家庭でできる地産地消でSDGsに取り組もう!すぐに始められる身近な例をご紹介
こんにちは!サステナブルライターのTamamiです。
様々な場所で耳にするようになったSDGs。2030年までに全ての国で達成すべき目標として国連サミットで採決され、多くの企業や自治体などがSDGsに取り組んでいるのを見かけます。しかしSDGs達成には、組織的な取り組みだけでなく、私たち個人の取り組みが大切になります。
そこで今回は、家庭ですぐ始められるSDGsの身近な例として地産地消や取り組むメリットを分かりやすくご紹介します。
目次
地産地消は個人で簡単に始められるSDGs
家庭でできるSDGsの取り組みはたくさんありますが、誰にでもすぐに行動できることとして「地産地消」があります。地産地消とは、その土地で生産された農産物等をその土地で消費することを指し、誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。
地産地消に取り組むことの重要性や大切なポイント、私たちが得られるメリットについてお伝えします。
フードマイレージを考える
「フードマイレージ」とは、食料の輸送量(重さ)に輸送距離を掛け合わせた指標のことで、SDGsや地産地消に深く関わっています。
食料の輸送量×輸送距離=フードマイレージ
この数値が高いほど輸送にかかるエネルギーを使うので、トラックや飛行機などの輸送にかかる燃料が必要となり、地球温暖化につながる温室効果ガスの排出が多くなります。
そのため、できるだけ近距離での地産地消に取り組むことで、フードマイレージの数値を下げ、温室効果ガスを減らすことにつながります。
農林水産省,2020/9/30,「フード・マイレージ」について
フードマイレージについて、詳しくはこちら▼
フードマイレージとは?日本の現状と減らすための取り組みをわかりやすく解説!
食料自給率は私たちにとって重要な課題
誰もが耳にしたことがある「食料自給率」とは、私たちの国で消費している食料のうち、国内で生産された割合のことで、どのくらい国内産で食料をまかなえているのかを知ることができます。
以下、他国と日本の食料自給率(カロリーベース、令和3年度時点)を比べてみましょう。
- カナダ:266%
- アメリカ:132%
- ドイツ:86%
- イギリス:65%
- スイス:51%
- 日本:38%
日本は先進国の中で最も低い水準となっており、半分以上を輸入に頼っていることが分かります。
食料自給率が低いと、私たちが消費する食べ物を他国からの輸入に頼っていることになり、異常気象等の問題があった場合に食料を十分に輸入できなくなるといったリスクが考えられます。
さらに、食生活の変化によって海外の食料に頼ることが増えると、米といった国産食料の消費が減り、生産者が減少するような悪循環もあります。
一人一人が地産地消に取り組むことで、こういった食料問題にアプローチすることができ、SDGsにも貢献することができます。
地産地消に取り組むメリット
前述したとおり、地産地消に取り組むことで、フードマイレージの数値が下がり温室効果ガスを減らすことができたり、食料自給率を上げて食べ物の安定供給や生産者を育てることにつながったりと、地球環境や食の未来を守ることに関わります。
さらに、近くで生産された農産物等は、輸送コストがかかっていないことからリーズナブルに購入できることがあったり、より新鮮で栄養価の高い状態で楽しむことができたりと、私たち消費者にとってもメリットがあります。
また、「身土不二」という言葉があるように、その土地で採れた季節のものを食べることは、心身の健康や環境保全にもつながるといわれています。
そして、売上資金がその地域内で循環することになるので、地元経済が活発になり、そこに住む私たちもメリットを受けやすくなります。
SDGsとの関連としては、地産地消は以下の目標にアプローチしていると言えます。
- 2:飢餓をゼロに
- 11:住み続けられるまちづくりを
- 12:つくる責任、つかう責任
- 13:気候変動に具体的な対策を
- 14:海の豊かさを守ろう
- 15:陸の豊かさも守ろう
私が地産地消に取り組み始めたきっかけ
私が自然食品スーパーで働いていた時、地元農家が大切に育てた野菜が売れずに廃棄することが多く、そういった理由から農業を辞めていくケースを見たことがきっかけです。
その傍らで外国産の野菜は多く売れており、それは決して悪いことではありませんが、いつの間にか日本の農家さんが減って、海外輸入に頼り切ってしまう状況に危機感を感じました。
また、お米の消費も1962年頃をピークに年々減少しており、現在では半分以下の消費量となっていますが、お米は日本の食生活や文化、防災の観点からも重要であり、途切れさせたくないと思いました。
農林水産省,2022, 米の1人当たりの消費量はどのくらいですか。
今すぐ家庭でできる地産地消の身近な例をご紹介
地産地消のメリットや重要さをお伝えしましたが、実際にどんな行動ができるのか、個人で簡単にすぐできる身近な例をご紹介します。
食事は毎日のことなので、誰もが頻繁にスーパー等で食料を買い出しするかと思いますが、一人一人の買い物の影響は意外にも大きいものです。
毎日の買い物で意識できることや、いつもの料理に使う食材を変えてみる、外食する時の選択肢を増やすなど、簡単にできることが多くあります。
SDGsに関連する地産地消の取り組みとして参考にしてみてください。
普段の買い物での商品の選び方
スーパーへ買い物に行くと、地元野菜の売り場があるのを多く見かけるようになりました。近場で育った採れたて新鮮な農畜産物が並んでおり、こういった食材を選ぶことは地産地消の身近な例の一つです。
スーパーの産直コーナーで購入したスモモ。フレッシュでみずみずしく美味しい!
