障がい者とSDGsの関係とは?何番の目標が当てはまる?課題と取り組みを紹介
障がい者とSDGsには深い関りがあります。SDGsでは、「全ての人々に平等な社会を目指す」ことが大きなテーマとなってます。これは当然ながら障がい者にも当てはまることであり、障がいを持っている人にも健康な生活や平等な機会が与えられることが必要とされているのです。
この記事では障がい者とSDGsの関わりについて紹介します。障がい者の抱える具体的な課題や、解消に向けた取り組みもまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
障がい者とSDGsの関係性
障がい者とSDGsの関係性について簡単に解説します。
世界人口の16%の人が障がいを抱えている
日本WHO協会の発表によると、現在世界では約13億人が、何かしらの障がいを抱えながら生活しています。これは実に全人口の16%に当たる人数であり、6人に1人が障がい者ということになるのです。また、令和5年版障害者白書によると、日本国内には436万人の身体障がい者、109万4千人の知的障がい者、614万8千人の精神障がい者が暮らしているとされています。この数は日本人口の9.2%に該当し、多くの方が障がいと向き合いながら生活していることを示しているのです。
また、WHOによると障がいを抱えている方は障がいのない方と比べて寿命が短くなる傾向にあることや、うつ病や喘息、肥満、脳卒中など、様々な疾患を発症するリスクが高まるとされています。これらの身体的・精神的障がいによって、公共の施設や交通機関の利用に不利が生じたり、差別や偏見、教育や就職の制限など、様々な不平等を受けている現状があるのです。
障がい者が関わるSDGsの達成目標は多い
SDGsの目標の中には、障がい者と関りの深いゴールや達成のための取り組みが多く存在します。たとえば、就職の不利による貧困、教育の制限による不平等、身体的障がいを持つことによって生じる行動の制限など。多くの目標は障がい者の生活に当てはまり、不平等を生んでいると言えるでしょう。障がい者の不利益や不平等を無くす試みは、SDGsの目標達成と平等な社会の実現につながります。障がい者が不便を感じることなく、過ごしやすい社会を目指すことは、障がいを持った方々の助けになるだけでなく世界の共通の目標を達成するカギとも言えるのです。
障がい者と関りのあるSDGs達成目標
障がい者とSDGsの関りには、以下の達成目標が当てはまります。
- 目標1「貧困をなくそう」
- 目標3「全ての人に健康と福祉を」
- 目標4「質の高い教育をみんなに」
- 目標6「安全な水とトイレを世界中に」
- 目標8「働きがいも経済成長も」
- 目標10「人や国の不平等をなくそう」
- 目標11「住み続けられるまちづくりを」
- 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
それぞれの目標が、どのように障がい者と関わっているのか見ていきましょう。
目標1「貧困をなくそう」
目標1「貧困をなくそう」は、世界中のあらゆる場所での貧困をなくし、経済的に困窮する人を減らすために設定された目標です。やや古いデータにはなりますが、2016年に「きょうされん」が発表したデータによると、障がいのある人の81.6%が相対的貧困状態にあるとされています。障がいのない人と比較すると約5倍もの割合で貧困状態にあるとされており、心身のハンデだけでなく金銭面からも生活に大きなハンデを与えられていると言えるのです。
日本国内では、民間企業における障がい者雇用数は増加していると発表されています。しかし、まだまだ国民全員の平等な生活にはほど遠く、政治的な介入や企業の理解・協力が必要とされているのです。
目標3「全ての人に健康と福祉を」
目標3「全ての人に健康と福祉を」は、「誰もが健康で生活し、福祉に溢れた生活」を送れるように設定された目標です。全ての人が健康な生活を送ることができ、幸せに生涯を過ごすことが大きな枠組みとなっています。
「健康で幸せな生活」を送るためには心身の健康が重要とされる現状は、身体的・精神的に障がいを抱えた方には特にフォーカスされなければならない課題です。障がいを抱えた方は身体のハンデに悩むだけでなく、金銭面や生活の不便、人間関係など様々なことに思い悩んでいます。そんな中、問題となるのが障がい者の「自殺問題」です。令和5年版自殺対策白書によると、令和4年の自殺原因はほとんどの年齢階級で「健康問題」が最も多く、次いで「経済・生活問題」となっています。身体的または精神的に障がいを抱えた方は、そのハンデの大きさと就労できないことによる金銭面・生活の負担から、自殺を選択してしまう場合が多いのです。特に健康問題で自ら命を絶ってしまう方は年間12,000人以上にのぼり、「全ての人の幸せな生活」の達成のためには見過ごせない課題と言えるでしょう。
目標4「質の高い教育をみんなに」
