絶対的貧困とは?解決方法と私たちにもできること【SDGsの目標1 貧困をなくそう】

絶対的貧困とは?解決方法と私たちにもできること【SDGsの目標1 貧困をなくそう】

2023.06.16(最終更新日:2024.06.24)
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新聞やテレビなど、さまざまなメディアで取り上げられているSDGs(持続可能な開発目標)。中でも貧困問題については目にする機会が多いのではないでしょうか?それは、貧困問題がSDGsの1つめの目標に掲げられ、他の目標とも密接に関係しているからです。

この記事では、貧困問題の中でも特に深刻である絶対的貧困について解説します。「絶対的貧困はなぜ起こるのか?」「どうすれば解決するのか?」といった疑問の答えから、日ごろの生活の中で私たちができる取り組みについてまで詳しく説明していきます。

目次

絶対的貧困とは、人間らしい暮らしが送れず生命の維持さえ難しい状態

絶対的貧困を解決するためには、絶対的貧困自体を知らなければいけません。
絶対的貧困であると言える定義は何なのか、絶対的貧困とは具体的にどんな状態なのか。また、なぜ絶対的貧困の解決がSDGsの目標に定められているのか。まずは絶対的貧困を正しく理解しましょう。

絶対的貧困の定義は「1日に2.15ドル未満の生活」

では、絶対的貧困の定義とはどのようなものなのでしょうか。人間として最低必要条件の生活水準が満たされていない状態を指し、世界銀行が定めた「1日に2.15ドル未満の生活」が絶対的貧困の定義とされています。この基準は国際貧困ラインとも呼ばれ、世界情勢を基に設定されています。2005年に1.25ドルだった基準が2015年には1.9ドルに引き上げられ、2022年9月に現在の2.15ドルに設定されました。

「1日に2.15ドル未満」で生きて行かなければならない人が、絶対的貧困であると言えるのです。

参照:世界銀行「世界的な開発データへの無料かつオープンなアクセス」

絶対的貧困と対をなす定義として、相対的貧困があります。
絶対的貧困が国や地域によって具体的な数値が変わるものではないのとは違い、相対的貧困は国や地域によって数値が変動します。具体的な定義は「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態」ですが、簡単に言うと国や地域の大多数よりも貧しい状態のことです。
相対的な指標であるため、国や地域の豊かさに関係なく、日本やアメリカなどの先進国でも一定の割合で存在します。

絶対的貧困を簡潔に表現すると「生命を維持するのが困難な状態」

絶対的貧困の定義がわかっても、実際にどんな暮らしなのかピンと来る人は少ないのではないでしょうか。2.15ドルを2023年6月1日時点のレートで換算すると約300円になります。1ヶ月換算で約9000円、1人当たりこの金額で住居費、光熱費、食費、被服費、医療費、教育費など、生きて行くための出費全てを賄わなくてはならないのです。

もっと具体的に言うと、子どもがゴミを漁って少しでもお金に換えられそうな物を探したり、インフラが整備されていないため水を汲みに遠くまで何往復もしなくてはならないような生活です。
しかもその水も浄水されたきれいな水ではなく、ゴミや虫が混じった泥水である場合がほとんど。ただでさえ衛生環境が悪い上、こんな水を飲まなければならないので病気や感染症に罹るのは当然です。絶対的貧困の環境で生きる子どもの多くが、下痢や嘔吐によって亡くなっています。

そこまでしなくては生命を維持するのが困難な状態が絶対的貧困です。

SDGsの目標1は「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」こと

SDGsでは「あらゆる場所のあらゆる貧困を終わらせる」ことを目標に掲げていますが、絶対的貧困を具体的にイメージする事で、この問題の深刻さが理解できたのではないでしょうか。

貧困問題とは何か1つを解決すれば無くなるものではなく、SDGsの他の目標を解決して行くことによって解消される問題です。
そして「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」ことは、SDGsの他の目標の解決にも繋がる重要な目標の1つです。

SDGsについて語られるとき、「2030アジェンダ」という言葉を聞いたことはないでしょうか?正しくは「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と言い、2015年にニューヨークの国連本部において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。
SDGsの根幹となる文書なので、SDGsに興味があるなら1度目を通しておくことをおすすめします。
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(外務省仮訳)

