株式会社キングジムのSDGs|環境や社員を守り社会にも貢献する取り組み

株式会社キングジムのSDGs|環境や社員を守り社会にも貢献する取り組み

2025.03.14(最終更新日:2025.03.14)
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主にオフィスの文具や事務用品を扱っている株式会社キングジム(以下、キングジム)は、大ヒット商品である「テプラ」や「キングファイル」などで広く知られています。近年ではライフスタイル分野にも進出するなど、さらにユーザーに新しい価値を提供している企業です。

また、リサイクルによる環境保護やDE&I推進による人材育成など、SDGsにも積極的に取り組んでおり、多大な社会貢献を行っている企業でもあります。

今回はキングジム名古屋支店の横田さんに、キングジムの企業概要や沿革、SDGsに関する取り組みや今後の展望についてお聞きしました。

キングジムの概要と沿革

キングジムとはどのような歴史があり、どのような事業を行っている企業なのでしょうか。ここでは、キングジムの企業概要と沿革について伺います。

オフィス用品を扱いライフスタイル分野にも進出

───本日はよろしくお願いいたします。まずは、横田さんの自己紹介をお願いできますか?

横田さん 株式会社キングジム名古屋支店の横田と申します。入社時から営業職を務めており、現在は主に愛知・三重県の文具卸・販売店様と協業し、官公庁やさまざまな民間法人ユーザー様へオフィス環境がより快適になるようなご提案をさせていただいております。

───キングジムは1927年に創業され、もうすぐ100周年を迎えられると伺っています。沿革の概要について教えてください。

横田さん 弊社は1961年に「株式会社名鑑堂」から現在の「株式会社キングジム」に社名を変更しました。その後、1964年に「キングファイルG」を発売、1988年にはラベルライター「テプラ」で電子文具市場を開拓し、今日までオフィスの必需品としてビジネスシーンにおいて広く皆様にご利用いただいております。

また、近年はペーパーレス化や少子高齢化の影響を受け、新たな成長戦略としてライフスタイル用品事業にも進出しました。M&Aを活用して家具や雑貨などの分野を拡充したことにより、文具事務用品に加え、ライフスタイル分野でも新たな価値を提供しております。

コト消費で新たな価値を提供

───現在特に注力している商品や、今後さらに展開していきたい取り組みについて教えてください。

横田さん 既存ビジネスを強化しつつ、〈デザイン×デジタル〉を活用した新サービスなどの展開をすすめ、ユーザー様に新たな体験価値を提供しブランドの魅力をより高めることを目指します。また、グループ会社間のシナジー効果を生み出すことでライフスタイル用品事業を拡大すると共に、海外売上比率を高める活動にも取り組んでまいります。

愛社精神を持った従業員が最大の強み

───経営理念として「独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献する」と掲げられています。それを踏まえ、企業としてどのような強みがあるのか、また、企業風土を維持するためにどのようなことを意識しているのかを教えていただけますか?

横田さん ユニークで独創的な発想を持った人材が揃い、会社への愛着や誇りを抱いている従業員が多いことが弊社の最大の強みです。高い水準の従業員エンゲージメントを維持しつつ、「お客様起点のマーケティング」により実際に商品・サービスをお使いいただく場面を明確に想定したうえで、お客様の問題解決に直結する独創的なプロダクトの企画・開発に力を注いでいます。

キングジムのSDGsに関する取り組み

さまざまな商品で私たちのオフィスライフを彩ってくれているキングジムですが、SDGsに関する取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、キングジムのSDGsに関する取り組みについて詳しくお聞きします。

環境ラベルや環境マークで分かりやすさを追求


───ここからはSDGsに関したことについて伺っていきます。商品について独自の基準を設けた「環境マーク」や「環境配慮商品」などを展開されていますが、こちらの取り組みについて教えてください。

横田さん 1998年より「エコマーク」や「グリーンマーク」などの国および第三者機関の認定による環境ラベルを、また1999年からは自社基準で定めた「環境マーク」を、お客様が率先して「環境配慮商品」を選んでいただけるよう、毎年発刊する総合カタログに商品毎に分かりやすく掲載しております。

この長年にわたる取り組みを通じて、弊社の「環境配慮商品」の売上高比率は74%(2024年6月期)となっております。今後も「環境配慮商品」の売上高比率を高い水準で維持していけるよう、各種情報開示を進めてまいります。

テープカートリッジのリサイクルでCO₂の発生を抑制


───テプラなど使い終わった商品の回収をされていますが、こちらの取り組みにはどれくらいの環境効果があるのでしょうか?