目標4「質の高い教育をみんなに」は、「全ての人が質の高い教育を受けられる」社会を目指すために設定された目標です。障がいの有無や国・地域の性質、思想や貧困の有無に関わらず、平等に質の高い教育を受けるための環境や仕組みを作ることが目的とされています。
国内でみると、障がい者が大学・短期大学・高等専門学校に進学し在籍しているのは、わずか1.53%とされています。100人学生がいる内に、障がい者は2人にも満たないと言うことです。細かくみると視覚障害や聴覚障害を有する方は在籍率が低く、就学や学業の継続に難があることがわかります。
また、世界的に見ても障がい者の教育に関する問題は深刻です。ユニセフによると、世界中の障がいを持つ子どもたちは、障がいのない子供と比較し、小学校に通うことができる割合が47%も低いとされています。障がいの有無に関わらず、全ての子供には教育を受ける権利があり、最低限の教育を与えることは社会と大人にとって義務であると言えるでしょう。子供達が幸せに暮らす未来のためにも、障がい者に対しての教育は必要不可欠と言えるのです。
参考:独立行政法人 日本学生支援機構 令和4年度(2022年度)障害のある学生の修学支援に関する実態調査
出典:ユニセフ 障がいのある子どもたち、教育を含むあらゆる場面で不利な状況
目標6「安全な水とトイレを世界中に」
目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、「世界中の人々に安全で清潔な水と衛生が提供されること」を目指し設定されました。
この目標と障がい者の大きな関わりは、障がい者が安全にトイレを利用できるルートが確保され、衛生的な生活を送ることができるようにすることです。今では多くの施設に「多機能トイレ」や「バリアフリートイレ」を見かけることができますが、障がい者はその利用に不満を持っている現状があります。国土交通省によると、車椅子利用者が外出先で多機能トイレを利用する際、「待たされた」経験がある方は52.4%にのぼるとされています。多機能トイレは施設に1つ設置の場合が多く、また身体障がいを持つ方は動作がスムーズに行えないため、多機能トイレの利用が過密になってしまうことがあるのです。バリアフリーが求められる社会において、外出先でトイレを安全かつスムーズに行えることは、障がい者を含め全ての人に必要なことと言えます。ハンデを抱える障がい者が快適にトイレを利用できる社会の実現は、SDGs目標6の必須事項と言えるでしょう。
参考:国土交通省 多機能トイレへの利用集中の実態把握と今後の方向性について―多様な利用者に配慮したトイレの整備方策に関する調査研究―
目標8「働きがいも経済成長も」
目標8「働きがいも経済成長も」は、環境に配慮しつつ経済成長を促し、労働者がやりがいを感じながら十分な収入を得られるように設定された目標です。経済成長を図る中で、低賃金者や就労に困っている人にも雇用の機会を与え、生活に必要な収入が得られるよう促すことが必要であるとされています。
厚生労働省から発表されている平成30年度障がい者雇用実態調査によると、障がい者の賃金は約15.4万円と、非常に低いことが表されています。この年の日本人の平均年収は432万円とされており、障がい者の平均年収と約200万円もの差があるとのことです。障がい者は雇用の場を限定され、就労できたとしても賃金の低さに悩まされていることが明らかとなりました。身体的・知的・精神的障害を持っている場合、行える作業や業務が限定されてしまうことは事実です。しかし、ハンデを受けながらも就労した障がい者の生活が保証されないのは問題と言えるでしょう。健常者と障がい者の賃金の差が縮まり、身体状況と労働内容に対する公平な対価が支払われるよう、雇用と給与の改善を進めていく必要があります。
目標10「人や国の不平等をなくそう」
目標10「人や国の不平等をなくそう」は、人種や貧富の差、民族や宗教の違いなど、異なる環境や文化の人々が全て平等に暮らせる社会を目指して設定された目標です。格差や差別を解消し、世界中の人が公平に生きていける社会を実現することが、この目標の大きなテーマとなっています。
前述しているような雇用機会の差や給与の差など、障がい者とそうでない人たちの間には多くの不平等が存在しています。こうした不平等を無くし、障がい者が社会へ参加できるような取り組みの一つが「パラスポーツ」です。国内では多くの企業がパラスポーツに対しての支援や見学・体験会を開催しており、障がいのある方とスポーツを通じて理解を深めあう取り組みが行われています。スポーツだけではなく音楽やイベントなど、様々な領域で障がい者の参加が認められ、平等な社会となることが求められているのです。
目標11「住み続けられるまちづくりを」
目標11「住み続けられるまちづくりを」は、国や地域に住む全ての人が快適に生活し続けられることを目指して設定されています。高齢者や障がい者など、様々な人が快適に暮らすことができる環境が求められています。