絶対的貧困は世界人口の1割近い6億8500万人にものぼる

絶対的貧困層が住む、土壁とトタンでつぎはぎされた住居の間を一輪車を押しながら坂を上る男性の後ろ姿
次に知っておきたいのが絶対的貧困の現状です。どの地域のどのくらいの人々が絶対的貧困に陥っているのか、その推移はどうなっているのかについて見ていきましょう。
また、新型コロナウイルスによるパンデミックが絶対的貧困に与えた影響についても、データを基に解説します。

絶対的貧困の60%がサハラ以南のアフリカに集中

1990年から2015年にかけて、途上国の絶対的貧困率は47%から14%にまで減少しました。一方で、サハラ以南のアフリカの貧困率は35.2%と依然として高く、2019年には絶対的貧困に陥っている人のほとんどが、サハラ以南のアフリカと南アジアに暮らしています。特にサハラ以南のアフリカには絶対的貧困に苦しむ人の60%が集中していて、この地域に暮らす人々がいかに厳しい生活を余儀なくされているかが見て取れます。

参照:世界銀行による2023年3月の世界の貧困に関する最新情報:パンデミックにおける貧困推定の課題

2015年に減少傾向も、コロナ禍を経て再び増加傾向に

新型コロナウイルスが絶対的貧困に与えた影響の大きさも見逃すことはできません。日本やアメリカを始め、医療が充実し経済的にも豊かな先進国でさえ、人的にも経済的にも甚大な損害があったことは記憶に新しいと思います。このことからも、医療が未発達で国が国民を支える力のない途上国でどれほどの損害があったかは想像に難くないでしょう。

2020年10月に世界銀行がリリースした情報によると、新型コロナのパンデミックにより2020年新たに8,800万人から1億1,500万人が極度の貧困に陥り、2021年には合計1億5,000万人にまで達するとの想定が発表されています。2017年に9.2%だった世界の人口における極度の貧困率は、2020年には7.9%にまで低下するとの予想がされていました。
しかし新型コロナが世界に与えた影響により、9.1%から9.4%に拡大する可能性があると発表され、これは2030年までに極度の貧困を終わらせるというSDGsの目標の達成が1段階後退したことを意味します。

絶対的貧困層の地域別割合(2022年度) 絶対的貧困層の地域別割合(2023年度)
東アジア・太平洋 1.1% 1.2%
ヨーロッパ・中央アジア 2.4% 2.3%
南アメリカ・カリブ海 4.3% 4.3%
南アジア 8.5% 8.6%
サハラ以南のアフリカ 35.1% 34.9%
西アフリカ・中央アフリカ 27.2% 27.3%
中東・北アフリカ n/a n/a
アフリカ東部・南部 n/a n/a
その他の高所得国 0.6% 0.6%
世界 8.4% 8.5%

注)中東・北アフリカ、アフリカ東部・南部では、調査データの対象範囲が地域人口の50%未満のため報告されていません。サハラ以南のアフリカに組み込まれています。

参照:世界銀行による2023年3月の世界の貧困に関する最新情報:パンデミックにおける貧困推定の課題

こちらは世界銀行が発表した2022年度、2023年度における地域別の絶対的貧困層の割合を表にしたものです。コロナによるパンデミックがほぼ収束したにも関わらず、世界で見てもわずかに増加しているのがわかると思います。このデータからも、コロナが貧困に残した爪痕がいかに深いかが見て取れます。

絶対的貧困の原因は多岐にわたり、包括的な対策が必要

絶対的貧困がSDGsの他の目標と密接に関係していることは説明しましたが、言い方を変えれば色々な要因によって絶対的貧困が引き起こされているとも言えます。ここでは大きく以下の6つに分類して説明します。

  1. 紛争や内戦
  2. 自然災害や異常気象
  3. 事故や病気
  4. 教育
  5. 差別や偏見、身分制度
  6. 国の借金

それぞれ詳しく見ていきましょう。

紛争や内戦で、住む場所や財産を奪われる

紛争や内戦が起こると、多くの一般人が被災します。被災した人々は住む家を奪われ、財産を奪われ、最悪自身や家族の命までも奪われます。運良く命が助かったとしても、住む家も財産も失った先に待っているのは過酷な避難生活です。
紛争や内戦が起こっているような国に援助など期待できませんし、避難生活から抜け出すのがいかに難しいかが分かると思います。

