シェアリングエコノミーとは?受けられるメリットやサービス例を紹介

「シェアリングエコノミー」という言葉をご存じでしょうか?
スマートフォンの普及やインターネット通信の高速化が進んだ現代において、シェリングエコノミーは新しいビジネスモデルや便利なサービスとして注目されています。
また、資源を節約し環境維持や地域活性にもつながるとして、SDGsの観点からも注目をあつめているのです。
今回は、シェアリングエコノミーとはなにか、どのようなサービスを受けられるのかを解説していきます。
消費者としてのメリットはもちろんのこと、これからシェアリングエコノミーでのビジネスを行う方にも有益な情報をまとめておりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
シェアリングエコノミーとは
まずはじめに、シェアリングエコノミーとはどのようなサービスなのか詳しく解説していきます。
個人の所有物やスキルを提供・共有するサービス
シェアリングエコノミーとは、個人が所有している遊休資産(モノ・場所・スキルなどのこと)を他人に共有するサービスのことです。
貸主は所有している資産を活用して収入を得ることができ、借主は所有せずともサービスを利用できるというメリットがあります。
シェアリングエコノミーを提供するサービスは「シェアサービス」とも呼ばれ、メジャーなシェアサービスは浸透し活用され始めています。
シェアサービスはインターネットを介して取引されるため、首都や大都市に居なくてもサービスを活用できる点が魅力であり、シェアサービスを通した地域活性が期待されています。
インターネットとスマートフォンにより可能となった
ここ数年でシェアリングエコノミー市場が拡大している背景には、光回線や5G回線などの通信技術の向上とスマートフォンの普及があります。
これまでサービスを利用するために窓口や電話で行っていた取引を、インターネットを使用することにより、WEBページを介してどこからでも行えるようになったことが大きな要因です。
また、WEBを介して取引を行うことで人件費の削減にも繋がり、サービスの利用料を抑えられていることも需要の拡大に繋がっていると言えます。
資産の貸し借りには、提供する側と利用する側の信頼関係が担保されなければなりません。
シェアリングエコノミーにおいてはソーシャルメディアの評価システムや口コミなどがこの役割を担っており、提供側がサービスの安全性・信頼性の評価を公表することで利用者が安心してサービスを選択できるようになっています。
「シェアリングエコノミー認証制度」と呼ばれるこの制度も、インターネットとスマートフォンの普及によって成り立っているのです。
サービスは5つのジャンルに分類されている
シェアリングエコノミーで提供されるサービスは、大きく分けて5つに分類されます。
- 空間のシェア
- モノのシェア
- スキルのシェア
- 移動のシェア
- お金のシェア
空いている住居や土地、使用していない車、一度しか使わなかったモノなど、シェアリングエコノミーに該当する資産やスキルはさまざまです。
現在はこれらの5分野となっていますが、今後業界が発展していくことによって、シェアできる項目はさらに増えていく可能性があります。
SDGsへ貢献するサービスとして注目され始めている
シェアリングエコノミーの価値はビジネスだけには留まらず、世界的な目標であるSDGsの達成にも貢献すると注目され始めています。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会と情報通信総合研究所(ICR)が2020年に実施した調査より、シェアリングエコノミーはSDGsへ貢献する効果があると発表されました。
移動手段や専門的なスキルの提供により、医療や教育、働き方や産業などの問題を解決することができ、それぞれの問題に対応したSDGs目標達成へ繋がっています。
SDGsへの貢献効果は以下の通りです。
SDGsへ貢献するシェアリングエコノミーの効果の例 | 対応するSDGs |
医療、介護サービスが受けられる人の増加(医療・介護スキル) | 目標3.すべての人に健康と福祉を |
ニーズに合う教育を受けられる人の増加(教育スキル) | 目標4.質の高い教育をみんなに |
労働参加できる女性の増加(育児・家事スキル、クラウドソーシング) | 目標5.ジェンダー平等を実現しよう |
・失業を回避できる人の増加(全カテゴリ) ・働きがいを感じる人の増加(民泊、スキル全般) |
目標8.働き買いも経済成長も |
・観光振興(民泊、体験スキル)、企業支援 ・関係人口増加(専門スキル) |
目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
・移動手段の確保・移動費用の減少(移動全般) ・買い物のための移動の負担減少(買い物代行) ・都市周辺部と農村部の交流拡大(全カテゴリ) |
