釧路町のSDGs | 美しい環境を守る取り組みで誰もが住みたい町へ

北海道東部に広がる釧路湿原。釧路町はその雄大な自然に囲まれたまちです。豊かな自然を見ることができる観光スポットが多い釧路町は、SDGsに積極的に取り組んでいる町でもあります。
今回は釧路町役場の岡村さんと阿部さんに、SDGsの取り組みについて伺いました。ぜひ最後まで読んで魅力あふれる釧路町の取り組みや魅力に触れてみてください。
目次
釧路町の概要と魅力
取り組みについて伺う前に、まずは釧路町についてご紹介いただきます。釧路町の概要とおすすめの観光スポットなどをお聞きしました。
釧路町は北海道南東部の自然豊かな町
───本日はよろしくお願いいたします。まずはお二方の自己紹介と、釧路町のご紹介をお願いします。
岡村さん 釧路町役場、総合政策課の岡村と申します。
阿部さん 釧路町役場、環境生活課の阿部と申します。
岡村さん 釧路町は海や山、釧路湿原に囲まれた自然豊かな町です。お隣の釧路市と間違われることも多いですが、釧路市とは別の自治体です。北海道の南東部に位置しており、人口は2004年2月末時点で18,588人です。
人口はゆるやかな減少傾向にはあるものの、高齢者が際立って多いなど人口バランスに極端な偏りは見られません。平均的にさまざまな年代の方が住まわれている地域です。
釧路湿原の雄大な景色が魅力
───釧路町でおすすめしたい観光スポットはありますか?
岡村さん 釧路湿原が有名で、細岡展望台から釧路湿原の広がりや釧路川の蛇行を見ることができます。また、釧路湿原から見える美しい夕日もとても人気ですので、ぜひ実際に見ていただきたいです。
その他の有名なものとしては、仙鳳趾(センポウシ)の牡蠣などがあります。この仙鳳趾を始めとした難読地名も有名で、他にも重蘭窮(チプランケウシ)や浦雲泊(ポントマリ)など、なかなか読むことができない地名が多くあります。他にもダイコンやカブ、昆布など、美味しい食べ物も非常に多い町です。
釧路町のSDGsの取り組み
釧路町の魅力は豊かな自然です。SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」とも深くつながる自然を守るための取り組みとして、釧路町ではどのようなことを行っているのでしょうか。ここでは、釧路町のSDGsへの取り組みを詳しく伺います。
SDGs町民アンバサダーは理解を深めるための取り組み
───ここからはSDGsへの取り組みについて伺っていきます。釧路町が行っているSDGsに関しての取り組みにはどのようなものがありますか?
岡村さん 釧路町では「未来につなぐ、豊かな自然と生きがいあふれるまち」の実現を目指し、第6次釧路町総合計画を策定しています。これは、人口減少をできるだけ小さくすることを目標に作られた計画です。この第6次釧路町総合計画には400以上の事業があり、全てがSDGsに関連付けられています。
───第6次釧路町総合計画では、具体的にどのような事業を行っているのですか?
岡村さん 例えば、私たちが担当しているSDGsを推進する事業の中で、町の職員や民間の方を対象とした「釧路町SDGs町民アンバサダー」の研修を行っています。この研修を受けることによってSDGsについて理解を深めていただき、実際に自らがSDGsに取り組むことができるようになるというものです。
研修を受けることでSDGs町民アンバサダーに認定され、知識を活かして活躍していただいています。SDGs町民アンバサダーには、令和4年に13人、令和5年に12人が認定されました。
さらに、釧路町SDGsアンバサダーとして認定された方の中から、「SDGsボードゲームライセンス取得講座」を受講していただき、カードゲーム講師の資格(釧路町SDGsボードゲームファシリテーター)を取得してもらうという取り組みも行っています。2024年は町職員と民間の方、合わせて3名が実際に講師の資格を取得していただきました。
今後、講師の3名には今後さまざまなところから要望があった際に、カードゲームを使って広くSDGsを広めていただく活動を行っていただきます。
───研修はどういった形で行われているのですか?
岡村さん アンバサダーになる研修は、1日かけてSDGsとは何かという基本的なことを学びます。この研修で学ぶことによって、家や職場など身近なところから少しずつ自分たちでSDGsに取り組むことができるようになります。カードゲームの講師の研修も1日かけて講師の資格を取得していただくというものです。どちらの研修も、町で専門家に委託しています。
───SDGs町民アンバサダーは、どういった人たちの中から選定されるのでしょうか。
岡村さん 職員に対しましては、釧路町SDGs町民アンバサダーの講座があるので参加しませんかと周知をし、興味をもってくれた職員が申し込んでくる形です。民間の方につきましては、日ごろお付き合いのある方の中から興味がありそうな方、今後活躍していただけそうな方にお声がけし、快く受講していただいています。
環境面ではデコ活やゼロカーボンに取り組んでいる
───環境に関する取り組みとして「デコ活」というものに取り組んでいると伺っています。こちらはどのような取り組みですか?