特に身を守る術を持たない子どもたちには、想像を絶するような悲惨な現状があります。ストレスのはけ口に暴力や性的な虐待をうけたり、貧困から抜け出すために親に売られたり、中には紛争の最前線に立たされ盾として使われる子供までいます。そんな劣悪な環境で貧困から抜け出すのは困難を極めます。

自然災害や異常気象により、収入源が断たれる

自然災害や異常気象も、絶対的貧困に陥る大きな原因の1つです。先進国であろうと途上国であろうと、自然災害や異常気象は発生します。
私たちが暮らす日本でも、地震や台風、大雨による洪水など、多くの自然災害に見舞われているのが身近な例です。

しかし、どんなに大きな災害に見舞われようと、日本で絶対的貧困に陥ることはまずあり得ません。それは国が最低限の生活を保障してくれるからであり、そこが国の保障が期待できない途上国との大きな違いです。

1984年から2013年の30年間に、自然災害で亡くなった人は世界で約248万人に上りますが、その半数を低所得国が、3割を中低所得国が占めています。このことからも、国の所得が低いほど災害による死者が増えるのがわかります。

そもそも先進国と途上国とでは自然災害や異常気象への対策費が桁違いですし、途上国では対策にも復興にも僅かな予算しか回されません。

出典:内閣府「開発途上国における防災の課題~災害と貧困の悪循環~」

病気や事故で働き手を失う

途上国ではマラリアや結核など、命の危険にさらされる病気や感染症が蔓延しているため、毎年多くの人が亡くなっています。医療も充実していないので、満足な治療を受けられずに亡くなってしまう人も多いです。
途上国で病気や感染症が蔓延する背景として、経済的な貧しさ、医療体制の不備、知識の不足が挙げられます。

経済的に貧しいために慢性的に栄養不良状態にあり、不衛生な環境下での生活を余儀なくされるために疾病率や感染率が高くなります。さらに薬が買えなかったり病院にかかることもできないので、感染症の流行に歯止めがききません。

医療体制が整っていないため、予防接種が受けられなかったり、適切な治療が受けられないのも大きな原因です。医療施設や医療従事者の数も少ないので、生活圏内に医療施設が無いこともあります。

また、知識が不足していることで、病気や感染症をどう予防したら良いのか、衛生環境を整えるためにはどうすれば良いのかが分からないのも原因の1つです。
しっかりとした知識を持ち、予防措置を確実に行えば感染が防げるHIV/エイズは、知識不足がもたらす感染症の最たるものでしょう。

さらに、紛争や内戦が起こっている、もしくは過去に起こっていた地域ではあらゆる場所に地雷が埋められていることも多く、命を落としたり五体満足な体ではなくなったりしてしまう人も大勢います。

こうした病気や事故で働き手を失ってしまうと、生きていくためには労働力の低いこどもが働かなければならなくなります。

教育が受けられず就職が困難に

大人の働き手が足りないなどの理由で子どもが働く状況では、子どもが満足な教育を受けるのが難しくなります。労働に時間を費やさなければならないのももちろんですが、そもそも子どもが働かなければ生きていけない状況ではとても教育にまでお金をかけられません。
また、途上国では子どもの数に対して学校の数が不足していたり、教員の数や質も不足していることが多いです。親や地域住民が教育の大切さを理解できていなく、教育が優先されない環境にいる子どももいます。

こうして満足な教育を受けられなかった子どもは、就職する際に極めて不利になります。結果、低賃金で劣悪な環境下での労働をするしかなくなり、貧困の連鎖から抜け出せなくなってしまうのです。

差別や偏見、身分制度によって良い職に就けない

途上国に限った話ではありませんが、人種や民族、宗教、年齢、性別、障害などによる差別や偏見は未だに根強く残っています。また、カースト制度に代表される身分制度が残っている地域も少なからずあります。
こうした差別や偏見、身分制度によって教育の機会が不当に奪われたり、就職の選択が狭められたりしていることも、絶対的貧困を引き起こす要因です。