目標11.住み続けられる街づくりを |
・新品を購入する人の減少、ゴミの減少、ゴミ処理に伴うCO2排出の減少(スペース、モノ、移動) ・エネルギー消費の減少(サイクルシェア、相乗り) |
目標12.つくる責任つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を |
引用:シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査 SDGsへの貢献、幸福度、社会とのつながり
シェアリングエコノミーのサービス例
シェアリングエコノミーでは多種多様な企業がサービスを展開しています。
ここではジャンル毎のサービス事例を簡潔に紹介します。
「空間」をシェアするサービス
【Airbnb】
Airbnb(エアビーアンドビー)は、物件を貸したい人(ホスト)と借りたい人(ゲスト)をつなげるWEBサービスです。
ホストの所有している民家やアパートをAirbnbサイトに掲載し、ゲストが予約をすることで成り立つビジネスとなっています。
ホテルよりも安く利用できる点や、一軒家を借りて大人数で利用できる点が魅力であり、日本での利用者も年々増加しています。
【akippa】
akippa(あきっぱ)は、個人宅やマンション、事業所などの空いているスペースを持ったオーナーが、駐車場を利用したいユーザーに場所を提供するためのサービスです。
外出先やイベント会場など、駐車場がない施設やコインパーキングの空きがない場合に重宝するサービスとなっています。
オンライン上で予約・決済することで簡単に取引ができる点が魅力です。駐車料金もコインパーキングより安い場合が多く、駐車時間も15分単位で予約可能と、ユーザーにとって豊富なメリットがあります。
「モノ」をシェアするサービス
【airRoom】
airRoomは人気ブランドの家具・家電をレンタルやサブスクで利用できるサービスです。
ソファーやテーブル、キッチン家電などはもちろん、ベビー用品やカーペット、ペット用品などもレンタルできます。
商品の配送・回収は自宅に受け取りや集配が可能であり、WEB上で商品を選択し決済するだけで完結できる手軽さが魅力と言えます。
引っ越しの多い転勤族の方や、1人暮らしを始めたてで家具を揃えるのが大変な方にぴったりのレンタルサービスであり、人気ブランドの家具をお試しで使ってみたい方にもおすすめです。
【minne】
minne(ミンネ)はハンドメイドの家具や服、アクセサリーや食べ物などを購入できるWEBサービスであり、個人の売り手と買い手を繋げるシェアサービスの一つです。
作り手はminneに商品を掲載し、買い手に購入して貰うことで収益を得られます。
minneに掲載される商品は、量販店や通販サイトで買えないようなハンドメイド商品が多く、個性のある手作り商品を求める方におすすめのサービスです。
【Carlmon Share Net】
Carlmon Share Net(カールモンシェアネット)とは、カーシェアを気軽に始めたい方のためのサービスです。
使っていない車を有効活用したくても、カーシェア事業を始めるには準備やサービス内容の検討、事業を開始するためのコストなどがかかり、簡単には始められません。
カーモンシェアネットは、カーシェアを始めたい方のためにシステムや通信デバイスの提供、料金プランの提案や予約スケジュール管理などを代行するサービスです。
車と駐車場さえ所有していれば誰でもカーシェア事業を始められるため、シェアサービスを始めてみたい方にとってうってつけのサービスと言えます。
「移動」をシェアするサービス
【Uber】
Uber(ウーバー)はアプリに登録しているドライバーへ配車を依頼し、目的地へ移動できるサービスです。
目的地をアプリへ入力すると、付近で待機しているドライバーへ依頼が届き、合流して目的地へ載せてもらうことができます。
Uberでは登録されているドライバーの車が保険の対象となり、万が一の事故の際も保障されるようになっています。
Uber社が展開しているUberEats(ウーバーイーツ)も、食べ物の移動のシェアとしてメジャーなサービスです。
【モビマル】
モビマルは、キッチンカーやアパレルカーなど移動販売を行う方と、移動販売に来て欲しい方をつなぐサービスです。
キッチンカーを出店したい方は出店可能な場所やイベントを検索でき、キッチンカーを呼びたい方は出典を希望している方へコンタクトを取ることができます。
キッチンカーも出店場所も幅広い種類が登録されており、場所やカテゴリ毎に検索できるようになっているのが便利なポイントです。
また、キッチンカーの購入・売却・レンタルも取り扱っており、それらの申し込みもWEBで行えるようになっています。
「スキル」をシェアするサービス
【ココナラ】
ココナラはビジネスからプライベートまで、個々のスキルを売り買いできる日本最大規模のスキルマーケットです。