阿部さん デコ活は環境省で進めている取り組みで、脱炭素につながる取り組みを推進する活動です。2023年12月に釧路市、釧路信金と3者同時に宣言をさせていただきました。始まって間もないですが、積極的に進めていきたいと思います。
また、釧路町では公共施設や地域の脱炭素化など地球温暖化対策に取り組んでおります。現状、住民の方や事業者の方の認知や理解が不十分だと感じているため、周知活動の一環としてイベントを行う予定です。
高校生と作ったカードゲームを使った子ども向けイベントを開催
───デコ活のイベントについて教えてください。
阿部さん 釧路町で制作したカードゲームを活用したイベントを考えています。このカードゲームは「マイアース」という名前で「地球を温暖化させる側」と「生物の多様性を保全し地球を守る側」にプレイヤーが分かれて対決するというものです。生物多様性側のカードでは、実際に釧路湿原に生息している生き物をカード化しています。対象年齢を小学3年生以上に設定しており、自然環境を守るために温暖化を止めなければならないことを、ゲーム感覚で楽しみながら体験してもらえる子ども向けのイベントを考えています。
───カードゲームで遊びながらでしたら、子どもが楽しんで学べそうですね。
阿部さん ポケモンカードなどのカードゲームが人気を博していることもあり、カードを用いたコンテンツなら子どもたちに強いインパクトを残せると思ったため採用するに至りました。
───このカードゲームは職員の方たちが作ったのですか?
阿部さん 地元の釧路東高校の生徒たちと協力して作りました。パッケージに描かれている、釧路町を代表する生き物であるタンチョウヅルと夕日をモチーフにしたイラストは、釧路東高校の美術部の学生が書いてくれたものです。カードに使用する生き物も、生徒会とのワークショップをとおして選定してもらいました。
「マイアース」自体は10年以上前に慶應義塾大学の学生が開発したものです。「マイアース」のパッケージ版が全国展開されている中、私たちからお声掛けさせていただき釧路町版のカードを作らせていただいたという流れです。2023年4月から少しずつ製作を進めて11月ごろに完成しました。
若い世代はSDGsの知識が豊富
───子ども向けのイベントや高校生との取り組みなど、若い世代と関わることも多いようですが、SDGsに関する知識や意識に関してはどのように感じていますか?
岡村さん 小学校や中学校でSDGsの授業を行うことがあるのですが、皆さんSDGsの知識が豊富です。ごみの分別やリサイクルの意識などといったことも、日常から当たり前のものとして染みついていることを発言から感じています。発言も積極的ですし、本当にいろいろなことを考えているというのが印象に残っています。
阿部さん 高校生や大学生と一緒にさまざまなイベントを行ってきましたが、皆さんベースとして地球温暖化に対する危機意識や知識が備わっています。温暖化を食い止めなくてはならない、そしてそのためには何をすべきかという意識が最初からある状態で取り組めるため、どのイベントもよいものになりました。
個人レベルの意識の差はまだまだ大きい
───やはり若い世代の方がSDGsに対しての意識が高いという認識でしょうか?
岡村さん 世代間の意識の違いというよりは、それぞれが個人でSDGsについてどう考えているかだと思います。世代を問わず、しっかりと考えている方は考えていらっしゃいます。
取り組みの意識に年齢は関係ないのではないでしょうか。子どもは子どもなりの考え、大人はそれまで培ってきた知識や経験それぞれを基に、世代によって意識に多少の差はあれど、自分たちができることに取り組んでいらっしゃる方が大勢います。
今後の展望と釧路町への想い
ここまで、さまざまなSDGsの取り組みを伺ってきました。ここからは、今後について展望や目標についてお聞きしたいと思います。また、釧路町に対する想いや読者の皆さんへのメッセージもいただいています。
誰もが住みたいと思う町にしていきたい
───今後の展望や目標を教えていただけますか?
岡村さん 第6次総合計画は人口減少をできるだけ小さくすることを目標に立てた計画で、掲載している事業は全てがSDGsの何らかの目標に関連しています。そして掲げている将来像を達成するため、実現させるために職員一同さまざまな事業に注力していますし、誰もが住みやすいと思ってもらえる釧路町にしていきたいです。進学や就職で町外に出ていってしまった方も、旅行で遊びに来てくださった方も「釧路町っていいな」「住んでみたいな」と思っていただけると嬉しいですし、職員みんなその気持ちで日々事業を行っています。
阿部さん 脱炭素に関しては、2030年までに2013年度比で50%削減、2050年にはCO2排出量ゼロを目標値に掲げています。そしてその目標の実現には、若い世代の取り組みももちろん必要ですし、今まさに現役で働いている世代や高齢の方の理解や協力も必要であるため、幅広い世代に訴えかけながら取り組みを進めていきたいと考えています。
美しい自然が広がる釧路町へ
───最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
岡村さん 釧路町は自然豊かで美味しい食べ物もたくさんあります。雄大な自然が広がる釧路湿原を見ることもできますので、皆さんぜひ釧路町に遊びに来てください。
───本日は貴重なお話をありがとうございました。
町民とともにこれからも美しい自然を守る
自然というものは、一度失われてしまうと取り戻すのは容易ではありません。釧路町の美しい自然はまさに宝であり、その町民も巻き込んださまざまな取り組みで、いつまでも守っていってほしいと思います。釧路町の取り組みや雄大な自然が見られる観光スポットについて詳しく知りたい方は、ぜひ釧路町のホームページからその素晴らしさに触れてみてください。
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