国の借金により、インフラや貧困対策の費用が捻出できない

途上国では、先進国や国際金融機関からの巨額の債務に追われ、インフラや貧困対策への費用が捻出できない国が多くあります。IDA(国際開発協会)からの借入要件を満たす最貧国は、輸出収入の10分の1以上が長期対外債務に充てられています。
さらに、対外債務総額は2021年末時点で10年前の3倍近い1兆ドルにまで膨らんでいて、最貧国の約60%が過剰債務に苦しんでいる、もしくは陥る可能性が高くなっているのです。

出典:世界銀行「債務返済が貧困国で2000年以降最大の圧迫に」

絶対的貧困の解決に向け、ODAやNGOの多くの団体が活動している

土の地面に座りながら、1つのお皿に入ったご飯を4人で食べる小さなアフリカ系の子供たち
さまざまな原因により引き起こされている絶対的貧困ですが、もちろん解決に向けて手を差し伸べている人たちもいます。代表的なのが先進国の政府間協力機関であるODA(政府開発援助)と、非政府の国際協力組織であるNGO(非政府組織)です。
ODAやNGOとはどのような組織で、絶対的貧困の根絶に向けてどんな援助を行っているのか説明します。

絶対的貧困の解決には、貧困の連鎖を断ち切ることが大切

絶対的貧困を解決するには、世代間で続く貧困の連鎖を断ち切ることがなによりも重要です。親の貧困によって子どもの選択や自由が奪われ、結果として子どもの世代にも貧困が引き継がれてしまいます。

しかし極度の貧困に陥っている状態から自力で抜け出すのは極めて難しい上、自国の政府の援助も期待できないので八方ふさがりです。そこでこの貧困の連鎖を断ち切るために活動しているのがODAやNGOなのです。

政府間組織であるODAと非政府組織であるNGOにはそれぞれ、政府間組織であるが故の長所、非政府組織であるが故の長所があります。お互いがその長所を活かし合うことによって、絶対的貧困にあえぐ人たちへの支援が行われているのです。

ODAの支援は、貧困解消に向けた直接的な取り組み

ODA(Official Development Assistance:政府開発援助 )は先進国の政府によって構成された機関であるため、自国の強みを活かした支援が行われています。
その支援は経済だけではなく、インフラを整備するための技術支援、医療技術の支援、人材支援など多岐に渡ります。国に直接働きかけるような、規模の大きな支援が特徴です

ODAは大きく「多国間援助」と「二国間援助」に分かれています。多国間援助とは国際機関に対して拠出・出資をすることで間接的に多くの国へ支援することを目的としており、二国間援助とは開発途上国を直接支援することを目的としています。
日本の二国間援助の中核を担う機関としてJICA(国際協力機構)があり、技術協力、資金協力、国際緊急援助など、多方面にわたって事業を展開しています。

日本のODAは2024年で70周年を迎え、途上国の安定と発展に大きく貢献してきました。現在でも海賊対策、感染症対策、人材育成・法制度整備など、多くの分野で活躍しています。

現在では先進国の仲間入りを果たし、ODAにより途上国への支援を行っている日本ですが、過去には支援を受ける側の立場でした。
終戦間もない日本は世界中から物資や資金の支援を受けましたが、中でも「ガリオア・エロア資金」は現在の価値にして12兆円もの莫大な額に及びました。
その他にも世界銀行からの融資やユニセフからの資金提供など、今日の豊かな日本があるのはこうした世界中の支援があったからこそです。
参照:JICA ODAの基礎知識1.国際協力の目的について

NGOの支援は、ODAよりも細やかで迅速な対応が可能

一方NGO(Non-Governmental Organization:非政府組織)は非政府かつ非営利の組織であるため、民間の立場からの素早く細やかな支援が可能です。国境や宗教、民族などの壁を越え、ODAでは直接働きかけることが困難な人たちに寄り添った支援ができるのも大きな特徴でしょう。

現在日本では国際協力NGOは400以上あると言われています。JANIC(国際協力NGOセンター)などのネットワークNGOを通じて連携を取り、貧困、環境問題、紛争、災害など多くの問題を解決するために世界100カ国以上で活躍しています。

貧困の無い世界を実現するために、私たちができることは身近にある

絶対的貧困に苦しむ人たちのために、私たち一人ひとりができることは何かあるのでしょうか?
世界規模で起こっている貧困問題の解消に、ODAやNGOといった大きな組織が支援している。こう聞いてしまうと「じゃあ、自分が個人で何かしてもほとんど意味なんて無いんじゃないか?」こんな風に感じてしまう人もいるかと思います。