イラストや動画・音楽制作、WEBデザインやプログラミングなど、450種類以上のカテゴリでスキルの売り買いができます。
出品者は自分の持つスキルに値段を提示し、購入者は出品者に見積を依頼したり、自分の求めるスキルを募集したりできます。
【CrowdWorks】
CrowdWorks(クラウドワークス)は、国内シェア・取引額と登録ワーカー数NO.1のクラウドソーシングサービスです。
クラウドソーシングとは、企業や個人事業主が不特定多数の人に業務を発注する業務形態のことを指します。
CrowdWorksでは78万もの事業主と480万人のワーカーが登録しており、アプリ開発や記事の執筆、声優業など250種類以上の仕事が取引されています。
報酬の支払いや取引の公平性などをサイト側が取り仕切っているため、発注する方も受注する方も安心して仕事できるサービスとなっています。
「お金」をシェアするサービス
【CAMPFIRE】
CAMPFIREは、誰でも挑戦できる国内最大級のクラウドファンディングサイトです。
クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から少額ずつ資金を調達することを意味します。
「店を開きたい」や、「こんなモノを作りたい」というアイデアを掲載し、支援という形で資金を募ります。支援した方へはリターンというお礼が用意されており、プロジェクトの商品を大幅な割引価格で購入できるなどのメリットがあります。
これまでさまざまなプロジェクトに支援が集まり、商品化や起業が実現されてきました。
【イークラウド】
イークラウドはベンチャー企業への投資ができる、株式投資型のクラウドファンディングです。
投資型クラウドファンディングとは、非上場株式の発行により、少額ずつ投資を募るシステムを意味します。
事業者は最短1か月で資金を調達できるほか、大手証券グループとサイトが提携しているため安心して資金を募ることが可能です。
投資する側は場合によって数十倍のリターンを得られるほか、税制の優遇を受けられることもあります。
サイトはシェアリングエコノミーに対しても積極的であり、投資を通して地域活性化へ取り組んでいます。
シェアリングエコノミーのメリット4選
シェアリングエコノミーはサービスを提供する側と利用する側、仲介する企業にメリットをもたらします。
具体的にどのようなメリットがあるのかみていきましょう。
消費者は便利なサービスを低価格で利用できる
シェアリングエコノミーで提供されるサービスは、提供者の遊休資産や個々のスキルです。
個人が所有している物件やモノ、スキルなどを販売・貸与するため、メーカーや企業が提供する商品よりも相場が安い特徴があります。
車や家など、生活に必要ではあるものの購入すると高額な費用がかかるモノも、シェアリングエコノミーでは継続的に低価格で利用することができるため、生活費用を抑えたい方にうってつけと言えます。
ワークショップやイベントを主催する方にとっても、小規模から大規模の会場まで格安で利用できるため大きなメリットと言えるでしょう。
提供者はスキルや資産を有効活用し収益を得られる
資産を提供する側に対してのメリットは、持て余している有休資産を活用し収益を得られることです。
使っていない車や土地など、ただ眠らせていた資産を活用して収入を得られることが利点です。
車のレンタルや住宅の貸与であれば、自分の時間を削ることもないため、自分の仕事ややりたいことを行っている間に収益が発生します。
また、時間やスキルの共有ができる点も大きなメリットです。
趣味で身につけたモノづくりのスキルを仕事にしたり、長距離運転をする機会に移動の依頼を受けたりするなど、自分の生活に付加価値を与えられる点が魅力となっています。
ビジネスとして企業に利益をもたらす
シェアリングエコノミーのサービス提供には、提供者と利用者が集うためのプラットフォームがかかせません。
プラットフォームには提供者と利用者のマッチングをスムーズにするとともに、仲介業者が入ることでサービスの質と安全性を担保する効果があるためです。
プラットフォームを利用するための登録料や、サービスの取引額の数%を仲介手数料として受け取ることで、運営する企業に利益が発生します。
プラットフォームのシステムを構築した後は、取引そのものは提供者と利用者の間で行われるため、人件費を削減し低コストで運営することができるのです。
全てWEB上で完結できるため、支店を構える必要がないことも費用の削減に繋がります。
資源を有効活用し環境維持につながる
シェアリングエコノミーがもたらすメリットはお金だけではありません。
資産の共有はエネルギーや資源の消費を減らし、環境問題にも貢献します。
例えば新築住宅を建設する際、クレーンやショベル系掘削機などに燃料を使用し大量のCO2が発生します。加えて、建設時に発生した廃棄物を処理する際も大量のCO2が発生しているのです。
住宅のシェアにより、賃貸住宅や新築物件の建設機会を減らすことで、CO2排出量を大幅に減らすことが可能となります。
