をきれいにする装置の設置を行っています。Seabinというのは海に置いておくことで自動的にゴミを回収してくれる装置で、クラウドファンディングで資金を集め、浦賀ボートパークと兵庫県ウィンドワードオーシャンクラブに合計2機設置しました。
他にもビーチクリーンの定期的な開催や、ビーチヨガを行っている会社への協賛、高校生向けのエシカル研修、里山保全活動への参加なども行っています。
当社のスタッフは、当社のコンセプトに共感して入社してくれた方が多いため、空いている時間にSDGsの活動を見つけてきてくれたりもします。意見を出し合い、みんなで様々な取り組みを行っています。
また、直近では、プラントベースを主に扱っている「veggy」という雑誌とのコラボイベントをさせていただきました。プラントベースフードの会社などとつながりがある雑誌なので、私たちが普段扱っていないような商品を販売していただき、お客様からも好評でした。
エシカルなものを自然と選べる世の中を目指して商品を提供していく
オーガニックやエシカルな商品を取り入れやすくなる様々な工夫がされているstyle tableとEthical&SEA。代表の吹上さんはエシカルやSDGsに対してどのような考えをお持ちなのでしょうか。
ここでは、吹上さんのエシカルやSDGsに対する考えや想い、また今後の事業の展望などを伺いました。読者の皆さんへのメッセージもいただきました。
意識せずとも環境に良いことをしているのが理想
───SDGsやエシカルに対する考えや想いなどをお聞かせください。
吹上さん 私たちが目指しているのは、エシカルをより分かりやすく、楽しく、当たり前にしたいということです。エシカル消費は私にとっては当たり前に取り組みたいことですが、一般的には当たり前に取り組むにはまだまだ難しいことだと感じています。
例えば、自分が買ったものや普段使っているものが、実は作った人に正当な対価が支払われていないものだったということは十分あり得る話です。遠い日本にいると労働搾取をされている人たちが見えないので、まさか労働搾取されているなどと思いもせずに商品を買ってしまいます。実際には労働搾取が行われているのに、見えなくなる構造になっているのです。
フェアトレードの商品やオーガニックの商品は高いという声はよく聞きます。しかし、不可視化されてしまっている状況の中で、もし自分が普段買っているものが労働搾取や児童労働、環境破壊につながっていたとしたらどうでしょうか。
労働搾取で作られた商品を自分が知らずに使っている可能性があるとしたら、自分自身のライフスタイルは本当に心から豊かさを感じられるライフスタイルと言えるのかということを、私はいつも考えています。
───何も意識をしないで消費活動をしていれば、労働搾取につながっているとは知らずに買ってしまうこともあり得ますよね。そう考えると怖い気がします。
吹上さん オーガニックの基準には「未来への配慮」「作っている人に対して正当な対価が支払われている」という項目があります。ですから、オーガニックやフェアトレードの商品を買うことは、自分が労働搾取や環境破壊に加担していないという安心感も同時に買えると考えています。
自分が使っているものが労働搾取されていないと自信を持って思えるように、オーガニックやフェアトレードの商品がもっと当たり前の存在になって欲しいと思います。
ただ一方で、今の世の中的に当たり前ではないからこそ、私たちのようなお店を作ることができてしまうとも思うのです。世の中がオーガニックやフェアトレードの商品で溢れて、どこでも普通に買えるのであれば、私たちのような店が特別であるという見え方はしないのではないでしょうか。私たちの店が特別な店に見えること自体が、ある意味問題かもしれないと感じています。
───オーガニックやフェアトレードの商品が当たり前になれば良いですね。
吹上さん 難しい話から入ると大変なことだと思われがちです。行わなければいけないという義務感からではなく、「可愛いもの、自分が欲しいと思うものを使っていたら結果的に地球環境に良いものを使っていた」「自分が欲しいものを使っていたらいつの間にかSDGsにつながるものを使っていた」という形が理想だと思っています。
お客様に想いを伝えるためにリアル店舗を大切にしている
───今後の展望や、力を入れていきたいことを教えて下さい。
吹上さん 「ECサイトに注力されていかれないのですか?」というお声もいただくのですが、私としてはお客様により情報を伝えていくために、リアルの店舗を大事に育てていきたいと考えています。
お客様と直接繋がっていけるのは、やはりリアルでこそだと感じています。より良い情報を正しくお伝えするためにスタッフの教育にも力を入れています。
また、スタッフがお客様に想いを伝えていける場ももっと作っていけたらと思っていますので、リアル店舗にこだわり、今後も事業を拡大していきたいです。
「わたしたち」を広げることはハッピーの広がりにもつながる
───Ethical&SEAのホームページで拝見した「わたしたちを広げよう」というポリシーがとても印象的でした。「わたしたちを広げよう」という言葉に込められた想いをお聞かせください。
吹上さん 「わたしたち」というと、本当にごく身近な人だけを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「わたしたちを広げよう」という言葉は、「わたしたち」の範囲を自分の周りだけではなく日本へ、さらには世界へ広げてみませんか、というメッセージになっています。
普段「わたしたち」と言っている目線を少し広げただけで、広げた先に対して良い行動をしたいと、普段使っているものを作ってくれている人がハッピーになるような生活をしたいと自然に思えるようになるのではないでしょうか。
「わたしたち」の広がりは思いやりの広がりにもつながるのだと思います。
身近なものを1つ変えるだけでもエシカルやSDGsにつながる
───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いできますか?
吹上さん エシカル消費と一言で言っても、本当に色々なものがあります。例えば「フードロスの削減」という1つだけを見てもエシカル消費です。
私たちは、あくまでも私たちが考えるエシカル消費を提供していきたいと思っています。
当たり前に手に入る商品がどのように作られているのか、そこに少し目を向けていただけるだけでも、自分が選択する商品をしっかりと考え、変えていくきっかけになるのではないかと思います。
なぜなら、もともとオーガニックに興味があったわけではない私自身が、ちょっとしたきっかけで、今では100%オーガニックで生活が成り立っていると言えるほどになったからです。
ですから、まずは今使っている商品について1度よく考えてみるだけでも、変えていくきっかけとしては十分です。
オーガニックを取り入れた生活を行う上で、エシカルなものに出会って取り入れていくスタイルがまだまだ大変だということは、エシカルな生活をしている私自身、実感しています。
いきなり全てを変えることは大変ですので、まず何か1つだけ変えてみるところから始めていただけたらと思います。
───本日は貴重なお話をありがとうございました。
style tableとEthical&SEAは環境にも人にも優しい世界を創っていく
オーガニックやエシカルな商品を全国の店舗で提供しているstyle tableとEthical&SEA。選び抜かれた商品を、お客様に安心して選んでいただける工夫や努力は素晴らしいと感じました。
スタッフの皆さんもSDGsに積極的で、今後の地球環境へ向けた取り組みにもさらに注目していきたいです。
style tableとEthical&SEAの商品やSDGsへの取り組みに興味がある方は、ぜひ1度ホームページを覗いてみてください。
▼style tableのホームページはこちら
style table
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Ethical&SEA(エシカルシー)公式サイト
▼2つのブランドを運営する株式会社フラッグのホームページはこちら
株式会社フラッグ

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