しかし、一人ひとりの力は小さくても、その小さな力が合わさることで大きな力になり、貧困に苦しむ多くの人を助ける事ができます。ここでは、個人単位でもできる貧困支援の方法について詳しく解説します。

まずは貧困への理解を深めることが大切

では支援をするために、最初に何をすれば良いのでしょうか?具体的な行動に移す前に、貧困への理解を深めましょう。正しい知識を得て正しく理解できていれば、自分が取るべき行動が見えてきますし、間違った情報を拡散してしまうリスクを減らせます。
新聞、書籍やネット記事など、貧困問題について取り上げているメディアは数多くあります。これらに日頃から積極的に触れることで、多くの情報を取り入れることが大切です。

直接的な支援がしたいなら、ユニセフやNGOに寄付をしよう

具体的な貧困支援を考えたとき、まず浮かぶのが寄付ではないでしょうか。ユニセフや多くのNGO団体が募金を行っており、貧困に苦しむ人たちの支援に充てているので、寄付は一番直接的な支援と言えます。
方法も、募金箱、振り込み、口座やクレジットカードから毎月引き落とされるものなどいろいろあります。自分にあった方法で支援ができるので、寄付を考えている人は各団体のホームページなどを調べてみてください。以下、代表的な団体を紹介します。

ユニセフ(unicef:国連児童基金)
多少なりともSDGsや貧困に関心がある人なら、ユニセフは誰もが聞いたことがあるのではないでしょうか。ユニセフは世界の子どもたちのための国連機関で、2016年12月11日に70周年を迎え、長期にわたって人道支援や開発援助を行ってきました。
ユニセフの活動は全ての子どもの命と権利を守るために、約190の国や地域で行われています。その活動資金は個人、企業、法人・団体からの民間募金と、各国政府からの拠出金によって賄われています。

ユニセフへの寄付は、各国のユニセフ協会を通して行われます。日本にも「日本ユニセフ協会」が設置されているので、そちらに寄付をすればニューヨークのユニセフ本部に送金されます。

毎月一定額を自動で寄付できるマンスリーサポート・プログラムや、一回のみの寄付、目的別・地域を指定しての寄付など、自分の金銭状況や考えに合った寄付が可能です。さらに、寄付方法も多彩で、

  • 郵便局(ゆうちょ銀行)・銀行から送金
  • クレジットカード
  • 口座振替(マンスリーサポート・プログラムのみ)
  • インターネットバンキング
  • Amazon Pay
  • 携帯キャリア決済
  • コンビニ支払い

と、これだけの種類があるので、一番やりやすい方法での寄付ができるのは大きな利点です。

ワールド・ビジョン
ワールド・ビジョンは、1950年にアメリカのオレゴン州で設立された、世界最大級の国際NGOです。「”何もかも”はできなくとも、”何か”はきっとできる。」という理念の下、子どもの成長と未来を支える活動を約100カ国で行っていて、最大の特徴は「チャイルド・スポンサーシップ」です。

チャイルド・スポンサーシップはひとりの子どもと繋がっていて、毎月4,500円の継続支援をすることで地域ごとの課題に合ったプログラムが組まれます。ひとりの子どもと繋がっているので、子どもの成長報告書が届いたり、手紙を通じて子どもとやり取りができたり、子どもに直接会いに行ったりもできます。

実際に支援している子どもの顔が見えて、自分の支援がどんな風に役立っているのかがわかるので、「子どもを助けてあげられている」実感が持てる活動になっています。

日本国際ボランティアセンター(JVC)
日本国際ボランティアセンターは、「あらゆる人々が自然と共存し、安心してともに生きられる社会」をめざし、1980年に日本で立ち上げられた国際協力NGOです。ボランティア活動を中心に、これまで23の国や地域で活動を行ってきました。困っている人に足りないものを与えるのではなく、足りないものを作る方法を一緒に考えるという「問題の根本にこだわる」思いで活動しています。

日本国際ボランティアセンターの特徴は、やはりボランティアに直接参加する活動が多いことです。また、定期的にインターンの募集も行っており、活動を通じて貧困問題への知識や理解を深めることもできます。
各種イベントも豊富に開催されており、報告会、映画の上映会、意見交換会といった気軽に参加できるものから、スタディツアー(活動地の視察旅行)やグローバルフェスタへの出展といった規模の大きなものまでさまざまです。