また、使わなくなったモノや持て余している資源をシェアすることもCO2削減に貢献します。
リユースを推進することで、新品を作成する際のエネルギー消費と廃棄に伴うCO2排出を削減することができます。
このようなスペースのシェアとモノのシェアが進んだ場合、2020年〜2030年の間に445万t-CO2の削減が可能になると推測されています。
参考:シェアリングエコノミー関連調査 2021年度調査結果 (SDGsへの貢献効果)
シェアリングエコノミーのデメリット3選
メリットが大きいシェアリングエコノミーですが、まだまだ発展途中のビジネスであるため、注意しなければならない点も存在します。
どのような点に注意すべきかみていきましょう。
法律の整備が万全ではない
市場が拡大してきているシェアリングエコノミーですが、まだまだ新しいビジネスであるために法整備が十分ではなく、サービス内容によっては法律に触れてしまう事業もあるのが現状です。
UberやAirbnbのような有名なサービスでさえ、日本国内ではグレーゾーンと言われてきました。
シェアリングエコノミーを最大限に活用するために、早急な法整備が求められています。
サービスの安全性や保険が不十分
ビジネスモデルとして成長段階であるため、サービスを活用する方を守るための制度が充実していない点もデメリットと言えます。
シェアリングエコノミーは事業者や企業がサービスを提供するのではなく、個人と個人が取引を行うサービスであるため、利用中の安全性が確保されない場合もあるのです。
車の保険のような歴史の長いサービスとは違い、移動サービスを利用中の事故などの際にユーザーを保障するサービスが充実していないため、利用中の安全性が担保されない可能性があります。
消費者と提供者のトラブルが生じる可能性がある
個人サービスであるがゆえに、品質が一定でないことや、レンタル前後の商品の状態の変化などから、提供者と消費者の間でトラブルが生じる場合もあります。
こうしたトラブルを防ぐためにプラットフォームがルールを設けていることがほとんどですが、プラットフォーム側の努力だけでは限界があります。
そのため、提供者と消費者にも指針を設け、利用に際したガイドラインが作成されています。
参考:シェアリングエコノミーにおける消費者の安心安全に向けて
シェアリングエコノミーの市場規模
シェアリングエコノミーの市場規模は徐々に拡大しており、その成長スピードも急激に伸びていくと予想されています。
市場規模と今後の見通しについて解説します。
市場規模は拡大し続けている
国内のシェアリングエコノミー市場は徐々に拡大しており、2018年の1兆8,874億円から2022年には2兆6,158億円に成長しました。
この背景には徐々にシェアリングエコノミーの認知度が上がってきていることが考えられます。
アンケート調査によると、シェアリングエコノミーのサービスを「知っている」と回答した方は2018年に42.4%だったのに対し、2021年には49.9%へ増加しています。
参入する企業の増加や、新型コロナウイルスの流行をきっかけにサービス提供者となる方が増加したことなども要因として考えられ、今後も規模は拡大していくものと考えられています。
引用:シェアリングエコノミー関連調査 2022年度調査結果 (市場規模)
引用:国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2021
2032年には15兆円規模に成長する見通し
今後はさらなる認知度の増加やシェアリングサービスに対するイメージの改善、法整備や保障サービスの充実などにより、急激に市場規模が拡大していく見通しが立てられています。
現在のシェアサービス提供者の収入や支出、インターネット利用人口やシェアリングサービスへの利用意向などから算出し、2032年には15兆1,165億円に拡大すると予測されています。
引用:シェアリングエコノミー関連調査 2022年度調査結果 (市場規模)
地域課題解決に貢献する「シェアリングシティ」
ビジネスモデルとして注目を集めているシェアリングサービスですが、活用することで地域問題の解決にも期待がかかっています。
地域問題に取り組む都市を「シェアリングシティ」と呼び、この動きは世界中で始まっています。
どのような取り組みか見ていきましょう。
シェアによって各自治体の課題を解決する
日本においてシェアリングシティが必要となる要因としては、地方自治体の少子高齢化や人口減少、財政難などが挙げられます。
地方での人口減少は産業や経済へ悪影響を及ぼし、さらなる人口減少や少子高齢化を招く悪循環が生まれてしまいます。
経済の悪化から、交通網やライフラインなどインフラの整備もままならなくなる可能性が懸念されており、地方都市へ住み続ける方にとって大きな課題となるのです。
シェアリングシティは、こうした地方都市の課題をシェアサービスを用いて解決するという試みであり、公共のサービスではまかなえないインフラをシェアで補完することを目的としています。