障がい者が快適に生活するためにはバリアフリー環境が必要不可欠です。外出先のショッピングモール・病院・役所・公共交通機関など、様々な場所にバリアフリーが求められます。とくに身体障がい者の方は移動や施設の利用に苦労することが多いため、多くの施設・場面でバリアフリーを必要とするでしょう。また、バリアフリーと似た言葉に「ノーマライゼーション」があります。これは、健常者も障がい者も分け隔てなく権利があるという考え方です。「障害があるから」という考え方で施設や設備を検討するのではなく、「障がい者も利用しやすい」環境を整備することや、そのような商品を開発していくことを指しています。北欧ではノーマライゼーションの考え方が進んでおり、障がい者「も」利用しやすいバスなどを採用しているのです。
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、人・団体・企業・国などが協力し合い、パートナーシップを結ぶことで様々な問題解決に取り組むための目標ですSDGsの目標1~16を達成し、バランスの取れた社会を実現することがテーマとなっています。
例えば、誰もが使いやすい道具や利用しやすい施設を開発しようとしたとき、そこに健常者の意見だけでなく障がい者の意見が入ることで、使う側の目線に立った商品となることでしょう。イベントを開催する場合は、障がい者が移動しやすいルートやトイレを配置することで、誰もがストレスなく楽しめるイベントとなることでしょう。このように、多様な人々が手を取り合うことでよりよい社会が形成され、目標達成に近づくことができるのです。障がい者が社会へ参加することは、「誰一人取り残さない」ことを掲げるSDGsの達成に大きく貢献すると言えるのです。
目標達成に関わる障がい者の課題
SDGsの目標達成に対して、障がい者問題はどのように関わってくるのでしょうか。
世界的に障がい者格差が問題となっている
障がい者は障がいのない人と比較し、安く利用できて使いやすい公共交通機関の利用が困難であるとされています。費用の安い公共交通機関は、バリアフリー設備などを採用していないものが多く、障がい者は移動のために高いコストを払わなければなりません。これは、バリアフリー設備の設置にはそれだけのコストもかかります。また、そのコストを誰が負担するのかということも問題となるのです。障がい者が安価で利用できる公共交通機関の整備は、世界的な問題と言えるでしょう。
参考:公益社団法人 日本WHO協会 障がい
参考:国土交通省 バリアフリー化の必要性及び利用者負担を求めること等について
障がい者の雇用・労働に関する課題
障がい者の雇用と労働は大きな問題と言えます。障がい者は世界的に見ても就労の機会が得られず、経済的に困窮してしまう方が多いからです。日本では障がい者が雇用・勤労しやすいように「法定雇用率制度」を設けています。国は事業主に対し、従業員の43.5人のうち1人は障がい者を雇用するように定めているのです。雇用義務を守らない事業主に対しては、ハローワークより行政指導が入ります。また、法定雇用率制度では従業員100人を超える企業から「納付金」を徴収し、法定雇用率を達成している企業に対して調整金・報酬金を払うこととなっています。法定雇用率制度を採用している国は少なく、採用している国でも雇用率自体が低いのが現状。障がい者が働きやすい社会を目指すことは、世界的に大きな課題となっているのです。
参考:厚生労働省 事業主の方へ
開発途上国の障がい者問題
開発途上国と障がい者の問題は深刻です。WHOより、世界中に暮らす障がい者の80%が開発途上国に暮らしていると報告されました。経済的に困窮している人々が多い開発途上国。中でも障がい者は教育を十分に受けられず、収入を得られるような仕事に就くことができない方がほとんどです。JICA(国際協力機構)では、開発途上国の現状を調査・研究し、国際的な協力や民間事業との連携を通して、障がい者が就労できるような環境づくりやその援助を行っています。多くの障がい者が生活している開発途上国の問題解決は、障がい者とSDGsの目標達成に非常に貢献すると言えるでしょう。
参考:JICA すべての人々が恩恵を受ける世界を目指して 「障害と開発」への取り組み
日本国内でもみられる障がい者差別
日本国内でも障がい者の差別問題は存在しています。「障がい者だから」という理由で人権を侵害されるような扱いを受けたり、受けたい教育を受けられなかったりといった事例があるのです。障がい者の差別は年齢を問わず存在しています。障がいがあるという表面的な問題だけで保育園の入園を断られたり、福祉施設では不当な扱いを受け、部屋から出ることができないなど。また、ボランティアに参加したいと思っても、障がいのある方は理解が得られないなど、社会参加に対しても深刻な差別を受けています。
参考:千葉県 条約制定時に寄せられた「障害者差別に当たると思われる事例」
そもそも障がい者とはどんな状態?