直接活動するのは難しい方でも、寄付による支援で貧困に苦しむ人を助けることができます。月々500円からの「マンスリー募金」、好きなタイミングでできる「都度のご寄付」があり、さらに

いらなくなった物を売って支援する 活動地の人々が作ったハンドメイド製品を
購入して支援する
遺贈寄付で支援する amazon payで支援する
会員として支援する 法人として支援する

こうした色々な方法で支援ができるので、自分に合った方法での支援が可能です。詳しくは「日本国際ボランティアセンター 活動を応援する」をご覧ください。

セーブ・ザ・チルドレン(Save the children)
セーブ・ザ・チルドレンは、100年の歴史をもつ、子ども支援専門の国際NGOです。日本を含む29カ国の独立したメンバーが連携して、およそ120カ国で「すべての子どもにとって、生きる・育つ・守られる・参加する『子どもの権利』が実現されている世界」を目指して活動しています。さまざまな分野で活動していますが、子どもの貧困、教育、緊急・人道支援など、貧困問題に関わる支援も多岐に渡っています。

直接支援だけではなく、社会啓発・政策提言を通して貧困問題の解決に取り組んだり、学習環境の改善や教員の能力養成などを通じて教育問題に取り組んだりと、間接的な支援も積極的に行われています。

セーブ・ザ・チルドレンを通しての支援としては、毎月一定額の寄付と、1回のみ任意の額での寄付があります。支払い方法も

  • クレジットカード
  • 銀行振込
  • 口座振替(毎月寄付のみ)
  • コンビニエンスストアでの支払い
  • 携帯キャリア決済

と選べるようになっています。

また、遺贈・相続・香典からの寄付、提携サイトを通じて寄付をすることもできます。詳しくは「セーブ・ザ・チルドレン ご寄付のお願い」をご覧ください。

国境なき子どもたち[KnK japan]
国境なき子どもたちは、「共に成長するために」を理念に日本で設立された国際協力NGOです。設立は1997年と比較的若い組織ではありますが、2022年末時点で15の国と地域、23万人以上もの子どもたちに教育機会を提供してきた実績があります。子どもの教育問題を中心に、2023年現在、6つの国と地域で活動しています。

国境なき子どもたちの大きな特徴は、「友情のレポーター」や「友情の5円玉キャンペーン」といった、子どもが参加できる支援があることです。直接現地に赴いて現地の子どもと交流したり、クラスや学校に呼びかけて支援の輪を広げたりできます。支援をすると共に、子どものうちから貧困問題への興味や関心を育てられる取り組みとも言えます。

国境なき子どもたちも日本国際ボランティアセンターと同じく日本に本部があるNGO団体であるため、以下のようないろいろな形での寄付ができる仕組みがつくられています。

Tポイントで寄付する ソフトバンクのスマートフォンの支払いと一緒に寄付する
遺贈・遺産・お香典から寄付する 不用品を買取に出して寄付する(買取大吉)
本や物を売って寄付する(ブックオフコーポレーション株式会社) ZERO PCでパソコンを買って、購入金額の一部を寄付する
会員になって会費を寄付する レッドソックスの吉田正尚選手の取り組みに参加する

詳しくは「国境なき子どもたち いろいろな寄付」をご覧ください。

フェアトレード商品なら、普段の生活の中で支援が可能

また、フェアトレードの商品や、売り上げの一部を寄付している会社の商品を買うことでも支援が可能です。フェアトレードとは、簡単に言うと「開発途上国で生産された商品や原材料を適正な価格で取引する」ことです。こうした商品を買うことによって、生産者が正当な報酬を得ることができます。普段の買い物でフェアトレード商品を意識して購入するだけでも、間接的な支援に繋がります。
フェアトレード商品にはさまざまな物がありますが、大きな割合を占めるのはコーヒーです。他にも、

  • 飲料(紅茶、ワイン、ビールなど)
  • カカオ(チョコレートの原料)
  • スパイスやハーブ(こしょう、シナモン、バニラビーンズなど)
  • 果物や加工果物(バナナなど)
  • 油(オイルシード、オリーブオイル、ごま油など)
  • 切り花
  • コットン製品
  • その他(化粧品、ナッツ、サッカーボールなど)