具体的な解決策として、公共交通機関の不足をカーシェア・ライドシェアなどを活用して解決することや、民泊や地域観光の推進による人口増加などが提案されています。
2023年6月時点で131の自治体がシェアリングシティに参加しており、推進パートナーとして協力する企業が取り組みを後押ししています。
地域課題・目的 | シェアする資源 | |
防災 | 災害発生時に必要な物資、場所、人材の確保 | 支援物、家屋、移動トイレ、人材シェア |
観光 | 地域の魅力の発信、交流の活発化 | 体験サービス、民泊、駐車場シェア |
関係人口 | 地域内外のコミュニティの再生、活性、移住、定住 | 多拠点居住、テレワーク |
SDGs | SDGs17の項目のうち過半数の項目の実現に貢献 | モノのシェア、スキルシェア、スペースシェア、モビリティ |
遊休資産活用 | 工区用施設の有効活用や地域内の民間施設活用により財政負担を軽減 | スペースシェア |
モビリティ | 地域内の二次交通など地域内の円滑な移動手段の実現 公共交通空白地域の移動手段の確保、買い物支援など | カーシェア、相乗り |
子育て | あらゆる世代の人たちの助け合いによる子育てしやすいまちづくり | 家事シェア、育児シェア |
働き方 | 場所と時間に囚われない自由度の高い働き方の実現 | クラウドソーシング、人材シェア |
参考:一般社団法人シェアリングエコノミー協会 シェアリングシティ推進協議会
参考:国土交通省 人口減少が地方のまち・生活に与える影響
シェアリングシティの海外事例
シェアリングシティは世界中でも取り組まれています。
韓国のソウルでは政府が主導してシェアリングシティに取り組んでおり、インフラ整備やシェアサービスのスタートアップ企業へ支援を行っています。
交通渋滞などさまざまな都市問題を抱えていたソウルですが、カーシェアの普及や公共資産の共有化を進めることにより問題を解決し、都市そのものにシェアリングエコノミーが定着しているのです。
また、オランダのアムステルダムはシェア文化の進んでいる都市として有名です。
さまざまな機関や団体が「アンバサダー」として協力しており、学校や企業などを支援する体制をシェアリングエコノミーを通して作り上げています。
シェアリングエコノミーの今後の課題
シェアリングエコノミーが今後さらに発展し、私たちの生活に取り入れられていくには、クリアしなければならないいくつかの課題があります。
法律やルールの強化が求められる
デメリットとして挙げたように、シェアリングエコノミーは発展途上のビジネスであるため、法整備や利用に際したルールが確立されていません。
UberのようなライドシェアサービスやAirbnbのような民泊サービスも、これまではグレーゾーンとされ避けられてきました。
2018年の民泊新法の導入や、ライドシェアに関する法律の緩和により合法的にサービスを提供できるようになっていますが、さまざまなサービスを展開するには法律が行き届いていないのが現状です。
地域活性や環境問題への貢献を考えると、なるべく早く法整備が完了することが望ましいと言えます。
本人確認による安全性と信頼性の向上
個人間でサービス取引が行われるシェアサービスでは、提供者と利用者の間にトラブルが生じる可能性も捨てきれません。
また、提供者は企業に属する従業員ではなくあくまで一個人であるため、サービスの質が一定でないこともあります。
こうした問題を解決するために、プラットフォーム側で規約を作成することや、シェアサービス全体でルールを補強し、個人間のトラブルやサービスへの不満が生まれにくい環境をつくることが重要です。
身分証明証を使用した本人確認や、サービス提供者への評価・レビューを行うことにより、安全性と信頼性、サービスの質の一定化を図ることが求められます。
保険・補償制度の充実化
大手保険メーカーがシェアリングサービス向けの保険・補償サービスを提供し始めていますが、こうした保険も選択肢が少なく、サービスの強化が必要と言えます。
提供者・利用者・プラットフォームそれぞれに向けた保険や補償サービスが充実することで、シェアサービスへ参加する事業の増加と、シェアサービスを活用するユーザー数の増加につながり、シェアリングエコノミーの普及に繋がるでしょう。
シェアリングエコノミーで新しい社会へ挑戦しよう
シェアリングエコノミーは提供する側にも利用する側にもメリットのある新しいビジネスです。
経済的な効果がありながら、環境維持や地域活性などSDGsにも貢献する効果があり、現在世界中で取り組みが始まっています。
これから私たちの生活に欠かせない存在となるであろうシェアリングエコノミーに、まずは身近なサービスを利用することから挑戦してみるのはいかがでしょうか。

身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。