横田さん まだ、SDGsやサステナビリティといった言葉が浸透していなかった1998年から始めた「テプラ」使用済みPROテープカートリッジ回収事業では、弊社調べで累計約2,300トンのCO₂(二酸化炭素)の発生を抑制してきました。

───かなりの量のCO₂を抑制しているのですね。回収したテープカートリッジは、その後どのようにリサイクルされているのでしょうか

横田さん 回収したテープカートリッジのケースは粉砕し、マテリアルリサイクルによって再びケースの材料に使用します。また、一部の商品は洗浄・検査後にリユース(再使用)し、新しいテープカートリッジケースと共に組み立て、新たな製品に生まれ変わります。その他の部品は再資源化を行い、資源として有効活用しています。

これらの取り組みによって、回収したテープカートリッジの約76%が新たな製品に生まれ変わり、残りの約24%は再資源化され、その結果、廃棄されるプラスチックなどが削減され、CO₂の発生を抑制できているのです。

「テプラ」PROテープカートリッジの回収は、100個から着払いでお受けしていますので、ぜひご活用ください。

「テプラ」使用済みPROテープカートリッジ回収はこちら▼
 https://www.kingjim.co.jp/sustainability/env/tepra_recycle.html 

DXの推進で持続可能な成長や競争力を確保

───DXの推進にも注力していらっしゃいますが、SDGsの観点から見て、DXを推進することにはどのような効果があるとお考えですか?

横田さん DXの遅れは新たなビジネスやサービスによる成長を妨げ、競争力の低下や人材の流出も招くなど、企業の持続可能な成長を停滞させます。そこで弊社が2019年より行っているのが、全面的な業務システムの再構築による各種業務システムの刷新です。

社員全員が個々の業務で最新のテクノロジーに適応しデジタルを効率的に活用できるよう、各部門にDX推進担当者を配置し、ITリテラシー教育などの人材教育についても力を入れています。また、生成AIの利用促進も進めております。

弊社がDXを推進する目的は “デジタル化による効率化”や“新たなビジネスモデルの創出”を通じて、「持続可能な成長」を実現し「市場での競争力を確保」するためです。今後もデジタル活用による働き方改革や、アイデア×テクノロジーによる発想でイノベーションを促進し、DXを加速していきます。2025年度がスタートの第11次中期経営計画においても、DX推進のための投資を計画しております。

海外に向けてもSDGsの取り組みを発信

───海外にマーケットを展開されていますが、紙やプラスチックなどの文具事務用品の扱いや考え方などについて、海外と日本の違いを感じられることはありますか?また、その場合にはどのような対応をされているのでしょうか?

横田さん 北米やヨーロッパでは、日本以上に紙・プラスチック製品のリサイクルやリユースへの意識が高い一方、中国や東南アジアなどの地域では、そういった意識は欧米ほどは浸透していないように感じることもあります。そこで、 海外向けのグローバルWebサイトにサステナビリティへの取り組みを英語で記載したページを公開し、紙やプラスチックなどの材料の持続性に留まらず、弊社のSDGsに関する取り組みを総合的に情報発信しております。

DE&Iの推進で人材育成と多様な働き方を支援

───「多様な人材の活躍推進」をマテリアリティ(重要課題)として掲げ、性別を含めたさまざまな背景を持つ方々が、キャリアを諦めないための取り組みをされていますが、テレワークや時差勤務など、DE&Iの推進にまつわる制度や考え方について教えてください。

横田さん DE&I推進については「イノベーション人材を育成するために必要不可欠なもの」と捉えています。こうした考えを周知するとともに実施しているのが、全従業員を対象とした「DE&I」「アンコンシャス・バイアス」に関するeラーニングや、階層別の社内研修です。