そもそも、障がい者とはどんな状態で、どのような問題を抱えている方を指すのでしょうか。
体の機能に関わる「身体障がい者」
身体障がい者とは、視力や聴力に問題がある方や、手足に障がいを持つ方、心臓などの内臓に疾患を持つ方などを指す言葉です。身体の一部がうまく機能しない方や、手足を欠損している方、言語機能に障がいを持つ方など、体の機能に問題がある場合に該当します。身体障がい者は日常生活に物理的なハンデを抱える場合が多く、快適かつ安全に生活するためには、補助具やバリアフリー施設による生活の手助けを必要とする方も多くいます。街中では点字ブロックや障がい者用信号機から出るメロディ、バリアフリートイレや車いす対応型のエレベーターなど、多くの場面で身体障がい者向けの設備を見かけるでしょう。
精神や心に関わる「精神障がい者」
精神障がい者とは、統合失調症や気分障害(うつ病)などの精神疾患や、薬物依存症などを抱える方を指す言葉です。日本国内の障がい者のうち、精神障がい者に該当する方が最も多く、その数は約615万人にのぼります。なかでも気分障害・うつ病を抱える方が最も多いとされており、意欲の低下や安定しない精神状態から、社会参加や雇用を制限する重大な因子となるのです。また、自殺の背景として精神障がいを抱えているケースも非常に多く、障がい者問題のなかでも見逃せない課題と言えるでしょう。
参考:厚生労働省 精神疾患を有する総患者数の推移
参考:厚生労働省 精神障害(精神疾患)の特性
発達や能力に関わる「知的障がい者」
知的障がい者とは、大人になるまでの発達段階で知的機能に障害が発生し、社会参加や生活に支援が必要となっている方を指す言葉です。18歳以上でIQ70以下の方を軽度知的障がいとみなし、重症度によって支援や介護が必要となっていきます。知的障がいを持つ方は作業の遂行能力が低いことや理解力の低下により、教育の場や就労の制限を受けることがあるのです。また、生まれつき脳機能に障がいがあり、注意障がいや自閉症、アスペルガー症候群などに分類される「発達障がい」という種類もあります。
様々な支援を受けられる「障がい者手帳」
障がい者の生活を支援するために用意されているのが「障がい者手帳」です。障がい者手帳を持っている方は、公共の施設や交通機関でサービスを受けることが可能となります。交通機関を割引料金で利用できたり、税金の軽減、医療費の軽減などを受けることが可能です。主に「身体障がい者手帳」のことを指しますが、「療育手帳」や「精神障害者保健福祉手帳」などもあり、障がい者が生活しやすいような環境の手助けとなっています。
参考:厚生労働省 障害者手帳
障がい者問題解消のための世界の取り組み
障がい者の問題解決のために世界各国が取り組んでいることを紹介します。
ドイツの取り組み
ドイツでは、従業員が20人以上の企業に対し、全従業員の5%に該当する障がい者の雇用を求める制度を設けています。就労する障がい者本人と、雇用主に対して給付金が払われる仕組みとなっており、企業にとっても障がい者にとってもプラスとなる制度を採用しています。このような「障がい者雇用義務制度」においてドイツは上位に入る国であり、障がい者の社会参加に対して積極的な取り組みを行っていると言えるでしょう。
参考:厚生労働省 フランス及びドイツの 障害者雇用促進制度について
フランスの取り組み
フランスでは従業員20人以上の企業に対し、全従業員の6%に該当する障がい者の雇用を義務付けています。この障がい者雇用率は世界トップクラスであり、障がい者の社会参加・雇用に対して最も積極的に働きかけていると言えるでしょう。フランスは障がい者に対しての枠組みが大きく、日本に比べ多くの方が障がい者雇用の対象となっています。ただし、2014年時点での民間企業雇用率は3.3%であり、実際に障がい者が働きやすい環境となるには努力が必要と言えるかもしれません。
参考:厚生労働省 フランス及びドイツの 障害者雇用促進制度について
アメリカの取り組み