生産者から直送で農産物等が届くので、普段のスーパーでは出回らないような少量生産された珍しい野菜や、手作りの加工品などが購入できることもあります。
顔写真とともに生産者の紹介がされていることもあり、安心して商品を買うことができるのも魅力。
他にも、できるだけ国産の商品を選ぶようにすることも地産地消に当てはまります。
旬にしか出回らない収穫したばかりの生にんにくをゲット!玄米パスタを使ってトマトにんにくパスタを作りました。
外国産の多い小麦粉の代わりに米粉を使ってみる
料理やお菓子作りの際に使うことが多い小麦粉。国産の小麦粉も増えてきていますが、国内で消費されるほとんどが輸入によってまかなわれています。
ここ最近は、小麦アレルギーや健康志向の高まりから、小麦粉の代わりにグルテンフリーの米粉を代用した商品やレシピが多く出回るようになりました。
家庭の食卓で簡単にできる身近な例として、米粉を唐揚げや磯辺揚げなどの衣に使ったり、あんかけのとろみ付けにしたり、幅広く料理に活用することができます。
お菓子作りでも小麦粉の代わりに米粉を使うことが可能で、小麦粉使用の場合に比べ、少しだけ米の風味を感じますが、ほとんど癖が無く美味しいです。
米粉で作ったクッキー。サクッと食感が良く、ほんのり米の風味を感じて美味しいです。
米粉を使ったパンや麺類などの加工品も、スーパーでよく並ぶようになりました。
米粉パンはトースターで温めなおしていただくと、サクッともっちりして美味しく、腹持ちが良く感じます。
お好みの米粉加工品を探してみるのも楽しいですね。
米粉パンで作ったフレンチトースト。卵液に浸すと、ほとんど普通のパンと味が変わらずいただけます。
外食のお店選びの選択肢に地産地消を取り入れる
外食時のお店選びの際に、地産地消を取り入れた飲食店を選ぶという選択肢も、個人でできる身近な例の一つです。
各県や地域によっては、地産地消に取り組んでいる飲食店を認定している取り組みがあり、店舗に貼られたロゴマーク等で確認することができます。自治体の認定が無くても、店のコンセプトとして地産地消を取り入れている場合もあります。
千葉市,2023/4/17,千葉市地産地消推進店(千葉市つくたべ推進店)登録制度
また、その地域の伝統的な郷土料理が食べられる飲食店を選ぶという選択も、地産地消の取り組みと言えます。郷土料理は地元で採れる食材を使うことが多く、伝統文化を守ることにもなり、SDGsや地産地消につながります。
国産の天草を使った寒天やあんこが詰まったあんみつ。旬のイチゴがたっぷりのっています。
地元の産直やファーマーズマーケットへ行ってみる
それぞれの地域には、地元生産者から直接卸された食材や加工品を販売する産直市場があることが多く、こういった場所で買い物することも地産地消の身近な例の一つです。
都内近郊では、特に土日祝日にファーマーズマーケットが開催されることがあり、生産者が消費者に農産物等を直接販売するので、安心して購入することができます。
地元で採れた旬の野菜が並ぶファーマーズマーケットにて。とてもフレッシュ!
ファーマーズマーケットでは生産者と直接話せる機会にもなるので、美味しい野菜の食べ方を教えてもらったり、スーパーでは出会えないような珍しい食材を発見できたり、学びながら楽しい体験ができます。食料に関心を持つことも地産地消やSDGsには大切なことです。
固定種である江戸東京野菜を使ったグリーンスムージーをファーマーズマーケットにて購入。癖が無くスッキリしています。
地産地消に取り組むときのポイント
SDGsとして地産地消に取り組む時、家庭で楽しみながら続けていくのがおすすめです。
SDGsに貢献しなければと、義務的にとらわれてしまうと楽しくなくなってしまい続かないので、心身の余裕がある時に意識してみる、くらいの気持ちでSDGsを取り入れましょう。
今回は普段の食料としての地産地消をご紹介しましたが、モノとして選ぶ地産地消もあります。
伝統工芸品を選ぶことも地産地消
各地域には、昔から代々伝わる伝統工芸品があり、織物や陶磁器、文具など様々なものが存在しています。
伝統工芸品は普段の日常生活で使われるものであり、その土地の歴史や文化を知ることができる上、環境に配慮された方法で手作りされることも多いです。
あんころ餅を乗せた有田焼のお皿。生産者によってお皿の趣が変わるのが面白いです。
こういった伝統工芸品を購入して大事に使うことは、地産地消の身近な例でもあり、SDGs12の「つくる責任つかう責任」にもつながります。
地産地消は個人ですぐ始められるSDGs!ポイントは3つ
今回ご紹介した家庭で簡単に取り入れられる地産地消として、以下3つのポイントでまとめました。
ポイント① 地産地消のメリットは、新鮮・美味しい食材を食べて日本の食の未来を守る
ポイント② 普段の買い物や外食で地元産に着目し、米粉を使ってみよう
ポイント③ 無理せず楽しく続けよう。伝統工芸品も地産地消!
SDGsの取り組みとして、地産地消はフードマイレージや食料自給率の観点からも重要なことであり、家庭ですぐに取り入れやすい身近な例でもあるとお伝えしました。
地産地消は普段の買い物でも意識しやすく、米粉を代用するといった工夫も可能で、外食のお店選びにも活用することができます。
地産地消に取り組むことは、私たちが生まれ住む日本の歴史や伝統文化を知ることでもあるので、楽しみながら続けてみてくださいね。
環境教育やサステナブルを推進するオフィスや自然食品店での経験を経て、現在は薬膳やサステナブル、日本の伝統文化などについて情報発信。
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