取り組み目標としては、女性管理職比率を2030年に30%とすることや、男性従業員の育児休業取得率を2027年までに70%とすることなどを掲げており、それらの達成に向けてさまざまな施策を実施しています。また、障がいを持つ従業員へのサポートを充実させたサテライトオフィスを、埼玉県川越市と神奈川県横浜市に設けています。

さらに、従業員一人ひとりが自身の生活を充実させ、より自分らしく柔軟な働き方を選べることで、仕事へのモチベーションを最大限に引き出せるよう、ワークライフバランスの向上も推進しております。弊社が導入した「時差勤務制度」や「テレワーク勤務制度」は、仕事と家庭の両立を支援する制度です。

そのほか、育児や介護を事由とした「短時間勤務制度」や、配偶者が転勤になった際に利用可能な「配偶者同行転勤制度」「配偶者同行休業制度」など、従業員の多様な働き方を支援する制度を充実させています。

今後の目標や未来への思い

さまざまな角度からSDGsに取り組んでいるキングジムですが、今後についてはどのような目標を定めているのでしょうか。

ここでは、キングジムの今後の展開や目標について伺います。

サステナビリティ推進のための4つのマテリアリティ


───SDGsに関する今後の展開や方針、目標や未来への思いを教えてください。

横田さん サステナビリティを推進するにあたり、弊社が特定したマテリアリティ(重要課題)は4つあります。1つは「独創的な商品の開発による社会貢献」で、これは弊社の経営理念の考え方そのものです。世の中にまだない新しい価値の提供や、サステナブルな商品の開発などを通じて社会課題解決のお手伝いをして、それが「持続可能な社会」につながれば良いと考えています。

2つ目は「環境への配慮」です。こちらに関しては、気候変動への対応としてTCFD提言に賛同し情報開示を行っています。具体的な目標として、CO₂排出量(Scope1、2)を2030年に2021年比で32%低減するという目標を掲げております。

3つ目は「多様な人材の活躍推進」です。先にもお話ししましたように、ダイバーシティ推進やワークライフバランスの向上、各種人材育成などを通じて多様な人材の活躍を後押しします。そしてそれにより従業員のモチベーションを最大限に引き出し、企業として持続可能な発展を目指します。

4つ目は「ガバナンスの充実」です。弊社では、公正かつ透明性の高い健全な経営により、継続的な企業価値の向上を図ることを基本的な考えとしております。そしてその実現のため、コーポレート・ガバナンスの充実にこれからも取り組んでいきます。

持続可能な社会と企業価値の向上を目指す

───最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

横田さん 弊社では、従業員のSDGsへの関心を高めるため「SDGs大作戦」と銘打って、全従業員を巻き込んだ活動を行っています。スーパーやコンビニなどでの「てまえどり」や、「地産地消」の推奨、「詰め替え商品」の活用など、SDGs達成につながる活動を各自の生活の中でも実践していきましょう、というものです。

これからもサステナブルな未来に向け、また、時代を越えて社会から必要とされる会社であるため、地球環境に配慮した事業活動を行ってまいります。予測がつかない変化が起こりうる時代ですが、弊社は社会の変化の波をチャンスと捉え、新たな成長に向けて時には大胆な変革も行い、未来のために持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指していきます。

───本日は貴重なお話をありがとうございました。

キングジムはこれからも環境と社会を支えていく

「テプラ」や「キングファイル」など、オフィスで働いている人なら一度は使ったことがあるであろう商品を手掛けるキングジムは、私たちのオフィスライフにはなくてはならない企業です。

また、素晴らしい商品を生み出し続けるだけではなく、SDGsに取り組んで積極的に社会貢献する姿勢は本当に素晴らしいものがありました。今後も私たちの仕事を支え、環境や社会にも貢献し続けるキングジムに期待したいと思います。

キングジムの商品や取り組みをもっと知りたい方は、ぜひホームページを覗いてみてください。

 ▼ 株式会社キングジム 
 ▼ キングジムのサステナビリティ | ファイルとテプラのキングジム 

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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