アメリカには障がい者雇用率の制度が存在しません。障がい者の雇用に対しての配慮は、「障害をもつアメリカ人法」(ADA)がその役割を担っています。ADAでは、障がい者差別によって雇用機会を奪うことを禁止しており、障がい者が利用・労働しやすいよう、施設環境を整えることを定めているものです。就労した障がい者に対し、差別的な扱いや不利益が生じないように努め、他の従業員と同様に扱うことを定めています。
日本の障がい者問題への対策
日本では障がい者雇用率制度の他にも、障がい者が生活しやすい環境をつくるための様々な制度があります。それぞれを簡単に見ていきましょう。
発達障がい者支援センターの設置
発達障がい者支援センターとは、発達障がい者(児)とその家族が豊かに生活できるよう、医療・福祉・保健や教育・労働などの関係機関と連携し、発達障がい者の指導や助言、相談などを行っている期間です。発達障がい者支援センターは全国に設置してあります。主な事業内容としては
- 相談支援
- 発達支援
- 就労支援
- 普及啓発・研修
などを行っており、発達障がいを持つ子供の教育についての悩みや、成人後の就労についての相談、発達障がい者についての理解を広めるためのパンフレット作成・講演会などが主な役割です。
また、発達障がいに関して信頼のおける情報を発信している発達障がい情報・支援センターという機関もあります。
難病相談支援センターの設置
難病相談支援センターとは、難病の患者やその家族への情報提供や助言を行う期間です。難病指定の疾患を持つ患者は、「障がい者総合支援法」の対象となります。「障がい者総合支援法」は、難病や障がいを持つ方を支援するための様々なサービスを提供する法律です。居宅介護や施設入所支援、就労支援や自立のための訓練、精神通院医療など、生活の補助から医療の提供、就労のための手助けまで受けることが可能となるのです。「障がい者総合支援法」が適用される難病の種類は増えてきており、多くの方が支援を受けられるようになっています。
参考:厚生労働省 福祉・介護障害者総合支援法が施行されました
障がい者が仕事に就きやすくするための「障がい者雇用促進法」
障がい者雇用促進法とは障がい者が職業の自立・安定化を促進するために定められた法律です。内容としては、障がい者が就労できるよう職業リハビリテーションを推進すること、事業主に対して障がい者の差別を禁止し、合理的な配慮をするよう義務付けることなどが挙げられます。長年身体障がい者のみに適応されてきましたが、2016年には発達障がい者・精神障がい者も対象となり、多くの障がい者が雇用・就労の機会と、健全で安定した職業生活を送る体制が整えられています。
障がい者就業・生活支援センターの設置
障がい者就業・生活支援センターは、障がい者の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。障がい者の就業の悩みと日常生活の悩みを一挙に請け負っているため、幅広い相談と支援を提供することが可能となっています。ハローワークや職業センター、保健所や医療機関と連携する体制を整えており、相談内容に応じて対策や支援を提供して貰えるでしょう。
障がい者トライアル雇用事業の実施
障がい者トライアル雇用とは、ハローワークなど職業安定所の紹介により事業主が障がい者を試行雇用する試みのことです。3か月間のトライアル雇用によって、事業主へ障がい者雇用についての理解を促します。障がい者がその職場で働き続けることができるかを判断して貰い、トライアル雇用後は常用雇用への移行を促します。トライアル雇用を行う事業主に対しては月4万円の奨励金(精神障がい者の場合は8万円)が支給され、制度への参加を促す体制を整えています。
障がい者も平等に生きる社会を目指そう
様々なハンデを持つ障がい者は、そのハンデによる生活の不便さだけでなく、就労できないこと、社会参加できないこと、差別や偏見の目を向けられること等、多くの不平等に晒されて生活しています。障がい者に対する理解の促進や平等・公平化は徐々に進んでいますが、世界中を見てもその差は大きいものです。誰もが平等に暮らすことができ、SDGsにおける「誰も取り残さない」社会を実現するために、障がい者が生活しやすい環境づくりへ協力していきましょう。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。