これだけ多くの種類があるので、普段の生活で使っている物も多いと思います。

では、フェアトレード商品とその他の商品はどのように見分ければよいのでしょうか?フェアトレード商品には「国際フェアトレード認証ラベル」(参照:フェアトレードジャパン 認証ラベルについて)が付いています。国際フェアトレード認証ラベルは国際フェアトレード基準を満たしている商品の証であり、国際的に使用されているラベルの中でも最も認知されている物の1つです。

この国際フェアトレード認証ラベルが付いた商品を購入することにより、その商品の生産者の賃金や労働環境、ひいては生活を守ることに繋がるのです。

フェアトレードは、それ自体がSDGsと深く結びついていて、目標への貢献度も高くなっています。国際フェアトレード認証の仕組みや影響・効果を知ることは、SDGsの他の目標への理解を深めることにも繋がります。詳しくは、各種データを含めJICA(国際協力機構)のこちらの資料が参考になります。一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
JICAサステイナブル・カカオ・プラットフォームイベント フェアトレードで生産者と消費者をつなぐ

温暖化対策や節エネルギーでも、間接的な支援が可能

異常気象が貧困を引き起こす大きな原因になっているのは説明しましたが、ということは異常気象の原因になっている温暖化対策をすることでも、貧困問題解決の一助を担えると言えます。
温暖化は私たちが大量のエネルギーを使うことが大きな要因ですので、普段の生活でエネルギーの使用を極力控えることが貧困問題の解決に繋がっているのです。

エアコンの設定温度を夏は高めに冬は低めにする、使っていない電化製品のプラグを抜いておくなど、こんな小さなことでも間接的に貧困に苦しむ人を助ける力になるのです。

リユースやリサイクルの取り組みに参加することでも、温暖化対策に貢献できます。物を作るとき、運ぶとき、使わなくなった物を処分するとき、物の生産から処分までには多くのエネルギーが消費され、同時に二酸化炭素も排出されます。リサイクルショップやフリマアプリ、フリーマーケットなどを利用して物を売り買いすることで資源の再利用になり、エネルギーの消費や二酸化炭素の排出を抑制することに繋がるのです。

また、リユースやリサイクルの商品を自社で製造している企業もあります。そうした企業の製品を積極的に購入することで直接的にリユースやリサイクルの取り組みに参加でき、さらには企業の取り組みを間接的に支援することにもなるのです。

こうした多角的な視点を持つことも、SDGsと複雑に関係している貧困問題を考える上では重要です。

情報を拡散すれば世界に支援の輪が広がる

一人ひとりの力は小さくても、多くの人が集まることによって大きな力になります。家族や友人、学校の同級生や職場の同僚など、1人でも多くの人に関心を持ってもらうことも重要です。そこから輪が広がりさらに大きな力となることで、より多くの人たちが救われるのです。

TwitterやFacebookなどのSNSを使って情報を拡散することも非常に有効です。自分の身近な人だけでなく、より多くの人の目に触れることで支援の輪が大きく広がる可能性があります。
自分がやりやすい方法で、支援の輪を広げていきましょう。

正しい知識と行動が、絶対的貧困の無い世界への第1歩

豊かな国で暮らしていると、絶対的貧困は遠い国の、自分とは無関係な問題に感じてしまうかもしれません。
しかし現実として、この世界には今日生きることさえ困難な人たちが大勢います。多くの国や組織が支援の手を差し伸べても未だ解決には遠いのが現状です。

ですが、この世界に暮らす1人ひとりが貧困問題に目を向けて、小さな支援を集めれば決して解決できない問題ではないはずです。あなたがもしほんの少しでも貧困問題に興味を持ってくれたなら、あなたにできる小さな支援から始めてみませんか?
あなたが小さな1歩を踏み出したとき、そこにはきっと大きな笑顔が待っているはずです。

この記事の執筆者
EARTH NOTE編集部
SDGs情報メディア
「SDGsの取り組みを共有し、循環させる」がコンセプトのWEBメディア。SDGsの基礎知識や最新情報、達成に取り組む企業・自治体・学校へのインタビューをお伝えし、私たちにできることを紹介します。
身近なアイデアを循環させて、地球の未来をつなげていきましょう。皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。
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